紙芝居で学ぶ!中小企業の人財応募率・定着率アップアイデア集 | Part4

登壇者
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藤堂 武久
弁護士/中小企業診断士

登録弁護士として活動を開始したが、多くの人々が手遅れになってしまっており、役に立てないケースを多く経験した。トラブルを予防し未然に防ぐ活動をすべく、中小企業診断士として、情報発信活動、講演・研修、経営相談業務、人財の採用・定着・育成に携わる。
・延べ講演・研修回数635回超
・延べ受講者数14,251名超
・延べ経営相談回数572回超 (2023年4月末時点)


本シリーズは五部制で、上記の動画は「Part.4」です。

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目次

はじめに

今回は、「紙芝居で学ぶ!中小企業のための人材応募率・定着率アップアイデア集 パート4」と題し、感謝や親切がもたらす効果についての心理学実験をご紹介します。

感謝・親切をしたほうがお得

これまでお伝えしてきたように、職場の定着率を向上させるためにはさまざまなアイデアが考えられます。その中でも、職場で感謝や親切が行き交う雰囲気を作り、社内で3人の友人を作ることを推奨する戦略が有効です。今回は、それを裏付ける心理学の実験結果をご紹介します。

結論として、感謝や親切を行うことは、実はその行為をした人自身の幸福度を高めるという興味深い実験結果が得られています。具体的には、ロバート・エモンズ氏とマイケル・マクロフ氏による実験で、感謝日記を書くグループと、通常の日記を書くグループを比較しました。その結果、10週間後、感謝日記を書いたグループは通常の日記を書いたグループよりもはるかに幸福感が増していました。この結果から、感謝の気持ちを再認識することの重要性が浮き彫りになりました。

また、感謝の行為がオキシトシンという幸福脳内物質の分泌を促すとも言われており、感謝をすることは自分自身のためにもなるのです。このことから、職場でも小さな感謝を積極的に表現することが、職場の雰囲気を明るくし、より良い環境作りに繋がるでしょう。

さらに、他者への親切が幸福度を高めるという実験もあります。46人の学生に20ドルを渡し、他者のために使うよう指示されたグループと、自分のために使うグループに分けた実験が行われました。具体的な行動としては、友人にランチをご馳走したり、妹におもちゃを買ってあげたり、チャリティに寄付するなどが含まれます。結果として、他者のために20ドルを使った学生は、自分のために使った学生よりもその日の終わりに幸福度が高かったと報告されています。

さらに、ソニア・リュボミルスキー氏の研究でも、親切な行為が幸福度に与える影響が確認されています。この研究では、1日に5つの親切な行為を行うよう指示されたグループと、そうでないグループを比較しました。その結果、1日に5つの親切な行為を行ったグループは、幸福度が大幅に向上し、その感情がしばらく持続したという結果が得られました。

この実験では、意図的に親切な行為を5つ行うことが求められており、無意識に行ったり後付けで「そういえばあれは親切だったかも」と認識したりすることでは効果が薄いとされています。つまり、意識的に親切を行うことで、幸福度が向上するというわけです。

このような心理学的な知見は、職場や研修の場で活用することが有益です。人間の心にはこうした傾向があると理解している方が、より意識的に行動を変えることができるからです。教育や研修の機会にこれらの知識を取り入れ、感謝や親切が自分にとっても得になる行動であることを共有することで、その行動が自然と増えていく可能性があります。

これらの考え方をぜひ活用して、職場環境の改善に役立てていただければと思います。

ありがとうカード・サンキューカード

次に、感謝の気持ちを伝える「ありがとうカード」「サンキューカード」についてご紹介します。最近では、このような感謝カードを使う取り組みが多くの企業で流行しています。アプリを活用したものもあり、これらの取り組みは前述の感謝に関する心理学的実験にも裏付けられています。

私自身も、個人的にキラキラしたホログラムの「ありがとうカード」が好きで、これを利用した取り組みを行っています。カードの使い方は自由で、「〇〇先輩へ、先日は〇〇の仕事を助けていただきありがとうございました」といったように、自由に感謝の気持ちを表現できます。

実施頻度も企業ごとに異なり、毎月行う場合もあれば、2ヶ月に1回のペースで実施する場合もあります。また、年間で「ありがとうカード大賞」を設ける企業もあり、年間で最も多くのカードを受け取った人や送った人を表彰するなど、制度として感謝を促進しています。

さらに、このような制度を導入している企業は、求人票の特記事項欄に「ありがとうカード制度を実施しています」と記載し、求職者の興味を引く工夫をしています。例えば、「ありがとうカードって何だろう?」と思った求職者が企業のホームページを訪問するきっかけになります。

他にも、インターネットで注文できるコンビニで使える500円のクオカードを「ありがとうカード」として利用する企業もあります。

オススメの表彰制度

また、定着率を高める仕組みとして「表彰制度」を導入している企業も多くあります。私の経験から、表彰制度は「優秀者発表型」と「連携強化型」の2つに分類することができます。

1つ目の「優秀者発表型」は、月間MVPや社長賞、努力賞、失敗対象、改善賞、アイデア賞、陰の力持ち賞、理念実践賞、行動指針賞、安全賞、挨拶賞など、多岐にわたる賞を設け、優れた行動をした社員を強調して表彰する方法です。この方法では、毎月受賞理由を変えたり、全員に受賞のチャンスを与えたりすることで、社員のモチベーションを高めることができます。

もう1つの表彰制度として、「連携強化型」があります。これは、先ほどご紹介した「ありがとうカード大賞」と同様、感謝の気持ちを表現し合うことで、感謝する側もされる側も幸福度が向上し、コミュニケーションが増えて連携が強化されるというものです。

また、「いいところ探し大賞」として、日頃から同僚の良いところに目を向け、それを伝え合う取り組みを行っている企業もあります。自分の強みや良いところは、当たり前にできてしまうことが多いため、自分自身では気づきにくいものです。しかし、他人からフィードバックを受けることで自分の強みに気づくことができ、それがコミュニケーションを促進し、気持ちも前向きになるという効果が期待できます。

連携強化型の表彰制度には、モチベーションアップやチームワークの向上、陰の力持ちにスポットライトを当てる、挑戦する気持ちを醸成する、などの効果が期待できます。

これらの効果を引き出すためのポイントとして、次の4点をおすすめします。

期間限定で試してみる
表彰制度だからといって必ずしも大きな賞金を用意する必要はありません。例えば、500円のクオカードなど小さなインセンティブで十分です。期間限定でまずは小さく始め、どの制度が自社にフィットするかを試す姿勢が大切です。うまくいかなかったからといってすぐにやめるのではなく、まずは楽しみながら試行錯誤してみてください。

明るく楽しくゲーム感覚で
雰囲気や演出を楽しくすることがポイントです。せっかくの表彰制度も、社長や上司が厳しい顔をしていたら、参加者が萎縮してしまいます。楽しく、明るい雰囲気の中で行うことで、参加者のやる気を引き出すことができます。

柔軟な制度にし、労働条件には組み込まないことを推奨
表彰制度を労働条件として法的に組み込んでしまうと、柔軟に変更することが難しくなります。そのため、まずは期間限定や試験的に導入し、必要に応じて制度を調整する柔軟性を持たせることが重要です。

短期のものと長期の累積評価を使い分ける
年間表彰はモチベーションの向上に効果的ですが、1年先の成果を目標とするのは、日々の業務に集中する社員にとって動機づけが難しいことがあります。そのため、毎月の短期表彰と年間の長期表彰を組み合わせて実施することをおすすめします。これにより、日々の業務に対するモチベーション維持と、長期的な目標達成の両方を支援することができます。

五感を切り替えて回復・復活シート

最近、若い社員がある日突然会社に来なくなる事例が増えていると感じています。原因が特定できないことも多いですが、おそらく仕事の中で精神的に負担が大きく、限界を迎えてしまったのではないかと考えています。そこで、社員が落ち込んだ時にどうすれば立ち直りやすくなるのか、その方法を考えました。

人は、失敗したり怒られたりしてパフォーマンスが低下しています。その状態からどのように気分を切り替えて復活できるかが重要です。ただ座って落ち込んでいても、気分転換は難しいため、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚などの互換を切り替えることで気分も切り替えることができるとされています。例えば、視覚を変えてみたり、聴覚を変えるために音楽を聴いたり、触覚を変えてストレスボールを握ったりするなど、五感にアプローチすることで気分をリセットする方法を提案しています。

この方法は、新入社員研修などで「復活手段」を事前に考えておくと良いでしょう。落ち込んでから動くのではなく、事前に「自分が落ち込んだ時はこれをする」と決めておくことで、いざという時に素早く回復手段を取ることができます。たとえば、「落ち込んだらすぐに電子書籍で漫画を読もう」といったように、自分なりの気分転換の方法を見つけておくことが大切です。このように、自分に合った回復手段を用意することで、気持ちの切り替えがしやすくなります。

プチ幸福度アップのアイデア集

幸福度アップのアイデア集をご紹介します。下図は心理学の観点から、日々の小さな幸福度を上げるための方法をまとめたものです。

プチ幸福度アップアイデア集
プチ幸福度アップアイデア集

新入社員研修などで「日々の幸福度を上げる方法はこんなにあるんですよ」とお伝えし、若い社員の方々がポジティブな気持ちで日々を過ごせるようサポートすることを目的としています。

幸福度を高めるために大金持ちになる必要も、何か特別なことを達成する必要もありません。心理学の世界では、小さなことで日々の幸福度を上げる方法がたくさんあります。このアイデア集を見た若い社員の方が「これ、自分も好きだったな」「これなら毎日やれそうだな」と思ってもらい、日々の生活に取り入れてもらえればと思います。

心理学の実験によると、人はネガティブな状態だと仕事のパフォーマンスが下がりやすく、逆にポジティブな状態だとパフォーマンスが向上することがわかっています。したがって、入社してくださった方が日々の仕事で高いパフォーマンスを発揮するためにも、まず自分自身の幸福度を上げることが大切です。

このアイデア集は、新入社員の方々が自分に合った方法を見つけて、日々の生活を充実させる一助となればと考えています。「これを全部やってください」というわけではなく、好きなアイデアを選んで、少しずつ日々の幸福度を高めていっていただければと思います。まずは自分自身が幸せになることで、結果的に仕事のパフォーマンスも向上し、会社全体にとっても良い影響をもたらすことができるのです。

幸せ伝染実験結果

最後に、「幸せ伝染実験結果」という、とても興味深い心理学の研究をご紹介します。この研究は、フォウラー博士とクリスタキス博士によって20年間にわたって追跡調査されたもので、個人の幸せが時間の経過とともにどのように波及するかを調べたものです。この実験の結果は、とても納得できるものですが、心理学の素晴らしさはそれを具体的な数字で示せるところにあると思います。

この実験の結果によると、例えば、直接の知り合いが幸せだと、自分が幸せになる確率が15.3%アップするそうです。さらに、知り合いの知り合いが幸せだと、自分が幸せになる確率が9.8%アップし、知り合いの知り合いの知り合いが幸せでも、5.6%の確率で自分の幸福度が上がることが分かっています。つまり、幸せな人が増えるほど、自分も幸せになりやすいという結果です。

一方で、幸せな知り合いが1人増えると自分が幸せになる確率が9%アップしますが、逆に不幸な人と知り合うと、自分が幸せになる確率が7%ダウンするという結果もあります。つまり、人は他人の影響を大きく受けるということが、この実験で示されています。「朱に交われば赤くなる」ということわざがあるように、人は周囲の影響を受けやすいということです。

この実験結果から分かるのは、まずは自分自身が幸せになることが重要だということです。もし、誰かを守りたい、誰かを幸せにしたいと思ったとき、もちろん自分が犠牲になって相手を守ることも尊い行動です。しかし、この実験結果に基づくと、まず自分が幸せになることで、その幸せが他の人にも波及していく可能性があるのです。したがって、自分を大切にし、自分が幸せになることが、周囲の大切な人たちにも良い影響を与えることができます。

私がこのような考え方をお伝えする理由の一つは、突然会社に来なくなってしまう社員の方がいるという現実があるからです。日々の幸福度を上げることで、そのような状況を防ぐことができるかもしれません。ですから、まずは一人ひとりが幸せになることが大切であり、それによって周囲の人々も幸せになりやすくなること、そして結果的に仕事のパフォーマンスも向上する可能性が高まるということを、新入社員研修などで共有しています。

自分の強みを知る→幸福度アップ

先ほど少し触れました「自分の強みを知る」という項目は、ポジティブ心理学の分野でも自分の幸福度を高める方法として重要視されています。これに関連して、現代経営学の発明者と称されるピーター・ドラッカー博士の名言をご紹介したいと思います。

ドラッカー博士は「人のマネジメントとは、人の強みを発揮させることだ」と述べています。つまり、マネジメントとは社員一人ひとりの強みを引き出し、それを最大限に活かすことだということです。また、ドラッカー博士は「組織の目的は、その強みを生産に結びつけ、その弱みを中和することだ」とも述べています。このように、強みに着目することは、心理学的にも経営学的にも非常に重要だと言えます。

しかし一方で、人は自分の強みを自分で認識しにくいという現実もあります。なぜなら、それは自分にとって当たり前にできていることが多く、他者から見ると素晴らしい能力であっても、自分自身では気づかないことが多いからです。そのため、研修の中でお互いに「あなたのいいところはここだよね」「◯◯さんの強みはここだと思う」といった形でフィードバックし合うことが効果的です。また、巷には強みを診断するテストなどもありますので、そういったツールを活用するのも一つの手です。

ビジョン共通化シート

さらに、先ほどお話ししました「ビジョン共通化シート」も重要です。これは、個人のビジョンと組織のビジョンの重なる部分を増やしていくことを目指したものです。このシートを共有することで、「なぜこの方向に進むのか」という理解を深め、共通の方向性を持つことができます。

しかし、私自身の失敗談もあります。若い社員に「ビジョンを考えよう」「目標を持とう」と促しても、なかなか共感を得られなかったり、お説教じみた伝え方をしてしまったりしたことで、逆に反発を招いてしまうことがありました。特にお説教のような形になってしまうと、若い方々は心を閉ざしてしまいがちです。この反省から、現在ではお説教はやめて、代わりにお得になる心理学の実験結果やデータを活用するようにしました。

具体的には、「目標を設定し、計画を立て、努力を続けることがいかに『お得』なのか」を心理学の実験結果を通じて伝えるようにしています。

例えば、「目標を紙に書くことの有効性」について、ハーバード大学で1979年から10年間にわたり実施された有名な研究があります。この研究では、ある学生グループの中で目標を紙に書き出していた学生は、わずか3%しかいませんでした。しかし、10年後、その3%の学生の平均年収は、目標を書かなかった残りの97%の学生の約10倍に達していたのです。このように、目標を紙に書き出すだけで、大きな違いが生まれることを示しています。

このエピソードを通じて、目標を持つことの大切さを伝える際に、ただのお説教ではなく「目標を持ちましょう」「ビジョンを一緒に作りましょう」という呼びかけをすることが大切です。

ちなみに、これは心理学で「プライミング効果」と呼ばれる現象にも関連しています。プライミング効果とは、先に知覚した情報が、その後の認識や行動に影響を与えるというものです。目標を書き出すことが、その後の行動にポジティブな影響を与えるという考え方も、このプライミング効果の一例です。したがって、「一緒にビジョンを考えましょう」「目標を持ちましょう」ということを伝えやすくするための有効な手段となります。

次に、「記録をつけることの有効性」として、アメリカの主要な健康保険システムの一つであるカイザーパーマネンテが実施した研究によると、1700人を対象に行った調査において、食事の内容を記録した人々は記録を行わなかった人々に比べて、体重減少の成功率が2倍だったとされています。この結果から、記録をすることで客観的に状況を把握し、改善することが可能であることが示されました。これを「レコーディングダイエット」と呼び、食事の記録を継続することでダイエット効果が高まるという理論です。

ビジョンや目標を書き込むためにカードを活用することも有効であり、例えば1日1回目標を確認し、その達成状況を丸でつけることができます。1ヶ月間で31日間の丸をつけることを目標にするなど、記録をつけるための手段として利用されています。勉強の進捗を記録するために写真を用いる方法も紹介されていますが、自由にアレンジして活用していただければと思います。

さらに、「やる気をコントロールする工夫の有効性」について、スタンフォード大学のロバート・サポロスキー博士による研究によると、やる気は脳から分泌されるドーパミンという物質によってもたらされるとされています。興味深いことに、ドーパミンは報酬を実際に得る時ではなく、報酬が得られると期待した時に分泌されることが分かりました。したがって、報酬を期待する仕組みを作ることで、やる気やドーパミンをコントロールすることが可能であると考えられます。この研究には猿を使った実験も含まれており、詳細はインターネットで確認できます。

最後に、これらの実験結果を総合すると、目標や計画を紙やカードに書いて持ち歩いたり、壁に貼ったりする方法が有効であることが分かります。例えば、作業時間ごとに記録をつけることで、記録することが楽しくなり、目標達成に近づく喜びを感じることができます。また、作業の反復回数を記録する方法など、様々な方法が考えられます。これらの方向性は新入社員の研修などでもお伝えしています。

新入社員さんの定着率アップアイデア

このパートでは、新入社員の定着率を向上させるためのアイデアについてお話しします。多くの企業から、「もう少し努力すれば仕事の魅力が伝わるのではないか」という相談が寄せられています。そのため、さまざまな企業の事例をもとに、どのような取り組みが行われているかを13点ほど紹介させていただきます。ただし、これが唯一の正解というわけではなく、全てを実施していただきたいという趣旨ではありません。

新入社員さんの定着率アップアイデア
新入社員さんの定着率アップアイデア

この中で1つまたは2つでも自社に合いそうなアイデアがあれば、ぜひ実験的に試してみていただければと思います。

例えば、新入社員のサポート担当者を指名する方法があります。若い方は「何でも聞いていい」と言われても、実際には聞かないことがよくあります。そのため、特定の先輩をサポート役として指名し、「A君のお世話役はB先輩だから、どんどん質問してみてください」と明確にすることで、質問しやすくなる場合があります。このように、お世話役を設ける企業も増えています。

また、社内で新入社員を応援する雰囲気を作ることも重要です。例えば、コミュニケーション促進の施策や資格取得を支援する制度を導入することが考えられます。建設業などでは、多くの資格が求められ、資格取得が現場に入るための条件となるため、若い社員のモチベーションを高めるために資格取得を奨励する制度を設けることが効果的です。資格を取得することで自己肯定感が高まり、仕事に対する意欲も向上し、結果として定着しやすくなります。このような資格取得応援制度を導入することも、定着率向上のための有効な方法です。

私自身も背中を見せることの重要性を感じており、顧問先の企業様から「毎月藤堂先生の研修を受けているものの、先生が資格を取得していないじゃないか…」と指摘されると難しさを感じます。そのため、私自身も第2種電気工事士や消防設備士の資格を取得し、実践してきました。これが、若い社員に対する励ましとなっています。私が取得したことを示すことで、「藤堂先生でも取れるなら、自分もできるかもしれない」と思ってもらえることがあります。また、何度も挑戦し続けた経験を共有することで、「失敗しても大丈夫だ」と安心感を与え、挑戦する姿勢を促しています。

さらに、褒める制度や頼りにする制度を設けることも有効です。頼りにされることでモチベーションが高まる人もいるため、そのような制度を整えることも考えられます。仕事の面白さを伝えるために、業務に関連する映画やドラマ、漫画、ゲームアプリを活用するのも一つの方法です。

また、3年間の教育プランを作成し、入社時から3年間の計画を示すことで、若い社員に安心感を与えることができます。例えば、3年間勤務達成後にお祝い会を開催したり、日々の活動の写真を撮ってアルバムにまとめたりする方法もあります。さらに、社員のご家族に感謝の手紙を送るなどの方法もあり、例えば「A君は3年前に入社し、着実に成長し、今では立派な社員として我が社を支えてくれています」といった手紙をお父様やお母様に送る社長もいらっしゃいます。

このように、様々なアイデアを駆使して定着率を向上させる方法は無限にあると考えます。以上が定着率向上のための取り組みについてのパートです。

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執筆者

弁護士 / 中小企業診断士 藤堂 武久

2008年 弁護士登録
2013年 独立開業
2013年 中小企業診断士

登録弁護士として活動を開始したが、多くの人々が手遅れになってしまっており、役に立てないケースを多く経験した。
トラブルを予防し未然に防ぐ活動をすべく、中小企業診断士として、情報発信活動、講演・研修、経営相談業務に携わる。
労働問題に携わっていたことから、関連して、人財の採用・定着・育成に携わるようになる。

延べ講演・研修回数635回超
延べ受講者数14,251名超
延べ経営相談回数572回超 (2023年4月末時点)

・取得資格
心理学検定1級
消防設備士(甲1)
第2種電気工事士
2級建築施工管理技士補
マンション管理士
管理業務主任者
宅地建物取引士
行政書士

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