環境変化をチャンスに変えよう!| Part1
長澤 秀幸
経営コンサルタント
Will Partners 代表
商工業者の支援を行う浜松商工会議所に20年間勤める中で、経営者が持つ「強み」に寄り添って、「納得」から伴走者として信頼していただき一緒になって展開するスタイルを確立。
「価値を顧客に伝えるビジネスプロセスの創出・再構築」こそ「売れる仕組みづくり」につながり、事業拡大や事業承継までつながっていくことを実感。
2019年独立。「強みと顧客を巻き込んだ」販売戦略、ブランドをづくり、小さな企業が持つ、独自の強み(宝モノ)を発掘し、持続可能な経営と売上づくりを実践。
本シリーズは四部制で、上記の動画は「Part.1」です。
▼ シリーズ動画一覧
はじめに
「新しい価値を作る中小企業における経営革新」と題して、環境の変化をいかにチャンスに変えるか、そのための経営戦略の生かし方というテーマで解説します。
大切なことは何かを改めて考えませんか?
皆さんの中には、経営や起業を考えていらっしゃる方もおられると思いますが、事業を行うための原理、原則は昔も今も変わらないと思います。
テレビやインターネットをはじめ、どうしても「手段」が先行されてしまうケースが多いのではないでしょうか。「手段」というのは短期的であり、常に変わっていきます。また、部分最適であるため、環境の変化には対応がしづらいという側面があります。したがって、「手段」ではなく、「考え方」というものを大切にしていただきたいと思います。
「考え方」とは、本質的で、長期的で、簡単には変えないが、それが価値を生み続けるといったものです。経営理念や、理念・信条といったものが該当します。
全体概要
今回解説する内容は4つあります。
1つ目は、「今なぜ計画革新なのか」という内容です。改めて経営革新がなぜ必要かといったところを掘り下げて解説したいと思います。
2つ目は、その経営革新を実現するために「自分の強みや資源を知ろう」という内容です。他より評価されている部分(強み)や、経営資源である人・物・金・情報について解説したいと思います。
3つ目は、「付加価値を上げよう」という内容です。付加価値はどうやって上げるのかについて解説したいと思います。
4つ目は、「物語を作ろう」という内容です。個々の情報が部分的だと、どうしても相手から見て分かりにくいものになってしまいますので、物語として構築をしていくことが大切であることを解説したいと思います。
今なぜ「経営革新」か
1)何もしなければ粗利益は低下する
まず、何もしなければ粗利益は下がっていきます。
顧客視点にたてば、最初はものすごくよい商品だと感じても、2回目以降はそこまでの感動や共感は生まれないものです。それならば、付加価値をつけることによって、顧客が買い続けようと思ってもらえるものを生み出していく必要があります。
2)イノベーションこそ経済発展の原動力
イノベーションという言葉は世間で溢れかえっていますが、イノベーションこそ経済発展の原動力であり、常に変革が必要であるという意識を持っていただきたいと思います。
3)才覚(経営革新)と算用・始末(業績管理)の両方が大事
才覚と算用・始末ですが、実は江戸時代からある言葉です。
①才覚
才覚とは、斬新な発想や人としての心配りによって相手の価値を変えていくことを意味しています。また、工夫して新しい何かを生み出し、それに向けた努力をすることによって、商機(チャンス)を得ていくことも含みますので、経営革新そのものだと思います。
②算用
利益を生むには、採算性を確保することが大切です。採算を確保し続ける計画と管理し続ける仕組みについて、是非とも意識していただければと思います。
③始末
無駄なお金を使わないようにして、どうしたら生きた賢いお金の使い方になるのかを意識することが大切です。
この算用と始末による業績管理という視点も意識して取り組むことで、経営革新のスタートがきれると思います。
4)法認定に基づく狭義の経営革新計画
法認定に基づく狭義の経営革新計画というものがあり、いわゆる新しい計画を作り上げて、県のお墨付きの事業計画として認定をとる制度があります。
この認定により、補助金での加点や税制の優遇、別枠の融資などが受けられますので活用いただければと思います。
自社の強み、資源を知ろう
自社の強み、資源について図に表しました。
1)強みの差別化
いわゆる顧客や取引先から見える価値というのは、ここの部分になると思います。
ただ、実際に受けているサービスをそのまま続けていたら現状維持でとどまってしまうため、やはり経営革新、イノベーションというものを意識していただきたいと思います。
2)資源の差別化
資源の差別化については、顧客や取引先から見えてない部分であることが多いです。
見えてない部分であれば、そこを言葉にして「見える化」し、顧客や取引先の前に出してみる、伝えてみることが重要です。
①独自のハード資源
例えば、製造業であれば、「設備」において他社と違う部分を探してみていただきたいと思います。他社より自社のほうが優れているものがあれば、実はそこが強みに変わっていきます。
「技術」についても同様です。例えば、塗装業であれば「塗装技術」と一言でいってしまうと顧客や取引先にはわからないわけです。実は丁寧に塗装を重ねることによって、この綺麗な仕上がりになっているということを言語化して表現できれば、他社の違いや強みをアピールすることができます。
このように、価値の違いを一つ一つ言語化することで、経営革新や他社との差別化にもつながっていきます。
②独自のソフト資源
まず「人」についてですが、他者より優れているものが差別化要素となります。
例えば、人からよく頼まれることがあると思いますが、そこが強みであるとい意識を持っていただきたいと思います。依頼者から見た時に、「あなたならできそうだ。あなたなら期待値を超えてやってもらえそうだ」という思いがあるから頼まれるわけです。自分と他者との違いや、今まで頼まれてきたことを書き出すところから、経営革新のきっかけにしていただきたいと思います。
「組織」についても、取引先から仕事を受けているということは、取引先から見て何か価値があるから仕事を依頼されるわけです。そこを言語化すれば、新たな取引先からも仕事の依頼がくるようになるのです。
他には「文化」ですが、基本的に文化・風土というのも価値になりえます。「あなたの会社に来るといつも元気な気持ちになる」というような話も、まさに強みに変えていくことができると思います。この「文化」という見えないものについても、言語化する意識をもっていただければと思います。
SWOT分析
自社の強みや資源を「見える化」するにあたって、SWOT分析というフレームワークがありますので紹介します。
1)内部環境
「自社が他社より優れている、勝てるところ、得意なところは何だろう」ということを言語化してほしいと思います。営業などの現場にも会社全体としての「強み」は何かを吸い上げていただきたいです。
「弱み」についても「他社に負ける可能性がある、苦手なところは何だろう」ということを言語化する必要があります。
「自分たちの会社はどうなのだろう」という観点で洗い出し、後から「強み」「弱み」に振り分けていくとやりやすいと思います。
2)外部環境
「機会」についてですが、世の中はどうなっていくのか、現在の環境の中で自分たちに優位に働くところは何かを意識していただきたいです。
例えば、コロナ禍で非常に厳しい業界が多いと思います。特に飲食やホテル、観光というのは、なかなか顧客が戻ってないという厳しい状況にあると思います。
この局面をどう活かしていくのかプラスに考えれば「機会」となり、マイナスに考えれば「脅威」となります。
先ほどの「強み」と一緒で、「機会」と「脅威」に振り分けてまとめていくことをおすすめします。
付加価値を作るまでのプロセス
付加価値を作るまでのプロセスについて説明します。
①先ほどの「強み」を分析するためには、市場ニーズやマーケットの規模がどれくらいあるのか、同業他社で実施しているところがあるのかを把握するところから始めていきます。
②その後に、自分の「強み」や世の中の状況が見えてきますので、「強み」を活かせる分野や可能性のある分野を洗い出します。洗い出しをすることで選択肢が増え、数ある選択肢の中から優先順位をつけて取り組んでいくことになります。
③次に、マーケットを絞った中での商品開発、サービス開発、それに合わせた特徴をまとめます。
④次に、商品やサービスに見合う顧客を探します。顧客は誰かを絞ると、顧客に商品やサービスをどのようにして届けたらよいかを考えることができます。さらに、地域や年齢、ニーズなどを深掘りすると、具体的に顧客がどこにいるか探りやすくなります。
⑤次に、商品やサービスの届け方について、自社で完結できるのか、パートナーを含めて展開していくのかなどを検討します。
⑥⑦そして、事業の優位性や差別化を確認しながら付加価値を決めて売り出していきます。
このプロセスが、経営革新のプロセスそのものになりますので、意識していただきたいと思います。
講師に無料相談をする
ビジネス処方箋に登壇している講師に無料相談を行うことができます。
お問い合わせいただきましたら、ご相談内容に適した士業・経営者の講師をご紹介いたします。