ものづくり補助金と類似した「神奈川県 中小企業生産性向上促進事業費補助金」とは?

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中小企業診断士 花村 大祐のプロフィール写真

花村 大祐
中小企業診断士

大卒後、工作機械メーカーに勤務し、主に金属加工業を営む中小企業への法人営業に従事。フィールドセールス・マーケティング・プロモーションと幅広いセールス活動を経験。

中小企業診断士登録後は、補助金申請支援をきっかけに、ベンチャー企業の融資獲得のための事業計画策定、営業力向上・WEBマーケティング支援、組織構築、新規店の立ち上げ等の全般的な経営支援に従事。ご縁を大切にする経営支援を目指す。

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業務効率化・省力化につながる設備導入に活用できる補助金として、神奈川県より公募されている「生産性向上促進事業費補助金」をご紹介します。

本補助金は、物価高騰や人手不足といった問題を乗り越えるためには、企業の「稼ぐ力」を安定させ、より一層強化することが重要です。事業の売上増加や効率化など、生産性向上に効果的な設備投資の導入を補助することを目的としています。

この補助金は、ものづくり補助金と募集内容が似ており、次回のものづくり補助金の概要がまだ発表されていないため、ものづくり補助金の申請を検討している神奈川県内の企業にとっては、導入を検討する価値があります。

締切は9月30日と迫っていますが、先着順ではないため、期日内に提出すれば公平に審査されます。せっかく準備したのに途中で募集が終了する心配はないため、直近で申請準備ができる企業にとっては、活用しやすい補助金です。

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目次

ものづくり補助金と神奈川県 中小企業生産性向上促進事業費補助金の違い

ものづくり補助金と神奈川県 中小企業生産性向上促進事業費補助金の大きな違いを記載します。

ものづくり補助金神奈川県 中小企業生産性向上促進事業費補助金
目的生産性向上に資する革新的サービス開発・
試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援
事業の売上増加や効率化など、
生産性向上に資する設備の導入の補助
補助対象者全国の中小企業神奈川県の中小企業
補助金額最大8,000万円最大500万円
補助率1/2もしくは2/31/2もしくは2/3

「ものづくり補助金」と「神奈川県 中小企業生産性向上促進事業費補助金」は、いずれも中小企業の生産性向上を目的とした設備投資を支援する制度です。

異なる点は、対象地域と補助金額のみです。

神奈川県 中小企業生産性向上促進事業費補助金は、全国版の「ものづくり補助金」と比べて補助金額が少額であるため、大規模すぎない投資を考えている神奈川県内の中小企業に向いています。設備投資コストを抑えつつ業務改善を実現したい企業に有効な支援制度です。

では、ここから神奈川県 中小企業生産性向上促進事業費補助金の具体的な内容について説明します。

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中小企業生産性向上促進事業費の補助金の概要

以下に本補助金の概要を解説します。

事業区分生産性向上促進事業
補助事業の内容生産性向上や業務プロセスの改善、人手不足の解消に資する設備の導入等
取組事例製造工程の改善に資する設備検査工程の改善に資する設備調理工程、
サービス提供方法の改善に資する設備
補助対象者神奈川県内に事業所を有する中小企業者
補助上限額500 万円(下限額25万円)
補助率中小企業:補助対象経費の1/2以内
小規模事業者:補助対象経費の2/3以内
公募期間7月締切分 令和6年7月 31 日(水)17 時まで
8月締切分 令和6年8月 30 日(金)17 時まで
9月締切分 令和6年9月 30 日(月)17 時まで

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補助対象の経費

補助対象経費は、機械装置等費、IT サービス導入費、施設工事費です。

補助対象経費の区分内容補助上限額
機械装置等費補助事業の遂行に必要な機械装置等の購入に要する経費500 万円
ITサービス導入費補助事業の遂行に必要なITサービスやシステムの導入・開発に要する経費50 万円
施設工事費機械装置等を設置するために必要な最低限の改修工事に要する経費100 万円

機械装置等費

  • 補助事業の実施のために必要な機械装置等の購入に要する経費が補助対象となります。
  • 乗用車など汎用性の高い機械装置等は補助対象外です。
  • 補助事業を実施のために必要な機械装置等の導入と一体で行う、改良又は据付けに要する経費も補助対象となります。
対象経費の事例製造工程の改善に資する設備
・ NC 工作機械、マシニングセンタ、ロボット、溶接機等検査工程の改善に資する設備・ 自動検査装置、光学・精密測定器 等調理工程、サービス提供方法の改善に資する設備
・オーブン、ミキサー、冷凍冷蔵庫、自動調理器、真空包装機、キッチンカー等注文
・会計業務の効率化に資する設備
・自動精算機、キャッシュレス機能付き券売機 等運送
・物流の効率化に資する設備
・フォークリフト等の補助事業専用に使用する特殊自動車、ハンドパレット 等品質の向上、リードタイム短縮に資する設備
・業務用印刷機、業務用スキャナー 等
・その他生産性向上に資する設備
対象外経費の事例単なる設備の更新で生産性の向上に繋がらないもの
・汎用的に使用可能な自動車・トラック
・船舶・航空機・機械装置等を商品として販売・賃貸する補助事業者が行う)当該機械装置等の購入・仕入れ(デモ品・見本品とする場合でも不可)
・機械装置等の修理費用
・楽器、娯楽・遊戯機器と認められるもの
・じゅうたん等の床用敷物、室内装飾品
・事務用プリンター、複合機、ユニット
・電話機、スマートフォン(タブレット端末として使用する場合のみ対象)

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ITサービス導入費(補助上限額:50 万円)

  • 補助事業のために使用される専用ソフトウェア・クラウドサービスの購入・開発に要する経費が補助対象となります。
  • ITサービスやシステムの月額・年間の利用料・契約料は、補助対象となります。
  • NC工作機械やマシニングセンタ等の機械装置と一体となって導入するソフトウェアの費目は「機械装置等費」となります。
  • ただし、パソコン、タブレット、スマートフォンに導入するソフトウェアは除く。
  • また、機械装置と一体となって利用するものでも、ソフトウェアのみの導入の場合の費目は「ITサービス導入費」となります。
対象経費の事例【補助対象となる経費 例】・ECサイト作成・改修費・会計管理ソフト導入費・顧客管理ソフト導入費・在庫管理システム導入費・RPA導入費・オーダーエントリーシステム導入費・WEB会議システムサービス導入費・WEB予約、キャッシュレス決済、セルフレジ等、システムの月額・年間利用料・工程管理システム・運行管理システム・受発注管理システム
対象外経費の事例【補助対象とならない経費 例】・ホームページの作成・改修費・マイクロソフト office(365 含む)等の一般事務用ソフトウェア・OS更新料、既に導入しているソフトウェアの更新料・ITサービスの利用に要するサーバーの月額・年間利用料・セキュリティ対策ソフトウェア

施設工事費(補助上限額:100万円)

  • ①機械装置等費や②ITサービス導入費の機械やサービスの導入に伴い発生する工事を外注で行う場合のみが補助対象となります。
  • 施設工事費のみでの申請はできません。
  • 施設工事費の申請を行い交付決定された場合には、実績報告時に必ず工事箇所の施工前・施工中・施工後の写真(実施した工事内容が分かるもの)の提出が必要です。
  • 「1式」「1組」と記載された見積書は不可。内訳の分かるものとしてください。
対象経費の事例大型機械導入に係る動線変更工事・機械の導入に必要な電源工事
対象外経費の事例機械装置や IT サービスの導入に付随する電気や床等の工事ではなく、単独で行う工事

<補助要件>

  • 本公募要領に沿う事業であること
  • 付加価値額を年率平均 1.5%(3年で 4.5%)以上増加させる計画であること
  • 給与支給総額を増加させること
  • 申請日時点で神奈川県内の事業所で実態のある事業を営んでいること
  • 補助事業に必要な発注は原則神奈川県内事業者に行うこと

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中小企業生産性向上促進事業費の審査について

補助金の採択審査は、以下の観点に基づいて実施され、補助金の交付事業者が決定されます。申請書類を作成する際は、以下の3つの区分の内容を踏まえたうえで、進めるようにしましょう。

区分内容
要件審査〇 対象事業者であるか
〇 補助要件を満たしているか
〇 申請書類に不備・不足がないか
〇 補助事業に必要な経費と認められるか
〇 見積書の内容が適正であり、補助対象外経費が含まれていないか
事業有効性審査〇 生産性向上促進事業計画の妥当性
・公募要領に沿った事業計画である
・事業計画の内容が具体的で審査に必要な情報が盛り込まれている
・自社の強み、弱みを適切に分析し、その分析を活かした計画である
〇 生産性向上促進事業の実現可能性
・収益性・事業収支計画書の実現性、継続性がある
・付加価値額が3年で 4.5%以上増加し実現可能性がある
・増加した付加価値額を、給与にも適切に分配する計画である
・生産性向上を達成するために、必要な経費である
・採算の取れる投資額である・財務状況から、適切な投資額であり、実現可能な資金計画である
加点項目〇 パートナーシップ構築宣言をし、パートナーシップ構築宣言ポータルサイト内登録企業リストに企業名の掲載がある。
〇 事業継続力強化計画(単独型・連携型)の認定、または申請中。

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申請手続きについて

申請手続きについては、電子申請と郵送申請でそれぞれ申請可能です。

電子申請【原則】

専用のホームページの「7 申請方法」に掲載のリンクからe-kanagawa電子申請システムにアクセスしてご提出ください。

なお、申請にあたっては、e-kanagawa電子申請システムの利用者登録が必要です。
GビズIDアカウントでも申請可能です。

以下の図表に記載されている必要書類等を提出する必要があります。申請内容に合わせて、必要な書類を提出しましょう。

交付申請チェックリスト郵送の場合のみ提出してください
様式1 補助金交付申請書電子申請システムで自動作成
様式1-2 役員等氏名一覧表
様式1-3 補助事業計画書
様式1-4 経費予算書
様式1-5 県外調達理由書県外事業者から調達する場合のみ
申請する経費の「見積書」等
工事前の現況写真、更新前の EC サイトの画面をURLが分かるように出力したもの該当する場合のみ
決算書等(直近2期分)
履歴事項全部証明書又は現在事項全部証明書法人のみ
県税の未納がないことを証する納税証明書納期が到来しているが、納期限を迎えていない課税がある場合は、県税に滞納がないことを証する納税証明書
営業許可証等行政上の許可等が必要な業種を行っている場合のみ
パートナーシップ構築宣言にかかる宣言書加点を受ける方のみ
事業継続力強化計画の認定を受けていることを証する書類又は申請していることが分かる書類加点を受ける方のみ

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郵送の場合

電子申請システムを使用できない事業者のみ郵送で受け付けるとのことです。原則は電子申請となります。郵送となる場合は、以下に注意したうえで申請する必要があります。

  • 消印が押印される方法でご郵送ください。
  • 持ち込み、宅配便(ゆうパックを含む)による申請は受け付けません。
  • 次の各締切分までに提出された申請は全て審査を行います(先着順ではありません)。

ただし予算額に達した場合は、受付を締切り、以後公募は行いません。

スケジュール

申請後のスケジュールとしては、2024年9月30日締切後、10月~11月で交付審査となり、12月以降に補助事業を実施することとなります。2025年2月末に実績報告となり、3月以降に補助金交付となります。

補助事業計画書(生産性向上促進事業)について

申請書類の中でも、特に作成の負担が大きく、審査にも大きく左右することとなる重要な書類が、補助事業計画書となります。本計画書は5ページ以内で、取り組む補助事業の内容を、本補助金の募集要領を踏まえたうえで、記載する必要があります。

計画書の項目は以下のような内容となっています。

  1. 現在の事業内容
  2. 自社の強み
  3. 自社の弱み
  4. 補助事業により生産性向上が見込まれる項目
  5. 補助対象経費
  6. 補助事業により生産性向上となる取組内容
  7. 事業収支計算書
  8. 賃上げ計画
  9. 資金調達方法
  10. 実施スケジュール

申請内容を明確化し、自社の強みを踏まえ、補助事業内容の生産性が審査員に伝わるような内容にしましょう。

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補助金の申請・採択には専門家の力を活用!

神奈川県が公募する「生産性向上促進事業費補助金」は、物価高や人手不足の課題を解決するため、中小企業の生産性向上を目的とした設備投資を支援する制度です。

神奈川県内の企業を対象に、最大500万円の補助が受けられ、業務効率化や売上増加を図るための設備導入が補助対象となります。

また、この補助金は「ものづくり補助金」と募集内容が似ており、次回の「ものづくり補助金」の詳細が未発表のため、申請を検討している企業にとって導入を考える価値があります。

当社では、補助金申請支援に強みがありますので、省エネ設備を導入しようと思われた際には、3Rマネジメントまでお気軽にご相談ください。

補助金申請支援に関する初回のご相談は、無料でお受けしています。

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執筆者

中小企業診断士

大卒後、工作機械メーカーに勤務し、主に金属加工業を営む中小企業への法人営業に従事。フィールドセールス・マーケティング・プロモーションと幅広いセールス活動を経験。

中小企業診断士登録後は、補助金申請支援をきっかけに、ベンチャー企業の融資獲得のための事業計画策定、営業力向上・WEBマーケティング支援、組織構築、新規店の立ち上げ等の全般的な経営支援に従事。ご縁を大切にする経営支援を目指しております。

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