連続起業家が語る成功し続ける秘訣!Part1 起業・スケール化・M&A・再起業の軌跡

登壇者
株式会社福水戸家 代表取締役 一般社団法人パラレルキャリアマネジメント協会 代表理事 磯部 一郎のプロフィール写真

磯部 一郎
経営者

株式会社福水戸家 / 株式会社福水戸家ホールディングス 代表取締役
一般社団法人パラレルキャリアマネジメント協会 代表理事

プログラマーとしてIT企業に入社。独立し大手企業向けの業務システム開発事業を実施後、上場企業に株式譲渡。立ち上げに関わった法人は15社。ゼロイチ起業から売上高10億円までのスケールアップ経験がある。企業・事業の買収・合併・譲渡や持株会社や合弁会社の設立など、経営者としての経験も豊富。


本シリーズは五部制で、上記の動画は「Part.1」です。

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目次

はじめに

渡邊社長

本日は、起業家であり、現在は経営コンサルタントとしてもご活躍中の磯部さんにお越しいただいております。
磯部さんは、若い頃に起業された会社を7年前に売却し、その後も様々な事業に携わりながら、経営コンサルタントとして起業家や創業者の支援を積極的に行っています。
本日は、その経営の秘訣についてお話を伺いたいと思います。
ではまず、簡単に自己紹介をお願いいたします。

自己紹介

磯部 一郎

磯部一郎と申します。
起業家、経営コンサルタントとして活動しており、株式会社 福水戸家というスモールビジネス専門の戦略コンサルティングファームを運営しております。
私たちは1人から15人規模のビジネスを「スモールビジネス」と定義し、その成長の鍵は何をするかではなく、経営者の意識にあると考えています。意識改革こそが戦略であり、そのためのコンサルティングを提供しています。
意識改革から戦略を立て、実行し、結果が見え始めた段階で「価値創出」を目指します。これは、単に物を売るのではなく、体験を提供することでより高付加価値のビジネスを実現するという考え方です。
スモールビジネスの多くは低価格競争に陥りがちですが、私たちはその失敗を防ぐためのコンサルティングを行っています。

磯部 一郎

また、一般社団法人パラレルキャリアマネジメント協会の代表理事も務めています。
この協会では、中小企業の経営者に対してパラレルキャリアの推進を図っています。多くの経営者は副業に否定的ですが、現代では個人が独立してキャリアを築くことが求められています。
私たちは、本業をやめることを勧めるのではなく、クロスオーバーキャリアの一部として本業を再評価することを推奨しています。そのためには、社内だけでなく社外にも目を向け、独立した場合に何ができるのかを一度考えてみることが重要です。
これにより、再び本業を見つめ直すことで、人材育成にもつながると考えています。このような考え方を中小企業の経営者に広めるため、協会の運営を行っております。

経歴

磯部 一郎

私の経歴についてご紹介します。
まず、私が運営する「(株)福水戸家」というコンサルティング会社の名前ですが、少しユニークです。
私は東京都中央区日本橋人形町で生まれ育ちました。人形町はかつて芸者の街として栄え、芸者の置屋、今でいうシェアハウスのような場所が存在していました。私が幼少期の頃には、そのような文化が残っていましたが、大学卒業時にはバブルの崩壊により街の風景は一変しました。
現在では、イベントで芸者が数人ほど見られる程度で、かつては400人ほどいた芸者たちの姿はほとんどなくなりました。

磯部 一郎

私の就職は、芸者とは関係なく、ITバブルが崩壊するかどうかという時期にプログラマーとして始まりました。東京都大塚にあるシステム会社に就職し、約2年半勤めました。
そして26歳の時、18歳年上の先輩と共同で起業することを決意し、システム開発会社を立ち上げました。この会社の運営は決して平坦ではなく、広告代理店の先輩経営者に資本を投入してもらうなど、多くの試行錯誤を重ねました。

磯部 一郎

約10年の経営の末、37歳の時に血液癌である「悪性リパ種」を患いました。1年間の闘病生活を送りながらも経営を続け、当時共同起業した先輩は既に退任しており、私が会社を率いていました。
社員たちは「社長を支えよう」という気持ちで頑張ってくれましたが、病気の進行は厳しく、これまでに11回再発し、ガンサバイバーとして講演活動も行っています。
しかし、一度で完治することはなく、再発を繰り返す中で、このまま経営を続けるのは難しいと感じました。

磯部 一郎

その結果、エンジニアの人材価値が非常に高かったため、上場企業に会社を売却することになりました。
よく「成功して上場企業に売却した」と紹介されることがありますが、私自身は苦しい経験として捉えています。
ただ、上場企業への売却経験は、現在の経営コンサルティングや自身の経営において活かされています。

磯部 一郎

その後も体調に応じて投薬治療を続けており、半年から1年に1〜2回は入院を余儀なくされる生活ですが、その合間に新規事業を起こしています。
例えば、妻が主導してネイルサロンを開業したり、コワーキングスペースの運営に取り組んだりしました。
コワーキングスペースは現在では一般的になっていますが、2017年から2018年当時はまだその概念が広まっておらず、賃貸物件を借りて先駆けて始めた事業でした。

磯部 一郎

その後、私は日本橋でコワーキングスペースを開業しました。
当初は、起業家たちの交流の場を作りたいという目的で運営していましたが、不動産デベロッパーや投資家が関わるようになり、異なる目的で利用されることが増えました。
その結果、運営が難しくなり、惜しくも撤退することになりました。コワーキングスペース事業は昨年に整理し、終了しました。

磯部 一郎

その他にも、私は病床でもできる仕事としてWebメディア事業に着手しました。Webメディアは売買されていることが多く、最初に会社を売却した際の資金を用いて事業M&Aとして買収し、育成していく形で展開しました。
コンテンツビジネスとして、ペットの動画を集めて紹介するサイトを運営し、大手ニュースサイトにコンテンツを提供しながら広告収入を得るというモデルを構築しました。
このように、様々な事業を立ち上げてきました。

磯部 一郎

現在は、コンサルティングファーム「(株)福水戸家」を中心に、これまでに手掛けた事業を整理し、統合しています。
仲間と株を持ち合いながら、これらの事業をひとつの会社にまとめて、持株会社「福水戸家ホールディングス」を設立し、現在に至ります。

実績

磯部 一郎

私のこれまでの実績としては、自ら設立した企業や友人の立ち上げ支援も含めて、15社に関わってきました。
得意分野としては、ゼロから年商10億円にまで成長させることです。最初に作った会社も、年商10億円を超えるかどうかの規模まで成長しましたが、私自身は代表取締役会長として経営に関わり、ピーク時には社員数も80名ほどになりました。ただ、実際に社長としては年商3億5,000万円ほどまで育てることが一番得意です。
その後、私が会長職に就いて他の社長にバトンタッチしたところ、わずか2年で年商10億円に到達しました。このような事業拡大の経験やM&Aの経験も豊富です。

磯部 一郎

また、体調の問題もあり、自分が会社を売却する際には、他の社長を立てる必要がありました。その際、友人が経営する小規模な会社を買収し、売却する際にその買収金額を売却先に含めるなど、キャッシュフローの調整を行いながらM&Aを実行しました。こうした複雑な経営戦略の経験も、私の強みです。
その他にも、メディア事業の買収やM&Aに携わってきました。これも1年ほど前に売却を終えましたが、メディア関連のM&A経験も豊富です。
また、合弁会社やホールディングスカンパニー、一般社団法人の設立など、株式会社以外の多様な法人を立ち上げた経験もあります。

磯部 一郎

さらに、少し異なる取り組みとして、日本橋人形町の町内会の改革にも関与しました。
私が生まれ育った日本橋人形町は、東京都中央区に位置し、近年では人口が増加しています。2010年代には人口が2倍以上になったこともありました。
このような急激な人口増加の中で、地域社会のつながりが薄れつつあり、防犯や防災などの街の機能が低下する懸念が生じました。

磯部 一郎

地域のつながりが失われることを懸念し、マンションの新しい住民をどう取り込むかという課題に対して、私はITの力や会社経営のノウハウを活用し、町内会のオープン化を推進しました。
情報をより広く共有し、地域社会に開かれた場作りや媒体の整備を進めました。その結果、町内会の運営メンバーは3倍に増加し、地域活動が盛り上がりました。
この取り組みは、東京都中央区内でもモデル地区として評価され、他の町内会のリーダーたちが区役所での講演に招かれるなど、地域社会への意識改革をリードしてきました。

磯部 一郎

また、意識改革の分野にも多く携わってきました。
意識改革にはさまざまな種類があります。
例えば、営業職の方が戦略立案に苦手意識を持っている場合や、自分の会社の軸を決めるのが難しいと感じている場合、営業で成果を出すのは得意だが数字の管理が苦手な場合など、個々の課題に応じて適切な支援を提供しています。
特に、1人企業や小規模ビジネスでは情報発信が重要ですが、発信に対する心のブレーキが課題になることもあります。
こうした偏った意識やスキルを改善し、情報発信を戦略的に進めるなど、個々の課題に合わせたアプローチを行うことが得意分野です。

磯部 一郎

前回も少し触れましたが、「価値創出」という視点についてお話しします。
例えば、コーヒーを売る際、単にコーヒーそのものを売るだけでは物売りビジネスにとどまります。しかし、スターバックスが成功した理由の一つに、コーヒーの品質だけでなく、居心地の良い空間という付加価値を提供している点があります。これにより、コーヒー自体の価格以上の価値を顧客に提供し、ビジネスを拡大しています。

磯部 一郎

個人で起業する場合も同様で、単なる価格競争に巻き込まれるのではなく、自分なりの価値を創出し、それをブランディングしていくことが重要です。差別化を図り、付加価値を提供するビジネスモデルを構築することが求められます。
このような視点から、私はブランディングとコンサルティングを融合したサポートを提供しています。具体的には、ビジネスモデルそのものの設計や改善、社員教育や意識改革、仕組み作りなど、企業の規模や状況に応じたカスタマイズされたアプローチを行います。

磯部 一郎

また、現代におけるブランディングの本質についても強調しています。
昭和や平成の時代には、外見をデザインし、いかに見栄え良く見せるかがブランディングの主流でした。これは、マスメディアが情報発信の中心だったからこそ有効だった手法です。
しかし、現在はSNSの普及により、誰もが自由に情報を発信・共有できる時代です。そのため、外見だけでなく、実際にどのような内容を発信するかがブランド価値に大きく影響します。ハリボテのような見せかけだけのブランディングでは逆効果になることも多いのです。

磯部 一郎

したがって、私のコンサルティングでは、何を発信するか、その発信内容そのものがブランディングであるという視点を大切にしています。
コンテンツ作りにおいても、誰に対して何を伝えるのかという点を重視し、それがブランディングの本質だと考えています。
もちろん、ホームページやロゴデザインなど、従来のブランディング要素も重要ではありますが、発信内容がブランディングそのものであるという視点でサポートしています。

病気と経営の経験を人に伝える活動

磯部 一郎

私のプライベートな活動の一つとして、病気と経営の経験を通じて学んだことを伝える活動を行っています。
私は闘病生活を8年続ける中で、10回(実は11回)再発しており、いつ終わりが来るか分からないという状況で生活しています。
現在もステージ4の状態であり、常に「死」を意識するようになりました。この状況を私は「死のトンネル」と表現していますが、常に死が見えることで、ハツラツとした気持ちを持ち続けるのが難しくなることがあります。
それでも絶望に飲み込まれず、「いかに幸せに生きるか」という私なりのハッピーサバイバル術を見出すことができました。

磯部 一郎

それは、命の最後を意識するからこそ、今を大切にするという生き方です。過去を振り返っても仕方がなく、未来に不安を抱くよりも、今を生きることに注力するという考え方です。
私はこの生き方を「生き急ぐ」と表現しています。ただし、ここでいう「生き急ぐ」とは、「死に急ぐ」という意味ではなく、今をしっかりと生きるという意味を込めています。
この新しい生き方を提唱し、2021年3月にはその内容をまとめた書籍を出版しました。この活動を通じて、できるだけ多くの人に「生き急ぐ」という生き方を広めたいと考えています。

磯部 一郎

日本はこの20~30年、他の国々に比べて経済的な成長が鈍化し、停滞感が漂っています。私の人生もまた、ここ8年ほどの闘病生活で下り坂を経験しましたが、絶望せずに「今」を意識して生き急ぐことで、可能性を広げることができました。私はこの経験を、日本全体にも広げたいと考えています。
具体的な活動としては、「生き急ぐ」をテーマにした読書会を門前仲町で毎月開催しています。読書会には15~20人が集まり、各自の読書の感想をシェアし、交流を深める場となっています。
また、読者の方々とお茶会を開き、書籍のフィードバックをいただいたり、活動を応援してもらうための意見交換をしたりしています。

磯部 一郎

さらに、「銀座百年大学」というカルチャーセンターで「生き急ぐ講座」を毎月第3木曜日の夜に開講しています。
講演活動とは別に、この講座では「生き急ぐ」ための具体的なメソッドをセミナー形式で提供しています。
講演は人の気持ちを動かすことができる反面、横展開が難しいと感じることがあります。一方、セミナーでは繰り返し学べる形式で、具体的なアクションに繋げることが可能です。
土屋グループという札幌の建築会社が運営するこの銀座百年大学で、正式な講師として、参加者に「生き急ぐ」という生き方を実践的に伝えています。

磯部 一郎

また、「コンサルタント養成講座」を開催しています。
この講座はオンラインで提供しており、すべての受講生がコンサルタントを目指しているわけではありません。
しかし、起業する際には、相談業のビジネスモデルを持つことが有益であり、まさに「転ばぬ先の杖」になると考えています。そのため、受講生には自分のノウハウを元に、どのようにして高付加価値のコンサルティングを行うかについて、私の知識をすべて共有しています。
この講座は毎月2回、土曜日コースと火曜日コースの2種類があり、全12回のプログラムで半年間かけて行います。受講料は月額3万円で、現在50人ほどの受講生が参加しています。

磯部 一郎

また、「生き急ぐ」をテーマにした講演会も定期的に開催しています。講演会は2ヶ月に1回ほどのペースで、場所を選んで行っています。
例えば、銀座シックスではランチを楽しみながら私の話を聞くといったスタイルで行いました。また、最近では人形町で講演を行い、120人ほどの参加者が集まりました。
講演の内容は、私の病気の経験から得た教訓や、価値観の変化などについて語るものであり、経営者や起業家に向けて心の持ち方や考え方の重要性を伝えています。これらの活動を通じて、私が伝えたいのは、どんな状況でも希望を持ち、前向きに生きるための方法です。

渡邊社長

磯部さんの自己紹介が本当に盛りだくさんで、さまざまな活動をされていることがよく伝わりました。
これまでの起業家としての人生、経営者としての経験、コンサルタントとしての活動、そしてガンサバイバーとしての生き方、それらすべてを包括して、次回以降では経営者の心の持ち方や意識、考え方についてさらに深掘りしていきたいと思います。


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執筆者

磯部 一郎
株式会社福水戸家 代表取締役
株式会社福水戸家ホールディングス 代表取締役
一般社団法人パラレルキャリアマネジメント協会 代表理事

芸者の置屋の息子として、日本橋人形町に生まれる。
大学卒業後、プログラマーとしてIT企業に入社。26歳で共同起業し、大手企業向けの業務システム開発事業を開始。37歳のときに悪性リンパ腫を発病し、上場企業に株式譲渡する。

その後、9度の再発・骨髄移植・右眼失明・余命宣告などを乗り越え奇跡的に生還。闘病中にメディア事業とコワーキングスペース事業、コンサルティング事業を開始。現在は株式会社福水戸家ホールディングスに経営統合。スモールビジネス向けの戦略コンサルティング事業に専念。

立ち上げに関わった法人数は15社にのぼり、ゼロイチ起業から売上高10億円までのスケールアップ経験がある。企業・事業の買収・合併・譲渡や持株会社や合弁会社の設立など、経営者としての経験も豊富。過去にはオンラインサロン・法人向け有料勉強会の運営や、ITによる町内会の活性化を成功させるなど、コミュニティ運営にも定評がある。

2021年3月には著書「生き急ぐ」を出版。

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