2024年の銀行融資はこう変わる!経済産業省「挑戦する中小企業応援パッケージ」を徹底解説!

【執筆者】
中小企業診断士 原口 卓也

商工会議所
 ・個社支援(制度資金あっせん、補助金申請他)
 ・面的支援(イベント企画運営)

税理士法人
 ・財務に基づく経営計画PDCA支援コンサルティング
 ・法人・個人の決算書・申告書作成

中小・卸小売業 経理財務部
 ・月次・年次決算とりまとめ
 ・プロジェクト活動(インボイス制度対応など)

資格
 ・中小企業診断士 2021年5月登録
 ・国家資格キャリアコンサルタント 2019年9月登録 

その他
 ・埼玉県生まれ長野県出身、妻と息子と千葉県在住
 ・好きなものはバレーボール、NBA、新日本プロレス

中小企業診断士の原口卓也です。

 今回は『挑戦する中小企業応援パッケージ』を題材に、政策の立案者である政府や自治体の意図を理解することが、公的支援策を活用する際に重要であることをお伝えしたいと思います。

目次

国の新たな中小企業支援の方向性

 2023年8月30日に、経済産業省が金融庁や財務省と連携の上、『挑戦する中小企業応援パッケージ(以下本パッケージ)』を策定しました。これは「将来の挑戦に向けたコロナ資金繰り支援」と「挑戦する中小企業の経営改善・再生支援の強化」をパッケージ化し、”挑戦する”中小企業の持続的成長を支援するものです。

 また、金融庁は農林水産省と連名で、本パッケージの普及を図るべく、全国の金融機関へ最前線の現場の担当者まで周知徹底するよう、2023年9月1日付で要請しました。

制度策定の意図

 経済産業省『潮目の変化に対応した中小企業金融について(2023年8月)』を参照して、本パッケージ策定の意図を考察していきます。

 まず、本パッケージの策定以前から、政府は官民協働による中小企業の資金繰り(融資、返済力強化)を継続して支援してきました。その後、日本政策金融公庫や保証協会への申請件数は、民間融資における実質無利子・無担保融資(以下ゼロゼロ融資)の申込期限(2021年3月まで)以降は低水準(ピーク時13万件→2023年7月6,300件)です。

上述の支援が奏功してか、2022年の倒産件数は約6,400件と、コロナ前である2019年の約8,400件に比べ、約2,000件減少しました。しかしながら、2023年7月は758件と、16ヶ月連続で前年同月の件数を上回っています。リーマンショックの経験から、セーフティネット保証による100%保証を継続することは、企業の自律的で早期の経営改善の機会を奪いかねません

一方で、2023年7月から2024年4月までの間、ゼロゼロ融資の返済開始時期が集中しているが、業況が回復し切っていない企業(宿泊業など)もあり、借換需要は引き続き存続することが想定されます。さらに、「中小企業の駆け込み寺」である中小企業活性化協議会への相談は2022年度が6,409件と過去最高であり、再生支援ニーズが高まっています。

 以上から、自助(将来の挑戦に向けたコロナ資金繰り支援の段階的見直し)と公助(挑戦する中小企業の経営改善・再生支援の強化)のバランスの取れた施策が求められています。

 次章より、上述した中小企業の実態を踏まえて策定された、本パッケージの具体的な施策について説明します。

将来の挑戦に向けたコロナ資金繰り支援

①セーフティネット保証4号の借換目的での利用継続

 『セーフティネット保証4号』は、指定された地域で一年以上の営業実績があり、直近月且つその後2か月含む3か月間の売上高が前年同月比20%以上減少することが見込まれる事業者が対象となります。元本に対して保証協会による100%の保証が得られるため、金融機関は貸出しやすくなります。

 本パッケージでは、借換目的のみ、コロナによる業況悪化を理由とした地域指定が、2024年3月まで期限延長されました。

②資本性劣後ローンの貸出限度額引上げ

 日本政策金融公庫の『新型コロナ対策資本性劣後ローン』は、中小企業活性化協議会の関与のもとで事業再生に取り組む事業者などが対象となります。資本性劣後ローンは、返済の優先順位が特定または一般の債権より劣後されるため、会計上は負債(他人資本)に計上されるものの、金融機関における審査では純資産(自己資本)とみなされます。そのため、自己資本比率が改善し、審査上有利に作用します

 本パッケージでは、借入限度額が10億円から15億円へ引き上げられました。

③新型コロナウィルス感染症特別貸付の金利見直しの上で申込期限の延長

 日本政策金融公庫の『新型コロナウィルス感染症特別貸付』は、直近月または過去6か月(直近月含む)の平均売上高が過去5年間の同期に比べ5%以上減少している、加えて、中長期的に業況の回復、発展が見込まれる事業者などが対象となります。

 本パッケージでは、金利引下げ幅を0.9%(スーパー低利融資)から0.5%(低利融資)へ見直した上で、申込受付期限を2023年9月から2024年3月まで延長しました。ただし、金利優遇を受けられるのは、貸付限度額が国民生活事業:6,000万円、中小企業事業:4億円であり、さらに融資後3年目までです。

④物価高騰対策のセーフティネット貸付金利引下げ措置の延長

 日本政策金融公庫の『セーフティネット貸付』は、原油高によるコストの上昇などで、直近月の粗利益率または営業利益率が前年同月と比べて5%減少している事業者が対象です。

 本パッケージでは、物価高騰対策としての金利0.4%引き下げを、2024年3月まで延長しました。

挑戦する中小企業の経営改善・再生支援の強化

①挑戦する中小企業の経営改善・再生支援強化会議(仮称)の設置

 政府系金融機関や保証協会、支援機関などの代表者らで構成する『挑戦する中小企業の経営改善・再生支援強化会議(仮称)』を設置します。本会議では、官民金融機関の現場における取組状況をフォローしながら、さらなる再生支援に関する施策などを検討するなど、経営改善・再生支援の体制強化を図ります。

②官民金融機関による支援の強化

 挑戦する中小企業の経営改善・再生支援強化会議が本パッケージの旗振り役となり、次の3つのフェーズから成る切れ目のない、総合的な支援が展開されます。

【フェーズ①経営改善_民間金融機関による早期経営改善計画策定支援事業の活用】

 『早期経営改善計画策定支援事業』では、資金繰りの安定と収益力の向上を図るため、資金繰り計画やビジネスモデル俯瞰図、アクションプランといった経営改善計画の策定、その実行まで、中小企業診断士などの認定経営革新等支援機関による伴走支援が受けられます。さらに、計画策定とその実行に対する支援で最大25万円、その費用に対して2/3の補助が得られます。

 本パッケージでは、一定の条件を満たせば、100%保証の貸付先などに対する支援において、金融機関による当該事業の利用が認められます。

【フェーズ②再生_危機対応融資のDES】

 商工中金によるコロナ資金繰り支援メニューである『危機対応融資』は、2022年9月30日をもって申込受付が終了しました。日本政策金融公庫より大規模な企業を融資対象としていることから貸出限度額も大きく、返済負担も大きいことが特徴でした。

 本パッケージでは、この危機対応融資のDES(Debt Equity Swap、債務の株式化)による再生支援が可能となりました。DESとは、借入金を出資とみなすことで、自己資本比率やキャッシュフローといった財務状態を改善する手法です。元本の返済と利息の支払いの代わりに、出資に対する配当があり、債務者は出資者となり、債務者との利害関係は継続します。

【フェーズ③再チャレンジ_中小企業活性化協議会の体制強化】

 経営改善計画の経営改善支援センター、再生計画の中小企業再生支援協議会が統合され、2022年3月に『中小企業活性化協議会』が発足しました。当協議会が地域のハブとなり、金融機関、民間専門家、各種支援機関と連携し、「地域全体での収益力改善、経営改善、事業再生、再チャレンジの最大化」を追求することを目的に、47都道府県に設置、全国の商工会議所等が運営しています。

 本パッケージでは、現状26名の弁護士を倍増させ、再チャレンジに対する支援体制が強化されます。

まとめ

 本パッケージに限らず、制度を徹底的に活用するには、その背景にある政府の意図を理解することが必要であると考えます。それは、補助金であれば、その採択率を高めるなど、確実に支援策を活用するためです。採択する公的支援機関は補助金や税制優遇などにより中小企業を導きたい方向性がありますので、同じ方向を見ている中小企業の事業計画を採択したくなるはずです。

 政府をはじめとする公的支援策を活用することで、挑戦する新事業の展開を図り、持続的な成長を図りましょう。

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