相続事前対策に必要な4分野のトータルコーディネート| Part4
杉浦 浩一
相続事前対策コンサルタント
相続対策失敗から背負った借金30億円を完済した相続事前対策コンサルタント。
自身で銀行交渉やCFPを取得し、節税、キャッシュフローの改善、不動産活用を実施し、完済。
宅地建物取引主任者、CFP、1級ファイナンシャルプランナー技能士、TOEIC815点(英語での不動産取引・契約可能)、品質管理主任者等
「借金返済は頑張りすぎてはいけない!相続対策 間違えるとこうなる! 借金30億円を完済した不動産活用術!」出版。相続対策セミナー(住友不動産)、ライフプランセミナー(大和ハウス)その他多数開催
本シリーズは八部制で、上記の動画は「Part.4」です。
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はじめに
今回は「相続事前対策をしたい人のための相続対策失敗から背負った30億円!借金返済復活劇から学んだ!相続事前対策に必要な4分野のトータルコーディネート」のPart4です。
前回、相続事前対策には4つのトータルコーディネートが重要ですよとお伝えしました。その上で「7つの罠」があることを説明しました。
今回はこの罠について事例の3,4つ目を紹介します。
罠3 税理士を過信してはいけない:相続税を専門とする税理士は少ない
相続税申告で有名な税理士のセミナーを受けた時のことです。そこで聞いた言葉は「被相続人が生きている間に相続対策の話をすることはその人に対しての侮辱であり 生前に相続対策をすることは一切必要ない」というものでした。
皆、これを聞いてどう思いますか?私は非常に腹が立ちました。代々受け継いできた相続財産を失ってしまった私からしたら、理解のできない話です。百歩譲って1代で稼いだ人なら別ですが、代々引き継いで相続してきた方々は納得できないはずです。
逆説的に、税理士は税務申告が仕事で節税は税理士の仕事ではないと言っているようなものです。昔、相続税課税金額によって税理士報酬が決まっていたことに原因があるかもしれません。節税をすると報酬がその分減る時代があったのです。
昔からの税理士の方から「相続税は税金で、税金は払うことが正しい事なのだから一切節税には協力しませんよ」「節税なんかしなくていい。税金納めることが重要なんだから」と話をされたということをよく耳にします。
相続税は特に難しいです。きちんとした税理士を選んでください。
相続税・資産税を扱う税理士の割合は、相続税の案件に対しての税理士の全国の税理士の人数の割合は年間1パーセントにも満たないです。そもそも税理士が相続税を扱う機会が少ないこと、相続税の試験を受けてない方が多いことから、相続税の申告は10人いたら10通りの回答が来る程難しいのです。
罠3 税理士を過信してはいけない:税理士のセカンドオピニオンをしても失敗する
私が抱えた借金のことです。私も父親も連帯保証人でしたが、母親は保証人ではありませんでした。そこで、グレーゾーンではありますが、父親と母親の持ち分を等価交換して、安全なものを母親に移すことにしました。その際、同族間取引の不動産評価が必要になりました。
例えば普段5000万円で取引されているマンションを第三者に500万円で売っても贈与税はかかりません。ところがこれを同族間の三親等以内に売却すると贈与税がかかるのです。ですので、不動産の評価額は非常にシビアです。
私も相続税も払いたくないですし、同族間取引ではなるべく支払いを少なくしたかったので、担当の税理士に不動産評価額をどうしたらいいか聞きました。私が提示したものを「大丈夫」と言われましたが、不安だったためセカンドオピニオンを求めて相続税・資産税に強いと言われる税理士を紹介してもらい同様に確認をしました。その方も「大丈夫」ということだったので取引したところ、そこからが大変でした。
税務署からこの評価額ではダメと言われ、10回程打ち合わせをすることになりました。最後には税務署も折れて、そこまで言うなら証拠となる不動産鑑定士の鑑定書を出すうに言われました。
そこで、知り合いから不動産鑑定士を紹介してもらい、不動産鑑定書を作成してもらうことにしました。時間がなかったため、不動産鑑定士とは直接税務署で会ったのですが、なんと坪単価と平米単価を間違えており、結局評価額がまとまらず、1800万円の追徴課税になりました。
今回の問題点の1つ目は税理士が不動産評価に慣れていなかったことです。わざわざセカンドオビニオンをしたにも関わらず、うまくいきませんでした。2つ目は不動産鑑定士にあらかじめ相談して不動産評価額を出さなかったことです。評価額を出すには費用として40,50万円かかりますが、あらかじめ準備しておけばこのようなミスは起こりませんでした。
1800万円という痛い目をみた私の事例です。
皆さん、専門家はしっかり選んでください。
罠4:遺言書作成はトータルアレンジが必要
世田谷の資産家の方が、相続発生に備えて銀行から弁護士を紹介してもらい、遺言書を作成しました。
ところが実際に相続発生時、この遺言書通りに相続申告をすると多額の相続税及び贈与税が発生して財産がなくなってしまうという事実が判明しました。
実はこの場合、抜け道があります。相続人全員が納得すれば、この遺言書をないものにして遺産分割協議書をもう一度作り直すことができます。今回は遺産分割協議書を改めて作成することで、対応が出来ました。
実際に私が取扱う案件でも、遺言書の意味がなくなってしまうものは3割程あります。折角多額の費用をかけて遺言書を作成しても無駄になってしまうし、危ないです。相続人全員が納得しないと変更はできず、納得しない場合はまたトラブルになります。
弁護士は税金のことには詳しくないのです。
税金、法律、金融、不動産の4つの分野をトータルアレンジしないと
失敗事例になります。
遺言書は絶対に書いた方がいいです。相続税が発生しないから何もしないでいいわけではありません。トラブルを防ぐためにもちゃんと遺言を作って伝えておく。納税資金もできたら保険などを使って準備しておくということが必要です。
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