税理士視点で考える。生命保険どうすればいいの? | 後編

登壇者
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曽根 隆寛
税理士

税理士法人アクシア 代表社員 曽根 隆寛

TKC全国会 所属 / 東京都商工会連合会 エキスパートバンク 登録専門家
東京都補助事業 地域金融機関による事業承継促進事業 登録専門家
中業企業基盤機構 実務支援アドバイザー
多摩信用金庫 登録専門家 / 西武信用金庫 登録専門家


本シリーズは二部制で、上記の動画は「後編」です。

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前半では、生命保険の概要について触れ、「ご自身がご加入の生命保険を確認してみましょう」というところで終わっていました。

ご加入の生命保険が、保障を優先するものなのか、資産を増やすことを優先とするものなのかまでは言及しませんでした。生命保険は保険会社ごとに商品が多く存在するので「資産を増やすための生命保険はこんな商品があります」といったご案内がしにくいからです。

さて、たとえば自分が生命保険に加入していたとします。契約者であり被保険者であれば自分が亡くなった場合、死亡保険金が死亡保険金受取人に支払われます。この支払われた死亡保険金は相続財産ということになります。

今回は、資産活用の観点の1つである「相続」という観点から、生命保険について考えていきたいと思います。

目次

「相続対策」と「相続税対策」は違う

「相続対策」と「相続税対策」という言葉はとても似ていて、同じ意味に捉える方も少なくありませんが、私たち税理士が考えるこの2つの言葉は大きく違います。

相続対策というのは ①揉めないこと ②納税資金があること ③節税対策 のことの3つを言います。

① 揉めないこと。

残された家族や親族など、遺族が揉めないことが大事です。税理士という仕事のなかでも、残されたご遺族の方々の揉めごとに出くわす場面が少なからずあります。

折角生命保険に加入して準備をした資産が、ご家族への財産としてきちんと守られていたのにも関わらず、結果的に相続争いになってしまった、ということがないように対策を練っていただきたいです。

②納税資金があること

例えば、貯めてきた資産を「相続税が有利になるから全て不動産としておこう」と不動産にしてしまった場合のことを考えます。この場合、万が一のことが起きた際に現預金がないと納税ができないため、不動産を売却するしかなくなります。つまり相続対策をしていく上では、納税資金を考えた対策をしていく必要があります。

③ 節税対策

③の節税対策は、①揉めないこと・②納税資金があることの2つの条件を満たした範囲で、税金を最も安くなるようにすることです。これを「相続税対策」とも言います。

一般の方々が、税理士の個別相談会などで「一番税金が安くなる方法は何ですか?」という質問をしてしまうと、この③節税対策、つまり「相続税対策」のアドバイスをしてしまいます。税理士は「税金を安くする方法」だけを聞かれているので、①揉めないことや②納税資金があることを念頭に置かずに税金についてだけのアドバイスをしてしまうことになります。

相続について税理士などの専門家に相談する際は相続税対策といった「一番税金が安くなる方法」ではなく、「揉めないで、納税資金を確保して、なおかつ一番税金が安くなる方法は何か」という相続対策についてご相談いただけたらいいと思います。

相続で生命保険が登場するケース

さて、不動産は読んで字のごとく動かすことができない財産ですが、相続財産に不動産があったケースを考えてみましょう。

例えばお子様が男女それぞれ1人ずついる方で、長男には自宅を守ってほしいから不動産を残し、長女には何もあげないわけにはいかないため現預金を残す…といったケースです。このようなケースはよくあります。

この場合、長女へ現預金をきちんと準備できればいいのですが、長男に残す不動産の家一軒分と同じだけの現預金を準備するのはなかなか難しいです。そのため長女に残す現預金の足りない部分を賄うために、生命保険を活用することが多くあります。

また、このケースでは、長男には自宅である不動産のみ相続をさせたため、長男には納税資金がありません。そこで生命保険に加入することで、不動産プラス納税資金相当額の現預金を相続時に長男が手にできるように準備するといった生命保険の活用方法もあります。

相続対策として生命保険を考えてみると加入金額や加入方法、加入額が変わってくるかもしれません。

各資産のメリット·デメリット

では次に相続対策を考えるにあたって、各資産のメリットやデメリットについて改めて確認します。

前編の冒頭にて活用する資産の代表的なものとして、現預金·生命保険·株式·不動産を挙げました。このそれぞれの資産を相続対策という観点から見てメリットとデメリットを考えます。

現預金は、分けやすくて良いです。相続する人が3人いたら3等分できるといったメリットがあるのが現預金です。一方で現預金は税制上の優遇措置はほぼ受けられるものがないというデメリットがある資産です。

次に株式についてです。株式は売却すれば現金にすることができます。その観点から見れば流動性が高いということができますが、一方で株式という資産は価値が上がったり下がったりして、一定ではありません。株式をメインの資産としては持つことは難しいとも言えます。

不動産は、先ほども記載の通り動かすことができない財産です。動かすことができないということは、すなわち分けにくいということです。一方で不動産は税制上の優遇措置を受けられるメリットがあります。節税効果という観点から言うと不動産を相続財産として保有するという考えもあるでしょう。

最後に生命保険です。生命保険料控除という特例措置も一部残っていますし、生命保険を現金化することも可能です。また生命保険には死亡保険金受取人を指定することが可能ですので、いわばお金に名前を付けることができるという意味では相続時のメリットとなります。デメリットとしては加入時の年齢や健康状態によっては、加入が難しかったり保険料が高かったりする点が挙げられます。

生命保険だけを相続財産として持っておくということは少ないかもしれませんが、他の財産を相続で分割する際のプラスアルファ、緩衝材として生命保険を利用するということもできます。

結局資産はどう活用したらいいのか

各資産のメリット·デメリットを確認きましたが、結局どの資産が良いのでしょうか。結論は「特定の資産だけに偏らせてはいけない」です。

手持ちの資産を不動産だけにしてしまったら、先に述べたように相続の際、売却しないと分割ができないといった状態になります。では現預金だけを沢山持っていればいいかというと、相続税法上の優遇がほぼ受けられない可能性があります。

つまり、一種類の資産にあまり偏ることなく「分散投資」を行う必要があると考えられています。この分散投資をポートフォリオとも呼びます。

ポートフォリオを考える上では、それぞれの資産活用の目的についてきちんと検討する必要があります。

今日、前編では生命保険の本来の意味、後半の方では相続対策という観点からの生命保険について説明をさせていただきました。それ以外にも保険商品や株式など金融資産の種類によっては、利回りが良く資産が増えるものがあります。そういった資産の活用の目的をまず明確にする必要があるでしょう。

利回りも良く相続対策できて資産を守ることができる…と何もかも兼ね備えた資産はありません。生命保険というひとつの資産だけでも色々な保険を組み合わせてのニーズを全うしていけばいいと思います。

資産活用をスタートさせていく上で、まず保有資産の現状を確認する必要があります。お持ちの資産の棚卸しです。どんな資産があるか、将来に向けてどういう資産形成が必要かといった観点から確認をしてください。

そして、どのような資産をどのようなバランスで資産活用していけばいいのかを検討していくのがいいと思います。

ぜひ今日をきっかけに、まずは現在入っているご自身の生命保険を確認していただいて、将来の資産形成や相続の際に最適であるかを考えていただくことが大事です。また、生命保険にご加入されていない場合は、相続財産を棚卸し、揉めずに相続が行われるかどうかをお考え下さい。万一の際に残された家族が揉めないためにも生命保険の活用は有効です。

いかがでしたでしょうか。これで、「税理士視点で考える、生命保険どうすればいいの?」は終わりです。

今回の内容は、節税等を目的としたものではありません。ケースにより取扱いが異なる場合があります。もし今回の内容を参考にして実務に利用する場合には、必ず事前に専門家にご相談をお願いいたします。


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執筆者

税理士法人アクシア 代表社員 曽根 隆寛
税理士

◆ 講師略歴
 ・1971年6月 神奈川県川崎市生まれ
 ・2001年8月 曽根税理士事務所 創業
 ・2017年2月 税理士法人 アクシア 設立、代表就任

◆ 資格/経験
 ・税理士(東京税理士会所属 第92574号)
 ・TKC全国会 所属
 ・東京都商工会連合会 エキスパートバンク 登録専門家
 ・東京都補助事業 地域金融機関による事業承継促進事業 登録専門家
 ・中業企業基盤機構 実務支援アドバイザー
 ・多摩信用金庫 登録専門家
 ・西武信用金庫 登録専門家

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