【2025年最新版】小規模事業者持続化補助金の対象となる経費とは?わかりやすく解説

吉川 和明
中小企業診断士
大手製造機器メーカーにて、流通小売業向けPOSシステム、および決済システムの開発に従事。本業と中小企業診断士の二刀流で、商工会議所の経営相談員や補助金申請支援などの活動を実施中。
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はじめに:小規模事業者持続化補助金を活用したい方へ
小規模事業者持続化補助金とは?
小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者等が自ら策定した「持続的な経営に向けた経営計画」に基づく販路開拓等の取組や、併せて行う業務効率化(生産性向上)の取組に要する経費の一部を補助するものです。これにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的とします。
最大250万円が補助される制度の概要
小規模事業者持続化補助金の補助上限額、補助率、対象経費は以下の通りです。
特例対象事業者については補助上限額が上乗せとなります。
補助上限 | 50万円 ・インボイス特例対象事業者は50万円の上乗せ(注1) ・賃金引上げ特例対象事業者は150万円の上乗せ(注2) ・両特例対象事業者は200万円の上乗せ |
補助率 | 2/3 賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4(注3) |
対象経費 | 機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費展示会等出展費、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費など |
(注1)2021年9月30日から2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者であった、または免税事業者であることが見込まれる事業者、および2023年10月1日以降に創業した事業者のうち、適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者であることが、インボイス特例対象事業者の適用要件となります。
(注2)補助事業実施期間に事業場内最低賃金を+50円以上とした事業者であることが、賃金引上げ特例対象事業者の適用要件となります。
(注3)賃金引上げ特例に申請する事業者のうち業績が赤字の事業者については、補助上限引き上げに加えて、補助率が2/3から3/4へ引き上がる(インボイス特例対象事業者は、インボイス特例による上乗せ部分も含む)と共に、加点を希望した場合は優先採択を実施します。
小規模事業者の定義とは?
- 業種別の定義と従業員の上限
小規模事業者の業種別の定義と、各業種における従業員数の上限は以下の通りです。
業種 | 常時使用する従業員の上限 |
①商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 5人以下 |
②サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
③製造業・その他(建設業・運輸業などを含む) | 20人以下 |
個人事業主・フリーランスも対象になる?
小規模事業者持続化補助金はフリーランスや個人事業主も対象となりますが、そのためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
- 開業届を提出していること
税務署に開業届を提出し、正式に個人事業主として登録されている必要があります。 - 商工業者であること
農業、林業、水産業、医師、歯科医師、助産師などの業種は対象外となります。 - 過去3年間の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと
過去3年間の課税所得の年平均額が15億円以下である必要があります。
補助金の対象となるための主な条件
補助対象となるためには、次の①〜③すべての要件を満たす必要があります。
- 策定した「経営計画」に基づいて実施する、販路開拓等のための取組であること、あるいは販路開拓等の取組とあわせて行う業務効率化(生産性向上)のための取組であること。
- 商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であること。
「商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む」とは、商工会・商工会議所による事業支援計画書(様式4)の発行、および補助事業実施における助言等の支援を受けながら事業を実施することです。 - 補助事業実施期間内に補助事業が終了すること。
補助金を受給するためには、補助事業実施期間内に終了する補助事業であることが必要です。
第17回公募の場合=2025年8月頃(交付決定予定)~2026年7月31日(事業実施期限)までの期間
対象外となる主なケース
下記に該当する事業者は、補助対象外となります。また、該当することが判明した時点で補助対象外となりますので注意が必要です。
- 下記3つの事業において採択を受けて補助事業を実施した場合、各事業の交付規程で定める様式第14「小規模事業者持続化補助金に係る事業効果および賃金引上げ等状況報告書」が未提出である事業者 (先行する受付締切回で採択された共同申請の参画事業者を含む)
- 小規模事業者持続化補助金<一般型>
- 小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>
- 小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>
※なお、「小規模事業者持続化補助金<一般型>」においては、過去の公募回に採択され補助事業を実施した事業者は、事業実施期間終了日の属する月の翌月から1年間を経過し、「小規模事業者持続化補助金に係る事業効果および賃金引上げ等状況報告書」の提出を完了している場合に申請が可能です。
2. 小規模事業者持続化補助金<一般型>において、「卒業枠」で採択を受けて補助事業を実施した事業者。
3. 小規模事業者持続化補助金<創業型>第1回公募に申請中の事業者。
また、下記に示す業種も補助対象外となります。
・医師、歯科医師、助産師・系統出荷による収入のみの個人農業者(個人の林業・水産業者についても同様) ・協同組合等の組合(企業組合・協業組合を除く) ・一般社団法人、公益社団法人、一般財団法人、公益財団法人・医療法人、宗教法人、学校法人、農事組合法人、社会福祉法人 ・申請時点で開業していない創業予定者(既に税務署に開業届を提出していても開業届上の開業日が申請日よりも後の場合は対象外) ・任意団体 等 |
補助金の対象経費と対象外経費
補助金の対象となる経費の例は以下の通りです。
経費 | 事例 |
機械装置等費 | ・衛生向上や省スペース化のためのショーケース ・生産販売拡大のための鍋、オーブン、冷凍冷蔵庫 ・新たなサービス提供のための製造、試作機械(特殊印刷プリンター、3Dプリンター含む) |
広報費 | ・チラシ・カタログの外注や発送、郵送DM ・新聞・雑誌等への商品・サービスの広告 ・看板作成・設置・ 試供品(販売用商品と明確に異なるものである場合のみ) ・販促品(商品・サービスの宣伝広告が掲載されている場合のみ) ・街頭ビジョンやデジタルサイネージ広告への掲載 |
ウェブサイト関連費 | ・商品販売のためのウェブサイト作成や更新 ・インターネットを介したDMの発送 ・インターネット広告、バナー広告の実施 ・効果や作業内容が明確なウェブサイトのSEO対策 ・商品販売のための動画作成、SNSに係る経費 ・システム開発、構築に係る経費 |
補助金の対象外となる経費の例は以下の通りです。
経費 | 事例 |
国が助成する他の制度を利用している事業と重複する経費 | ・就労継続支援A型事業所・B型事業所など障害福祉サービス事業と重複する経費 ・デイサービス・介護タクシー等の居宅介護サービス事業者で介護報酬が適用されるサービス ・保険適用診療にかかる経費(薬局、整骨院や鍼灸院等の保険診療で使用する機械や保険診療の宣伝も兼ねるチラシ等) |
通常の事業活動に係る経費 | ・販売している商品の仕入 ・老朽化した既存機械の取替え費用 ・応接室ソファや従業員用事務机の購入費用 |
販売や有償レンタルを目的とした製品、商品等の生産・調達に係る経費 | ・塾や教室等で使用する有料教材の制作費用 ・レンタル事業を営む事業者がレンタル機材を購入する費用 ・電子書籍や本の出版に係る費用(電子書籍に係る費用は新商品開発費でも対象外) ・ コワーキングスペース等の有償スペース改装費用 |
自動車等車両 | ・自動車、除雪車、フォークリフト ・キッチンカー、キッチントレーラー など |
対象となるための準備とポイント
申請に必要な書類は以下の通りです。大半の書類は電子申請時に電子ファイルのアップロードが必要ですが、記載内容を直接入力するのみの書類もあります。電子申請時にスムーズに入力できるよう、アップロード不要の書類であっても事前に作成しておくことをお勧めします。
№ | 書類名 | アップロード要否 | 備考 |
1 | 持続化補助金事業に係る申請書(様式1)経営計画兼補助事業計画①(様式2)補助事業計画②(様式3)補助金交付申請書(様式5)宣誓・同意書(様式6) | 不要 | |
2 | 事業支援計画(様式4) | 必要 | |
3 | 貸借対照表および損益計算書(直近1期分) | 必要 | 法人のみ |
4 | 株主名簿(該当者のみ) | 必要 | 法人のみ |
5 | 直近の確定申告書 | 必要 | 個人のみ |
6 | 貸借対照表および活動計算書(1期分) | 必要 | NPOのみ |
7 | 現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書 | 必要 | 法人、NPOのみ |
8 | 法人税確定申告書 | 必要 | NPOのみ |
よくある質問(FAQ)
- 社員数がギリギリだけど大丈夫?
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「常時使用する従業員数」が上限内であれば申請することが可能です。例えば、商業で従業員数5人というギリギリであっても、その上限を超えていなければ問題ありません。
業種 常時使用する従業員の上限 ①商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) 5人以下 ②サービス業のうち宿泊業・娯楽業 20人以下 ③製造業・その他(建設業・運輸業などを含む) 20人以下 - 従業員にパート・アルバイトも含まれる?
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「常時使用する従業員」の定義については、週20時間以上勤務しており、かつ長期継続して雇用されている者で、社会保険加入有無は判断基準に含まれていません。つまり、日数や時間が少ない短期のアルバイトは含まれませんが、週3日以上勤務するパートは含まれる可能性が高いです。
- 複数店舗経営でも申請できる?
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申請の主体が「1つの法人・個人事業主であること」が条件ですので、複数店舗があっても1つの小規模事業者であれば申請可能です。ただし、全体の従業員数でカウントしますので、例えば1法人で3店舗を運営し全体の従業員が15人の場合、宿泊業であれば申請可能ですが、サービス業であれば申請不可となります。
まとめ:対象条件を確認して、申請準備を始めよう
小規模事業者持続化補助金の対象となる条件について解説しました。
自社が補助金受給の対象か否かを判断するには、補助金の「公募要領」を読み解く必要があります。しかしながら「公募要領」は記述内容も多く、仮に自社が事業者として対象であっても、設備投資内容が補助対象外となるケースも見受けられます。また、補助金の申請や交付申請の手続きも複雑なため、専門的な知識と経験が必要です。
自社が補助金受給の対象となるか迷ったら、専門家に相談することをお勧めします。
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