企業の人間的側面に着目した経営改善の進め方 | Part1 心理的安全性の重要性

登壇者
株式会社成長支援教育総合研究所
 代表取締役 中小企業診断士
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石倉 充
中小企業診断士

株式会社成長支援教育総合研究所
 代表取締役
組織の病を治す幸福経営アドバイザー 

富士銀行(合併後みずほ銀行)にて、企業向け融資・M&A・事業承継対策・株式公開支援・ベンチャー投資・支店長業務などを通じ、中小企業から中堅・大企業まで1,000社以上、資金面・戦略面からの成長を支援。
現在は、アドラー心理学の学びや原田教育研究所が開発した理想の職場をデザインするICMメソッドを使って組織風土改善やリーダー人材の育成に従事。


本シリーズは三部制で、上記の動画は「Part.1」です。

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目次

【はじめに】

皆さんこんにちは。組織の病を治す 幸福経営アドバイザー 石倉充と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。

今回は「あなたの会社の組織はどのタイプですか?企業の人間的側面に着目した経営改善の進め方」と題しまして、全3回にわたりお話をさせて頂きます。第一部では「心理的安全性の重要性」についてお話をいたします。

【講師自己紹介】

最初に、簡単に私のプロフィールをお話しさせていただきます。私は大学時代に、ダグラスマグレガーの「企業の人間的側面」という本に大変感銘を受けまして、19歳の時に「組織の病を治す医者になろう」と志を立てました。その後、金融機関勤務、それから大学勤務を経まして、老舗企業(中小企業)の経営改善に取り組みました。その経験から、組織を改革するというのは非常に大変なことだと認識しました。変革を起こすには、社員の心理面に寄り添った取り組みが非常に大事で、人は論理ではなく感情で動くのだということを痛感いたしました。そのため、これは見えない世界を扱う大変難しい分野なので、東洋の「禅」を学んだり、あるいは西洋の「アドラー」や「アンソニーロビンス」の心理学を学んで経営の実践に生かそうと努力してまいりました。現在はアドラー心理学の学びや 原田教育研究所が開発した、理想の職場をデザインするICMメソッドを使って、組織風土の改善やリーダー人材の育成にあたっております。

【本講座の目的】

それでは早速、中身に入ってまいります。

この講座の目的は『貴社の企業理念に共感した社員が自主的に明るくのびのびと働らく』そんな素晴な職場を実現する学びを提供することです。企業の人間的側面や、社員とお客様の心理的側面に着目して、これまで先人がしてきた様々な学びをご提供していきます。

【本講座の構成】

全体の構成ですが、まず初めに、Google社が行った「チームについての研究結果」についてお話いたします。次に、第一部としまして「心理的安全性の重要性」について。第二部といたしまして「経営者が組織の心理的安全性を考える時に注意すべき点」について。そして、第三部で「企業の永続的発展を成し遂げるためには、心理的安全性だけでいいのだろうか?」また「マネジメントとイノベーションのバランス」についてお話をいたします。

【Google社の研究結果】

それでは最初に、Google 社の研究結果からお話をいたします。Googleは、大変優秀な人材が集まっている会社で有名です。その優秀な社員がチームを組んで仕事をしているわけですが、大変パフォーマンスの高いチームもあれば、パフォーマンスがなかなか上がらないチームもあります。優秀なメンバーが集まっているのに何故このような差が生じるのだろうか?逆に、高い業績を上げているチームは、どういう条件を持っているのだろうか?ということを研究しました。そして、2016年に研究結果として、重要な因子が5つあると発表しました。効果的なチームが共通に持っていた特徴は、①心理的安全性 ②信頼性 ③構造と明瞭さ ④仕事の意味 ⑤仕事のインパクト この5つでした。

それでは順番に、①心理的安全性からご説明をしていきたいと思います。これは、1999年 ハーバード大学で組織行動学を研究するエイミー・エドモントソン教授が提唱した概念です。少し難しい定義を言いますと「チームにおいて自分がどのような発言をしたとしてもそれを恥じたり、他のメンバーが拒絶したり、罰を与えられるようなことがないという確信を持っている状態であり、チームは対人リスクを取るのに安全な場所であるとの信念がメンバー間で共有された状態である」としています。簡単に言い換えると、例えば無知・無能・邪魔と言われるようなネガティブな行動を自分がとってしまった時、「あー、やっちまった」と思っても、安心感があり「このチームなら大丈夫」・「自分をさらけ出していいのだ」・「自然に振る舞えばいいのだ」という状態を指します。

次に②信頼性です。お互いに信頼し合っているチームのメンバーは各自の仕事をハイクオリティーかつ時間内に仕上げる傾向があることを明らかにしました。考えてみれば当たり前かもしれませんが、誰しも「周りのメンバーから信頼されたい」、すでに信頼を受けているのであれば「それを維持したい」と思います。だから自分の仕事に強い責任感と自信を持って臨むということになります。

続いて、③構造と明瞭さです。これは、これまでとは少し観点が違ってきまして、職務や業務において「自らがなさねばならのこと」、「要求されている事項」が明確であることです。また、要求を満たすためのプロセスや業務手順が明確であること。それから、目指すゴールや戦略戦術が明確であること。これが高い生産性を実現するのだという結果です。裏を返すとどういうことが起こるかというと、例えば、業務手順について明確になっていない場合、こんなことが起こります。真面目な人が熱心に働けば働くほど「私はこれが正しい」、一方別の人は「いやいやこれが正しい」ということで言い合いになってしまいます。そして、お互いを非難し合い、いつの間にか人格否定になってしまって、モラルが落ちてしまう。こんなことが起こります。したがって、組織内の共通ルールを明確にしておくことや、明確な構造設計をしておくことが極めて大切になります。

最後は、④仕事の意味と⑤仕事のインパクトについてです。チームメンバーの自尊心が高い状態、あるいは、仕事にプライドを持ってる状態というのが、非常にチームの生産性を高くするわけですが、それには「この仕事が自分にとって非常に意義がある(仕事の意味)」、あるいは「この仕事は社会的意義が高い・社会に良い変化を生むものだ(仕事のインパクト)」と各人が確信をしていることが重要になります。

【心理的安全性の重要性】

それでは、心理的安全性の重要性について、細かく見ていきたいと思います。心理的安全性が低い組織では、社員が不安を生じてしまいます。そうすると、組織にはどんな影響が出てしまうのでしょうか?主に4つの項目をお話しいたします。

  1. 例えば皆さん、上司からこんな風に言われたらどう思うでしょうか。「そんなことも知らないのか」無知の指摘です。そうすると質問がしづらくなります。すると、分からないことを周りの人や上司に聞いてどんどん成長していくという好循環が生まれなくなるわけです。
  2. または「そんなこともできないのか」、「また失敗したのか」無能の指摘です。このようなことを言われる組織ですと、誰しも恥をかきたくない為、自らの失敗を隠すようになります。そうすると、情報共有が停滞し、本来であれば他人の失敗に対しても「他人のふり見て我が振り直せ」ということで、自らのミスを未然に防止するような動きが起こるわけですが、そのような行動が起きなくなります。さらに、小さな失敗を隠したことが原因で、より重大な組織の事故につながってしまうということも起こります。
  3. それから、「余計なことをするな。言われたことだけをやっていればいいんだ」こんなことを言われたらどうでしょうか?「邪魔だ、君のアイディアなんていらない」こう言われたら、やる気が無くなってしまいます。そうすると、自発的に工夫・改善しようとか、新たなことを組織目標達成のために挑戦してみようというような意欲が削がれてしまいます。また「他部署と連携してみよう」とか、「他者と連携してみよう」などの、生産性を上げる連携もなかなか進まなくなってしまいます。
  4. さらに、ダメ出しばかりで「ダメだダメだ。そこが良くない、あそこが良くない」と否定や、自分の意見を聞いてもらえない職場だったらどうでしょうか?メンバーは「意見を言っても無駄だな」、「もうやる気が無くなった」このように思うのではないでしょうか。このような状態は、メンタル不全になったり、あるいは離職を招いたりもします。

結局、心理的安全性の低い組織というのは社員の幸福感が低下し、お客様に提供する価値が低くなり、ひいては会社の事業成長が鈍化するといった状況を招いてしまうわけです。

本日は心理的安全性の重要性についてお話をいたしました。

次回の講座では「それでは経営者は、この心理的安全性の学びをどのように生かしていくか」というお話をいたします。

次回もどうぞよろしくお願いいたします。ご清聴ありがとうございました。


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この記事を書いた人

株式会社成長支援教育総合研究所
 代表取締役 石倉 充
中小企業診断士

組織の病を治す幸福経営アドバイザー 

早稲田大学商学部・政経学部卒業、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程修了

大学時代、ダグラスマグレガーの「企業の人間的側面」という本に感銘を受け、19歳の時に「組織の病を治す医者になろう!」と決意。

富士銀行(合併後みずほ銀行)にて、企業向け融資・M&A・事業承継対策・株式公開支援・ベンチャー投資・支店長業務などを通じ、中小企業から中堅・大企業まで1000社以上、資金面・戦略面からの成長を支援。 これらの経験を活かして、中小企業診断士として独立。

東京工業大学のベンチャー育成や日本工業大学専門職大学院(MOT)にて中小企業ファイナンス論を担当。その後、老舗企業の経営改善に取り組んだ経験から、組織改革を推進するためには、社員の心理面に寄り添った取り組みが必須であり、極めて重要であることを痛感。
東洋の禅に学ぶ一方、西洋のアドラーやアンソニー・ロビンスの心理学を経営実践に活かすために学ぶ。現在は、アドラー心理学の学びや原田教育研究所が開発した理想の職場をデザインするICMメソッドを使って組織風土改善やリーダー人材の育成に従事。

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