相続事前対策に必要な4分野のトータルコーディネート| Part7

登壇者
相続事前対策コンサルタント 杉浦 浩一のプロフィール写真

杉浦 浩一
相続事前対策コンサルタント

相続対策失敗から背負った借金30億円を完済した相続事前対策コンサルタント。
自身で銀行交渉やCFPを取得し、節税、キャッシュフローの改善、不動産活用を実施し、完済。

宅地建物取引主任者、CFP、1級ファイナンシャルプランナー技能士、TOEIC815点(英語での不動産取引・契約可能)、品質管理主任者等
「借金返済は頑張りすぎてはいけない!相続対策 間違えるとこうなる! 借金30億円を完済した不動産活用術!」出版。相続対策セミナー(住友不動産)、ライフプランセミナー(大和ハウス)その他多数開催


本シリーズは八部制で、上記の動画は「Part.7」です。

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今回は「相続事前対策をしたい人のための相続対策失敗から背負った30億円!借金返済復活劇から学んだ!相続事前対策に必要な4分野のトータルコーディネート」のPart7です。

前回は相続事前対策7つの罠について、ハウスメーカーに相談する事例で、特にサブリース一括借り上げは非常に危険であるということをお伝えしました。ハウスメーカーの事業計画書は非常に大雑把で信用できるものではないので、必ずプロに相談し失敗しないようにしてください。

それでは今回は金融機関・大手仲介会社に相談する場合の事例になります。

目次

金融機関だからと言ってむやみに信用してはいけない

皆さん、金融機関にはどのようなイメージを持っていますか。

一般的にはお堅い商売で「信用できる」といった印象を持つと思います。ところが私は真逆です。

私が20代のころ、30億円の借金を背負った際に、自宅に銀行の営業の担当が来たので、こんな借金背負わしてどうするんだ!と文句を言ったことがありました。その営業担当は開き直って「相続税がゼロになったからいいじゃないですか」と言い返されました。借金をしたことで財産全部失ってしまっては本末転倒です。開いた口がふさがりませんでした。

私はその後もすべて自分自身で銀行交渉を行いました。その時の銀行マンの対応は本当にひどいものでした。当初の担当者に「計画的に返済をしないと破産してしまうから返済計画の見直しをしたい」という話をしましたが、残念ながら担当者は、自分の上司のことしか考えていませんでした。客からお金を分捕ることしか頭になかったのです。

こちらも若気の至りで、机を叩いて怒りました。担当者が対応しきれず、上司の課長がやってきましたが、その課長も煮え切らない。同じように怒ったところ、次は部長が来ました。ところが部長もおびえてすぐに支店長が登場しました。

それからはうまく話が進むようになりました。支店長は決済者だったので、話が早かったのです。ある時その支店長に、返済はこの順番で行うといい、と提案をされました。私が即答で「その順番だと、譲渡所得に対して税金がかかります。結果、御行に多く返済ができないですよ。」と断りました。私は生き残るために必死になって税金についても勉強をしていたのです。そこから私は支店長の信用を得て、計画通りに返済していくことが出来ました。

銀行というのは、晴れた日に傘を貸し、雨の日に傘を取り上げるという教訓がありますが、まさにそのような経験を私は沢山してきました。

金融機関だからといって絶対に信用しないでください。

 【事例⑬】罠6:債務控除効果について知っておくこと 

金融機関で言うところの営業トークについてです。「借金をすると相続対策になって相続税が安くなるので、借金した方がいいよ」という話を聞いたことがある方もいると思います。これは正しいでしょうか、

誤りでしょうか?

今回の事例は、1億円の借金をして建物を建てた事例になります。

だいたい固定資産税の評価額は半分程度です。1億円のものが5000万~6000万円になります。今回は6000万の評価とします。

1億円の借金をして建物を建てて、6000万円の評価になる、つまり4000万円の債務控除となるからこの4000万円分が得になる。だから借金をしましょう。ということです。

注意いただきたいのは、これが逆転してしまう場合があるということです。債務控除効果がなくなってしまうのです。

借入残高が減っていく曲線と、建物の相続税評価・固定資産税評価額が下がっていく直線の角度が違うのです。相続税評価額のほうが鋭角です。例えば今回の事例だと、19年目で逆転します。

今まで債務控除効果で建物を建てた結果、相続税が減少していたものが、19年目から相続税が増えるのです。

このことをしっかり理解していないと、相続税の対策はできません。

この債務控除効果の話を不動産会社や建築会社に呼ばれたセミナーで行ったことがあります。営業マン180人に向けて「お客様に提案する時は皆さん気をつけないと訴えられますよ」とお伝えしましたが、セミナーが終わった途端に担当の課長が飛んできて、そういった話は社員にしないでほしいと言われました。普段からお客様に債務控除効果をうたった提案をしているとのことでした。加えてお客さん向けのセミナーでは絶対にこの話はしないでほしいとも言われました。

知っておかないと、万一訴えられたら営業マンたちが危ない目に合うのに、そんなことを言ってくる人もいたのです。

皆さん、ハウスメーカーや金融機関に、借金した方がいいと言われた際はこの事例を思い出してください。借金をすると相続税が安くなるか?の答えはイエスでもありノーでもあります。

また、金融機関は生命保険会社も含まれます。生命保険会社からの相続対策の提案を受けることもあると思いますが

毎度お伝えした通り、税金、法律、金融、不動産の4つをトータルコーディネートしないと最上級の効果は出ません。

信託銀行にも注意が必要

また信託銀行が相続についてのCMをしていますが、実はここも危険な罠があります。

信託銀行はノウハウがないので4つの分野をトータルコーディネートすることができません。税理士がやることと、司法書士がやることが全く噛み合ってないケースが多々あります。

先日私がセミナーを行った際、信託銀行に依頼したもののバラバラな提案で困っている、という相談がありました。信託銀行は非常に高い手数料を取る割に、月並みの提案をします。いろんな投資信託を買わせようと、自分たちの売り込みをするのです。

【事例⑬】罠6:安易に提案に乗らず、しっかり確認すること

相談者88歳男性です。妻は既に死亡しており、子どもは2人(長男・次男)がいましたが、既に長男も死亡しています。長男に嫁と子ども(相談者から見て孫)が3人いました。

資産は不動産5億円、預金1億円の合計6億円、現状で2億4千万円の相続税の予定でした。

この時既に、相談者は大手ハウスメーカーと銀行から4億円5千万円借金をして、サービス付き高齢者住宅の建築を勧められていました。

この提案に乗っていいのかという相談でした。

早速、事業結果書を見せてもらったところ、キャッシュフローの記載がありませんでした。そもそもキャッシュフローをたどると5年後からもうお金が底ついてしまうことが分かり、絶対提案に乗ってはいけないという話をしました。

サービス付き高齢者住宅は、様々な補助金が出ていますが、国からお金がもらえる制度ビジネスは3年に一度収入が変わります。3年でその収入がガクッと落ちてしまうケースが多々あるので、私はお勧めしません。また、サービス付き高齢者住宅を建てたのち、普通のアパートに転用しようとするとかなりの費用がかってしまいます。

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この記事を書いた人

【執筆者】
相続事前対策コンサルタント 杉浦 浩一

相続対策失敗から背負った借金30億円を完済した相続事前対策コンサルタント。
自身で銀行交渉やCFPを取得し、節税、キャッシュフローの改善、不動産活用を実施し、完済にこぎつけることができた。

・資格
宅地建物取引主任者、CFP、1級ファイナンシャルプランナー技能士、TOEIC815点(英語での不動産取引・契約ができます!)品質管理主任者、スノーボードB級インストラクター(JSBA)

・学歴
早稲田実業野球部出身。副主将。あと一回勝てば甲子園というところで、國學院久我山に敗退。荒木大輔さんと入れ違いで入学。早稲田大学教育学部地理歴史専修 卒論「武士道」

・趣味
ゆる体操、将棋初段(自称)、ゴルフ、サッカー日本代表観戦 、ゆる体操

・講演・セミナー実績
 - 「借金返済は頑張りすぎてはいけない!相続対策 間違えるとこうなる! 借金30億円を完済した不動産活用術!」
 - 相続対策セミナー(住友不動産)
 - ライフプランセミナー(大和ハウス)
その他多数

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