【人材採用】これからの人材確保に必要なこと 基礎編 | Part2

登壇者
人材支援 / DX支援 コンサルタント 中原 二郎のプロフィール写真

中原 二郎
人材支援 /
DX支援コンサルタント

地域中小企業に対し人材支援・DX推進支援の責任者として各種コンサルティングを展開。

20年間のIT業界経験で、SE・PM・ITコンサルとして様々な役割を担い業務改善や業務改革に取り組んだ後、5年間IT部門長として事業会社で活躍。その後、政府系人材会社(日本人材機構)にて各地域中小企業の課題解決に向けた「伴走型人材支援サービス」の事業モデルを構築。DX推進も支援。金融機関向けに人材支援事業に関する各種セミナー実施及びコンテンツやメルマガを発信中。


本シリーズは二部制で、上記の動画は「Part.2」です。

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目次

はじめに

今回は、「これからの人材確保に必要なこと基礎編|Part2」を送りします。

特に、採用に関する最新知識や知見が得られず苦労している、中小企業の経営者にご覧いただきたい内容となっています。

「雇用」「活用」の手段の整理

まず、採用の手段は、求人企業から見て正規社員なのか派遣社員なのかという、社員登用の方法に分かれます。

派遣社員は、人材派遣会社と求人企業が契約をして、そこから必要な期間だけ必要なスキルを持った人材を派遣してもらう方法です。

正社員は、常勤社員・非常勤社員に分かれますが、当記事では同じと見なして話を進めます。

次の分類として、求職者との面談・面接、あるいは応募受付を含めて、求人企業自身で対応する方法と、民間の人材紹介会社を使って求職者対応を行う方法に分かれます。

自社で求職者対応を行う方法

まず、求職者採用を自社で行う場合の方法を見ていきます。

求人広告とハローワークはご存知かと思いますが、最近、地域中小企業でも有料版も含めて使い始めているのが求人検索サイトです。マイナビやリクナビといった求人広告とは違い、Indeed(インディード)は求職者にとっての求人検索サイトです。求職者が月間4,000万人アクセスする大規模な求人検索サイトであり、当然ながら求人企業もこのIndeed(インディード)に求人掲載を行う事例が増えています。

また、求人検索サイトを専業化しているサイトもあります。例えば、士業のサイトや、施工管理・建設系サイトもあります。さらに近年、副業解禁の会社が多いこともあり、副業に特化した求人検索サイトもあり、全国に副業の求人を出して応募者とマッチングする流れがあります。

また、ダイレクトリクルーティングという方法もあり、代表的なサービスとしてはビズリーチやdoda X(デューダエックス)、リクルートダイレクトスカウトなどがあります。これは幹部人材を中心とした求職者データベースです。

これらは、ともすると年間100万円以上の費用・利用料を支払い、成約したときは成功報酬として手数料も支払う形になっており、少々、費用的にハードルが高くなっています。

人材紹介会社が求職者対応を行う方法

次に、人材紹介会社が求職者対応を行う方法を説明します。

まず、再就職支援(アウトプレースメント)です。

余剰人員が出てしまった企業が他の企業への就職の斡旋をするにあたり、民間の専門会社に依頼してマッチングを行う方法です。成約したときには紹介手数料を新会社に支払う形となり、求人企業側ではなく転職する社員を送り出した企業側が手数料を支払うのが再就職支援です。

次に、人材紹介・ヘッドハンティング型です。

これは、成約に至ったときの成功報酬を支払うだけでなく、着手金として数百万円を支払う料金形態が特徴です。また、転職を希望していない人材に対してもアプローチを行うという特徴があります。

次に、人材紹介の登録型(専門・登録)です。

登録型とは、各人材紹介会社に求職者が個人情報を含めた転職の意向を情報登録し、キャリアコンサルタントのコメントなども含めて求職者登録をしている形です。その登録者の中から、求人企業に合う求職者を探してオファーを出し、求職者から関心を持ってもらえれば求人企業に紹介するという流れです。

登録型(総合)は、リクルートやパーソルキャリアのようなサービスです。人材紹介時の成功報酬として、年収の35%を紹介手数料として支払う形態です。これを総合的な職種全般で行っているのが、リクルートやパーソルです。

昨今では、エージェント型の人材紹介登録型も、専門職(士業、建設業など)の登録を集めて紹介する形が増えています。実際、私共のところへも建設業の方から施工管理者の紹介依頼が来ますが、やはり人材不足な職種であるため支援も難しく、こうした専門サイトや専門エージェントを紹介しているのが現状です。

採用政策の見直し

次に、人材確保として具体的にどういうことをやらなければならないか、あるいは地域中小企業がどういったことを始めているのかを、採用政策の見直しという観点で4点ご説明します。

1つ目は、採用チャネルの見直しです。

世の中にある採用手法は多角化しており、これを職種や条件によって使い分けたり、併用したりをトライ&エラーで色々試してみることが重要です。

人材が慢性的に取れなくて困ってる場合、まだやったことのない手法を積極的に試してみる、あるいは最適化を試みることをお勧めします。

特に、求人検索サイトは有料利用を推奨します。無料でもIndeed(インディード)などの求人検索サイト登録はできますが、数十万件~数百万件の求人が掲載されているサイトであるため、求職者が検索を行っても、自社の求人が求職者の目に触れないこともあります。

求職者の目に止まるように利用料金を支払ったとしても、重量課金であるためリーズナブルに利用ができます。求人検索サイトは、特に利用者数の多いIndeed(インディード)を試しいただくこと推奨します。

また、Engage(エンゲージ)やAirwork(エアワーク)などの、採用管理ツールの利用も推奨します。これは、専用の求人ページに求人内容が掲載でき、プラスしてIndeed(インディード)にも自動接続されてIndeed(インディード)側にも求人が出ます。有料版でスカウト機能を使用することによって、積極的に求職者にアプローチができる点もポイントです。

今回、強く提案したいのは、エージェント型の人材紹介会社の活用です。民間の人材紹介会社も非常に優秀であり、データベースも大きいものを持っているため、求職者を多く募ってくれる人材紹介会社もあります。

また、地域金融機関を活用した採用方法もあります。全国に百数十行の地銀がある中で、ほとんどの銀行がリクルートやパーソルと同じ職業紹介免許を取得して、人材紹介事業を始めています。2018年4月から解禁になっており、民間の人材紹介会社と同様に専門担当者がいる銀行もあります。

では、なぜ地域金融機関が人材紹介事業を行うかというと、地域金融機関はお客様の数が二桁以上違うところで良質な求人、あるいは成長期にある元気な地域企業様や、第二創業期でやる気を出している地域企業を多く知っています。

また、毎日のように経営者と直接会って話すことにより、企業の現実を含めた求人情報として、本当に関心を持ってくれる求職者に届けることができます。

特に、求人企業と求職者の両方の対応を一気通貫で行えるため、経営者に直接課題の整理から伴走して、人材要件を最適化し、一緒に作った求人内容を求職者に届けることができます。

全国47都道府県の地域金融機関が、何かしらの人材紹介サービスを始めています。取引先の銀行に対して、人材紹介サービスを実施しているかどうか問い合わせてみるのは有効です。

2つ目は、採用後の育成・フォローの見直しです。

「高い費用を支払って採用したのに半年で辞めてしまった…」という話がザラにある時代です。人が入社して、定着して、活躍して、会社の生産性向上につながる良循環を作るためには、入社した当初から定着に向けた育成やフォローをしていくことが重要です。

こうした流れを作るために、マネジメント層にも研修を行いながら、仕組み化することを評価し直している企業が増えています。

3つ目は、「雇用」「活用」の使い分けです。

正規雇用では人が採用できない状況もありますし、実際に転職市場に求職者はいるものの、年収面で高い金額を希望されているため手が出ない企業の話はよく耳にします。

そのような状況を見てると、「企画や導入フェーズの仕事をやって欲しい」、「新規事業を起こしたい」、「戦略的なマーケティング施策を打ってEC事業を立ち上げたい」、あるいは「DX推進で業務改革を行いたい」といって、そうした人材を採用したいというご相談が結構あります。

しかし、実際そういう人材の年収がどれぐらいかといえば、地域中小企業がびっくりする年収の人材が多いです。一方、実際に求人企業が、常に改革フェーズや導入フェーズの状態にあるかといえば、企画や導入をした後は運用フェーズに入っていき、日常業務のルーティンに収斂していき、むしろルーティンフェーズの方が長い状態です。

そこでご提案したいのが、IT、営業、新規事業、どのような業務でもおなじですが、企画導入フェーズはプロ人材を雇用するのではなく、活用するという考え方に変えることです。

今は副業解禁の時代となり、市場に専門性高いプロ人材がたくさん出てきています。

副業・兼業という言葉を厳密にいうと、副業はどっかの企業に社員として所属をしており、傍で副業を行う意味です。一方、フリーランスは、個人事業主として独立をしていて、いろんな会社のお手伝いを業務委託の形でやっている方です。

特に、DX人材、IT人材は20代から独立している方も増えており、こういった方も自分のキャリアを伸ばしたくて低単価で仕事をしてくれる場合もあり、非常に活用が増えています。

副業・専業・プロ人材を企画導入フェーズで活用し、そして運用フェーズや導入フェーズの終盤あたりから、正社員の日常業務として運用していくことで、年収面も優しく地域企業が採用できる活用人材の組み合わせとして、改革を行っていく企業が出てきています。

4つ目は、幹部人材の外部招聘です。

多くの経営者が勝ち組に残れるか、負け組のまま会社がなくなるかという危機感を持って、経営課題に対応しようと奮闘されています。

我々が伴走支援していく中で、社長に投げかける質問として「会社の経営機能として、こういう機能が追加されたら凄くないですか?上手く回っていくんじゃないですか?」というものがあります。

具体的には、「ITを使った改革を行うためにIT部門を作るべきだ」とか、「ガバナンスをかけなければならないので、管理本部長という役割を作り、特に人事・財務を見られる人事機能・財務機能の専門家を入れるべきだ」などがあります。

また、新規事業開発で社長の壁打ち相手として経営企画を設置したり、事業の最適化を図るために事業レベルの話を社長に変わってハンドリングして、社長と現場社員の橋渡しをする人材を投入したりするなど、自社に不足している経営機能を補う方法を人材という切り口で整理する企業もあります。

企業は必要な設備投資はしますが、人材投資となると、「今、現職社員がこれくらいの給与しかもらってないから、高給人材は採用できない」という経営者も多いです。しかし、10年20年と持続成長可能な企業になることを考えると、経営機能を追加する必要性に気づく経営者も多いです。

実際の人材確保の政策は、これぐらいの解像度で説明して解決できるものではありません。毎日会社へ行き、現場の生々しいしがらみや現実や矛盾などを会話したり見たりしながら、人材確保に向けた対応を裁定化したり進めたりします。

また、人材不足を解消するために、人が少なくても回る事業にするために、幹部人材を招聘するという逆転の発想で、1,000万円クラスの人材を採用した事例もあります。

幹部人材は、外部から招聘して経営基盤を強化する意味で人材確保は始まっており、どうしても年収面が高くなる場合は「活用」で賄っている場合が増えています。

採用政策の見直し-「活用」事例

採用政策の見直しにおける、「活用」の事例をご紹介します。

事業課題レベルのものは、経営全般、事業承継、M&A、新規事業、海外事業など、広範に渡ってプロ人材がいます。白いキャンバスに絵が描け、描いただけでなくそれを形にできる企画や導入フェーズの人材が必要です。これは副業の人材市場に出てきています。

また、人事・組織、業務改革、IT推進・DX、WEBマーケ、さらに、物流、生産など会社の中の業務機能1つ1つの部門の改革を行うといった時も、プロ人材が活躍をして実際に結果を出している企業が増えてきています。

コロナに見舞われたこの数年では、EC事業で売上のトップラインを戻そうとしてEC事業に打って出たり、WEBマーケ集客をしたりといった案件が非常に多かったです。

次いで多かったのは、コロナで痛んだ事業を最適化して、新規事業も立ち上げない期間から投資をし、副業・兼業・プロ人材を活用した事業を構築している事例もあります。

また、足元の業務効率化や人材不足への対策、2025年の崖など、業務効率化に取り組むことでDX推進を行う企業が増えてきました。

「会社磨き(内面)」への取り組み

新入社員が入っても入っても辞めてしまい、定着せず離職率が高い企業には、「採用の前に、会社の中を磨いてないと辞めちゃいますよ」と話します。

具体的には、「経営理念・ミッションが浸透しているか」「会社側から積極的にコミュニケーションを取っているか(あるいはフィードバックをしていくか)」、そして、安心して長く働けるような「評価制度・賃金制度・等級制度が会社の中にあるか(運用できているか)」、あるいは、パソコンやスマホ、人、組織、業務フローなど、「業務環境として適切か、効率的な業務になっているか、属人的でブラックボックス化した業務になっていないか」と問いかけます。

すると、どの企業もどれかしら出来ていないってケースが多いです。

「従業員、あるいは求職者の方に適切な人材がいない…」と思ってしまいがちですが、会社側ができることを1つ1つやっていくと、まず会社側としても人材主体性が出てきて良循環が始まります。したがって、会社側から仕掛られることをいろいろと仕掛けていくことが重要になります。

まず、ここを磨いていないと魅力ある会社になりません。そして、この後出てくる外面磨きの方も補給できるものがないことになるため、内面磨きではこの4点を留意してください。

そして、社内でこれらを解決するのが難しいと思われた場合は、これをできる社員の登用や外部人材の活用を検討してください。

「会社磨き(外面)」への取り組み

人材確保に効いてくるのは、ホームページとSNSの運用です。

私が採用強化したいという相談をいただいて、ホームページの再構築をご支援した会社は二桁を超えます。やはり、ホームページはすべてのステークホルダーに対するお店だと思った方が良いでしょう。ホームページは、辞めない、休まない、文句を言わない、1対Nが無限大でも対応してくれる、優秀な営業員です。

また、インディード(Indeed)や求人サイトから関心を持った求職者は、必ずホームページでその会社がどういう会社なのかを見定めします。さらに、Googleアナリティクスというアクセス分析をできる無料ツールを見ると、ホームページで何が起きてるか分かります。

そこで関心持ってもらえたら、同業者のホームページで採用に力を入れている会社のホームページをご覧に入れながら、ストーリーを持って即力あるホームページになっていることをご案内します。

ホームページ制作会社に簡単なデジタル版を作ってもらうレベルであれば、10万~20万円で制作できますが、ストーリーを作るコンサルも含めた形であれば100万円以上かかることもあります。

しかし、前述の通り、辞めない、休まない、文句がない、最強の営業員、集客する営業員だと思えば安いものです。さらに、ホームページが全方位に向けて採用マーケティングや顧客マーケティング、既存社員向けのエンゲージメントに対しても効力があるとして、ホームページを再構築される企業は多いです。

しかし、再構築後に採用力が上がらない会社は結構あります。やはり、前述の通り内面磨きが追いついていないとか、評価制度がないというのは、求職者に分かってしまいます。したがって、内面と外面の両方を並行して磨いていく必要があります。

また、最近ではInstagram、Twitter、Facebook、LINEなどのロゴが2つ3つと載っているホームページが増えています。運用できていない会社も多々ありますが、採用に成功している会社は、B to Bの会社であってもInstagramの写真を使って何らかの発信をすることで、若者から親近感を得ています。

Instagramは、FacebookやLINEよりも若い世代が利用しているため、20代30代の方を採用したい会社は積極的にInstagramで発信をして、親近感やブランディング、ロイヤリティを作っています。

SNS投稿がたまたま拡散され、会社のホームページへ流入してくることがあります。また、その逆でホームページに入ってきた求職様がInstagramに入ってきて、企業の風土・文化を知ることができ、応募に至るケースも増えてきています。

SNS運用自体を自社で立ち上げるのが難しい場合もありますが、この辺りも人材の活用において専門的に、かつリーズナブルな価格で手伝ってくれる方も多々います。

そういった人材を使いながら、会社の外面磨きにトライしてみてください。


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執筆者

人材支援 / DX支援 コンサルタント 中原 二郎

地域中小企業に対し人材支援・DX推進支援の責任者として各種コンサルティングを展開中

IT業界で長年キャリアを積んだ後、政府系人材会社(日本人材機構)にて地域中小企業への幹部人材紹介に従事。全国の各地域金融機関から支援要請を受けながら各地域中小企業の課題解決に向けた「伴走型人材支援サービス」の事業モデルを構築(各企業の経営者と直接課題を棚卸し・整理し採用すべき幹部人材要件を最適化、自ら候補者をサーチ・スカウトし経営者に紹介、採用支援~定着化支援までフォロー)。また必要に応じてDX推進支援も実施(IT診断・業務改革他)上記と並行して、各地域金融機関における人材支援事業の構築自体も支援、地銀における人材業の現実的なモデルを複数検討した上で、各事情に合わせた形で進め方を提案・実践支援。尚20年余り従事したIT業界では、SIer(ITベンダ)にてSE・PM・ITコンサルと様々な役割で支援先の業務改善や業務改革に従事、その後社員2000名余の事業会社でIT部門長として5年従事、企業内の業務や人・組織における現場課題と解決策のナレッジを広汎に蓄積。
2020年7月から現職の地方銀行でのコンサルティング事業に参画。
前職の経験を活かし人材支援・DX推進支援の事業構築を推進するとともに有償コンサルや伴走型BM支援とのシナジーを体現した「多角的一元的連続伴走支援」のスタイルを確立中。
一方、副業にて内閣府補助事業の支援にも従事、2年半に渡り全国の地域金融機関向けに地銀の人材支援事業に関する各種セミナー実施及びコンテンツやメルマガを発信中。

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