No.2の教育~正しい役員の育て方!~

登壇者
中小企業診断士 HYコンサルティング 代表コンサルタント 堀江 康彦のプロフィール写真です。

堀江 康彦
中小企業診断士

大学卒業後、都市銀行に入行。ベンチャーキャピタル~債権管理まで(スタートアップの企業支援~成長ステージ~経営再建~倒産まで)すべてのステージで金融支援を実施。
独立開業後は、中小企業の事業計画策定支援と組織づくりをメインにハンズオン支援、セミナー講師を実施。各種戦略理論は参考程度、事件は現場で起こっており、現場100回がコンサルタントとして最も必要なスキルだと考える。

目次

はじめに

こんにちは。今回は「No.2の教育と正しい役員の育て方」についてお話ししたいと思います。

No.2の有無

No.2の役割についてですが、社長は常にストレスを抱えており、そのため社員との関係が必ずしも良好でない場合があります。だからこそ、社長と社員との橋渡しを行うNo.2の存在が、会社の成長に大きな影響を与えることがあります。この点について、具体的な例を交えながらお話しできればと思います。

古くから、No.2の役割は、いわば番頭のような存在であり、社長と密接に連携しながら会社を運営するというイメージがありました。この組み合わせが望ましいとされることも多く、大企業であるホンダや松下、ソニー、ソフトバンクなども、No.2を擁して成功を収めてきました。また、戦国時代の武将や野球チームの監督と補佐役といった事例もあり、たとえばV9巨人時代などでは、No.2の重要性が顕著に現れました。

しかし、ワンマン経営には限界があります。一人ですべてをこなせるスーパー社長は稀であり、No.2や経営チームの存在が、会社の成長において重要な役割を果たすことは明らかです。

会社は一人では拡大できない

No.2に求められる心構えについて述べますと、基本的に会社の拡大は一人では達成できないという認識が重要です。優秀な社長ほど、他人を信じることが難しい場合があります。特に小さな企業では、社長がプレッシャーを感じ、会社を成長させるためには自分で全てを管理しなければならないと考えがちです。しかし、いつかは一人での限界を悟り、誰かを頼る必要が出てきます。この際、最も信頼できるのがNo.2です。

No.2を信じることは重要ですが、同時にそのNo.2に対して明確なゴールや期待を伝え、育成することも欠かせません。No.2が自分とは異なる発想や方法で業務を遂行することにより、新たな結果や視点が生まれ、それが経営者自身の成長につながることもあります。

No.2を育成する際には、その人が持つ夢や戦略、人格を見極めながら、信頼し支える体制を築くことが大切です。このようにして、No.2と共に成長し、成功を収めていく姿勢を持つことが、企業の発展に繋がるでしょう。

社長とNo.2の仕事の違い

まず、社長の主な役割は、目標やビジョン、そして将来的な戦略を考えることです。会社の飛躍を実現するための夢や目標を設定し、それを社員に伝えることが求められます。夢や目標のない会社では、社員にもその意図が伝わらず、優秀な社員が離れる可能性もあります。

一方、No.2の役割は、社長の描いた夢や目標、ビジョンを実際の戦略に落とし込み、それを実行・管理し、実現に向けて動くことです。具体的には、組織編成や実行管理、人材育成、社員や管理職のモチベーション維持などが含まれます。No.2は、社長のビジョンを支え、戦略を具体的な行動に変える役割を担います。

No.2とは

No.2の定義には一定の幅がありますが、一般的には役員や管理職の中でも最上級の位置にあり、社長を補佐する役割を果たします。No.2は、社長と二人三脚で会社を運営し、社長のビジョンを実現するために全力を尽くします。

ビジネスマンとしてのキャリアにおいては、最終的に社長を目指す人もいれば、No.2としての最上級の役割を目指す人もいます。No.2としての位置付けを自覚し、社長を支えることに専念するという生き方も、意外に有意義であると感じています。

No.2としての役割を全うするためには、広範な知識や自覚、そして社長を最後まで支える覚悟が必要です。社長が退任する際には、自分も一緒に退任する覚悟を持つことも求められるでしょう。現場を支えつつ、経営側に立つ意識も重要です。このような意識を持ち、No.2としての職務を全うしていただきたいと考えています。

No.2の仕事

No.2の具体的な仕事について、いくつかのキーワードに分けて説明します。

まず、トップとの関連で重要な業務としては、夢や戦略の共有があります。No.2は、社長とビジョンや戦略を共有し、企業の方向性を一致させることが求められます。また、トップへの組織提案も重要な役割です。さらに、メンタルサポートも忘れてはなりません。社長や他の社員が抱えるストレスや問題に対して、サポートを提供することもNo.2の重要な任務です。

特に重要なのは、社長からの指示を社員に適切に翻訳することです。社長が無理難題を指示することがありますが、その意図を理解し、社員にわかりやすく伝える役割がNo.2にはあります。この翻訳業務を通じて、社長の意図を正確に実行に移すことが可能となります。

また、管理職の育成や次世代のリーダーの育成も重要な任務です。人材育成に対して神経を使い、次の世代を育てることがNo.2の役割の一部となります。トップへの各種提案も行いますが、採用されることはあまり多くないかもしれません。しかし、継続的に提案を行うことで、未来に向けての種まきとなり、企業にとっての有益な影響を与えることができます。

No.2に必要な事

No.2は、管理職のトップとしての役割を担う一方で、現場を支えつつ経営側にも立つ必要があります。この役割において、現場の支え手としての役割を果たすためには、社員に対して見本を示すことが求められます。そのためには、自覚、努力、能力、信頼の四つのキーワードが重要です。

この中でも特に重要なのは、社長との関係をどのように補填していくかです。これをすべて結びつけるものとして、圧倒的な当事者意識が必要です。すなわち、自分が責任を持って全てを遂行するという当事者意識を常に持ち、他人任せにしない姿勢を保つことが求められます。この意識が重要であると考えています。

No.2の心得

次に、具体的なポイントを挙げます。まずはトップを立てることが重要です。また、悪口はどのような会社においても影響を及ぼしますので、社長や社員に対して悪口を言わないように心掛けるべきです。自己犠牲の精神を持ち、トップと常に密にコミュニケーションを取ることが、社員に対する社長の考えを翻訳するうえで非常に重要です。夢を共有し、トップを支え動かすことで、会社だけでなく社会全体が変わるという大きな意識を持つことも望ましいでしょう。

さらに、自分を過信せず、愚直に仕事をしていくことが求められます。先ほどお話ししたように、考え方の種を巻くことも大切です。社長に受け入れられないことを理解しつつも、多くのアイデアや意見を社長に伝えることが重要です。それが社長のヒントとなり、戦略に繋がる可能性が高いと考えられます。最後に、社員の手本となることも重要です。

No.2に向いていない人

No.2に向いていない人について、選定の視点から考えてみますと、No.2の主要な役割は社長を支えることにあります。したがって、以下のような意識を持つ方は、No.2に適任でないと考えられます。

まず、自分の夢や目標を実現することに重きを置き、社長を支えるという役割よりも自分自身の成果を追求したいと考える方。目立ちたい、積極的に前に出たいという欲求が強い方も、No.2には向かない傾向があります。No.2はあくまで社長の補佐役として働くことが求められますが、自己主張が強く目立ちたがる性格の方は、その役割と合わない場合があります。

また、現場で手を動かすことが好きで、営業や作業などの現場仕事に喜びを感じる方も、No.2には不向きです。No.2は戦略立案や実行管理といった役割を担うため、現場での手作業を好む方には適していません。

さらに、承認欲求が強すぎる方も注意が必要です。自分の意見や行動が認められることを重視しすぎると、社長との意見交換においてストレスを感じることがあります。社長からの意見を受け入れることや、逆に提言を行うこともありますが、社長は意見をあまり受け入れないことが多いです。承認欲求が強い方は、これがストレスの原因となりやすいです。

最後に、他者を馬鹿にしたり、他人の気持ちを考えなかったりする人もNo.2には向いていません。こうした人は、No.2としての役割を果たすことが難しく、別の役割に適したタイプであると言えるでしょう。

No.2に向いている人

逆に、No.2に向いている人について考えると、次のような特徴を持つ方が適任であるといえます。

まず、苦労や自己犠牲を厭わず、社長や会社のために尽力できる方。社長や組織の中で補佐役として働くことに喜びを感じる人が望ましいです。誰かのために働くことを好み、社長だけでなく、管理職や社員とのコミュニケーションを積極的に行うことができる方も、No.2に適しています。

また、経営全般に対して興味を持ち、それに対する理解を深める意欲が必要です。経営全般に興味がないと、No.2の役割を全うするのは困難です。

さらに、地道に努力を継続できる方が、No.2としての役割を果たす上で非常に重要です。こうした姿勢を持つことで、会社の中でも中心的な役割を担い、No.2としての役割を適切に遂行することができるでしょう。

No.2は社長がその気にさせて育てるもの

No.2を育成するにあたって、社長がその存在を認め、育てることが重要です。具体的には、社長がNo.2に対して意識を高めさせ、成長を促すことが求められます。

まず、人選に関してですが、ベンチャー企業には十分な余裕がない場合が多いため、社長がどれだけ適切な人材を選び育てるかが鍵となります。企業の成長とともに、適任のNo.2を採用することが重要です。

No.2の役割については、社長が得意分野に専念し、不足する部分についてNo.2に指示を出すことが必要です。また、No.2に一定の権限を与え、信頼することも重要です。口を出すことも大切ですが、No.2に権限を持たせることで、より効果的に業務を進めることができます。

さらに、No.2には経営に対する意識を高めてもらうために、様々な勉強をさせるよう指示することが求められます。社長の考えや戦略、夢を常にNo.2と共有し、時には感謝の意を示すことも重要です。No.2がその存在価値を感じることで、より一層やる気を持って成長していくでしょう。

また、会社の成長は一度きりではなく、常に次のステップを目指す必要があります。そのため、No.2に対しても常に挑戦的な仕事を与え、苦労をかけることが大切です。これにより、No.2の意識を高め、企業とともに成長していくことが期待されます。

No.2の勉強範囲

そのような状況の中、社長から様々な指導を受けながら、自らがNo.2となるにあたっては、経営に関する広範な知識の習得が求められます。経営の基本から、実際の現場との接点に至るまで、さまざまな側面について学ぶ必要があります。

No.2という立場であっても、非常に困難な業務に直面することとなるでしょう。社長が持っている知識の一部は有益ですが、その不足している部分をNo.2が補うことが重要です。したがって、No.2の役割は、社長の欠けている部分をどれだけ補完できるかにかかっています。

さらに、No.2や社長に限らず、人間には完璧な者はいません。リーダーである社長に対して完璧を求めることは現実的ではないため、No.2はその不完全な部分を理解し、経営を支えるために不足している部分を補完する役割を担います。No.2としての役割は、社長とは異なるものの、企業の成長において重要な役割を果たすと考えます。No.2の存在が、トップと社員との間をつなぎ、会社の成長に寄与する活力となるのです。

また、No.2の姿勢や社長の姿勢が互いに影響し合い、No.2が社長の不足を補いながら全体的な経営力を高めていくことが求められます。こうした良好な相互関係が企業には必要です。結論として、完璧でない人間同士が互いに刺激し合うことで、会社の成功が飛躍的に実現できると考えます。

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執筆者

HYコンサルティング 代表コンサルタント 堀江 康彦
中小企業診断士

大学卒業後、都市銀行に入行。
金融機関においては、ベンチャーキャピタル~債権管理まで(スタートアップの企業支援~成長ステージ~経営再建~倒産まで)すべてのステージで金融支援を実施。
独立開業後は、中小企業の事業計画策定支援と組織づくりをメインにハンズオン支援、セミナー講師を実施。

各種戦略理論は参考程度、事件は現場で起こっており、現場100回がコンサルタントとして最も必要なスキルだと思っている。

・セミナー講師
経営分析・事業計画策定セミナー
組織づくりに関する教育全般

・趣味
ロードバイク、トライアスロン競技

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