助成金と補助金の違いとは?~販路開拓や新規事業などへの活用方法~
加藤 健二
中小企業診断 /
健康経営アドバイザー
FinancialProduce 代表
財務、税務会計、事業計画、法人設立、M&A、創業支援(資金調達等)、事業承継など幅広く携る。
現在は中小企業経営者様の支援に注力。
ビジネスや個人の経済活動をサポートするために、政府などから提供されるさまざまな支援制度が存在します。
皆さんは、「助成金・補助金・給付金」という言葉を聞いたことがありますか?
これらの言葉は混同されがちですが、実はそれぞれ異なる特徴があります。
今回は、これらの支援制度の違いを解説し、どの状況でどれを利用すべきかについて考えてみましょう。
「助成金」って何?
助成金とは?
助成金は、国や地方自治体などから事業者に対して雇用関係や研究活動などを支援するために提供される資金です。その中で厚生労働省から支給される助成金は、主に雇用関係を支援するための資金として提供されており、雇用保険適用事業所の事業主が利用できます。
※なお、民間の助成金は、補助金との支給条件や審査プロセスなどが類似しており、混同しやすいことから、本コラムでは主に厚生労働省からの助成金に焦点を当てて説明しています。
どんな助成金があるの?
さまざまな種類があるのですが、ここでは3つだけご紹介します。
名称 | 内容 |
雇用調整助成金 | 景気などの経済上の理由で業績が悪化した事業主が従業員の雇用を維持するために一時的な雇用調整に要した費用を助成する制度です。 |
キャリアアップ助成金 | 非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善を実施する事業主を助成する制度です。 |
人材開発支援助成金 | 従業員に職務に関連するスキルを習得させるための訓練等を実施する際、賃金の一部を助成する制度です。 |
※詳しい内容は各種公募要領等をご確認ください。
「補助金」って何?
補助金とは?
補助金は政府や地方自治体などの政策に基づいて事業者の活動を支援するために提供される資金です。これは新規事業や事業拡大、営業強化などを促進するための資金として提供されます。また、国の補助金は、主に中小企業・小規模事業者に焦点を当てています。
※なお、本コラムでは主に経済産業省からの補助金に焦点を当てて説明しています。
どんな補助金があるの?
さまざまな種類があるのですが、ここでは3つだけご紹介します。
名称 | 内容 |
事業再構築補助金 | 新分野展開や業態転換などの事業再構築を行う中小企業等を支援する制度です。 |
ものづくり補助金 ※正式名称「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」 | 生産性向上のために革新的なサービス開発、生産プロセス改善などの設備投資等を行う中小企業等を支援する制度です。 |
小規模事業者持続化補助金 | 持続的な経営をするために経営計画を立て、販路開拓などの取組みを行う小規模事業者を支援する制度です。 |
※詳しい内容は各種公募要領等をご確認ください。
「給付金」って何?
給付金とは?
給付金は、政府や地方自治体から個人や事業者に支給される金銭的な支援のことです。
通常は、特定の条件や資産制限などの要件を満たす必要があります。
また、基本的に給付金は特定の目的に使うことが指定されていないため、受け取った人々が自由に使うことができます。
どんな給付金があるの?
さまざまな種類があるのですが、ここでは3つだけご紹介します。
名称 | 内容 |
持続化給付金 | 新型コロナウイルスの影響で大きな影響を受ける事業者の事業継続などを支援するための制度です。申請期限は2021年2月15日でしたので現在は終了しています。 |
家賃支援給付金 | 新型コロナウイルスの影響で大きな影響を受ける事業者の地代・家賃を軽減するための制度です。申請期限は2021年2月15日でしたので現在は終了しています。 |
住居確保給付金 | 離職等に伴い収入が減少して、家賃支払いに困っている方々を支援する制度です。 |
※詳しい内容は各種公募要領等をご確認ください。
補助金・助成金に関する業務も担当。税理士の繁忙期はいつ?|アカウントエージェント
共通点及び相違点は?
まずは比較一覧表をご覧ください。
助成金・補助金・給付金の比較一覧表(2023年9月末時点)
助成金 | 補助金 | 給付金 | |
対象者 | 事業者 | 事業者 | 事業者・個人 |
交付元 | 主に厚生労働省 | 主に経済産業省 | 主に国及び地方自治体 |
支給金額 | 数万円~百万円程度 | 数万円~数億円程度 | 数万円~数十万円程度 |
補助率・助成率 | 一定額or1/2~2/3(上限額あり) | 1/2~2/3(上限額あり) | 一定額(上限額あり) |
給付条件 | 要件を満たせば受給 | 要件をクリア+審査で採択 | 要件を満たせば受給 |
事業計画書 | 不要 | 必要 | 不要 |
公募期間 | 通年が多い | 1~3か月程度 | 数か月から1年程度 |
入金時期 | 後払い | 後払い | 先払いが多い |
返済義務 | なし | なし | なし |
※上記表は基本的なものであるため、その助成金等の種類によっては異なる場合があります。そのため各種公募要領等をご確認ください。
比較一覧表をもう少し詳しく解説
対象者
補助金や助成金は通常、事業者を対象としていますが、給付金は事業者だけでなく、個人が対象のものも多くあります。
また、同じ事業者でも、補助金の場合には大企業が対象となることは少なく、主に中小企業・小規模事業者が対象となります。助成金の場合は大企業と中小企業で支給金額が異なることがあり、中小企業・小規模事業者だけが対象とされることもあります。
なお、厚生労働省からの雇用関係の助成金の受給対象者は、雇用保険適用事業所の事業主となっています。
交付元
雇用関係の助成金は通常、厚生労働省が管轄であり、申請と支給は、都道府県労働局と連携して行われています。
一方、経済産業省が管轄する補助金は、経済産業省自体や、経済産業省が管轄する独立行政法人、中小企業庁などが申請と支給を行っています。さらに経済産業省以外にも民間団体や地方自治体などが様々な補助金を提供しています。
給付金に関しては、主に国や地方自治体などが特定の目的に対する支援や経済的な援助を提供するために、給付金制度を設計および実施しています。
支給金額
厚生労働省からの助成金は、雇用の促進や能力開発を支援するために提供されており、通常は数万円から百万円程度となっています。
一方、経済産業省の補助金は、多くの場合、高めに設定され、その具体的な支給額はプロジェクトの性質や規模に依存し、数万円から数億円のものもあります。
また、給付金は補助金に比べると少なく、数万円から数十万円程度が一般的です。
※実際の金額は各種公募要領等をご確認ください。
補助率・助成率
補助率・助成率は、その種類によって異なりますが、助成金の場合、一般的に一定額または対象経費の1/2~2/3が支給されます。補助金では、一般的に対象経費の1/2~2/3が支給されます。一方、給付金は通常、一定額が支給されます。
なお、通常は助成金、補助金、給付金には支援金の上限額が設定されており、支給される支援金の最大額が規定されています。
※上記は一般的な補助率などです。条件等によっては3/4まで補助率が引き上げられたりするなど支給の幅が違うこともあります。詳しくは各種公募要領等をご確認ください。
給付条件・事業計画書
通常、助成金と給付金は申請要件を満たせば、資金が提供されます。しかし、補助金は競争形式で提供されます。そのため支援を受けるためには、まず申請要件を満たし、事業計画書などの書類を作成し、最終的に審査で採択される必要があります。なお、審査では、評価の高い順に採択者が選ばれます。
公募期間
助成金の公募期間は、国や地方自治体などの提供機関によって異なりますが、厚生労働省の多くの助成金は、基本的には通年で申請を受け付けています。
補助金の公募期間は補助金の提供元やプログラムの運営機関によって異なりますが、経済産業省の補助金の公募期間の多くは1~3か月程度です。
給付金の公募期間は、制度によって異なりますが、大体は数ヶ月から1年程度となっています。
入金時期
一般的に、助成金と補助金は後払いで支給されており、事業者はまず経費などの支出を行い、その後に資金が入金されます。実際に入金されるまでの期間はさまざまですが、短くても3カ月、長い場合には1年以上かかることもあります。
一方、給付金は価格等高騰対策給付金等のように過去データなどに基づいて申請し、事前に資金を受け取る先払いが多く導入されています。
※詳しくは各種公募要領等をご確認ください。
返済義務
助成金・補助金・給付金は返済の必要はありません。
ただし、当然ですが、不正受給などの場合は返還が求められるだけでなく、厳しい罰則なども課せられる可能性があります。
今までのご説明で、何となく、助成金・補助金・給付金の違いがイメージできましたでしょうか?
助成金、補助金、給付金の申請にはお時間がかかる場合がありますので、申請を考えている場合は早めに行動を起こすことが大切です。
さらに、それぞれの支援プログラムの公募要領などが異なるため、詳細な情報を確認し、要領に従って申請手続きを進めることが必要です。
計画的な行動と情報収集が、助成金や補助金などを利用する際の成功の鍵となります。
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