選ばれるブランド作り| Part2 ブランド化・差別化

【執筆者】
株式会社ファースト・イニシアチブ 代表取締役
中小企業診断士 藤本 隆幸

茨城県商工会連合会、笠間市商工会にて21年間中小企業支援に従事。
国の経営革新支援アドバイザー、地域力連携拠点及び中小企業応援センター等のコーディネーター、を歴任し、中小企業の経営革新計画作成と地域資源活用・農商工連携認定支援、事業再生支援等を担当。
企業相談及び専門家派遣事業の担当として企業の長所、短所の見極めと逸品づくり、経営革新計画へ結び付く提案と実際の作成やOJTなどフレキシブルに対応。

平成22年10月
先進的(優秀)支援事例として「中小企業庁長官賞」を受賞。
平成25年5月
関東経済産業局より優秀支援アドバイザーとして感謝状授与。
中小企業庁 経営支援に係る専門家の確保・育成検討会専門委員

平成27年4月より笠間市商工会にて、経営指導員として経営革新承認32件、全国1,600以上の商工会の中で第1位に導く。翌年度は41件承認。


本シリーズは二部制で、上記の動画は「Part.2」です。

▼ シリーズ動画一覧

目次

ブランドとは

早速ではございますが、ブランドとは何でしょうか?「ブランドもののバック」など、現在では日本語化しております。ブランドの、そもそもの由来は 牛に焼き印を押す(自分の家畜に目印を打つ・識別する)ことをブランド(brand)と言っておりました。

また、マーケティングの定義では「ブランドとは、個別の売り手、または売り手集団の財やサービス識別させ、競合する売り手の商品やサービスと区別するための名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはこれらの組み合わせ」(フィリップ・コトラー)とされています。

売れる商品とは

さて皆さん、少し思い出してみてください。最近何か買い物をしたでしょうか?お弁当や鞄、はたまた車や家など、様々なものがあると思いますが、その商品を買った決め手は何だったでしょうか?購買行動には必ず理由があります。人は、不安があるうちは絶対に買いません。何かしら、納得する理由があって購買をしているはずです。「あ、これだ!」という、最終的に購買に至る一押しがあるはずなのです。この絶対的な理由が、そのブランドのPR ポイントになります。

また、その商品を買う時に、皆さんはどうやってそれを調べたでしょうか。「近くにお店がある」、または「ネットで調べた」など。それが「接点」になります。この接点をどう作り出すかも売れる商品作りには必要になります。

さらに、皆さんが購入した商品は、誰かにシェアしましたでしょうか?今の時代では、SNSやブログの閲覧・活用が日常的になっており、このシェアというものブランド化の大事な戦略になってきています。

ちなみに私は、最近、ビデオカメラを買いました。仕事柄、ビデオカメラをたびたび使用するのですが、先日、明日仕事でビデオを使うという時に、家族が別の用事で使用するということがあり、慌てて代替品の購入を検討ました。今からAmazonで買っても間に合わない。そこで最寄り家電量販店に行くことにしました。当初は2万円程度のビデオでいいかなと考えておりましたが、結局7万円程の商品を購入しました。お店にはさまざまな種類の商品があり、色々と検討するわけですが、私の購買の理由・最後の決め手は「バッテリー」でした。当初2万円程度の予算だったものを7万円まで引き上げたのは、ブランドの力です。

事例:ピンチをチャンスに

1つ事例の紹介です。都内で縫製業を営んでいる会社の事例です。皆さん、「バックチャーム」というものをご存じでしょうか?バック(鞄)にちょっとしたリボンのように付けておくものなのですが、買い物する時には、広げてマルシェバックになるという商品です。レジ袋というと陳腐なイメージになってしまいますが、マルシェバックという名前をつけてオシャレなイメージにしています。

この会社は、もともとファーなどを取り扱う、アパレルの会社でした。レースやススワロフスキーなどの取り扱いに長所があり、百貨店などが主な顧客だったのですが、コロナで打撃を受けました。そこで、生き残りをかけて、マスクや雑貨を作っていくことに事業をシフトしました。クラウドファンディングを実施した時には、3000円や5000円の商品もある中、13000円程のバックチャームが主体になっていました。13000円のレジ袋と言ったら、「え!?」となりますが、ブランドの威力があると「持ってみたい」と購買に繋がり、喜んでもらえるわけです。

ビジネスモデルについて考えよう

 ブランド化をする上では、ビジネスモデルが大切です。ビジネスモデルは3 C と言われます。顧客(Custormer)、自社(Company)、競争相手(Competitor)。自分の会社があり、お客様は誰なのかを考えます。商品開発をする上では、誰にその商品を売るのかを明確にすることが大切です。また、他社と比較して、どんな差別化をしていく必要があるのかを考えることが、ブランド化の第一歩になると思います。

さらに、粗利の取れる商品を作ることが大切です。1つの商品で適切な粗利が取れなくても、粗利ミックスという手法を使って、総合的に利益が取れるという、儲ける戦略を考えることも重要です。

その他、顧客のニーズに応える商品を考える必要があります。顧客の購買行動を理解することも大切です。近年では、購買行動が2極化しております。高くても本当に良いものを買いたい人(時)と、100円ショップなどの安い商品で十分と考える人(時)と、消費者は、ケースバイケースで、購買行動を使い分けるようになってきております。また、戦略(経営計画)を作ることも大切です。経営者の頭の中にあるプランを、従業員をはじめ、金融機関など、さまざまな人に伝えるために、見える化することが大前提になってきております。

サポート制度について

ブランド化する為には、支援機関等のサポートを受けることも 多々あると思います。現在では、さまざまな公的なサポート体制が整っています。昨今の公的支援では、頑張る中・小規模事業者を、きめ細かくサポートするという流れになってきています。

また、自分で考えられる企業を作りたいという国の意向もある為、支援機関のサポートを受ける際は、単純に補助金の資料を作りたいと相談に行くのではなく、総合的に真の経営力を身につけるために支援機関を利用し、ブランド化ということを幅広く支援してもらえるよう利用することが大切になります。

令和型経営とは

世の中は、時代とともに変化していきます。令和の時代に重要なキーワードを、以下に3つあげます。

1. 持続経営力(適切な市場分析力、経営計画作成、販路開拓、サスティナブル志向対応)

これは、変化に対応し生き残っていく力のことです。昨今では、特にZ世代などの若い世代で、サスティナブル志向が強くなっています。環境意識がある企業に就職したいとか、環境に配慮した商品を購入したいという意向があります。これら、価値観の変化に伴って、ターゲットや商品を見直す動きや、市場分析をやり直すことも必要になってきます。しっかりと計画を立てて変化に対応する力が求められています。

2. デジタル経営力(ツール・クラウドアプリ活用、非対面、インターネット活用)

現在では、デジタルツールやクラウドアプリを使うことはもちろん、非対面でのオンラインの打ち合わせ。それからインターネットで発信するということも必要になってきております。デジタルに苦手意識を持っている方も、無視できないスキルなってきております。

3.リスク対応力(資金繰り、事業再構築支援スキル、事業継続力強化提案力、事業継承)

昨今は、さまざまな思いもよらないリスクが生じます。コロナをはじめ、ITセキュリティ、物価高もあります。とにかくリスクに敏感になることが必要です。そして、資金繰りや、事業の再構築、事業承継・跡継ぎ問題への対策なども、必要になってきております。さまざまな想定外のことが起こりますが、まずは、リスクに敏感であるということが重要になってきます。

SDGsについて

SDGsについて、少しだけ触れておきます。SDGsは、2015年の国連サミットで採択された17の持続可能な開発目標のことです。昨今、百貨店のバイヤーやお客様の中にも、SDGsの商品を探している人は結構いらっしゃいます。「海を大事にする」とか「産業を大事にする」とか「子供を大事にする」、「健康を大事にするとか」そのような目標が、何かしら自分の会社と合致してくるはずです。それが自分の会社のブランドと、合ってくれば一番良いことなのかなと思います。是非意識して欲しいと思います。

SDGsの切り口としては、以下の4つがあります。

・エシカル消費
・社会貢献
・ESG投資
・学校教育

お客様がどう見るか。取引先がSDGsでやってくださいということもあります。また、資金調達の分野で評価されることもあります。さらに、学校教育でも盛んに使われています。

もう一つ、覚えておきたい言葉は「カーボンニュートラル」です。二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を減らしましょう、森林などによる吸収量を増加させましょうという意味ですが、SDGsと密接に関連した取り組みになっております。

令和の今こそ、ブランディングへの準備

環境変化の激しい昨今ですが、「新しいことはしたくない」という人も多いかと思います。「予算がない」、「時間的に余裕がない」、とにかく理由をつけてやらないこともあると思いますが、売上を上げて、ブランド化して、なおかつ生き残るためには、少しずつ認識を変えていく必要があります。

ブランディングに向けて、やった方が良いことを以下に3つ、まとめました。

  1. 顧客の側に立ったデジタル発信、販売、共感対応
  2. 環境や品質の安心感の提供
  3. ブランド作りのパートナー作り(デザイン、戦略、実行、金融機関等)

まずは、お客様の側に立って情報発信をする必要があります。例えば「こんなSDGs やっています」など、共感してもらうことも必要になってきます。そこにデジタルを活用することによって、周知のスピードを上げることができます。また、イメージ(デザイン)をしっかりと作っていくことも、ブランド作りの第一歩だと思います。

環境や品質面での、安心感の提供も重要です。SDGsもそうですが、「うちの企業は大丈夫ですよ、安心して取引してください」ということを、しっかりと社内外に発信してコンセンサスを得ていくことが大切になります。

最後は、パートナー作りです。社長が一人で「やるぞ」と言っても、単独で実現することは困難です。是非このブランド化の為のパートナー作りを考えてほしいと思います。デザイン分野でも、戦略策定の分野でも、各分野のプロと共有・協力していくことが重要になります。


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この記事を書いた人

株式会社ファースト・イニシアチブ 代表取締役
中小企業診断士 藤本 隆幸

茨城県商工会連合会、笠間市商工会にて21年間中小企業支援に従事。
国の経営革新支援アドバイザー、地域力連携拠点及び中小企業応援センター等のコーディネーター、を歴任し、中小企業の経営革新計画作成と地域資源活用・農商工連携認定支援、事業再生支援等を担当。
企業相談及び専門家派遣事業の担当として企業の長所、短所の見極めと逸品づくり、経営革新計画へ結び付く提案と実際の作成やOJTなどフレキシブルに対応。

平成22年10月 先進的(優秀)支援事例として「中小企業庁長官賞」を受賞。
平成25年5月  関東経済産業局より優秀支援アドバイザーとして感謝状授与。
中小企業庁 経営支援に係る専門家の確保・育成検討会専門委員(H25年)

平成27年4月より笠間市商工会にて、経営指導員として経営革新承認32件、全国1,600以上の商工会の中で第1位に導く。翌年度は41件承認。

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