原田メソッドを活用した新規事業の立ち上げ方

【執筆者】
株式会社ニコプロダクション 代表取締役 小西 薫
中小企業診断士
事業承継士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

キヤノン(株)総合デザインセンターでのUI/UXデザイン、
(株)モンスター・ラボでのオフショア開発におけるプロジェクトマネージャーを経て、ITコンサルタントとして独立。
現在は中小企業の事業承継やベンチャー企業の支援を中心に活動中。
事業の再構築、再設計による最適化=ReDesign(リ・デザイン)業務に従事。

目次

原田メソッドとは

新規事業を立ち上げたいと考えた時や事業プランを考える際に利用するフレームワークとして有名な物に「6W2H」や「STP」といったものがありますが、「原田メソッド」はこれらのフレームワークでの目標立てを円滑に行ったり、目標を達成するためのメソッドを体系的に可視化することに役立つツールです。

「オープンウィンドウ64」と呼ばれたり、仏教のマンダラに近い形になっているので「マンダラチャート」とも呼ばれます。真ん中に自分の達成したい目標を書いて、それを達成するために必要な要素やキーワードをその周りに書いていく。そして更にその必要な要素の周りに、さらに細分化した内容を書いていくというようなツールになっています。

「原田メソッド」は、厳密にはこのツールだけのことを指すわけではないのですが、見た目もわかりやすく自分の達成したい目標に対して何が必要なのかというのが一覧化でき、現在、米国のメジャーリーグで大活躍しているプロ野球選手の大谷翔平さんも使っていたことで有名になりました。

「6W2H」と「STP」

事業プランを考える際に使うフレームワークとして代表的なものに「6W2H」と「STP」があります。

「5W1H」はよく聞くと思いますが、「6W2H」はその「5W1H」に「Whom?」と

「How much?」という項目が付け加えられており、「顧客の観点」というのが加わっているのが特徴で、「6W2H」の流れで事業プランを考えていくとスムーズに作れるというフレームワークになっています。

1つ目の「Why?」でなぜこの事業をやるのか、

2つ目の「Where/Whome?」で想定する市場や顧客はどういったものなのかを考えます。

3つ目の「What?」では商品やサービスの具体的な内容はどういったものなのか、

4つ目の「How to?」で、その商品やサービスにはどのような特徴があったり、どのようなノウハウを使うのか、

5つ目の「When?」で、どのようなタイミングで、いつやるのかを考えます。

6つ目の「Who?」は誰がやるのかですが、通常は事業を考えているご自身が当てはまりますが、OEMやファブレス的な取り組みであれば、工場など製造するのは他者に任せるという場合もあると思います。

最後の「How much?」は資金の観点や売上高や利益の観点もあるかと思います。

この中でも特に重要なのが、5W1Hから追加された顧客視点、「Whom?」と「How much?」です。通常、大企業の場合は顧客を考える時に「ペルソナ」というものを設定します。

これがないと市場にマッチしない単なる自分好みの事業展開になってしまい、買い手がつかず売り上げが不足するという状態になってしまいます。「ペルソナ」の作り方は、アンケートを取って実際にいる顧客をデータ化して分析して、検討している新規事業の商品やサービスを利用する典型的な顧客像を、詳細に名前や居住地住所、性別・職業・年収・趣味・現在の悩み・休日の過ごし方やその他特徴などを書き出していって設定します。

そして、設定した「ペルソナ」が満足するように検討中の商品やサービスを仕立てていくということをやります。こういった詳細なペルソナの設定にはかなり費用がかかってきますので、中小企業の場合には費用対効果の観点から「ペルソナ」分析を簡易化した「STP」というフレームワークを用いて顧客分析を行う場合が多いです。

セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング

まず、「S」は、セグメンテーションで「市場を分けること」です。先ほどのペルソナのように、性別はどういった人がいるのか、住んでいる地域はどういったところなのか、裕福な人が多いのかそうでもないのか、などをキーワードにして市場を細分化します。

次に、「T」のターゲティングで、細分化した市場のどこ(どの層)を狙うのかを考えます。

最後に、「P」のポジショニングで、自社(事業)の独自の立ち位置を決めます。

「STP」は、釣りに例えるなら、どこにどんな魚がいるのかを見極めて他の釣り人も考慮しながら自分が釣りやすいところに釣り場を置きましょうという分析ツールになっています。

原田メソッドの実践方法

私が新規事業立ち上げの際に使用した「マンダラチャート」をサンプルに用いて、具体的な事業プランの落し込みを説明していきます。 

マンダラチャート

まず、マンダラチャートとして、縦3マス✕横3マスで計9マスでできたブロックを、更に縦3ブロック✕横3ブロックの計9ブロック並んだ表を用意します。結果として、マスの数は全部で縦9マス✕横9マスで合計81マスの表ができあがります。

次に、中心のブロックの更に中心のマスに「いつまでに何をどうする」などの具体的な目標を書き、その周囲の8個のマスに目標を達成するために必要な要素をキーワードとして書き出します。サンプルでは、「202X/XX/XXまでに「XXXX」を立ち上げる」という目標に対して、周囲の8つのマスに「ターゲット設定」や「アカウント設定」、「集客」などの要素を書き出していきます。

キーワードを書き出したら、それぞれのキーワードを今度は周囲のブロックの中心のマスに書き写し、ブロック単位で更にそのキーワードに必要とする要素を周囲のマスに書き出して細分化します。サンプルの「ターゲット設定」の場合は、その周りに「性別」であったり「年齢層」であったり「住んでいる地域」といった、そのターゲット設定に必要な要素を書いていきます。

こうすることで、自分が立ち上げたい事業に必要な要素と、その必要な要素を達成するために考えるべきキーワードというのが網羅的に一覧化できるようになります。

サンプルのマンダラチャートでは、中心に書いた目標を達成するために「ターゲット設定」「アカウント設定」「目標設定」「WEB制作」「集客」「商品拡充」「知財発掘」「次の目標設定」という8つのキーワードを要素として抽出し設定しています。

「ターゲットの設定」の細分化要素としては、ペルソナのところでも紹介した「性別」や「年齢層」、「居住地」などといった内容が考えられます。必ずしも決められた要素があるという訳ではないので、ご自身が気になるポイントを書き出していく形で問題ありません。

ターゲットの設定ができたら次に「アカウントの設定」で必要な作業の洗い出しを考えます。例えば、新しい事業を立ち上げるにあたってWebサイトの新たなドメインの取得が必要であれば、「お名前.comでドメインを取得」とか、プレスリリースをする場合は「バリュープレスでプレスリリース」など必要と思われる作業を書き出します。

次に「目標設定」では、この事業で達成したい目標を書き出します。例えば、「目標の達成日」がいつなのか、「売上目標」はいくらなのか、「顧客数」はどのぐらい必要か、など達成したい目標を書き出すようにしてください。

目標設定ができたら、次に「WEB制作」を考えます。アカウント設定のところで作ったドメインに対して「ワードプレスでホームページを作る」、ワードプレスで作る場合は「テーマ」や「デザイン」はどうするかを考えます。

WEB制作の内容が固まってきたら顧客をどのように「集客」するかというのを考えます。「アカウント設定」のところでプレスリリースを要素として考えていましたが、要素としてそれで十分なのかどうかを、この集客のところでも考えます。集客でよく出てくる要素が、「プレスリリース」や「Facebook広告」や「Googleの検索広告」などですが、本当にこれだけでいいのかというのをこの「集客」キーワードで深掘りして考えます。そうすると実は「対面」の方が良かったりするのではないか、「ポスティング(はがき・ダイレクトメール)」した方が良いのではないかとなることもあります。

ここまで考えられたら具体的に「商品拡充」というのを考えていきます。もちろん最初に事業を立ち上げる時に商品やサービスを既に思いついている場合が多いと思いますが、本当にそれだけかというのをこの「商品拡充」のところで考えます。商品そのものではなくて、例えば自社の商品に合わせて

「他所のアフィリエイト」ができるんじゃないかとか。「物販」として他のものを合わせて売ったりすることができるのではないか。それから、実はメインの商品を売る前のフロントエンドの商品、例えば、無料で配る何かしらの情報やポイントや割引券などがあったりするのではないか。ということを、「STP」のターゲティングで設定した顧客をイメージしながら満足してもらえる商品やサービスとはどういったものなのかを「商品拡充」のブロックで考えます。

ここまで考えられたら、次に「知財発掘」として、今まで考えてきたことが特許になるんじゃないか

とか、商標を取らないといけないんじゃないかなどを考えます。この点は、新規事業を立ち上げる際に意外と見逃してしまうことが多いのですが、重要なポイントでもあるのでこのブロックでしっかりと考えておく必要があります。

最後に「次の目標設定」です。新規事業を立ち上げて、最初に設定した目標が達成できたら、次にどう展開しようかということを、「次の目標設定」として予め書いていきます。こうすることで、自分の目標が達成できた後、更にワクワクするような気持ちで未来の目標を達成して行くことができます。海外の売上を目指

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この記事を書いた人

株式会社ニコプロダクション 代表取締役 小西 薫
中小企業診断士
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2級ファイナンシャル・プランニング技能士

キヤノン(株)総合デザインセンターでのUI/UXデザイン、
(株)モンスター・ラボでのオフショア開発におけるプロジェクトマネージャーを経て、ITコンサルタントとして独立。
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