営業での受注率を上げるために~ヒアリングの重要性~
悠稀 智惠
売れる話し方 /
プレゼンコンサルタント
舞台女優歴15年。ハリウッドの有名俳優も使う演技メソッドと起業家の成功ノウハウから編み出したオリジナル話し方メソッド「ハートフルスピーチ®」を、起業家や経営者向けに研修を行う。
講師実績
・電話/接客研修(KDDI代理店, 老舗洋菓子店, 食品会社など)
・営業研修(IT企業, 健康グッズ販売, 住宅販売など)
・新人研修/ハラスメント研修(IT企業, 製造企業など)
本シリーズは四部制で、上記の動画は「Part.1」です。
はじめに
ここでは、「挨拶」、「雑談・アイスブレイクの6つのテクニック」、「ラポール(信頼関係)の構築」、「現状や課題、理想を聞き出す4つのスキル」について詳しく解説します。
ヒアリング
ヒアリングが受注に与える影響は非常に大きく、成功の50%以上がヒアリングの質にかかっていると言っても過言ではありません。ヒアリングの段階で、相手の状況や課題、期待、希望をどれだけ深く理解できるかが、受注率を左右します。逆に、ヒアリングが浅く、相手の真意に到達できない場合は、その先のプロセスを進めることが難しくなります。営業力を向上させるためには、まずヒアリング力の強化が不可欠です。
挨拶
まずは「挨拶」についてです。相手に良い印象を持たれるよう、印象の良い挨拶を心がけましょう。
アイスブレイク
次に「雑談・アイスブレイク」です。アイスブレイクとは、緊張した硬い空気や相手の心を氷に例えて、それを壊したり溶かしたりすることを指します。ただの雑談ではなく、緊張感がほぐれたり、お互いの理解が深まったりするような話題が理想です。
アイスブレイクの方法としては、自己紹介をする、共通の話題を振る、相手の喜ぶ話題を提供する、といったものが挙げられます。これらは「アイスブレイクの鉄板」として効果的です。また、アイスブレイクの長さや話題の展開も重要です。適切な長さで、会話がスムーズに進むように意識しましょう。これらのポイントについて、さらに詳しくお話ししていきます。
自己紹介
自己紹介の際には、なぜこの仕事を選んだのか、その理由や経緯をストーリーとして話すことが効果的です。自身の経験や背景を共有することで、相手に共感を生みやすくなり、信頼関係を築く手助けになります。自己開示を通じて、より深い理解を得られるように努めましょう。
共通の話題を振る
共通の話題を振ることも、関係構築において非常に有効です。例えば、同じ大学出身であるとか、血液型や故郷が同じであるといったことがあれば、それらを積極的に話題にしましょう。共通点が多ければ多いほど、親近感が生まれ、会話が弾みやすくなります。
相手の喜ぶ話題を振る
また、相手の喜ぶ話題を振るのも効果的です。もし相手は野球が好きなら野球の話、サッカーが好きならサッカーの話、推理小説が好きなら推理小説の話題を振ると良いでしょう。事前に相手の好みを調べておくことで、会話をよりスムーズに進めることができます。自分自身が詳しくなくても、少し話題に触れるだけで良いのです。
アイスブレイクの鉄板
アイスブレイクの際に活用できる「キドニタテカケシ衣食住」という覚え方があります。これは、以下のような話題の頭文字を取った言葉です:
- キ:季節に関する話題
- ド:道楽(趣味)について
- ニ:最近のニュース
- タ:旅行の話
- テ:天気や気候の話
- カ:家族や家庭の話
- ケ:健康やダイエットに関する話
- シ:仕事や業界の話
- 衣:衣服やアクセサリー
- 食:食べ物に関する話
- 住:住んでいる場所や出身地の話
これらの話題を使えば、無理なく自然に会話を進めることができ、アイスブレイクに役立ちます。営業の場では、このようなテーマを活用してリラックスした雰囲気を作り出しましょう。
アイスブレイクの長さ
営業時のアイスブレイクの長さは、最初の5分から10分程度が適切です。アイスブレイクが長引くと、本題に入る時間が不足し、相手の大切な時間を奪うことにつながりかねません。また、「アイスブレイクはいいから早く本題に入りたい」と考えるお客様もいるかもしれません。したがって、アイスブレイクは手短に終わらせて、すぐに営業の本題に移行することを心がけましょう。
話題展開
話題の展開において気をつけるべき点は、アイスブレイクの話題と本題を完全に切り離してしまうことです。理想的な展開としては、相手の課題と思われる話題から始め、少しずつ本題に自然に移行する方法が挙げられます。そのためには、事前に話題展開を想定しておくことが重要です。どの話題を振るかを予め決めておくことで、会話の流れをスムーズに進めることができます。
ラポール
次に、ラポール(信頼関係)の構築についてです。
ラポールとは、2人の間にある信頼関係を指し、心が通い合い、どんなことでも打ち明けられると感じられる状態を意味します。そのような関係性を築くためには、自分が相手にとって味方であると感じてもらうことが重要です。
具体的な方法としては、相手の名前を呼ぶこと、ペーシング、ミラーリング、そしてお客様に興味を持つことが効果的です。
相手の名前を呼ぶ
相手を「お客様」と呼ぶのではなく、名前で呼ぶことで親近感が生まれます。これにより、心の距離が縮まり、よりスムーズに商談が進められます。
ペーシング
ペーシングとは、相手の話し方、声のスピード、音量、リズム、呼吸などに自分の話し方を合わせることです。ペーシングを行うことで、聞き手と話し手の間に一体感が生まれ、話し手は安心して話をすることができるようになります。これにより、相手との信頼関係(ラポール)を築くことができます。
ミラーリング
ミラーリングはビジネスシーン、特にセールスの場面で大きな効果を発揮します。例えば、相手が楽しそうに笑っている時には同じように笑い、相手が悲しそうな表情をしている時には同じように悲しい表情をすることによって、相手に好印象を与えることができます。相手の言い回しや話し方を模倣することも有効です。
お客様に興味を持つ
最も重要なのは、お客様に対して本当に興味を持つことです。お客様に対する興味や関心がなければ、どんなテクニックも意味がありません。営業・商談では、相手と同じ方向を向いているイメージを持ち、どんな生活をしているのか、どんな悩みがあるのか、どんなことが嬉しいのか、日々何をしているのか、何が悲しいのかといったことに興味を持ち、理解しようとする姿勢が大切です。
現状や課題、理想などを聞く
現状や課題、理想などを聞き出す際には、お客様が抱えている困りごとや課題、目指している理想や将来の目標について理解することが重要です。その際に大切なのは、質問、相手を主語にして話す、相手がイメージできるように話す、営業ヒアリングに必要なスキルの4つです。
質問
相手の現状、課題、悩み、理想の状態、ゴール、これまでの取り組み、理想に達成できない原因などについて詳しく質問し、心からの理解を目指しましょう。お客様がどのようなニーズ(必要性)やウォンツ(願望)を抱えているのかを引き出すことが重要です。そのためには、「深掘り質問と展開質問」「拡大質問と限定質問」を活用すると良いでしょう。
深掘り質問とは、ヒアリング項目に対してさらに深く掘り下げて質問し、問題点を洗い出す方法です。例えば、具体的に「それはどういうことですか?」や「どうしてそうなったのですか?」といった質問をすることで、相手の話を深く掘り下げることができます。
一方で、「展開質問」とは、相手の視野を広げ、新たな視点を提供するための質問です。例えば、「他に考えられる点はありますか?」や「〇〇の視点から見るとどうですか?」といった質問をすることで、相手が異なる角度から考えるきっかけを提供します。
拡大質問とは、お客様の立場に立ち、自由に答えられる質問のことです。これは、潜在ニーズや背景、ゴールなどを引き出す際に有効です。例えば、「次回もこの商品を購入する理由は何ですか?」や「この商品のどのような点が気に入りましたか?」といった質問が該当します。
これに対し、限定質問とは、回答が特定の範囲に限定される質問です。例えば、時間が限られている場合や、お客様の回答を確認したいときに使用します。例としては、「次回もこの商品を購入しますか?」や「競合他社の製品と比較して操作性はどうですか?」などが挙げられます。拡大質問と限定質問は、回答の自由度が高いか低いかによって使い分けると効果的です。
相手を主語にして話す
相手を主語にして話すことも重要です。自分が関心を持たなければ、相手も真剣に話を聞こうとはしません。まずは相手の関心を引き出すために、相手側を主語にして話すことが効果的です。これにより、相手は自然と耳を傾けるようになります。
相手がイメージできるように話す
また、相手がその商品やサービスの特性や魅力をイメージできるように配慮することも大切です。ビジュアルを用いたり、事例を話したりすることで、相手が理解しやすくなります。事前に資料を準備しておくこともおすすめです。
営業ヒアリングに必要なスキル
営業ヒアリングに必要なスキルとしては、以下の点を意識しておきましょう。まず、仮説を冷静に検証し、自分の立てた仮説にお客様を強引に誘導しないようにします。また、プレゼンやクロージングに必要な要点を押さえ、長々と話すお客様には、必要に応じて話に割って入ることも重要です。発想を促すために、他社の事例などを準備しておくことも役立ちます。これらの点に注意しながら、効果的なヒアリングを行いましょう。
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