小さな会社の賢いメディア戦略術:Part1 興味を持ってくれそうなメディアの探し方
梅澤 アンナ
装飾デザイナー /
小売物販コンサルタント
株式会社Mari`eeFleurir代表
日本大学芸術学部卒業後、株式会社ユニクロへ入社。
ファッション業界に精通するため量販小売店でBY、DBを経験し、アウトドアメーカーでMDと商品管理を経験。
その後、独立し装飾品店を開業。年間500件以上のオーダーを受注し、西武百貨店や高島屋などにも出展。現在は日本の着物を後世に繋ぐファッションプロジェクトを推進。2021年からはクリエイト塾を開講し、個別コンサルも行う。2023年にはパリコレに出展。
本シリーズは四部制で、上記の動画は「Part1」です。
はじめに
本日は、小さな会社の賢いメディア戦略についてお話ししたいと思います。前回の第1回目に引き続き、今回は第2回目として、興味を持ちそうなメディアの探し方について触れたいと思います。
小さな会社のメディア戦略とは?
メディアを活用することは、費用を最小限に抑えながらも、効果的な露出を実現できる点が最大のメリットです。具体的には、大手メディアや新聞社に取り上げられることで、お客様からの信頼と安心を確保することがこの戦略の重要な要素となります。ただし、メディアに露出したからといって、すぐに売上が急激に上がるわけではありません。主な目的は、信頼や安心感を提供することにありますので、その点を理解しておくことが重要です。
また、メディア戦略に対して「本当にできるのか?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。広告やメディア関係者の存在に疑念を抱く方も多いですが、私たちは何もないところからスタートしました。
例えば、最近では2023年10月29日に日本テレビの番組に取材を受け、全国放送に出演したり、2023年11月17日(または18日)に読売新聞に取り上げられたりしました。
これらの実績も含め、私が実際に行ってきたメディア戦略の内容について詳しくお話ししたいと思います。
小さな会社がメディアに載るメリット
実例をもとに、小さな会社がメディアに取り上げられるメリットについてお話しします。
先ほどもお伝えしましたように、メディアに取り上げられる最大のメリットは社会的な信頼性の確保と安心の提供です。誰もが知るメディアに取り上げられることで、「この会社はしっかりしている」「このお店は信頼できる」といった印象を与えることができます。
特に物販業務を行っている私たちにとっては、お客様に商品をお渡しする際に「この会社が本当に作ってくれるのか?」と不安になることもあります。そのため、メディアを通して実績を示すことで、信頼や安心感を提供することができるのです。
大手の会社であれば、メディアに取り上げられることで直ちに売上が上がることもあります。新商品の発売や季節のスイーツの発売などが即座に売上に結びつくことがあるからです。しかし、小さな会社の場合、メディアに取り上げられてもすぐに売上が上がるわけではなく、まずは信頼性の確保や安心感の提供が主な目的となります。この点を理解しておくことが非常に重要です。
どうしたらメディアに取り上げられるのか?
次に、どのようにしてメディアに取り上げられるかについてお話ししましょう。
前回は「お手紙効果」という形でメディアへのアプローチ方法をお伝えしましたが、今回は興味を持ってもらえそうなメディアの探し方について詳しく説明します。単に無差別に送付するのではなく、ターゲットとなるメディアを選び、その特徴や関心に合わせてアプローチすることが重要です。
まず、地元のメディアからアプローチを始めるのが最も効果的で簡単な方法であるという点です。地元のメディアに関しては、どこにプレスリリースを送ればよいのかという情報は、区や市のホームページで確認するのが一番の近道です。例えば、私が住んでいる鎌倉市の場合、鎌倉市には広報メディアセンターが市役所内に設置されています。ここにプレスリリースを送ると良いとされています。このように、区や市のホームページには、プレスリリースを送る先に関する情報が掲載されていますので、まずはそこを確認することが最初のステップです。
鎌倉市の場合、電話番号やファックス番号、住所、担当者の名前などが記載されています。この情報をもとに、担当者に直接お手紙を送るなどのアプローチをすることができます。前回お話しした「お手紙効果」を活用し、地元メディアを通じて広報活動を行うことが、効率的な方法だと思います。
地元メディアへのプレスリリースのポイント
地元でのイベント情報提供
地元メディアへのプレスリリースを送る際のポイントとして、まず挙げられるのは「地元でのイベント情報の提供」です。
例えば、物販を行っているお店であれば、商品の展示会やセールイベントを企画し、その情報を提供するのが効果的です。具体的には、「いつ」「どこで」「どのようなイベントがあるのか」といった詳細な情報を記載することで、記者が取材の計画を立てやすくなります。
イベント情報を提供する際のメリットとして、記者が取材の計画を立てやすくなる点が挙げられます。記者にとっては、具体的な日時や場所が示されていると、取材のスケジュールを組みやすく、取材の実現可能性が高まります。
例えば、普段からイベントを開催していない場合や物販業務を行っていない場合でも、他の分野の方々が実施するイベントも有効です。例えば、人事系のお仕事をしている方であれば、無料の人事相談会や転職相談会を開催することが考えられます。学生向けの相談会なども良いアイデアです。
このように、自分が提供できるプチイベントを企画し、地域のメディアにプレスリリースを送ることで、取材を受けるチャンスが高まります。
地元企業として地域に貢献
次に、地元メディアへのプレスリリースで効果的なポイントとして「地元企業として地域に貢献していることのアピール」が挙げられます。地域への貢献活動を紹介することで、メディアに取り上げられる可能性が高まります。
例えば、私が経験した事例として、2020年の新型コロナウイルスの影響でマスクが全国的に不足していた時期があります。その時、鎌倉市でもマスクが不足している状況を受けて、私が布マスクを製作し、保育園やシルバーセンターなどの施設に提供する活動を行いました。この取り組みを「地域貢献」としてプレスリリースで発表したところ、鎌倉市の広報誌で取り上げられ、「この企業が地域のために貢献している」という内容が紹介されました。
地域の〇〇×自社の事業
3つ目のポイントとして、「地域の観光地や企業とのコラボレーションを活用すること」が挙げられます。地域の特色や企業と自分の事業を組み合わせることで、プレスリリースの内容に独自性を持たせることができ、メディアに取り上げられる可能性が高まります。
例えば、最近、私が行った事例では、地域の芋屋さんと協力しました。芋屋さんの店内の装飾を私がデザインし、さらに私の事業である着物のリメイクを活用しました。具体的には、芋屋さんの店長のおばあちゃんの着物をリメイクし、店舗内の敷物やアート作品として使用しました。このように、地域の芋屋さんと自分の着物リメイク事業を掛け合わせた内容をプレスリリースとして発表したところ、読売新聞に掲載される結果となりました。
このように、地域の企業や観光地と自分の事業を掛け合わせることで、プレスリリースに独自性を持たせ、メディアの関心を引くことができます。もし、地域への貢献が難しいと感じる場合でも、地域の企業や人々とのコラボレーションを考え、その内容をプレスリリースとして発信することが有効です。
地元でのイベント情報提供(事例)
地元でのイベント情報提供について、具体的な実例を挙げて説明したいと思います。
もし実店舗や飲食店などを運営している場合、地元でのイベント開催情報を提供することは非常に簡単です。例えば、ヨガ講師の方であれば、海辺で毎週日曜日の早朝に無料のヨガイベントを実施する旨を伝えることができます。親子での参加が可能であることもアピールポイントとなります。
また、子供食堂を運営している場合には、毎週水曜日に地元の子供たちに対して食育活動を行っていることを知らせるのも効果的です。例えば、飲食店が毎週水曜日だけ子供食堂として食育活動を行っている場合でも、地域の子供たちにとって有益な情報として伝えることができます。
このような地域にとって有益で面白いイベントを開催することで、ほとんどの場合、メディアに取り上げてもらえる可能性が高いと考えられます。
地元企業として地域に貢献
次に、地元企業として地域に貢献する方法についてお話しします。
コロナ禍でマスクが不足していた際、私は鎌倉市にマスクを寄付しました。このような地域貢献活動を行うことで、地元以外の顧客からも信頼を得ることができました。具体的には、私たちの店舗は集客の多くをインターネットを通じて行っており、全国からのお客様が多いのですが、そうしたお客様が私たちの会社の地域貢献活動を知ることで、信頼を寄せていただいています。このような取り組みを通じて、地域イベントに参加したり、地元に少しでも貢献したりすることが、自分の仕事や会社の評価に繋がることがあります。
もし、イベントが少ない企業の場合でも、地元への貢献をアピールすることは有効です。例えば、地元の福祉施設にAI機能を導入し、作業効率の向上や経費削減に寄与したといった情報を発信することが考えられます。地域によっては、IT技術が十分に発展していない場合もありますが、そのような地域に貢献することで、地域社会への貢献を示すことができるのです。
また、余った食材を地元の食堂に寄付することで、フードロスの削減と地域の支援を行うことができます。例えば、チェーン店を展開している飲食業者が、余った食材を地元の食堂に寄付するという方法があります。これにより、寄付された食材を活用して、地域の子供たちに無料で食事を提供する「子供食堂」を運営することができます。このような貢献も非常に有意義です。
地域の〇〇×自社の事業
次に、自社の事業を地域に役立てる方法についてお話しします。
私の経験として、児童が主催するファッションショーに衣装を無償で提供したことがあります。地域のニュースや取り組みの中で、自社の事業をどう役立てるかを考え、無償で衣装を提供するという形で地域貢献を行いました。このように、自分の事業と地域とのコラボレーションを提案することも効果的です。
例えば、自然災害による土砂崩れが発生した地域で、自社が開発した技術でその土砂崩れを防ぐ提案を行うことも、地域に貢献する一つの方法です。また、高齢者が多い地域で、自社のIT技術を活用した講習会を開催するのも良いアイデアです。このように、自分の事業が地域の困りごとにどのように貢献できるかを考え、その活動を積極的にアピールすることが重要です。
自分の事業を地域のニーズに合わせて提案することで、メディアにも取り上げられやすくなると共に、さまざまな人が関わることで、大きな話題となり、記事としても注目される可能性が高くなります。
大事なことは自社の情報を必要としているところを探すこと
大事なことは、自社の情報を必要としている場所を見つけることです。そのためには「逆引き検索」という方法を用いて、必要な情報を適切な場所に届けることが重要です。これを実行するには、ニュース検索エンジンを利用するのが簡単で効果的です。
例えば、GoogleニュースやYahooニュースで、特定のキーワードを入力して関連する記事を探します。具体的には、自分の事業に関連するキーワードを使って検索し、ヒットする記事を読むことから始めます。
例えば、私がアンティーク着物に関わる事業をしているとします。この場合、「アンティーク着物」というキーワードをYahooニュースに入力します。すると、アンティーク着物に関連する地域のイベントや展示会の情報が表示されるでしょう。
これらのニュースを一つ一つ読み、自分の事業がどのように地域に貢献できるかを考えるのです。例えば、アンティーク着物の展示会があると知った場合、それに関連する自社の新しい商品やサービスを提案するアイデアが得られるかもしれません。このようにして、自社の事業を地域のニュースやトピックと関連づけることで、新たなアイデアやアプローチが見つかることがあります。
また、医療用ウィッグを製造しているメーカーが、自社の製品やサービスを向上させるために「医療用ウィッグ」というキーワードでニュース検索を行うと、関連するさまざまな情報が見つかります。過去に取り上げられたニュースを調べることで、自社がどのように同じテーマで活動しているのか、またはどのように異なる角度からアプローチできるのかを探る手助けになります。これにより、新たなビジネスヒントを得ることができます。
さらに、料理業界でスペイン料理を提供している場合、「スペイン料理」というキーワードを使って検索すると、スペイン料理に関連するさまざまな情報が見つかります。新しくオープンしたスペイン料理店や、現在人気のメニュー、季節限定のメニューなどの情報が得られることがあります。これにより、次月のおすすめメニューのアイデアや、新たな料理の考案ができるかもしれません。
このように、自分の業界や事業に関連するキーワードでニュース検索を行うことで、ビジネスのヒントやアイデアを得ることができます。
検索したキーワードでヒットした記事を読んで記者の名前を調べる
検索したキーワードでヒットした記事を読み、その中で記者の名前が書かれている場合、その記者に対してお手紙を書くことが重要です。
例えば、アンティーク着物に関する記事が「〇〇新聞」の「〇〇記者」名義で書かれているとします。まず、その記事を読み、感想を伝える手紙をその記者宛に送ります。手紙には、記事を読んでの感想や、記事が自分にとっていかに役立ったかを述べると良いでしょう。例えば、「先日、ネットニュースでアンティーク着物に関する記事を拝見しました。非常に分かりやすく、参考になりました。」といった内容です。
このように、記事が良かったことを伝える手紙を書くことによって、記者との関係を築くきっかけになります。元読売新聞の記者が言うには、手紙が個人的に届くことは稀であり、非常に喜ばれるとのことです。自分をアピールすることを目的とせず、まずは感謝や感想を伝えることで、記者との信頼関係が築ける可能性が高まります。
「TVでた蔵」の活用方法
前述では新聞やネットニュースでの情報収集方法についてお話ししましたが、次に、自分が制作しているコンテンツ、例えばビジュアルで表現できる作品や、料理・飲食業などの場合について触れたいと思います。このような場合、テレビや動画メディアに出演することは大変有益です。
「TVでた蔵」という検索サイトをご紹介します。このサイトはテレビに関する情報を検索できるものです。ここで、キーワードを入力してどのような番組で取り上げられているかを調べることができます。その後、番組のプロデューサーやディレクターに向けて手紙を書くのが効果的です。
例えば、自分がアンティーク着物を扱っている場合、そのキーワードで取り上げられている番組を調べることができます。検索結果として出てきたテレビ番組の情報をもとに、さらにGoogle検索でディレクターやプロデューサーの名前を調べてみてください。ただし、情報が見つからないこともあります。そうした場合には、制作会社に直接問い合わせをすることも一つの方法です。
重要なのは、特定の人に向けて送ることです。無作為に会社名だけで送っても、誰の目にも留まらないことが多いです。したがって、できる限り特定の担当者に届くようにし、制作会社の担当者の名前を記載することが重要です。こうすることで、より効果的にアプローチすることができます。
「広報・マスコミハンドブック」の活用方法
次に、もう一つの方法として「広報・マスコミハンドブック」についてご紹介します。
この書籍で関連しそうなメディア各社を見つけ、その担当者宛に直接連絡を取ることができます。私もこの書籍を利用していますが、正直なところ、手が回らないことも多いです。しかし、取り上げられたい番組が既に決まっている場合には、このサービスを活用するのは非常に有効です。
「広報・マスコミハンドブック」では、会社の住所や個人名は掲載されていませんが、詳細な情報が比較的多く載っています。具体的には、その会社がどのようなメディアに関連しているか、またそのメディアがどのような内容を扱っているかがわかります。この情報をもとに、該当するメディアにアプローチすることが可能です。
例えば、自分が特定の番組に取り上げられたい場合、その番組のディレクターに向けて手紙を送るのが良いでしょう。手紙の内容としては、まずその番組を観てとても勉強になり、新しい発見があったと感想を述べます。その上で、自分が行っている取り組みが社会に貢献していることを軽くアピールします。重要なのは、自分のアピールを過度にせず、まずは番組に対する感想を丁寧に伝えることです。このようにすることで、ディレクターが興味を持ち、実際に連絡を取ってみようと思う可能性が高まります。
日本テレビにプレスリリースを送りTV出演した話
私が日本テレビにプレスリリースを送ってテレビに出演した実例についてお話しします。
実際にテレビ画面に映し出されたのは、私とスタッフが運営するアトリエの様子でした。アトリエ内は様々な物が置かれている状態で、そこに私たちが手作りしている商品が取り上げられたのです。
この取り上げられた経緯についてお話ししますと、まず送り先を夕方のニュースのワンコーナーに指定してみました。日本テレビ全体に送ってしまうと、どこに届くかわからず、誰が見てくれるかも不明です。そこで、弊社スタッフが普段から日本テレビの夕方ニュースを見ており、その中に物作りや飲食店を取り上げるワンコーナーがあると知っていいたため、そのワンコーナーにプレスリリースを送ってみようということになりました。
具体的には、日本テレビのニュース番組名とそのコーナー名を書いて、担当者宛に送付しました。すると、たまたまそのニュース番組のワンコーナーを担当しているディレクターが、送られてきたプレスリリースや写真、動画を見てくれた結果、取り上げていただけることになったのです。
要するに、私が日常的に活動している中で、いきなり日本テレビから取材を受けたわけではありません。最初のきっかけとして、自分から積極的にプレスリリースを送った結果、取材の機会を得ることができたのです。このように、自分から仕掛けることが重要であり、最初の一歩を踏み出すことで、思わぬ形でチャンスが巡ってくることがあります。
その理由についてですが、先ほどお話しした通り、テレビのプレスリリースの連絡先に一斉に送ってしまうと、大手メディアのような日本テレビでは埋もれてしまう可能性が高いのです。そのため、特定の取り上げられやすい場所に届くように工夫することが重要です。
具体的には、テレビ番組に取り上げられるためには、インパクトのある写真や動画を送る必要があります。ビジュアルが重要な仕事をしている方や、自分が前に出るのが得意な方は、自分の活動を効果的に見せるための動画や写真を添えて送ると良いでしょう。これにより、担当のディレクターに見てもらえる可能性が高まります。
実際に送った文章
実際に、日本テレビ宛に送った文章についても紹介します。
例えば、「〇〇月の放送『SDGs取り組み』のコーナーを担当していたディレクター様」といった形で、どの番組のどのコーナーを担当しているかを明記します。その後、SDGsに関するコーナーを見て非常に勉強になったと感想を述べることで、関心を引きます。
そして、自分自身が取り組んでいるSDGs関連の活動についてお話しします。例えば、「大量に廃棄される衣料品や着物についてですが、着物も同様に多くが廃棄されてしまっています。多くの方が着物を着ないため、買取りにも出しにくく、そのままゴミとして捨てられることが多いのです。この状況に胸を痛めていた私は、その廃棄を防ぐために、自ら着物をリメイクしたり、特別な日のアクセサリーを作ったりする活動を行っています。」とアピールします。
また、着物を使用したアクセサリーが、パリコレのアイテムとして使われた実例も写真で紹介しました。こうしたビジュアル的に印象的な写真をメールに添付し、メディアの担当者に見てもらえることを期待しました。
結果として、約2ヶ月後に突然、テレビのディレクターさんから取材の依頼がありました。
メディア選定のポイント
以上の経験から学んだことは、プレスリリースを送る相手の選定が非常に重要であるということです。
大手企業ならば広範囲にプレスリリースを送ることで取り上げられる可能性が高いですが、小規模な店舗や会社では、そのような戦略は現実的ではありません。特に、社長が自分自身で広報活動を行っている場合、効率よく、伝えたいことを適切な相手に届けることが重要です。
つまり、どのメディアにアプローチするかを慎重に選び、ターゲットを絞ったコミュニケーションを心掛けることが、限られたリソースで最大の効果を引き出すための鍵となります。
メディアを見極めるためには逆引き検索
メディアの見極めには、逆引き検索が非常に効果的です。逆引き検索を活用することで、情報を迅速に得ることが可能です。
例えば、毎日のニュースをチェックしたり、新聞を読んだりすることは重要ですが、多忙な経営者にとっては時間を取るのが難しい場合が多いのではないでしょうか。そのようなときには、発信したい内容が世間でどのように扱われているか、またその検索数がどれくらいかを確認することが重要です。
もし検索結果に全く引っかからない単語がある場合、それはニュースとしてあまり価値がない可能性が高いです。逆に、ニュースとして取り上げられやすいキーワードを見つけるためには、逆引き検索を活用するのが有効です。この方法を使うことで、メディアにとって関心の高い話題を特定しやすくなります。
Googleアラートを使いこなす
ニュースを探す際に役立つ便利なツールとして、Googleアラートがあります。このツールを使うことで、特定のキーワードに関する最新情報を効率的に取得することができます。例えば、私の場合は「アンティーク着物」や「ファッションのSDGs」などの複合的な単語を登録しています。
Googleアラートにキーワードを登録すると、そのキーワードに関連するニュースが、設定した時間にメールで通知されます。私の場合、例えば「アンティーク着物」に関するニュースが午後4時ごろにGmailに届くように設定しています。これにより、今日の「アンティーク着物」に関するニュースがリストアップされ、その中から興味のある記事や情報を見つけ出すことができます。
もし、興味のあるニュースが見つかった場合、そのニュースの記者や関連する連絡先を調べると良いでしょう。ただし、多くの単語を登録すると、メールが大量に届くことがありますので、5つ程度の特徴的なキーワードを選び、それに関連するアラートを設定するのが理想的です。これで、1日に5通程度のメールを受け取ることになり、短時間でチェックできるでしょう。
登録したキーワードから全くアラートが届かない場合は、その単語がニュースとして取り上げられていない可能性がありますので、キーワードの見直しを検討するのが良いでしょう。
送りたい相手が見つかった手紙を書く
プレスリリースの相手先が決まったら、まずお手紙のようなスタイルで書くことが重要です。しかし、メディアの中には人がいることを忘れてはいけません。自分の言いたいことをただ書くだけではなく、先ほどもお話ししましたが、お手紙を書く際には、その媒体で作成された作品やテレビ番組についての感想を8割ほど述べることが大切です。その後に、自分が伝えたい内容を簡潔に書くという形が非常に効果的です。
数をこなすための方法についても、私はいろいろと考えました。一人でさまざまなことを行うのは大変なので、どのように対応するかを考えた結果、ある程度のアレンジを加えて大量に送る方法を考案しました。例えば、1つのプレスリリースを作成する場合、お手紙の冒頭部分をそのメディアや番組に合わせてアレンジし、できるだけ多くのメディアに送れるようにします。すべてを一つ一つ書くのは時間がかかり過ぎるためです。
例えば、私のプレスリリースが「着物リメイクに関するSDGの取り組み」についてであれば、読売新聞のようなメディアでは、社会面や文化面に掲載されると考えられるため、それに適した冒頭部分のお手紙をアレンジします。具体的には、そのメディアの文化的な活動に触れ、感銘を受けたことを記述し、その後に自分の伝えたい内容として、着物リメイクに関するSDGの取り組みについてのプレスリリースの内容を簡潔に紹介します。
テレビニュースについては、SDGsに関連する番組に送ることを決めています。具体的には、過去に放送されたSDGsに関連する内容の番組を参考にし、「前回の内容を拝見し、大変参考になりました」といった形で冒頭部分を書き、その後にプレスリリースの内容を記述します。このように、必要なメディアに合わせて内容を展開していくイメージです。
また、月刊雑誌のファッション紙のSDGs特集コーナーに送る場合も同様です。プレスリリースの冒頭部分をそのメディアに適したものにアレンジし、あとは同じ内容で送ることができます。この方法により、1つのプレスリリースを異なるメディアに合わせて展開しながら、効率よく広めることが可能になります。
私の場合、これにより非常に少ない労力で多くのメディアに送ることができています。例えば、SDGsの取り組みに関するプレスリリースを作成し、その冒頭部分をアレンジして、20社から30社程度に送るといった形で行っています。これを月に1回程度確保し、実施することで、たとえその月に取り上げられなくても、2ヶ月後にテレビ番組から取材の依頼が来ることもあります。このように、種をまく意味で定期的に行うのも良い方法だと考えています。
興味を持ったメディアが出てきたら
興味を持ってくれたメディアが現れた場合、同様のメディアを探し、さりげなく実績を伝えていくことも重要です。これは、方法によっては自分の実績ばかりをアピールすることで嫌われることもあるため、注意が必要です。
メディアには競合他社が存在します。例えば、朝日新聞や神奈川新聞など、地元の新聞がありますが、各メディアは自分たちが最初に取り上げたいと考えています。例えば、鎌倉市で着物リメイク展示会を開催する場合、地元の新聞が他のメディアよりも先に取り上げたいと考えることが多いのです。
このような場合、少しだけ実績をさりげなく伝えることが有効です。具体的には、最近のメディアでの取り上げ事例や、注目されている話題であることを示し、「ぜひ〇〇さんの力で広めていただければ嬉しいです」といった形で書くと良いでしょう。
ただし、このアプローチが逆効果になることもあるため、受け取り手によっては注意が必要です。相手のメディアの特性や状況を見極めながら、慎重に実績のアピールを行うと良いでしょう。
例えば、イベントなどの時期が決まっているものについては、メディアが「最初に取り上げたい」と考えることがあります。こういった場合には、次のようなアプローチが有効です。現在注目されているイベントやトピックに関して、「最近、このようなイベントが注目されています」といった形でさりげなく伝えることができます。例えば、「先月、弊社がこのような取り組みを取り上げていただいた」とか、「最近、どこで取り上げられました」といった具体的なメディア名を書く必要はありませんが、流行しているという点を示すことが重要です。
まとめ
本日は、メディア検索の方法についてお話ししました。
これができるようになると、次回は「多数のメディアに効率よくお伝えする方法」について説明します。数をこなすことで、より多くのメディアに情報を届けることができるようになりますので、まずは基本的な実践に時間をかけ、その後に横展開や効率化を図ると良いでしょう。さらに、メディアの連鎖を利用することで次のメディアに繋がる方法もあります。最終的にはメディアとの関係を深め、友好的な関係を築くことも目指すと良いかもしれません。
次回以降では、その詳細についてお話しします。
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