連続起業家が語る成功し続ける秘訣!Part3 高付加価値化の秘訣とは?

登壇者
株式会社福水戸家 代表取締役 一般社団法人パラレルキャリアマネジメント協会 代表理事 磯部 一郎のプロフィール写真

磯部 一郎
経営者

株式会社福水戸家 / 株式会社福水戸家ホールディングス 代表取締役
一般社団法人パラレルキャリアマネジメント協会 代表理事

プログラマーとしてIT企業に入社。独立し大手企業向けの業務システム開発事業を実施後、上場企業に株式譲渡。立ち上げに関わった法人は15社。ゼロイチ起業から売上高10億円までのスケールアップ経験がある。企業・事業の買収・合併・譲渡や持株会社や合弁会社の設立など、経営者としての経験も豊富。

本シリーズは五部制で、上記の動画は「Part.3」です。

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目次

はじめに

渡邊社長

本日は、起業家兼経営コンサルタントの磯部さんに「価値の創造」についてお話しいただきます。具体的には、どのようにして価値を作り出すかについて、ご自身の経験に基づいてお話しいただきます。

付加価値を作る

磯部 一郎

物を単に物として売るという方法、例えば「コーヒーを100円で売る」といったアプローチは、大手企業では有効かもしれません。
しかし、私はスモールビジネス専門のコンサルタントとして、もっと深い「価値の創造」を重視しています。

磯部 一郎

「コーヒーを単なる飲み物」として販売するのではなく、「居心地の良い空間」を提供することで価値を創出します。この価値が合わない場合は、コンビニでコーヒーを購入すれば良いのです。
それでもスターバックスが繁盛しているのは、顧客がその提供する価値を求めているからです。
このように「高付加価値」を提供するためには、自分自身がその価値を理解し、顧客に提供する立場である必要があります。

ゴルフを始めるのに30万円かかった。高いのか?

磯部 一郎

例えば、ゴルフを始めるのに30万円かかったとします。
この金額が「高い」と感じるかどうかは、その後の結果によって変わります。もしゴルフを始めた結果、取引先とゴルフを楽しむ機会が増え、大型案件を獲得できた場合、この30万円は「高くない」と感じるでしょう。つまり、価値と価格は常に相対的であり、価格だけを見て「高い」と判断するのは適切ではありません。
普段からこのような視点を意識することが重要です。

真夏のフェスでビールを飲んだ。1杯目と3杯目はどちらが高いのか?

磯部 一郎

また、真夏のフェスや野球場でビールを1杯1000円で購入する場合、コンビニや酒屋で購入するビールより高いのは確かです。
しかし、そのビールを飲みながら楽しむ体験価値は価格以上の価値があるかもしれません。
逆に、同じビールを何杯も飲むうちに、その価格に対して敏感になることもあります。
このように、価格と価値の関係を理解し、状況に応じて適切に判断することが大切です。

磯部 一郎

アメリカでは「ダイナミックプライス」という価格設定が一般的です。
ダイナミックプライスとは、環境や状況に応じて価格が変動することを指します。実際には、ビールの価格が1杯目、2杯目、3杯目で変動するわけではありませんが、この考え方が基本となります。
例えば、ビールの1杯目が1800円、2杯目が1000円、3杯目が300円と下がっていき嬉しい反面、4杯目以降は50円でも要らないと思うようになることから、価値と価格は変動するのです。
これは、提供される価値に応じて価格が変わるという概念を示しています。

磯部 一郎

また、嵐のコンサートがある際にアパホテルが宿泊料金を3万円に引き上げた場合、国内では「誰がそんなに高い料金で泊まるのか」といった批判の声が上がることがあります。
しかし、私が皆さんに伝えたいのは、同じようにダイナミックプライスでアパホテルが3万円の料金を設定しているのは、それだけの価値があると感じて宿泊する人がいるからです。

磯部 一郎

価格が高いと感じるかどうかは、その価格に見合う価値が提供されているかどうかによります。つまり、価格が高いからといってただ批判するのではなく、その価格に見合った価値が本当に存在するのかを認識しなければなりません。
私自身は、3万円のアパホテルのような高価なサービスを提供するビジネスを目指すべきだと考えています。コンサルティングを行っている中で、価格ではなく、どのようにしてその価値を創造できるかに焦点を当てるべきだと思います。

居酒屋で一流サービスを受けられなかったと怒る客がいた。何がおかしい?

磯部 一郎

居酒屋で一流のサービスを受けられないと不満を抱くお客様がいますが、その点について考えてみると、いくつかの問題が見えてきます。
特に私自身、部下や関係者と居酒屋に行く際に、社長の私のビールが遅れて届くと、部下が「ビールはどうなっているんだ!?」と店員に怒る場合があります。このような場合、私は部下の言動を抑制するのですが、それにはいくつかの意味が含まれています。
一つは、暴力団の組織ではないため、親分・子分のような関係での指示をするのは適切でないという点です。もう一つは、ビールが遅れて出て来ることを怒る人は、居酒屋のサービスを理解していない人だという点です。

満点のサービスはあり得るのか?

磯部 一郎

サービスについて考えると、例えばリッツカールトンのホテルは満点のサービスを提供していると評価されることがあります。
品質やスピード、言葉遣いなどすべてが完璧であるとされますが、その代償として価格は非常に高いのが現実です。
価格だけが一つ星で、他の要素が五つ星であっても、全体として「満点」ということはあり得ないのです。サービス設計においては、何を削るかが重要な要素となります。

磯部 一郎

居酒屋においては、全てのサービスを完璧にするのではなく、例えばすぐにビールを提供するサービスを省略することで、安価で美味しく、居心地の良い空間を提供しています。このようなサービスの設計においては、何を削り、何を重視するかが決まります。

磯部 一郎

また、部下が不満を持たないような店に行きたければ、そのような一流のサービスを受けられる場所に行けばよいわけです。
ただし、それが何故起こるのか、どのようにサービスが設計されているのかを理解することが重要です。主観的な評価だけでなく、サービスの引き算やデザインを意識することが、経営センスを養うためには必要です。

したがって、お金を持っているからといって高級店にだけ行くのではなく、あえて立ち飲み屋に行ったり、流行している店を訪れたりすることで、サービスの設計やデザインについて学ぶことが重要です。
世の中の様々なサービスを見て回り、自分のビジネスに活かす感覚を磨くことが大切です。

携帯電話を1万円仕入れました。いくらで売りますか?

磯部 一郎

携帯電話を1万円で仕入れた場合、いくらで売るべきかという問題について考えてみましょう。例えば、1万2000円や1万3000円といった価格設定がありますが、その価格の決め方にはいくつかの方法があります。

磯部 一郎

原価から決める方法
原価が1万円の場合、利益を30%上乗せして1万3000円で売るという方法です。このアプローチは直感的でシンプルですが、必ずしも最適な価格設定ではありません。

磯部 一郎

競争相手との比較から決める方法
例えば、隣の携帯電話店が1万4000円で販売している場合、自店では1万3000円に設定するという方法です。競争に基づく価格設定ですが、市場の動向を常に把握する必要があります。

磯部 一郎

お客様の価値から決める方法
これは私が推奨する方法です。携帯電話そのものではなく、お客様にとっての価値に基づいて価格を設定するというアプローチです。
例えば、携帯電話に特別な機能がついている場合や、特定のアイドルが使っていたものであれば、通常の価格よりも高く設定できるかもしれません。お客様の価値を理解し、それに見合った価格をつけることで、より高い価格で販売することが可能です。

磯部 一郎

このように、価格設定は単なる数字ではなく、提供する価値と密接に関連しています。普段から自分がどのような価値にお金を払っているのかを考え、その価値をどのように提供できるかを意識することが重要です。
そうすることで、単なる価格の設定ではなく、お客様にとっての価値に基づいた価格設定が可能になります。

まとめ

磯部 一郎

総括として、価値と価格は相対的なものであるため、無意識に「高い」と感じる癖を改め、価格設定に対する意識を常に持つことが大切です。

渡邊社長

普段から経営者の方々は、街中に出かけて居酒屋やコンビニ、店舗を訪れる際にも、自然と計算をしています。例えば、客単価や価格設定などを無意識に考えることが多いです。
このように常にアンテナを張っているからこそ、新たなビジネスチャンスを見つけやすくなるのですね。
今日は、価値を作るというテーマでお話を伺いました。


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執筆者

磯部 一郎
株式会社福水戸家 代表取締役
株式会社福水戸家ホールディングス 代表取締役
一般社団法人パラレルキャリアマネジメント協会 代表理事

芸者の置屋の息子として、日本橋人形町に生まれる。
大学卒業後、プログラマーとしてIT企業に入社。26歳で共同起業し、大手企業向けの業務システム開発事業を開始。37歳のときに悪性リンパ腫を発病し、上場企業に株式譲渡する。

その後、9度の再発・骨髄移植・右眼失明・余命宣告などを乗り越え奇跡的に生還。闘病中にメディア事業とコワーキングスペース事業、コンサルティング事業を開始。現在は株式会社福水戸家ホールディングスに経営統合。スモールビジネス向けの戦略コンサルティング事業に専念。

立ち上げに関わった法人数は15社にのぼり、ゼロイチ起業から売上高10億円までのスケールアップ経験がある。企業・事業の買収・合併・譲渡や持株会社や合弁会社の設立など、経営者としての経験も豊富。過去にはオンラインサロン・法人向け有料勉強会の運営や、ITによる町内会の活性化を成功させるなど、コミュニティ運営にも定評がある。

2021年3月には著書「生き急ぐ」を出版。

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