【節税対策】中小企業の社長が最低限抑えておくべき消費税の仕組とインボイス制度の知識| Part2 

登壇者
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園田 洋司
税理士

園田会計事務所

都内の税理士法人等で、中小企業から、上場企業、医療法人、公益法人等の税務支援などに従事。2008年に開業し、中小企業の税務支援ほか、オーナー企業の経営者に対する事業承継支援、相続対策などを行う。
キャッシュフローコーチ®、銀座コーチングスクール認定のコーチとしても活動し、経営者と対話を通じて、経営者の自発的な行動支援など行う。


本シリーズは二部制で、上記の動画は「Part.2」です。

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目次

はじめに

今回は、「中小企業の社長が最低限抑えておくべき消費税の仕組とポイントとインボイス制度|後編」について解説をします。

インボイス制度とは

皆さんも、インボイス制度が世間で騒がれているのでご存知だと思いますが、正しく理解していますか。まだご存知ない方のためにご説明すると、インボイスは消費税の請求書の発行と計算に関する新ルールを言います。

インボイスのことを適格請求書といいますが、適格請求書の発行には税務署に事前登録が必要になります。事前登録を経て登録された事業者のことを登録事業者と呼び、すなわち課税事業者でもあります。

課税事業者が発行した適格請求書(インボイス)は、今まで通り消費税の控除の対象になります。すなわち、仕入税額控除の対象になるということです。

逆に、登録事業者以外(免税事業者)が発行した請求書(非インボイス)は、消費税の控除の対象にはなりません。仕入税額控除の対象にならないのです。したがって、免税事業者が発行した適格請求書が仕入税額控除に対象にならないということが、世間で騒がれているわけです。

適格請求書(インボイス)を発行するためには、免税事業者だったとしても課税事業者になる必要があります。免税事業者が偽のインボイスを発行してしまうと、罰則規定が設けられているので注意が必要です。

消費税の納税と負担

消費税の納税と負担
消費税の納税と負担

卸売り業者が自社だとします。

売上として7,700円が立ち、売上消費税として700円を預かっています。一方、製造業者に5,500円支払っているわけですが、5,000円に相当する消費税500円を払っていますので、700円から500円を引いて、200円を国に納めたという計算になります。

これは、仕入先である製造業者が免税事業者であっても、当社は500円を仕入税額控除の対象とできことになります。

今までは、製造業者が免税事業者かどうかは判断できなかったのです。卸売り業者である自社は、製造業者から発行された請求書を見て、請求書に500円の消費税の記載があろうがなかろうが、消費税に相当する分を控除して計算していたのが今までの計算方法です。

逆に、自社を売り手として考えた場合、売上先の小売業者に自社が発行した請求書は、小売業者にとって仕入税額控除の対象になるので小売業者にとって注目の対象になります。

今後は、自社が国の登録を受けて適格請求書を発行しない場合、売上で仕入税額控除の対象にならなくなってしまうため、取引先の消費税負担が増えてしまいます。ゆえに、取引先にとって自社の発行する請求書が適格請求書(インボイス)かどうかが重要事項になります。

今までの消費税制度
今までの消費税制度

図を使って、もう少し分かりやすく解説します。

まず、自社が工務店だったとします。右側に家を購入した若い夫婦がいて、家を工務店に注文します。建築代金として1,100万円を支払ったとします。工務店は、取引先である外注先に家の建築を440万円で依頼したとします。当然、工務店は売上の消費税100万円から外注費として支払った40万円の差額60万円を納めます。これが今までの消費税の計算方法です。

しかし、外注先の大工さんの年間売上は、1,000万円に届きません。よって、免税事業者ということで、この大工さんは国に消費税を納めません。この40万円は、そのままポケットに入ってしまうというのが、今までの消費税の仕組であり、問題点でもありました。

余談ですが、この40万円は大工さんは消費税としては国に納めませんが、所得税の計算として収入金額に含めて計算されるため、全く税金がかからないかというわけではありません。

インボイス制度 取引先が免税事業者の場合
インボイス制度 取引先が免税事業者の場合

今後、インボイス制度が導入されたらどうなるかをご説明します。

先ほどと同様に、自社は工務店であり、若夫婦に住宅の建築を依頼されて、1,100万円を受け取ります。インボイス制度が導入されても、大工さんはインボイス発行しない免税事業者のままであり、請求書が大工さんから440万円で発行されたとします。

すると、この工務店の消費税計算がどうなるかというと、売上消費税100万円から、今度は大工さんが発行する請求書は適格請求書(非インボイス)ではないため、この40万円相当は引けないことになります。

したがって、この工務店は売上消費税100万円から引ける消費税はゼロとなり、100万円を消費税として納めなければならないことになります。一方、大工さんは免税事業者のまま適格請求書(インボイス)を発行しない選択をしているため、消費税を納めずに進みます。

インボイス制度 取引先がインボイス事業者の場合
インボイス制度 取引先がインボイス事業者の場合

では今後、大工さんがインボイスを発行する課税事業者になることを選択した場合はどうなるかというと、工務店は売上消費税1,100万円かから大工さん支払った消費税40万円を引いて、差額の60万円を国に納めることになります。

大工さんは適格請求書(インボイス)の発行と同時に課税事業者にもなるため、今後は消費税40万円を納めるとことになります。大工さんにとっては、適格請求書(インボイス)を発行できた見返りに消費税40万円を納めなければならなくなります。

消費税の納税と負担2
消費税の納税と負担2

今まで製造業者、卸売り業者、小売業者の中に免税事業者がいた場合、消費者が払った消費税1,000円の一部を国は回収できませんでした。しかし、インボイス制度が導入され、すべての事業者が課税事業者を選択して適格請求書(インボイス)発行事業者になることによって、消費税の1,000円を回収できることになります。

適格請求書(インボイス)のイメージ

適格請求書(インボイス)イメージ
適格請求書(インボイス)イメージ

次に、必要な手続きと事業区分別対応方法についてご説明します。

対応方法についてご説明する前に、インボイスがどんなものなのかイメージを上図に用意しましたが、現状と違う点が2点あります。

1つ目は、請求書と書かれてる下にTで始まる13桁の登録番号が記載されています。法人の場合は、法人番号つまり法人のマイナンバーが記載されます。個人事業主の場合は、Pで始まり独自の13桁の番号が記載されます。

適格請求書発行事業者の登録申請

税務署の登録を受けた請求書を適格請求書と言いますが、適格請求書を発行するための方法をご説明します。

登録申請をするには、2枚1組になっている申請書を提出することになります。紙で提出しても良いですし、e-Tax電子申請で提出することも可能です。紙でもe-Taxでも、税務署にこの申請書を提出し登録を受ければ、適格請求書発行事業者になることができ、適格請求書(インボイス)を発行できます。

なお、令和5年10月1日に開始するインボイス制度ですが、制度開始と共に適格請求書(インボイス)を発行するために、当初は令和5年3月31日までに登録申請書を提出しなければいけませんでした。しかし、事前件数が伸びなかったことなどから、申請期限は制度が始まる令和5年10月1日の前日までになりました。

ただし、期限が伸びたからといって極限なく引っ張ってしまうと、令和5年10月1日以降に発行する請求書にインボイス登録番号を記載できないため、後でそれを保管する手間が増えてしまいます。したがって、10月1日には登録番号が付されている状態が望ましいと考えます。

では、いつまでに申請しなければならないかと言うと、e-Tax電子申請なら現状3週間程度かかっているようなので、8月末頃までに提出しておいた方が良いと考えます。また、書面申請だと現状2ヶ月程度かかっていると言われています。そこから逆算すると、遅くても4月末までに提出した方が良いと考えます。

このように、新しいインボイス制度は仕入税額控除(自社の売上消費税から取引先に対して仕入などにかかった消費税を控除する制度)に影響を与えます。つまり、自社が発行する売上請求書は、取引先にとって仕入などの請求書です。すなわち、取引先が仕入税額控除の対象となる消費税となるため、消費税額が控除できるか否かは、取引先にとってかなりの関心事となります。ゆえに、自社が適格請求書(インボイス)の適用を受けるか否かは、自社にとって経営判断する必要があります。

事業者別インボイスの対応方法

事業者別インボイスの対応方法
事業者別インボイスの対応方法

令和5年10月1日以降に新しいインボイス制度になると、インボイスを発行できる事業者とインボイスを発行できない事業者に分かれますが、自社はどうしたら良いでしょうか?その判断について、ケース別にご案内します。

まず、既に売上が1,000万円以上あり、消費税を納めている課税事業者の場合は、インボイス導入一択と考えます。理由は、登録を受けたからといって消費税の負担が増えるわけでもありませんし、請求書の手間も2箇所ほど増えるだけの軽微なものです。

さらに、取引相手が事業者の場合はインボイス発行が関心事であるため、円満な取引継続のためインボイスの登録事業者になって適格請求書(インボイス)を発行することは必要であると考えます。

では、B to Cのビジネスモデル、つまり消費者相手のビジネスモデルで、自社が課税事業者だった場合はどうかを考えます。確かに、消費者は御社が課税事業者(インボイス発行事業者)か否かはあまり興味の対象ではありませんが、現在、事業者と取引がなくても、急に事業者と取引を行う必要性に迫られる場合があります。したがって、予めインボイス登録を受けておいた方が良いと考えます。

続いて、自社が免税事業者だった場合について考えます。

自社が免税事業者で、B to C、つまり消費者相手の事業だった場合、結論はインボイス登録を見送ると考えます。これは、消費者にとって購入先がインボイス発行事業者かどうかは、重要な関心事ではないためです。

さらに、インボイス登録を行うということは自社が課税事業者になるということですから、消費税の税負担が増えることとなります。したがって、消費税の納税負担を負ってまでインボイス発行をする必要はないということで、インボイス登録は見送りと考えます。

ただ、今後事業者と取引が発生する場合は、そのときにインボイス登録を判断する必要があると考えます。

続いて、いま免税事業者でB to Bだった場合ですが、これはケースバイケースです。正直、判断が難しいところです。

例えば、取引先との関係において、自社の技術に独創性があり交渉面で優位だった場合は、取引先とある程度対等の関係で交渉が行え、現在の税込み価格を維持したり、取引を継続したりすることが可能な場合も考えられます。そのような場合は、納税負担を追ってまでインボイスを発行しなくても良い場合があると考えます。

これは、あくまでも自社が有利な場合です。ほとんどの場合、売上を提供する取引先が交渉において有利な場合が多いと思います。こういった場合は、取引先の納税負担が増えてしまうので、値下げ要求や取引停止なども可能性としてあり得ます。

一応、独占禁止法でこれらの行為は禁止されておりますが、自社に不利になる交渉を回避することができるとは言いきれません。したがって、これらのリスクを承知のうえで、インボイス発行事業者になるか否かを選択・判断する必要があります。

ちなみに現在、消費税の免税事業者がインボイス登録して課税事業者になった場合、消費税の負担が軽減される(実際は2割税負担で済む)経過措置が設けられる見込みです。

インボイスの準備(売り手として)(原則課税&簡易課税共通)

続いて、売り手としてどんなインボイスの準備が必要かをご説明します。

これは、当社が請求書を発行する側の立場であるため、原則課税であろうと簡課税であろうと共通のテーマになります。

まず、登録申請が必要になってきます。続いて、税務署から番号の付与がされます。インボイスの登録が終わると、国税庁の公表サイトで事業者名と登録番号が公表されます。

最後に、請求書情報の更新があります。これは、インボイス形式に則った請求書フォームに改めることです。現在、印刷業者に頼んで紙の請求書を発行してる事業者の場合は、現在の古い雛型の請求書の在庫がなくなった時点で、新しいインボイス形式の請求書に更新することをお勧めします。

また、パソコンのパッケージソフトやクラウドサービスを使って請求書を発行している場合は、サービスの提供会社が順次対応してくださるはずなので、その指示に従えば良いと思います。また、Excelを使って自社で請求書を手打ちで作ってる場合、10月1日の導入時までに新しい様式に改めていただければ良いのかと思います。

現在、大手企業と取引をしている企業中心に、インボイス登録の現況確認の通知が来てる事業者もあります。それ対しては、個別で照会したり、また事業者によっては登録が終わった段階で取引先に自社登録番号を案内したりしいてるケースもあるため、適宜対応が必要です。

コンビニなど不特定多数を相手にする事業の場合、簡易適格請求書(略して簡易インボイス)と言われるものの発行ができます。この簡易インボイスですが、どこが正式な適格請求書と違うかと言うと、相手先名を省略することができます。当然、コンビニでもいちいち相手先の名称を知ることはできません。したがって、不特定多数の方を相手にする事業の場合には、相手先名を省略できるということです。

適格請求書の場合、適用税率と適用税率ごとの消費税額を両方書かなければいけなかったのが、簡易インボイスであればどちらか一方で済むことになります。

インボイスの準備(買い手として)(原則課税)

続いて、買い手としてのインボイスの準備をご説明します。自社が原則課税の適用を受けてる場合、買い手として準備すべき点についてお話しします。

帳簿の保存

1点目は、帳簿の保存です。

今までの消費税においても、帳簿の保存は義務付けられていました。売上消費税から仕入や経費などにかかった消費税の仕入税額控除の適用を受けるためには、帳簿の保存が消費税法で決められています。帳簿の保存がない場合、消費税の控除はできないという建前になってます。

その帳簿に何を記載するかというと、消費税では次のことを記載することがルール付けられています。まず、取引日付、取引先名称、取引内容、取引金額、以上が記載するルールです。

正直、税務調査において、帳簿の記載が厳密に行われているかどうかを指摘されることは、あまりありません。しかし、法律で決まっており、消費税の税率も3%から10%に上がって重要性が増してる現状を考えみると、帳簿はきっちり備え付けておいた方が良いと考えます。

たまに、自社で経理してる会社の帳簿を拝見することがありますが、意外とこのルールを分かっていないまま帳簿をつけている会社が多いです。これを契機に、自社の経理状況を見直してみてはいかがでしょうか。

インボイスの保存

2番目は、インボイスの保存です。

これも、現在のインボイスの前の請求書や領収書の保存義務があります。税務申告期限から、原則として7年間は帳簿と一緒に保存する義務があるのでご注意ください。

原則、請求書・領収書は保存義務があるのですが、一定の場合には保存が不要ということになっています。

その代表例として、1つ目は3万円未満の公共交通機関などの領収書です。電車に乗っていちいち領収書をもらわないと思いますが、これは請求書・領収書の保存が省略できます。

2つ目は、3万円未満の自動販売機による購入です。通常、取引先の自販機で飲み物を購入して領収書は出ないため、請求書・領収書の保存が省略できます。

3つ目は、従業員に対する出張旅費や通勤手当ても省略できます。当然、従業員はインボイス発行事業者ではないので、出張経費精算や通勤手当ての支給についてインボイスは発行されません。

余談ですが、インボイス制度が開始されると、自販機の所在場所を帳簿に記載しなければならなくなります。

取引先への確認と免税事業者への対応

3番目は、取引先への確認と免税事業者の対応です。

取引先がインボイス登録を受けると、国税庁の公表サイトで登録の有無を確認できます。取引先から番号取得の通知が来ていれば、その番号がちゃんと登録されてるかどうかを、念のため確認することをお勧めします。法人であれば、Tで始まる法人番号13桁で検索することができます。

制度導入時に、取引が行われるすべての取引先のインボイス登録を確認できるかは、時間的な問題もあり難しいと思います。しかし、ある程度の取引ボリュームがある主要取引先の登録状況の確認はしておいた方が良いと考えます。今後は、新規取引先と契約する際、新規取引先が番号を取得しているかを必ず確認した方が良いでしょう。

なお、仕入業者・外注業者・取引業者が個人事業主の場合、相手先に照会をかけるというアクションが必要になってきます。

そして、相手先が免税事業者だった場合は大変悩ましいところです。例えば、建設業の場合、外注先に一人親方と呼ばれる方が多いと思いますが、その一人親方は年収1,000万円未満のことが多いです。ということは、原則的に免税事業者を継続するというケースも出てくると思います。

仕入先のインボイス発行有無を確認して、もし一人親方がインボイスを発行する選択した場合、自社にとってデメリットは生じないわけであり、取引条件は現状維持ということになると思います。

逆に、一人親方が免税事業者のままでインボイスを発行しない場合、取引条件を検討せざるを得ないと考えます。下請法や独禁法の話に留意しながら、取引先と粘り強く交渉する必要があるわけですが、その結果、例えば取引金額を減額する場合、取引先の収入減になります。

取引先を立てて取引金額を維持しようと、仕入税額控除を受けれないけれども取引先のために消費税を含めた税込み金額を維持しようという場合には、当然、自社が仕入税額控除を受けられなくなった分の納税負担が増えてしまうということになります。

こうした免税事業者の取引先が増えてしまうと、消費税控除を受けれなくなり厳しい選択に迫られます。

インボイスの準備(買い手として)(簡易課税)

次に、自社が簡易課税の制度を受けてる場合、何が必要かをご説明します。

自社が簡易課税の制度を受けている場合、対応事項は特にありません。簡易課税の場合、売上消費税から納付税額を直接計算できるため、仕入の消費税は一切考慮しません。したがって、インボイスの保存も消費税法上は義務がありませんし、帳簿に記載する必要もありません。

ただし、法人税法など他の規定により、帳簿の備え付け義務や請求書の保存義務があるため、結果的には原則課税と同じような帳簿備え付け、請求書などの保存ルールは残るのでご注意ください。

免税事業者に対する取引の経過措置

次に、免税事業者に対する取引の経過措置をご説明します。

前述の通り、免税事業者に対する対応が難しいのですが、国も緩和措置として令和5年10月から6年間、免税事業者との取引について一定の経過措置を設けています。どんな経過措置かと言うと、先ほど免税事業者の取引では仕入税額控除が受けられなくなるというお話をしましたが、当初の3年間は消費税の8割の控除は認められます。また、その後の3年間は、5割が認められます。

免税事業者との取引 インボイス制度導入後
免税事業者との取引 インボイス制度導入後

上図は、経過措置がない場合の消費税の計算です。売上消費税100から仕入消費税を認めないということで、仕入税額控除が0(ゼロ)になるため、納付税額は本来100になります。しかし、最初の3年間は、仕入消費税40の8割の消費税を支払ったものとみなして32を認め、国に納付する消費税額は100-32=68ということになります。

その後の3年間は、40の5割である20を控除でき、納付税額は100-20=80ということになります。

ただ今後、経過措置は変わるかもしれないため、今後の動向にご注意ください。

このように経過措置が設けられているため、免税業者との条件変更についてもこれらの経過措置を加味して、取引先と粘強く交渉することをお勧めします。

まとめ

このように、消費税は3%から10%へと負担が上がってる税金となっています。中小企業の経営者の皆様には、消費税の大枠を理解していただき、賢く経営に生かしていいただきたいと思います。

そんな中小企業の経営者に、以下のことをお勧めします。

1つ目は、新規取引において、今後はインボイス発行の有無を必ず確認してください。当然、持っているだろうという先入観の下に取引条件を決めた後、実はインボイス発行してなかったということがないように、必ず取引条件を決める際にインボイス発行の有無を踏まえたうえで、取引条件を握るプロセスを踏んでいただきたいと思います。

2つ目は、帳簿の備え付けと、インボイス請求書・領収書の保存をしっかり行ってください。今までは、税務調査において厳密に見られてこなかったところですが、今後はそうとは限らないため、しっかり書類関係を備え付けて無駄な税金を払わないようにご注意ください。

3つ目は、皆さんが新規事業を行う場合、インボイス発行が必要か否か、つまり事業者向けか消費者向けかというところを見極めて、そのうえで既存法人で行うか新設法人で行うか、さらには原則課税がいいのか簡易課税がいいのか、有利不利を判断し適正に節税を行っていただきたいと思います。


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執筆者

【講師】
園田会計事務所 園田 洋司
税理士

都内の税理士法人等で、中小企業から、上場企業、医療法人、公益法人等の税務支援などに従事。
2008年に開業し、中小企業の税務支援ほか、オーナー企業の経営者に対する事業承継支援、相続対策などを行う。

キャッシュフローコーチ®、銀座コーチングスクール認定のコーチとしても活動し、経営者と対話を通じて、経営者の自発的な行動支援など行う。

2015年より歯科医院の「子」の立場で主体的な継承を支援する「歯科後継者塾」の運営にかかわり、次世代を担う若い歯科医師の支援も行っている。

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