【中小企業向け】設備投資に役立つ税制優遇補助金
花村 大祐
中小企業診断士
大卒後、工作機械メーカーに勤務し、主に金属加工業を営む中小企業への法人営業に従事。フィールドセールス・マーケティング・プロモーションと幅広いセールス活動を経験。
中小企業診断士登録後は、補助金申請支援をきっかけに、ベンチャー企業の融資獲得のための事業計画策定、営業力向上・WEBマーケティング支援、組織構築、新規店の立ち上げ等の全般的な経営支援に従事。ご縁を大切にする経営支援を目指す。
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中小企業機会設備投資の重要性
本記事では、中小企業における設備投資の重要性と、設備投資に活用できる各種補助金・助成金について解説します。
中小企業において、設備投資は極めて重要な経営資源となります。
適切な設備投資を実施することで、中小企業は競争優位性を高めることとなります。
顧客や市場に対して、付加価値のある製品・サービスを提供することが可能となります。
企業は付加価値を提供することで収益が得られ、再び設備投資を実施し続けることで、企業・事業を発展し続けることができます。
「設備」の範囲とは何ですか?
設備投資で所有する資産は数年から数十年かけて使用することになるため、固定資産に当てはまります。固定資産とは1年以上にわたって事業で使用する資産のことです。固定資産は「有形固定資産」と「無形固定資産」に分類することができます。
有形固定資産は、土地・建物・機械・車両などがあてはまります。
無形固定資産は、システム・ソフトウェア・特許権・商標権などがあてはまります。
設備投資と聞くと、目に見える有形固定資産を想定する方も多いかもしれません。ただ、実際はシステム・ソフトウェアや権利・特許などにも該当するので、非常に幅広い概念と捉えることができます。
設備投資の利点
設備投資の利点について、以下の3点で解説します。
1. 売上拡大
市況感がよい、事業が好調な場合、現状の設備やサービスでは供給不足となることが予測されます。その際は、自社の生産・サービスの供給能力を増強する必要があり、設備投資が求められます。適切な設備投資を実施することで、生産能力やサービス提供力を拡大することができます。市場ニーズや顧客ニーズを踏まえた製品・サービスを提供する供給量を増やすことで、売上を拡大することができます。
このように、需要に対して供給が追い付いていない状況や、市場ニーズを的確に押さえている場合は、設備投資によって売上を拡大することが可能となります。
2. 品質向上・生産性向上
現状の設備を導入してから年月が経ち、老朽化しているような場合を想定します。老朽化した設備を使用し続けていると、以下の4点のデメリットが想定されます。
- 性能低下により、生産性が悪化
- 性能低下により品質が悪化し、製造された製品の良品率が低下
- 点検・修理費用が高額
- 競合他社が設備投資をしている場合は、市場での競争環境において不利な立ち位置
このように、自社の生産ラインに課題がある場合、それを解消するために設備投資を利用することがあります。自社の課題を明確にすることは、適切な設備投資をするための要件ともなります。
3. 経営改善・合理化の達成
少ない人員で効率的な生産・サービス体制を構築することが、経営の合理化となります。生産部門であれば、人が介在する業務を機械化することがあてはまります。これは省人化や無人化と呼ばれます。昨今の人手不足や人員削減の流れもあって、機械化・無人化の流れは加速しています。設備投資をきっかけとして、自社の業務を人の手が必要とならない形にできないか検討してみましょう。
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設備投資税制優遇があるの?
中小企業経営強化税制と中小企業投資促進税制があげられます。中小企業の設備投資に対して、税制優遇措置を設けております。制度を活用することで、設備投資の費用の全額を経費にすること(即時償却)や、設備投資額の何割かの税負担を下げる(税額控除)ことができます。
中小企業経営強化税制
本制度は、中小企業等経営強化法の認定を受けた「経営力向上計画」に基づき、一定の設備の取得等をした場合に、即時償却または取得価額の10%が税額控除できる制度です。所有権移転外ファイナンス・リース取引により導入した設備は、税額控除のみ適用可能です。
対象設備
類型 | 要件 | 確認者 | 対象設備 | その他要件 |
A類型 | 生産性が旧モデル比平均1%以上向上する設備 | 工業会等 | 機械設備 (160万円以上) 工具(30万円以上) A類型の場合、測定工具又は検査工具に限る 器具備品 (30万円以上) 建物附属設備 (60万円以上) ソフトウェア (70万以上) A類型の場合、設備の稼働状況等に係る情報収集機能及び分析・提示機能を有するものに限る | ・生産等設備を構成するもの ※事務用器具備品・本店・寄宿舎等に係る建物付属設備、福利厚生施設に係るものは該当しません。 ・国内への投資であること ・中古資産・貸付資産でないこと等 |
B類型 | 投資収益率が年平均5%以上の投資計画に係る設備 | 経済 産業局 | ||
C類型 | 可視化、遠隔操作、自動制御化のいずれかに該当する設備 | |||
D類型 | 修正ROA又は有形固定資産回転率が一定割合以上の投資計画に係る設備 |
中小企業投資促進税制
本制度は、中小企業者等が機械装置等導入の際に、取得価額の30%の特別償却または7%の税額控除(資本金3,000万円超1億円以下の法人については税額控除の適用なし)を選択適用できる制度です。こちらは、中小企業等経営強化法の認定がなくても活用できる税制です。また、中小企業経営強化税制とは対象設備が異なるため、会社の業種や設備の種類によってどちらかを適用することになります。
対象設備
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助成金・補助金を活用した設備投資のための資金調達とは?
助成金や補助金などの国の制度を活用することで、設備投資をする上でのデメリットでもある資金調達面での課題を緩和できる利点があります。最も重要な点は、借り入れや返済のリスクがないことがあります。
融資や自己資金を用いると、設備投資のリスクを全て抱え込むことになりリスクが増大します。助成金や補助金は原則、返済の必要性がないため、リスクを低減しつつ設備投資をすることができます。
助成金や補助金を申請するうえで、必要な要件を満たすことや設定した成果を出すこと等、公募要領に沿った要件を遵守すれば、費用対効果の高い資金調達の手段となります。
助成金の定義
助成金とは、厚生労働省が事業者や個人事業主に対して実施している雇用関係を目的とした支援金の総称となります。以下にいくつかの助成金を提示します。
助成金の種類 | 内容 |
キャリアアップ助成金 | 有期契約社員を正社員に転換した場合などに支給 |
人材開発支援助成金 | 正社員に業務スキルアップのための研修を受けさせた場合などに支給 |
人材確保等支援助成金 | 残業の削減など、働きやすい職場環境の整備を行った場合に支給 |
トライアル雇用助成金 | ハローワークを通じて有期雇用をした場合に支給 |
障碍者雇用安定助成金 | 障害者にとって働きやすい職場環境を整備した場合に支給 |
特定求職者雇用開発助成金 | 障害者や高齢者などの就職困難者を雇用した場合などに支給 |
補助金の定義
補助金とは、経済産業省が事業者や個人事業主に対し金銭を支給する制度となります。支給するにあたっては個別要件・審査が設けられており、誰もが無条件で支給されるものではありません。
助成金に対して、以下のような違いがあります。
- 様々な枠組みの補助金がある
- 支給額が多い
- 適用される事業の枠が広い
以下にいくつかの補助金を提示します。
助成金の種類 | 内容 |
ものづくり補助金 | 生産性向上などのための設備投資を支援する |
事業再構築補助金 | 中小企業等の事業再構築を支援する |
小規模事業者持続化補助金 | 小規模事業者等の生産性向上および持続的な経営の発展を目的とする |
IT導入補助金 | 自社の課題やニーズに合ったITツールの導入により、経営力の向上・サイバー攻撃の被害抑制・デジタル化推進などを目的とする |
設備投資のための資金調達とは?
設備投資に必要な資金の調達方法には、いくつかの選択肢があります。どれかひとつを実施することで調達することもできますが、複数の選択肢を組み合わせることで設備投資の資金を確保することができ、資金繰りの悪化や過度な借り入れ依存等を防ぐことができます。
資金の調達方法としては以下があげられます。
自己資金
自社の事業で創出した利益から設備投資に必要な資金を確保する方法です。自社で保有している資金のため、自由に使用することができ、借入金ではないため金利も発生しません。一方で、多くの資金が必要な場合は、その分、利益を多く創出する必要もあります。
金融機関からの融資
銀行や日本政策金融公庫などの金融機関から融資を取得することで、設備投資に必要な資金を確保することができます。融資を受けるには、審査があり、提出しなければならない書類もあるため、一定期間かかることを考慮に入れ、計画的に融資取得を進めていく必要があります。
補助金を活用する
中小企業支援策として、設備投資を目的とした補助金があります。各補助金には、事業規模や設備投資の内容など、いくつかの条件が設けられており、条件に合った補助金を活用する必要があります。また、補助金には審査があるので必ず取得できるものではありません。ただ、補助金は融資と異なり、原則返済不要な資金調達となるため、条件に合えば積極的な活用が求められます。
このように、資金調達にはいくつかの方法があり、自社の資金繰りと設備投資内容に合わせて、いくつかを組み合わせて調達を進めていくことが求められます。
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中小企業設備投資に役立つ補助金
ここからは、中小企業の設備投資に活用できる補助金について解説していきます。
ものづくり補助金の活用
ものづくり補助金とは、革新的な新製品・サービスの開発や生産プロセスの改善などを行い、生産性を向上させるための設備投資等を行う、中小企業経営者を支援するための補助金です。
具体的な補助金額は、製品・サービス高付加価値化枠の通常類型(革新的な製品・サービス開発の取組みに必要な設備・システム投資等を支援)の場合、最大1,250万円となっています。
<補助対象となる中小企業>
業種 | 資本金 | 常勤従業員数 |
製造業、建設業、運輸業、旅行業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業 | 5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
ゴム製品製造業 | 3億円 | 900人 |
ソフトウェア業、または情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
その他の業種(上記以外) | 3億円 | 300人 |
IT導入補助金の活用
IT導入補助金とは、様々な経営課題を解決するためのITツール導入を支援するための補助金です。
例えば、以下のような要求に対し、必要な手順やステップをIT導入支援事業者がサポートします。
- インボイス制度に対応した受発注システムを導入したい
- システムを導入して、業務を効率化したい
- セキュリティを強化したい
小規模事業者持続化補助金の活用
小規模事業者持続化補助金は、小規模な会社や個人事業主が販路開拓や生産性向上に向けた取り組みを行うために国が支援する補助金です。
例えば、1.チラシやパンフレットの作成、2.新たな設備を入れる、3.展示会に出品する、4.ホームページ・ランディングページの作成、WEB・SNSによる広告等の経費に活用できます。最高で250万円の補助を受けられるという制度となっています。
なお対象経費のうち、ウェブサイト関連費(ウェブサイト制作費、リスティング広告費、SNS広告費、SEO対策費、動画作成費等)においては、対象経費全体の1/4までとなっていますので、経費構成を考える際は注意が必要です。
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設備投資に補助金を活用した事例
設備投資に補助金を活用した事例を紹介していきます。
ものづくり補助金の活用事例
ものづくり補助金の活用事例については、下記サイトより検索することが可能です。自社の申請内容や事業内容と共通点がある事例を探し、申請の際に適宜参考にするとよいでしょう。
上記サイトから採択事例を抜粋して記載します。
Y製作所
量産品の低コスト製造が課題で、さらに医療機器分野では製品の軽量化に伴い、メイン素材がスチールから加工難易度の高いアルミニウムに素材転換が進んでおり、高度な加工技術が求められていた。この加工技術を実現するためには、熱変位制御、高速切削及び複雑な形状の切削加工を高精度で行うことができる 5 軸マシニングセンタの導入が必要不可欠であったため、今回もものづくり補助金を活用することにした。
導入した 5 軸マシニングセンタは、従来の切削・加工技術だけではその性能をフル活用できず、有効活用するためには 3DCAD/CAM(設計・加工 システム)の活用技術が必要となることが判明した。そこで、マシニングセンタメーカーが主催する研修会への参加やサポートセンターからの説明を受けながら、実際に作業を行うなどの地道な努力を重ねることで高度な技術の習得に励み、現在の体制が確立した。
また、支援機関である地域事務局から、ものづくり補助金事業者である人材派遣会社・地元金融機関などの紹介を受け、 3DCAD/CAM技術者の採用を計画した。
IT導入補助金の活用事例
IT導入補助金の活用事例については、下記サイトより検索することが可能です。自社の申請内容や事業内容と共通点がある事例を探し、申請の際に適宜参考にするとよいでしょう。
ITツール活用事例 | IT導入補助金2024 (smrj.go.jp)
上記サイトから採択事例を抜粋して記載します。
K株式会社
<抱えていたお悩み>
試算表の作成に2ヶ月、時間のかかる経理業務を効率化したかった
精密加工板金、機械のカバー製作を中心に日本のものづくりを支えるお客様の多様なニーズにお応えできるよう、コンパクトで合理的な生産体制・管理システムを追求してきました。
中小機構の「IT経営簡易診断」を受けたところ、経理業務のIT化の遅れについて指摘を受けました。事業規模に合わなくなった会計システムを苦心しながら使い続けていたのです。データの入力作業に時間がかかるうえに会計事務所とのやりとりは紙ベースで、試算表の作成に2ヶ月ほど要していました。
<導入したITツール~会計ソフト~>
いくつかの会計ソフトを実際に試した上で、税理士が使用していたシステムであること、そしてIT導入支援事業者のサポート体制が手厚く、困ったときに担当者がすぐ電話や対面で対応してくれるところに安心したからです。
すべての経理書類を電子化できたため、科目ごとにファイリングする手間もありません。クラウド上で会計事務所と共有フォルダを持つことで、会計に関するデータをタイムラグなく確認できるようになりました。
<効果>
試算表の作成が2か月から1か月に短縮!
経理業務が飛躍的にスピードアップしました。試算表の作成は1か月に短縮されましたし、経理書類をすべて電子化し、クラウドで共有することで会計事務所との紙のやりとりが必要なくなりました。また、書類保管の手間も保管場所も必要なくなり、管理がとても楽になりました。
小規模事業者持続化補助金の活用事例
小規模事業者持続化補助金の活用事例については、下記サイトより検索することが可能です。自社の申請内容や事業内容と共通点がある事例を探し、申請の際に適宜参考にするとよいでしょう。
事例を探す(事例ナビ)|経済産業省 中小企業庁 ミラサポPlus (mirasapo-plus.go.jp)
上記サイトから採択事例を抜粋して記載します。
A社
<事業の内容>
補助金を活用して、低体力者向けに個別トレーニングプログラムを開発し、それを実行するための器具を導入した。自主事業として、新しいトレーニングプログラムを掲載したチラシを作成・配布し、広報活動により新規顧客の開拓に取り組んだ。
<事業の効果>
高齢者や低体力者でも利用できる器具を導入したことで、運動の幅が広がりより楽しくトレーニングができるようになった。設備導入後、新しいトレーニングプログラムを8名の既存会員が利用し、また問い合わせ30件中、新規入会者が10名あった。
新規顧客の掘起しや、会員中約15%を占める高齢者層の既存顧客の退会防止や継続へとつなげることができた。本事業により、高齢者層に関する売り上げが前年比30%増加した。
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補助金の相談・支援は3Rマネジメントへ
当社は、中小企業支援に関する知識や経験があると国が認定した「認定経営革新等支援機関」に登録していますので、安心して補助金申請をお任せいただけます。
当社のサポート内容と依頼するメリットを以下にまとめましたので、支援先検討の参考になさってください。
3Rマネジメントのサポート内容
当社では、以下のとおりサポートを行っています。
- 初回面談(オンライン)による相談受付
- 申請書類の確認
- 経営計画書などの申請書類の作成支援
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- 採択後の交付申請支援
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なお、当社では、弁護士や税理士、社会保険労務士などの他仕業の方々や、製造業や飲食業、流通業などの会社員として実務を経験された中小企業診断士の専門家が多数在籍しています。
そのため、あらゆる業種の補助金申請においても、知見が備わっていることから高い採択率を保持できています。
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補助金まとめ
中小企業における設備投資に役立つ税制優遇補助金を紹介しました。
補助金は、申請するための準備や経営計画書など漏れなく書類を用意して、沢山の書類を書くため、多くの企業が専門家に支援を依頼して補助金の申請を行っています。
自社のみで採択されるためには、多くの時間と労力を割くことになりますし、競争相手も沢山いるため、採択は簡単なことではありません。
そのため、補助金の申請は、自社のみで行おうとせずに、専門家による申請代行や申請サポートを活用することをおすすめします。
当社3Rマネジメントでは、補助金の申請支援に注力しており、豊富なサポート実績や高い採択率を誇っております。
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