銀行などの金融機関にリスケを拒否されない方法。リスケジュールを断られた時はどうすればいい?

執筆者
FinancialProduce 代表 中小企業診断士 加藤 健二のプロフィール写真

加藤 健二
中小企業診断 /
健康経営アドバイザー

FinancialProduce 代表

財務、税務会計、事業計画、法人設立、M&A、創業支援(資金調達等)、事業承継など幅広く携る。
現在は中小企業経営者様の支援に注力。

近年、原材料価格や人件費の高騰などにより、多くの中小企業が資金繰りに苦しんでおり、倒産件数も増加しています。

こうした困難な状況を乗り越えるためには、リスケジュール(リスケ)は有効な手段の一つです。
しかし、金融機関にリスケを依頼しても、必ずしも承認されるわけではありません。

融資の返済が困難な状況に直面し、リスケを検討しているものの、金融機関に拒否されることを不安に感じている方も多いのではないでしょうか?

本記事では、リスケの基礎知識を解説するとともに、金融機関にリスケを拒否されないためのポイントも説明していきます。

目次

リスケ、リスケジュールとはなにか?

リスケとは、「リスケジュール(reschedule)」の略で、主にビジネスシーンで使われる言葉です。計画を変更する、予定や日程を組み直すという意味を持ち、打ち合わせや会議の日程調整、納期の延長、プロジェクトの見直しなど、様々な場面で使われます。

融資におけるリスケジュール(リスケ)とは、金融機関などから借り入れたお金の返済が困難になった場合に、 金融機関との話し合いにより、返済条件を変更すること(元本の返済を一定期間猶予など) を指します。

リスケ期間は、通常半年から1年程度です。

この期間中、金融機関は債務者企業の経営状況を注視し、経営改善計画が実行されているかを確認します。

リスケ期間終了後、通常通りの返済が難しい場合は、金融機関にリスケの更新の交渉をすることとなります。

1)リスケジュール(リスケ)の主なメリットとは

① 資金繰りが楽になり、経営立て直しに専念できる

リスケの最大のメリットは、元本の返済を一定期間猶予などしてもらうことで、資金繰りを大幅に改善できることです。

この返済負担の軽減により、事業者は日々の資金繰りに追われることなく、経営の立て直しや再建計画の実行に専念することができます。

ただし、リスケはあくまでも時間稼ぎの手段であり、根本的な経営課題を解決しなければ、いずれ破綻に繋がる可能性があります。

②回収措置を回避し、事業継続の時間を確保できる

リスケを行っている間、銀行は通常、回収措置(信用保証協会の代位弁済や債権回収会社への売却など)を取ることはありません。これにより、企業は事業継続のための時間を確保できることで、経営再建や改善策の実行に専念する余裕が生まれます。

つまり、リスケジュールによって猶予を得た期間内に、経営改善計画を実行し、業績を回復することができれば、事業を継続できる可能性が高くなります。

2)リスケジュール(リスケ)の主なデメリットとは

①リスケジュール(リスケ)期間中の新規融資は困難になる

リスケジュール(リスケ)期間中は、新たな融資を受けることが難しくなります。

金融機関は、リスケを行った企業の経営状況を懸念し、新規融資を控えることが多いため、事業者は手元の資金で経営を回す必要があります。

なお、業績が改善し、リスケ状況を抜け出し、返済が正常に戻れば新規融資を受けられるようになります。ただし、新規融資を受けるためには返済を正常化してから6か月程度の返済実績が求められることが一般的です。

金融機関はリスケをどのように考えて対応しているのか?

企業が倒産すると、金融機関は融資した資金を回収できない可能性が高いです。そのため、返済の猶予を与えてでも企業に経営を立て直してもらい、その後安定した取引が出来れば金融機関にとってもメリットがあります。

一時的に返済の猶予を与えることで、将来的に融資した資金が回収できる見込みがある場合、リスケに応じてくれる可能性が高いです。

金融機関にリスケを拒否されることはあるのか?

金融機関は、リスケを行うかどうかを慎重に判断しており、主に以下のような場合には、リスケを拒否される可能性があります。

1)経営改善の見込み

経営改善計画の実現可能性が低かったり、将来的な経営改善が見込めないと判断された場合、リスケは拒否される可能性があります。

2)他行との足並みの乱れ

複数の金融機関から融資を受けている場合、公平に対応することが求められます。一部の金融機関のみに返済を続けたりすることはリスケ交渉が失敗する要因となります。また、他の金融機関がリスケに応じない場合は、リスケが難しくなります。

3) 融資実行直後のリスケ申し込み

新規融資を受けて間もない段階でリスケを申し込むと、金融機関は拒否する可能性が高いです。これは融資直後に返済条件の見直しを求めることが、はじめからリスケするつもりで融資を受けたと考えさせ、信頼性を損なうためです。

4)担当者の都合

銀行員個人の評価にも影響があり、リスケは新規融資案件などと比べて成績にプラスにならないため、担当者がリスケに消極的になることがあります。

金融機関にリスケを拒否されないためのポイント

金融機関にリスケジュールを拒否されないためには、主に以下のポイントが重要です。

1)事前準備

金融機関との交渉においては試算表、経営改善計画書、資金繰り表、借入金一覧表などの資料を求められますので、これらの資料を事前に整え、詳細な説明ができるよう準備することが必要です。リスケにより新規融資を受けることが難しくなるので、手元資金を確保しておくことも重要です。

2)根気強く交渉

しっかりと準備をしてから交渉に臨みます。金融機関の立場や懸念点を理解し、それに対する対策を用意します。何度かリスケを拒否されても諦めずに根気強く交渉をする事が重要です。

3)返済を停止して交渉

リスケを依頼しても進展がない場合は、返済額が自動的に引き落とされないように銀行口座の残高をゼロにします。これにより、資金繰りが厳しいことを訴えます。また、その際には売上の入金は別口座にし、支払いも別口座から振込み・引落しに変更する必要があります。

ただし、金融機関に何も伝えずに返済を停止すると、延滞とみなされるリスクがあります。リスケの意向を金融機関に伝えておくことで、延滞の扱いを避けることができます。

4)リスケ交渉はメインバンクから行う

最初にメインバンクと交渉を開始します。メインバンクは他の金融機関と比べて、深い関係を持っており、協力を得やすい場合が多いです。また、メインバンク以外の金融機関も、メインバンクの意向に従うことが多いです。

5)専門家の支援を受ける

会計士や弁護士、中小企業診断士などの専門家の助言や交渉に同席してもらうことで、より説得力のあるリスケ交渉を行います。専門家のサポートを受けることで、金融機関との交渉をスムーズに進めることができます。

これらのポイントを意識して、事業者としての信頼性や持続可能性を示すことが、金融機関にリスケジュールを拒否されないための鍵となります。

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経済産業省が認めた認定支援機関とは?

認定支援機関とは、認定経営革新等支援機関の略で、経営改善や財務支援などの様々な分野で専門的な支援を行う機関のことです。国の審査を経て、特定の基準を満たした上で「認定支援機関」として認められます

認定支援機関の役割としては、経営改善計画策定の支援、資金調達の支援、補助金の支援など様々なものがあります。

リスケを検討する際には、認定支援機関に相談し、経営改善計画の策定などの支援を受けることを考えてみるのも一つの方法です。認定支援機関は、経営改善計画の作成などをサポートしてくれるため、経営の立て直しに役立ちます。専門家のアドバイスを受けることで、より実現可能性のある経営改善計画書の作成が可能になります。

リスケを拒否された時の相談は認定支援機関のビジネス処方箋(株式会社3Rマネジメント)へ

もし金融機関からリスケジュールを拒否された場合でも、諦める必要はありません。

認定機関であるビジネス処方箋では、100社以上の事業再生を成功に導いた実績があります。
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執筆者

FinancialProduce 代表 加藤 健二
中小企業診断士
健康経営アドバイザー    

財務、税務会計、事業計画、法人設立、M&A、創業支援(資金調達等)、事業承継など幅広く携わってまいりました。

現在は中小企業経営者様の支援に注力しております。

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