相続事前対策に必要な4分野のトータルコーディネート | Part8
杉浦 浩一
相続事前対策コンサルタント
相続対策失敗から背負った借金30億円を完済した相続事前対策コンサルタント。
自身で銀行交渉やCFPを取得し、節税、キャッシュフローの改善、不動産活用を実施し、完済。
宅地建物取引主任者、CFP、1級ファイナンシャルプランナー技能士、TOEIC815点(英語での不動産取引・契約可能)、品質管理主任者等
「借金返済は頑張りすぎてはいけない!相続対策 間違えるとこうなる! 借金30億円を完済した不動産活用術!」出版。相続対策セミナー(住友不動産)、ライフプランセミナー(大和ハウス)その他多数開催
本シリーズは八部制で、上記の動画は「Part.8」です。
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今回は「相続事前対策をしたい人のための相続対策失敗から背負った30億円!借金返済復活劇から学んだ!相続事前対策に必要な4分野のトータルコーディネート」のPart8です。
【事例⑮】罠6:信託銀行をむやみに信用してはいけない
とあるご夫婦からの相談です。 練馬に50坪の土地があり、この土地の手前に建物が1棟、奥に階段がありアパート兼自宅を建てていました。
これは27年前某信託銀行から3500万円を借入れて建てており、借り入れた資金は滞りなく返済している最中でした。残済が420万程となったころ、信託銀行の営業マンがやってきて「手前の土地に階段がかかっている。これは違法建築なので、違約金となる可能性がある。うちの信託銀行で土地を坪90万台で売ることが出来る。売却して返済すればいい」と言ってきました。更に銀行の支店長まで来て「早く資金を返してほしいので、売却してほしい」と言われたそうです。
そこで私に相談が舞い込んできました。
銀行側の主張は下記3点でした。
- 階段が違法建築のため、違約金がかかること
- 手前の土地を坪90万円で関連会社が購入するので、資金の返済にあてること
- 売却する土地へのインフラ整備について、新たに550万円かかること
こんなことを急に言われたら、困るに決まっています。この3点を1つずつ解決しました。
①については、違約金などは一切かからないこと、金銭消費貸借契約書金銭消費貸借契約書などの契約書に一切そのような記載もないことを弁護士にも確認しました。
②については、坪単価120万円で売却することが出来ました。銀行は坪単価90万で購入して自分のところで儲ようとしていたたわけです。
③のインフラの工事についても550万もかからないことがわかりました。実際に200万円で私が全部滞りなく済ませました。
このように問題解決はできたものの、相談者からは「もうこの信託銀行とは付き合いたくない。返済をするのも嫌だから他の銀行に変えてほしい」との申し出がありました。
そこで、付き合いがある西武信金に依頼をし、残債振替のOKが出たので、相談者が某信託銀行へ伝えたところ、「前もって420万円を返済しないと抵当権は外さない」と言われたそうです。
こういった場合、通常の銀行取引ではお金の受渡しと同時に抵当権を抹消します。私はこのことを聞いて頭にきたので、「今同時抹消が当たり前だ」と電話を入れましたが、当事者以外の関係がない人は電話をしないでくれと切られてしまいました。しかし、この電話での指摘が効いたのか、同時に抹消するということで話がまとまりました。
続いて、西武信金から融資を受けるにあたって、抵当権を変える必要がありました。某信託銀行はまたしても嫌がらせがありました。「うちの指定の司法書士じゃないと対応しない」というのです。またしても私が電話をして、借りる側の権利でやるのだから関係ないと伝えたところ、部外者にそんなこと言う権利はないと切られてしまいました。ところがこの電話も効果があり、当初予定していた司法書士で手続きを進めることが出来ました。
この案件の対応が全て済んだ後に、相談者にこの信託銀行はあまりにもひどいから金融庁に報告しないかと提案しましたが、相談者が温厚な方だったので、何もせずに終わりました。私は今でも思い出すと腹が立ちます。
【事例⑯】罠7:大手仲介会社の囲い込みに注意
次は大手仲介会社、不動産会社でのトラブル事例についてです。これはワールドビジネスサテライトや日経ダイヤモンドで囲い込み記事が載っていたものです。
例えば、私の知り合いが不動産を買いたいと相談があった場合、まずは業者間取引のレインズというデータベースで調べます。これなら買えそうだという物件があったので、売り手側の仲介会社に対して、買い手側の仲介会社である私がこの物件はまだありますかと聞きます。すると大抵「その物件は売れています。」と言われるのです。
しかし、買い手側の仲介業者である私ではなく、お客様(お客様)から連絡をすると「ありますよ」と回答されます。
このように買い手側の仲介業者に嘘をつくことは、違法です。
自分のところで売りの仲介も買いの仲介も決めたいため、このようなことが発生します。これ囲い込みです。囲い込みは不動産業界では当たり前に起きています。
【事例⑰】罠7:不動産売却時の高額の見積もり、からの専任契約に注意!
不動産を売りたいので、見積もりを出してもらうため数社に依頼することがあります。大体高く見積もりを出してきます。なぜ高く見積もるかというと、専任契約を取りたいからです。売り手も不動産が高く売れたらその方がいいため、高く売れるだろうと期待して専任契約をします。しかし彼らはそのまま放置してしまう…こういう事例が多くあるのです。
先日ある物件で中古の一戸建てが売れずに困っている相談者がいました。高い金額で売り出したまま2年間放置されていました。
専任契約は営業マンのポイントになります。こういった案件は最終的にどうするかというと、高額で放置しておいて、これはもう売れないから安くして業者に安く買ってもらいましょうと提案するのです。そうすると売りも買いも仲介手数料が取れるからです。囲い込みです。
これは高く設定するか、もしくはとても安くして業者に下ろして両方の手数料を取るという作戦もあります。気をつけてください。
また、こういった取引は月末に集中します。月末になると営業マンが自分の成績のために「そろそろ売りませんか」という話題を出すのです。「今、市況が悪くいので、安く下げて売らないともうダメですよ」といった話に引っかかって売ってしまう方が沢山います。
不動産の仲介会社に相談する際は本当に気をつけてください。むしろ頼んだらこういった事例のようなことが起こると思っていてください。きちんと信用のできる不動産会社へ依頼して不動産売買を行っていただくことをお勧めします。
今回は、相続事前対策7つの罠の6つ目、金融機関に搾取される事例と7つ目の大手仲介業者に依頼する場合の事例をご紹介しました。
皆さんも相続対策を行うなかで、金融機関や不動産会社と関わることが多々あると思います。
私がお伝えしたことを注意して相続対策を行ってください。
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