ものづくり補助金の採択ポイントは?~ポイントとなる指針を徹底解説~
花村 大祐
中小企業診断士
大卒後、工作機械メーカーに勤務し、主に金属加工業を営む中小企業への法人営業に従事。フィールドセールス・マーケティング・プロモーションと幅広いセールス活動を経験。
中小企業診断士登録後は、補助金申請支援をきっかけに、ベンチャー企業の融資獲得のための事業計画策定、営業力向上・WEBマーケティング支援、組織構築、新規店の立ち上げ等の全般的な経営支援に従事。ご縁を大切にする経営支援を目指す。
中小企業診断士の花村です。自社のビジネスをより飛躍させるために、補助金申請&取得を目指すのはいかがでしょうか。
市場ニーズを捉え、自社の強みを活かすこと、また、自社の課題を克服することは企業経営の重要なポイントになります。補助金取得を通して、自社を取り巻く経営環境を整理し、補助金を獲得し、経営のスケール化・ブランド力の向上を目指すことができます。
今回はものづくり補助金の審査項目に記載がある、「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」をテーマに記事を執筆しております。ものづくり補助金に関心のある、特に製造業を営む事業者様に向けた内容となっております。
なお、本記事は「ものづくり補助金公募要領(第16次)」「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」をもとに作成しています。
第16次ものづくり補助金の締切は2023年11月7日となっております。
ものづくり補助金の審査項目について
審査項目には以下の7点があります。
- 補助対象事業としての適格性
- 技術面
- 事業化面
- 政策面
- 炭素生産性向上の取組等の妥当性(グリーン枠)
- グローバル市場開拓の取組等の妥当性(グローバル市場開拓枠)
- 大幅な賃上げに取り組むための事業計画の妥当性(大幅な賃上げに係る補助上限額引上の特例)
今回注目するのは、(2)技術面の項目です。
技術面の項目の記載内容は以下のようになっております。
① 新製品・新サービス(既存技術の転用や隠れた価値の発掘(設計・デザイン、アイデア の活用等を含む))の革新的な開発となっているか。「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」又は「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」に沿った取組であるか。
② 試作品・サービスモデル等の開発における課題が明確になっているとともに、補助事業 の目標に対する達成度の考え方を明確に設定しているか。
③ 課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込まれるか。
④ 補助事業実施のための技術的能力が備わっているか。
①に記載がある「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」が今回の記事のテーマとなります。
「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」とは
本指針には、中小製造事業者の現状と課題、課題解決のための具体的な手法などが解説されており、申請内容に盛り込んでほしいキーワードや事業領域、訴求点が記載されております。
本指針を活用することで、直前でも記事の校正に役立ちますし、一度不採択となった内容を見直す際にもキーワードを盛り込むとより説得力のある申請内容となります。
本指針の内容として、個々の特定ものづくり基盤技術ごとの事項が全部で12項目あり、幅広い製造業・製造技術に対する内容がまとめられています。内容は以下の通りです。
(一)デザイン開発に係る技術に関する事項
(二)情報処理に係る技術に関する事項
(三)精密加工に係る技術に関する事項
(四)製造環境に係る技術に関する事項
(五)接合・実装に係る技術に関する事項
(六)立体造形に係る技術に関する事項
(七)表面処理に係る技術に関する事項
(八)機械制御に係る技術に関する事項
(九)複合・新機能材料に係る技術に関する事項
(十)材料製造プロセスに係る技術に関する事項
(十一)バイオに係る技術に関する事項
(十二)測定計測に係る技術に関する事項
また、サービスの高度化の観点から以下2項目についても内容が記載されています。
・先端技術を活用した高度なサービス開発に関する事項
・高付加価値企業への成長・変革に関する事項
各事項は基盤となる技術は異なるものの、経営全般にとって普遍的な内容もあり、中小製造業者が取り組むべき方向性が示されています。まずは申請予定の事業内容や技術分野と、各事項の特徴を照らし合わせてみて、該当していそうな事項の内容を確認してみてください。
本指針は、製造業の国際競争力強化を目的とし、新たな事業の創出に資する特定ものづくり基盤技術ごとに、市場における課題やニーズ対応、新市場獲得に向けた技術の高度化と、達成するための方向性を体系的に整理することを目的とし、中小企業庁が発行しています。
上述したように基盤技術ごとに記載内容が分かれております。
今回は「(三)精密加工に係る技術に関する事項」を中心にとりあげます。本事項に該当する技術として、「金属等の材料に対して機械加工・塑性加工等を施すことで精密な形状を生成する精密加工技術。製品や製品を構成する部品を直接加工するほか、部品を所定の形状に加工するための精密な工具や金型を製造する際にも利用される」と記載があります。
実際に、補助金で導入する設備としては、旋盤・マシニングセンタや工具・治具等が該当します。
精密加工に係る技術に関する事項について
本事項の中から、(4)川下分野特有の章を抜粋して解説します。
まず川下という表現ですが、これは素材・設計・製造・加工を川上とし、川下を一般消費財・産業材と捉えています。そのため、本章の中で説明しているのは、川下分野とは、中小製造業者が製造した加工品の納入先にあたります。つまり、最終製品・最終消費者のニーズやトレンド・課題について解説しています。
なぜ本章をとりあげたかというと、このニーズや課題をものづくり補助金採択で得た資金をもとに導入した投資内容で解決する、というストーリーの構築が求められているからです。そのため、どのような産業・業界のニーズなのかを十分理解する必要があります。
精密加工の分野では、高度化目標として以下の項目が挙げられています。いずれも成長性の高い業界であり、技術水準も高く、製造技術の高度化が喫緊の課題となっています。
- 医療・健康・介護分野に関する事項
- 環境・エネルギー分野に関する事項
- 航空宇宙分野に関する事項
- その他の川下分野に関する事項
- a. 自動車分野に関する事項
- b. スマートホーム分野に関する事項
- c. 生産用機械・ロボット分野に関する事項
本指針は文章中心で読みづらい部分もあるかと思いますが、令和3年改正版は資料が見やすく整理されており、プレゼンテーションで作成されております。まずは、申請予定の事業内容の該当項目だけでも一読することをお勧めします。以下に抜粋を掲載します。
指針を踏まえ、申請書に盛り込むべきポイント
指針の中で盛り込むべき内容について、以下を挙げます。
- 指針内に記載されているキーワードを申請書内に記載する
- 成長産業や川下産業の課題を正確に捉え、どのように自社内の技術で解決するか具体的に記載する
- 申請書に記載する設備投資内容の将来性を具体的に記載する
上記の内容を盛り込むことで、指針に沿った事業内容であり、申請書となっていることを強調しましょう。
まとめ
今回はものづくり補助金の審査項目の中から、「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」について取り上げました。
指針に記載のあるように、成長産業分野・川下産業の課題やニーズを捉え、補助金を活用した設備投資を通して、自社の製造技術を強化することで、事業を拡大させることが可能になります。本指針を活用し、ものづくり補助金採択と事業の成長を目指していきましょう。
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