最新のマーケティング戦略〜ファン心理を活用した売り方とは?〜

登壇者

梅澤 アンナ
装飾デザイナー /
小売物販コンサルタント

株式会社Mari`eeFleurir代表
日本大学芸術学部卒業後、株式会社ユニクロへ入社。
ファッション業界に精通するため量販小売店でBY、DBを経験し、アウトドアメーカーでMDと商品管理を経験。
その後、独立し装飾品店を開業。年間500件以上のオーダーを受注し、西武百貨店や高島屋などにも出展。現在は日本の着物を後世に繋ぐファッションプロジェクトを推進。2021年からはクリエイト塾を開講し、個別コンサルも行う。2023年にはパリコレに出展。

目次

推し活とは?

「推し活」というのは、自分のイチオシを決めて応援する活動全般のことを言います。もともと熱狂的なアイドルファンが、自分の好きなアイドルを「推し」と呼んだことが「推し活」の始まりでした。これがどんどん広がって、アイドルだけではなく、例えば食べ物で「推し」があったり、何かのサービスで「推し」があったり、この会社が大好きという時も「推し」と言ったりします。大好きで「いつも応援しています」というようなものを「推し」としてまとめています。

実例から紐解く① お客様=ファン様

浴衣コーナーの実例

2023年の夏、某百貨店の浴衣コーナーで、弊社の髪飾りや帯飾りなどの装飾品を納品した際に体験した事例を紹介します。

浴衣を出店している浴衣屋は老舗で、毎年夏になると浴衣コーナーを出店していましたが、コロナ禍に入って4年間は出店できていませんでした。久々に浴衣コーナーを出店することになった際、メインモデルとして起用されたアーティストのファンが1日目に爆買いしたことで、過去最高の売上となったのです。

通常、アーティストのファンだけだと人数的には少ないのですが、予約できたお客様だけで過去最高の売上になるという出来事が起こりました。

常識の破壊と意識改革

浴衣というものは季節もので、例年、花火大会等の夏の行事でしか着ないものとされています。花火大会も行かないし、今年の夏はどこにも遊びに行かないのであれば、浴衣を買わないというのが今までの常識でした。

ところが今回の浴衣コーナーでは、浴衣を「推し」が着ているので、「推し」のイベント参加など「推し事」の時に、同じ浴衣を着用しようという意識改革が生まれたのです。「推し」が着ているから浴衣を「ファングッズ」として欲しいという、今までの常識では考えられなかった顧客層も取り込むことができたのです。

モノの価値の置き換え

今回のケースでは、モデルにアーティストを起用して浴衣コーナーを作り上げることで、浴衣そのものが夏に着る着物から、「推し活」で着用する制服や記念グッズというものに価値が置き換わりました。

浴衣を購入するとアーティストイベントチケットももらえるという企画を織り交ぜ、入場チケット予約や当日券も配布して、ファン限定の売り場であるということを演出したのです。限定された人だけがコーナーに入って、浴衣を手に取って鏡に映していると、ファン以外の一般客に対しても「今年はみんな浴衣買うんだ」、「浴衣コーナー盛り上がっているな」という好印象なイメージを与えます。

このように、ファン心理を活用した販売手法にすることで、お客様をたくさん呼び込めるところが大切なポイントです。

実例から紐解く② お客様と推し色

次は、装飾品に「推し色」を入れた弊社の事例を紹介します。

お客様と推し色 ケース1:大切な日に自分を彩る飾り

成人式を迎えるお客様が、「すべての髪飾りがどれも素敵で迷って選べない」と悩んでおられました。

そこで、私がお客様に「大切な日を迎えるので、お客様の『推し』のカラーを使ってみてはどうですか?」と提案してみました。そうすると、お客様は「え、そんなことできるんですか?私の『推し』は真紅の色なんです」と教えてくれました。

「ではその色で装飾品を作りませんか?」と言って、深い赤の色を使った装飾品を作ったのです。

「『推し』のカラーも取り入れてもらえて、振袖にも似合っていて、本当に最高の瞬間を迎えることができた」と喜んでくださり、店としてもお客様が装飾品の色で迷う時間を短縮でき、とてもありがたかったです。

お客様と推し色 ケース2:お正月の飾り

お正月の飾りをオーダーしていただいたお客様が、「お正月に玄関に飾る飾りを新調したいのですが、どんな色にしましょう。やっぱり、紅白がよいのでしょうか?」と悩んでおられました。

新年を迎える大切な日なので、「『推し』のカラーにしてはどうですか?お客様の『推し』のカラーって何ですか?」と聞いてみたところ、「そんなことできるの?私の『推し』はターコイズなのよ」と教えてくださいました。

そこで、美しいターコイズの色味をお客様と一緒に作りました。いろいろな絵の具のパレットを取り出して作ったことで、「自分の『推し』のカラーであるターコイズのお正月飾りが手に入ったなんてすごく嬉しい、1年間いいことありそう」という感想をいただいたのです。

実例から紐解く③ ファンはファンを呼ぶ

あるファッションブランドの店では、宣伝を1回もしたことがないとのことです。SNSもやっていませんし、告知を頻繁にしているわけでもありません。自分の好きな服、自分がこだわりを持って着たいと思う服しか作っていません。

ところが、この店は注文が殺到していて、例えば百貨店で限定ショップを出店するとすぐに完売するのです。

この状況の始まりはたった1人のファンからだったとのことです。初めて期間限定ショップを開催した時は、自分の友達や知り合いしか呼ぶことができなかったそうです。でも、お客様の中に「すごいこのデザイン、すごく素敵。気に入っちゃったよ」と言って購入してくれた人がいたのです。このお客様がSNSで数万人のフォロワーを持つ人気の女性だったことから、SNSに店の写真とコメントを投稿したところ、その友達が「私も着てみたい、自分にも似合うかな」、「かっこいい、友達に紹介してあげよう」、「なんていうブランドですか?」というように多くの反響があったのです。

たった1人のファンのお客様が広めたことで、ファン予備軍がどんどん誕生してきたというのが、この実例のすごいところなのです。

このファッションブランドでも今まで多くの期間限定ショップを行い、売上が伸びた日もあれば、それほど伸びない日もありました。でも、本当に頑張り続けていたことで、1人のファンができて、そのファンの方を大事にしていたのです。「今日は来てくれてありがとうございました。また、秋にやるから来てくださいね。会えるのを楽しみにしています」といったコメントを送るなど、すごく大事にしていたおかげで、そのファンが、2人目のファンを呼んで、3人目のファンを呼ぶという現象が起きたのです。

まとめ

物販をやっている以上は、モノが売れなければ何も始まりません。モノを売らないと次の作品を作る資金もないわけです。

物販における神様はやはりお客様です。でも今は、これがファンになったのではないかと私は思います。「誰が作っているのか」、「どんな思いで作っているのか」、そういうところをファンは見てくださっています。

ファン心理を借りた物販手法で場を盛り上げることができ、ファンの拡散力も借りて店のことを広く知ってもらうことができます。ファンが100人いれば、その100人が私の代わりに広めてくれるわけです。このファンの拡散力は、借りるべきだと思います。

ファンをたくさん作っていくためには、まず1人のファンからです。1人のファンが必ず次のファンを呼んでくれます。まずは目の前のお客様に向き合っていきましょう。

今回は最新の物販事情として、ファンは最強、物販の神様はファンの皆様であることを解説しました。

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執筆者

【講師】
株式会社Mari`eeFleurir代表 梅澤 アンナ
装飾デザイナー
小売・物販コンサルタント

日本大学芸術学部卒業後、株式会社ユニクロへ入社。店長候補として銀座店に配属。23歳の若さで店長として30人以上のスタッフのマネージメントや店舗運営を行う。
その後、ファッション業界に精通するため量販小売店でBY、DBを経験し、アウトドアメーカーでMDと商品管理を経験。得意分野はカスタマー対応。
2017年に独立し自身で製作販売を行う装飾品店を開業する。年間500件程度のオーダーを頂き、サステイナブルなモノづくりに邁進する。
西武百貨店や高島屋、ラフォーレ原宿などにも出展。現在日本の着物を新しい形で後世へ繋いでいくファッションプロジェクトを推進中。
2021年〜アイデアをカタチにするクリエイト塾を開講し、物販やネットショップ等を開きたい個人さま、企業へ向けて個別コンサルを行う講師としての顔も持つ。
2022年よりキャリア教育の社会人講師として小中学生に向けて講義を行なっている。
2023年にパリコレに出展が決定!

プライベートは・・・ファッションと音楽が好き、北海道が大好き、空港大好き、家族とキャンプ!

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