アナウンサーが解説!! ~プレゼンテーション・スピーチのコツ~

登壇者
フリーアナウンサー 石田 鮎美のプロフィール写真

石田 鮎美
フリーアナウンサー

NHK松山 NHK大阪 京都放送 びわ湖放送 ラジオ大阪 ABCラジオでレギュラー出演
話し方講師として、小学校、企業や個人向けの講座を行う。

目次

はじめに

今回は、「プレゼンテーション・スピーチのコツ」と題してお伝えします。

私もアナウンサーの仕事をする中で、新商品を紹介したり、新しいサービスを紹介したり、何度もプレゼンテーションをする機会があります。もちろん、プライベートでもママ友とお茶会をして、その中で1分間自己紹介をする機会も多くあります。

今回お伝えする「プレゼンテーション・スピーチのコツ」は、ビジネスの場はもちろんですが、プライベートでも知っておいてもらうと必ず武器になります。

今回は3つのテーマに分けてご紹介していきます。

1.本番で緊張しない方法
2.分かりやすい言葉で簡潔に伝える
3.「スピード」と「間」を使いこなす

本番で緊張しない方法

まずは、「本番で緊張しない方法」についてご説明します。

話し方の講座をしていると、「人前で話すと緊張して頭が真っ白になります…」とか「多くの人の前で話すと緊張で体が震えます…」という声を多く聞きます。緊張しない方法、緊張していてもうまくパフォーマンスができる方法についてお伝えします。

不安がなくなるまで練習をする

1つ目は、不安がなくなるまで、とにかく練習をしてください。

本当にこれに限ります。「準備をどれぐらいしたらいいんですか?」と聞かれることも多いのですが、とにかく自分が「もうこれでOK!大丈夫だ!」って納得できるまで練習してください。

練習する時に、例えば、スマホで話している姿を撮ってみたり、ボイスレコーダーで音だけ録ってみたりするのも良いと思います。客観的に自分が話している姿を見たり、声を聞いたりすることで、第3者の目になって「あっ、私こんな癖があるんだ!」ということに気付くこともできます。

例えば、「えぇ~っと」という言葉が多かったり、話す時に何回も髪の毛を触る癖を発見したりすることもできるため、できるだけそういったところも削ぎ落としてスマートなプレゼンテーションを作っていきましょう。

お客さんに助けてもらう

続いて、本番で緊張しない方法2つ目のポイントは、お客さんに助けてもらうことです。

大勢の前でプレゼンやスピーチをしていると、お客さんの姿がどうしても目に入ってしまうと思います。お客さんの目を見て話すことはもちろん大事ですが、中にはつまらなそうな顔をしていたり、眠そうにしたりしている人もいると思います。中には「この人、怒ってるのかな?」と思うような顔をしてる人もいらっしゃいます。

そういう人をずっと見てしまうと、「あっ、なんか変なこと言ってしまったかな?」「私のプレゼンテーション面白くないのかな?」と、どんどん不安になってしまいます。

ですから、お客さんの中ですごく良い反応をしてくれるお客さんを見つけましょう。

中には笑顔で頷いてくれたり、メモを熱心に取ったりしている方もいらっしゃると思います。そういった方を1人でも見つけて、その方に向けてプレゼンテーションをしてみましょう。そうすると、どんどん緊張もほぐれて、リラックスしてお話ができるようになります。

ですので、2つ目のポイントは、味方になってくれそうなお客さんを見つけることです。

腹式呼吸でリラックス

続いて、3つ目のポイントは、腹式呼吸でリラックスしましょう。

腹式呼吸と聞くと、特別な話すプロや俳優さん、歌手の方がするものだと思ってる方も多いと思うのですが、どんな方でも腹式呼吸ができるようになると、大きな武器になります。

では、腹式呼吸を一緒にやっていただきたいと思います。

まず、①首と肩の力を抜いて、上半身をリラックスさせてください。そして、②口から息を吐きながら、同時にお腹をグッとへこませてください。「もう体の中に空気がない…」というぐらい、全て口から吐き出してください。そして、③空気を全部吐き出したら、次は鼻から息を吸い込みながらお腹を膨らませてください。④この②~③を繰り返します。

口の方が長い時間かけてゆっくり吐き出します。鼻で吸う時はスッと一気に吸い上げてください。なかなか最初は難しくて、私も大学時代にアナウンス学校に通っていたんですが、当時は「これ合ってるのかな…?できているのかな…?」と半信半疑でした。

しかし、本番前にこの呼吸を何度かするだけで、かなりリラックスができるんです。それは、副交感神経が優位に働き、心身をリラックスさせることができるということが分かっています。さらに、空気を体にたっぷり吸い込むことで、エネルギッシュな声が出るということも言われています。

腹式呼吸で会話をするとなると、なかなかハードルが高いですが、本番前、人前で話す直前に1人の時間になった時、腹式呼吸を繰り返して人の前に立ち話をする、ということだけでも一度心がけてみてください。

緊張はしたほうがいい!

ここまで、緊張しない方法についてお伝えしてきたのですが、実は私の最終的な結論としては、緊張はした方がいいと思います。適度な緊張感というのは、人前で話す上でとても大事だと思っています。

私も新人時代に失敗したことがあります。いつも緊張してしまうので、そのときは「出演者の皆さんと本番直前まで和やかにお話をして、その空気のまま挑んだら緊張せずにリラックスして話せるんじゃないか?」と思って、本番前に出演者の方と色々お話して笑ったりしていました。

そして、いざ本番。リラックスしてるこの状態で「本番スタート!」となった途端に、頭の中が真っ白になって、原稿がすべて飛んでしまったんです。それ以降、本番前は1人の時間を作って、自分の中で良い緊張感に持っていくことにしました。

今でも、テレビのお仕事を14年間させていただいていますが、どんなに仲の良い現場でも、本番前は必ず1人になって、その日のセリフや流れをもう1度自分の中で復習したり、緊張感を高めたりするようにしています。

言葉で簡潔に伝える

続いて、プレゼンテーション・スピーチのコツ2つ目は、「分かりやすい言葉で簡潔に伝える」です。

専門用語や横文字はできるだけ使わない

分かりやすい言葉で伝えるために大切なことは、専門用語や横文字はできるだけ使わないことを心がけてください。

専門用語や横文字はかっこよく聞こえはしますが、その言葉を知らない人がいた場合、知らない言葉がスピーチやプレゼンの途中で入ってきたら、「あれ?今の意味何だったんだろう?」というところで思考が停止してしまい、その後の大事なプレゼンがまったく頭に入ってこなくなってしまいます。

ですから、できるだけ誰が聞いても分かる言葉を選んで話すようにしてください。

「誰が聞いても分かる言葉ってどんな言葉?」と思いますよね。NHKでは、原稿を書く時のポイントとして、「小学5年生にも伝わる言葉を選びなさい」と言われていました。

最近のニュースですと、「SNSで影響力のあるインフルエンサー」という紹介をされていましたが、SNSをしている世代はインフルエンサーという言葉は分かる言葉かも知れませんが、おじいちゃん、おばあちゃん、そして小学生は知らないという方も多いと思います。

専門用語だと、その言葉でしか伝えられない言葉もあると思うので、その言葉を使う時にはどういう意味かを前につけてあげると親切だと思います。

私もこのような講座をさせていただく中で、ノンバーバルコミュニケーションについての講演依頼をいただくことが多くあります。

その際は、例えば「ノンバーバルコミュニケーションは、まだまだ聞き慣れない言葉だと思います。私の講座では、『非言語』つまり視線やジェスチャーなど言葉に頼らないコミュニケーションについてお伝えします。」というように話すようにしています。

それでも、「小学5年生に伝わる言葉がどんな言葉だろう…」「周りに小学5年生がいない…」と、なかなか判断基準が難しいと思います。もし迷った場合は、職場の人や家族、友人など、様々な立場の人に聞いてみてください。その中で、多くの方が知らないと答えた言葉は、できるだけ使わないようにしています。

「スピード」と「間」を使いこなす

最後は、「『スピード』と『間』を使いこなす」についてお伝えします。

まず、スピードについてですが、基本的にはゆっくり話してください。早口ですと、なかなか頭に入ってきません。自分が思っている以上にゆっくり話してください。

そして、スピーチ・プレゼンテーションでよくあるのが、間がなくて、ずっとマシンガンのようにダダダダと話し続ける方がとっても多いです。聞き手は、話の途中で間があると注意を惹かれるものです。少しだけ注意を引きたければほんの少し間を開けて、大きな注目を引きたい時には大きな間を取ってみてください。

例えば、次の文章の間を作らず読んでみます。

「第1印象が決まるまでの時間は約3秒と言われています。つまり、相手はパッと見であなたがどんな人物かを判断するんです。今日は第1印象をよくする3つのポイントをお伝えします。」

サラサラっと読んでみました。

続いて、間を意識していきます。(※間を《秒数》で表現しています)

「第1印象が決まるまでの時間は《0.5秒》約3秒と言われています。《1秒》つまり、相手はパッと見であなたがどんな人物かを判断するんです。《2秒》今日は第1印象をよくする3つのポイントをお伝えします。」

今、間を取ってみたり、強調したいところをゆっくり読んでみたりしました。私もニュースを読む時は、間を取るところには必ず原稿にひらがなで(ま)と書くようにしています。ゆっくり読んで、しっかり伝えたいところには線を引いたり波線を引いたり、マークを必ず付けるようにしています。

本番中ですと、うっかり忘れてしまってサラサラっと読んでしまうこともあるので、必ず時間に余裕がある時はチェックするようにしています。

そして、逆にそれほど大事ではないところは、サラッと読むようにしましょう。全部強調してしまうと聞いている方も疲れてしまうので、ここはサラッと流してもらっても大丈夫かなっていうところはサラッと読んでみてください。

今回は、「プレゼンテーション・スピーチのコツ」と題しまして、3つのポイントについてお伝えしてきました。ぜひ、参考にしてみてください。

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フリーアナウンサー 石田 鮎美

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