【2025年1月最新情報】事業再構築補助金の終了に伴う「新事業進出補助金」を詳しく解説!
金親 正和
中小企業診断士
中小企業診断士 / 宅地建物取引士 / 不動産コンサルティングマスター
賃貸不動産経営管理士 / 管理業務主任者 / 防災士
大学卒業後、総合不動産会社にて不動産の企画・開発、賃貸物件のリーシング・管理(5,000室)、売却(半年間で46物件)と入口から出口までの業務に従事。
現在は、「補助金を通じて、中小企業経営者の皆様を支えたい」という思いから、各種補助金の申請支援に注力している。
\認定支援機関!補助金のプロの中小企業診断士がサポート/
2024年12月6日発表:事業再構築補助金終了と新事業進出補助金の創設について
令和6年度の補正予算案が閣議決定され、2025年12月6日に関係資料が公表されました。
この中で、「中小企業等事業再構築促進基金」の枠を活用し、新たに「中小企業新事業進出促進事業」が始まると記されています。この事業は、新たな分野への進出を支援するために「新事業進出補助金」を新設するものです。
事業再構築補助金の変化
事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響で売上回復が難しい中、小規模事業者がポストコロナ時代に対応するために、新市場進出などを目指して設立されました。しかし、コロナ禍が第5類に移行した現在、その当初の目的は時代に合わなくなりつつあります。
2024年12月6日に行われた閣議では、「すべての世代の賃金・所得を増やす」ことを最重要課題とした予算方針が示され、デフレ脱却と「賃上げと投資がけん引する成長型経済」への移行が目指されています。独立行政法人 労働政策研究・研修機構の発表によれば、2025年の春闘では賃上げ要求が5%以上、中小企業ではさらに格差是正分1%を加えた6%以上が目標となっています。2024年の実績では、賃上げは平均5.1%でした。
賃上げと新事業進出の重要性
この流れに対応できないと、従業員が給料の高い企業に転職することで人手不足が深刻化し、受注減少や売上悪化、財務の悪化といった悪循環に陥る可能性があります。そのため、企業は現事業だけでなく、新たな事業への進出を図る必要があります。
事業再構築補助金が終了?
現時点で「事業再構築補助金が終了する」との発表はありませんが、これまでの情報から推察すると、事業再構築補助金の基金枠を活用した新しい補助金が設立されていることから、終了の可能性も考えられます。
新事業進出補助金のチラシが公開!(2024年12月25日)
2024年12月25日に中小企業新事業進出補助金のチラシと概要資料が公開されました。
公開された資料内容は下記の画像をご参照ください。
新事業進出補助金とは?概要と特徴
新事業進出補助金の概要と特徴について2025年1月時点で公表されている内容を元に纏めます。
新事業進出補助金の目的
中小企業庁が新事業進出補助金について下記の説明をしています。
企業の成⻑・拡⼤を通した⽣産性向上や賃上げを促すために、中⼩企業等が⾏う、既存事業とは異なる、新市場・⾼付加価値事業への新規参⼊にかかる設備投資等を⽀援
引用:中小企業庁HP 募集要項:中小企業新事業進出促進事業の概要
これを小学生でもわかるように書くと、
国は、【働く皆さんがもらえるお金を増やしたい】という願いがあります。
その願いを叶えるためには、働く会社が儲からないといけません。
なぜなら、働く皆さんは、働いたお返しとして会社からお金をもらうからです。
会社が儲かるためには、今の仕事だけではなくて、新しい仕事もやっていくと良いと思いますよ。と国は言っています。
ですから、国は、会社が儲かるような新しい仕事を行うときに、「お年玉」をあげますよ。
会社はその「お年玉」を使って、成長してくださいね。 ということです。
新事業進出補助金の予算には、1,500億円が計上されています。
補助上限額及び補助率
補助金の上限額は、企業の従業員数に応じて異なります。さらに、大幅な賃上げを行った場合は、上限額が500万~2,000万円増額されます。
具体的な上限額は以下の通りです:
従業員数 | 補助上限金額 | 大幅賃上げを行なった場合 |
20人以下 | 2,500万円 | 3,000万円 |
21~50人 | 4,000万円 | 5,000万円 |
51~100人 | 5,500万円 | 7,000万円 |
101人以上 | 7,000万円 | 9,000万円 |
補助金には「補助下限750万円」が設定されています。これは最低750万円の補助を受けるために、少なくとも1,500万円の投資が必要であることを意味します。
新事業進出補助金の補助率は「2分の1」となっています。つまり、投資した金額の半分が補助金として支給されます。
新事業進出補助金で使える経費は?
「令和6年度補正予算案(中小企業・小規模事業者等関連予算)」では、新事業進出補助金で使える経費を下記としております。
- 建物費
- 機械装置費
- システム構築費
- 技術導入費
- 専門家経費 等
事業再構築補助金では、上記経費のほか、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費、廃業費が対象でした。
新事業進出補助金でも、廃業費を除いて、これら経費も対象になるのではないかと推察しています。
このように、新事業進出補助金と事業再構築補助金の対象経費が、ほぼ同一のため、事業再構築補助金の後継補助金として考えても良いのではないでしょうか。
予想される申請条件
新事業に進出するために補助金を活用して事業を行っていくことから考えますと、事業再構築補助金でも条件だった内容が参考になるかと思います。
- 申請対象者
- 中小企業であり補助対象事業者としての適格性
- 新事業展開を目指す企業であること
- 事業内容の要件
- 新規性・革新性
- 有望度・実現可能性
- 持続可能性・成長性
- 提出書類
- 事業計画書
- 3ヶ年の決算書
- 賃上げ計画書
- ローカルベンチマークで作成した事業・財務状況
- 認定経営革新等支援機関による確認書
などが基本的な内容として想定できます。これらに加えて、条件が示されるものと思われます。ぜひ、使い勝手の良い補助金となることを願いたいですね。
予想されるスケジュール
現在、中小企業基盤整備機構では、新事業進出補助金に係る実施の検討にあたって、効率的な実施を行うために意見を募集しています。
※意見募集締切:2024年12月27日まで
それらの意見を基に、制度設計を組み直したり、追加したりする作業があると思いますので、決定して公表するのは、もう少し先になるでしょう。
公表はまだ先になるかもしれませんが、公表されてから計画を作成し始めるのでは遅いので、新事業進出を検討されている皆様やまだ具体的検討まで至ってないものの「何とかしなければいけない」状況の会社の皆様におかれましては、今から着手し始めることをお勧めします。
考える際の壁打ち相手にもなれますし、事業計画書の作成も行うことができますので、是非、早め早めのご相談をお待ちしております。
\認定支援機関!補助金のプロの中小企業診断士がサポート/