オフィス・店舗・工場移転に使える補助金・助成金一覧 | 申請方法も解説!
金親 正和
中小企業診断士
中小企業診断士 / 宅地建物取引士 / 不動産コンサルティングマスター
賃貸不動産経営管理士 / 管理業務主任者 / 防災士
大学卒業後、総合不動産会社にて不動産の企画・開発、賃貸物件のリーシング・管理(5,000室)、売却(半年間で46物件)と入口から出口までの業務に従事。
現在は、「補助金を通じて、中小企業経営者の皆様を支えたい」という思いから、各種補助金の申請支援に注力している。
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オフィスや店舗、工場移転に補助金、助成金が活用できますので、オフィス・事務所や店舗、工場の移転を考えている方は必見です。
事務所移転や店舗移転時に活用できる補助金は以下のようなものがあります。
名称 | 特徴 | 補助額 | 補助率 | 対象経費 | 提供元 | 主な条件・要件 |
事業再構築補助金 | 事業再構築や新分野への進出を支援 | 最大1億円 | 2/3 (中小企業) | オフィス移転、設備導入費、従業員転居費など | 経済産業省 | 売上減少要件:コロナ渦で一定の売上減少があること。事業計画書の提出が必要。 |
企業誘致促進助成金 | 特定地域への雇用創出を支援 | 最大5億円 | 1/2~2/3 | 移転費用、賃借料、設備費、雇用関連経費 | 地方自治体 | 特定の地域への移転が条件。新規雇用の創出が求められる。 |
地域未来投資促進法に基づく支援措置 | 人出不足に対応した省力化投資や事業規模拡大のための工場新設などの大規模投資に補助 | 法人税等の特別償却または税額控除 | 最大50%または 最大5% | 設備投資費用 | 経済産業省 | 都道府県知事による地域経済牽引事業計画の承認および国による課税特例の確認、租税特別措置法の規定に適合することが必要。 |
大規模成長投資補助金 | 成長することを目指して行う大規模投資を促進し、持続的な賃上げを実現できるよう支援 | 最大50億円 | 1/3 | 建物の建設・増築・改修・中古建物の取得、機械装置等の購入、ソフトウェア費、外注費 | 経済産業省 | 投資規模10億円以上、基準率以上の賃上げ要件を満たす必要がある。 |
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、下記の取り組みを行う事業者を強力にバックアップする補助金です。
- 市場規模が縮小する業種・業態等からの転換を支援
- 新型コロナ・物価高騰等により業況が厳しい事業を支援
- 大胆な賃上げやグリーンを含む成長分野への事業再構築、規模拡大を促進
例えば、建物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、外注費、広告宣伝費・販売促進費、研修費のような経費に対して、補助金が活用できます。
一方、人件費や不動産、車両、パソコン、家具等の購入費用、フランチャイズへの加盟料、販売する商品の原材料費、消耗品費、光熱水道費、通信費などは対象の経費にはなりません。
事業再構築補助金の詳しい内容については、下記の解説記事をご覧ください。
また、事業再構築補助金における最新の申請期間などのスケジュールについては、こちらをご覧ください。
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企業誘致促進助成金
企業誘致促進に関する助成金は、各自治体が公表しており、それぞれの内容が異なります。今回は、2件の補助金をご紹介します。
ふくしま産業活性化企業立地促進補助金
ふくしま産業活性化企業立地促進補助金は、福島県内において製造業や物流施設などを設置し、地域経済への波及効果や雇用創出が見込まれる企業を対象にしています。福島県内の産業活性化を目的とし、特に成長産業や次世代技術関連企業に対して、補助金を交付することで企業の投資活動を支援します。
対象企業は以下の企業です。
- 製造業に関わる工場や研究所の設置企業
- 物流施設を設置する企業
- 次世代自動車、再生エネルギー、医療機器、ロボット、航空宇宙などの成長産業に投資 する企業
- ICT関連産業に投資する企業
- 知事が特に認めたその他の企業
応募方法については、 事前に福島県企業立地課に相談が必要です。
事業の種類や規模に応じて異なりますが、補助率は 5%~25%、補助上限額は、最大5億円までとなっています。
対象経費は、以下の通りです。
- 建物の設置や改築費用(工場、物流施設、試験研究施設、コールセンターなど)
- 設備導入費用(建物のみ、設備のみも対象)
一方、対象外の経費として、解体費用や既存建物の修繕費は補助対象外です。
また、通常の運営費や個人消費に関わる経費も対象外です。
詳細は、ふくしま産業活性化企業立地促進補助金(令和6年度募集)募集概要 をご参照ください。
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長野県ICT産業立地助成金
長野県ICT産業立地助成金は、県内にICT産業の事業所を新設する企業を支援する制度で、特に高付加価値型事業や成長産業に対して全国トップ水準の助成が行われています。長野県は、「信州ITバレー構想」を掲げ、IT産業集積を目的としています。
公募条件は下記の通りです。
- 対象産業: 情報サービス業やインターネット関連サービス業。
- 企業要件: 創業から3年以上経過し、常勤雇用者5人以上を有すること。
- SDGs推進: 長野県SDGs推進企業登録制度に登録が必要。
- 対象企業:新たに県内に事業所を設立すること。
雇用要件や投資額要件はありません。
補助率と補助額については、以下の表のとおりです。
助成対象 | 助成率・助成額 | 助成限度額 | |
高付加価値型 | 通常 | ||
建物・設備機器等の取得費用 | 40% | 10% | 3億円 |
建物・設備機器等の賃借料 | 60%(5年間分) | 50%(3年間分) | |
雇用(常勤雇用者) | 110万円/人 | 30万円/人 |
高付加価値型企業の場合の補助費用
- 建物や設備の取得費用: 最大40%(通常は10%)が補助され、上限3億円。
- 賃借料: 最大60%(通常は50%)で、5年間の賃借料が対象。
- 雇用に関する補助: 県外からの転入者を含む雇用者1人あたり110万円(通常は30万円)を支援。
対象経費は下記の通りです。
- 建物や設備の取得費: 事業所の新設に伴う費用。
- 賃借料: 建物・設備の賃貸料が対象。
- 雇用創出に伴う経費: 新規雇用者に対する補助。
申請は、工事着手前または賃貸契約の30日前までに事業認定申請書を提出する必要があります。
審査は、長野県知事により行われ、事業計画の妥当性や地域経済への影響を基準に審査されます。
詳細は長野県企業立地ガイドをご参照ください。
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地域未来投資促進法に基づく支援措置
地域未来投資促進法に基づく支援措置については、「税制による支援措置」「金融による支援措置」「規制の特例措置」「予算による支援措置」があります。
ここでは、税制による支援措置をご紹介します。
税制による支援措置では、建物・機械等の設備投資を行う場合に、法人税等の特別償却(最大50%)または税額控除(最大6%)を受けることができるというものです。
この措置を受けるためには、以下の流れで手続きをすることになります。
STEP1 都道府県による地域経済牽引事業計画の承認
STEP2 国(主務大臣)による課税特例の確認
①地域未来投資促進法による税制支援措置を受けるためには、地域経済牽引事業計画を策定し、都道府県に申請→②計画が承認されることが必要です。
地域経済牽引事業の要件は、3つ示されております。
- 地域の特性の活用
- 高い付加価値の創出
- 地域の事業者に対する経済的効果
地域経済牽引事業計画の策定方法は、経済産業省HPに掲載されており、リンクを張りますが、70ページもあり、かつ沢山の文字が書かれています。
地域未来投資促進法による税制支援措置にご興味を持たれた方は、まずはご相談ください。
③国(主務大臣)による課税特例の確認においては、通常類型と上乗せ類型があります。上乗せ類型には(A・B・C)の3種類があります。
確認申請後、④経済産業局から確認書を発行してもらう手続きが必要です。
課税特例の要件として、通常類型では5つの要件が求められます。
要件①:先進性を有すると認められること
要件②:設備投資額が2000万円以上であること
要件③:設備投資額が前年度の減価償却費の20%以上であること
要件④:売上高の伸び率が0を上回り、かつ、過去5年度の対象事業に係る市場規模の伸び率より5%以上高いこと
要件⑤:労働生産性の伸び率4%以上、かつ、投資収益率5%以上であること
上乗せ類型においては、A・B・Cの3種類があり、それぞれ要件も異なっています。
⑤この税制支援措置は、年度末までに対象施設を事業のように供した場合に適用対象となります。工場を新設するなどの建設工事が伴う場合など、設備投資をして、資産を取得するためには、早めに計画をしておく必要があります。その上で、税制支援措置を適用させていく、ということも計画に織り込んでおくことが求められます。
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大規模成長投資補助金
大規模成長投資補助金は、「中堅・中小成長投資補助金」と呼ばれており、最新の設備を導入して生産性をあげたり、拠点を増やして事業を拡大させたり、賃上げをして働いている方のモチベーションをあげるなどの目的があります。
今回の公募は、令和6年8月9日まででしたので終了していますが、総額予算は3,000億円となっており、まだ募集はあるのではないかと想定されます。
中堅・中小成長投資補助金は、補助上限額が50億円(補助率3分の1)と規模が大きいことが特徴です。
補助対象の経費は、「事業拡大につながる事業資産への早々の規模の投資を含んだ経費」であり、建物費・機械装置費・ソフトウェア費・外注費・専門家経費が対象です。
中堅・中小成長投資補助金の要件(一般枠)は以下の2点です。
①投資額10億円以上
②賃上げ要件
また、補助金が採択された後、工場新設を実行することになりますが、「納品・検収・支払などの手続き」を令和8年12月までに完了させる必要があります。
中堅・中小成長投資補助金の審査基準についても、示されています。
①経営力:補助事業を通じて企業自身の持続的な成長につながることが見込まれるか
②先進性・成長性:労働生産性の抜本的な向上が図られ、人手不足の状況が改善されるか
③地域への波及効果:地域への波及効果が見込まれる取組か
④大規模投資・費用対効果:生み出される付加価値額や賃金の増加分が相対的に大きいか
⑤実現可能性:補助事業に必要な資金・体制が十分に確保されているか
これらの基準を踏まえて成長投資計画書等を作成し、経営者の皆様によるプレゼンテーションを行ったうえで、審査が行われます。
参考:中堅・中小成長投資補助金の説明会資料 seminar_2ji.pdf
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オフィス・店舗・工場移転に使える補助金・助成金一覧
以上、オフィスや店舗の移転、工場の新設に活用できる補助金についてご紹介しました。
各補助金には申請期限が設けられているため、早めの準備と計画が重要です。しかし、申請書類が多く、内容も複雑な場合が多いため、日々の業務と並行して申請を進めるのが難しいと感じる方も少なくありません。
そんな時は、補助金の専門家である当社の中小企業診断士にぜひご相談ください。無料相談を通じて、皆様の事業に最適な補助金活用のサポートをいたします。お気軽にお問い合わせをお待ちしております。
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