中小企業診断士による経営診断とは?

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金親 正和
中小企業診断士

中小企業診断士 / 宅地建物取引士 / 不動産コンサルティングマスター
賃貸不動産経営管理士 / 管理業務主任者 / 防災士

大学卒業後、総合不動産会社にて不動産の企画・開発、賃貸物件のリーシング・管理(5,000室)、売却(半年間で46物件)と入口から出口までの業務に従事。
現在は、「補助金を通じて、中小企業経営者の皆様を支えたい」という思いから、各種補助金の申請支援に注力している。

こんにちは。中小企業診断士の金親正和です。

私はこれまで、多くの中小企業経営者の皆さまからご相談を受け、経営の課題や将来の方向性について一緒に考える機会をいただいてきました。
その中で強く感じるのは、「もう少し早い段階で現状を整理できていれば、もっと選択肢が広がっていたはずだ」という場面が少なくないということです。経営診断とは、単なる分析ではなく、「これから先の打ち手を一緒に考えるためのスタートライン」だと私は考えています。


目次

経営診断とは何をするのか?

一言でいえば、「会社の健康診断」です。

財務データを見て、売上や利益の推移を把握し、原価率、販管費率、キャッシュフローの動きなどを細かくチェックします。

これに加えて、以下のような視点からも企業を立体的に把握します:

  • 業界のポジションと競争環境(3C分析:Customer, Competitor, Company)
  • 自社のビジネスモデルの強みと改善点(SWOT分析)
  • 顧客層・価格・商品・販売チャネルのバランス(4P分析)
  • 人材・組織の構造(属人的すぎないか)
  • 事業承継や後継者問題の兆候

数字を読むだけではなく、経営者の思い・現場の実態も対話の中で汲み取っていきます。だからこそ、診断は形式的なレポートではなく、経営者とともに未来の構図を描くプロセスです。


中小企業の皆さんにこそ必要な理由

中小企業には「相談できる相手がいない」ことが最大のハンデです。

大企業なら社内に財務部や経営企画部などがありますが、多くの中小企業では、社長がすべての意思決定を一人で抱えています。

その結果、次のような課題が生まれがちです。

  • なんとなく経営しているが、実態を把握できていない
  • 事業の将来像が曖昧で、投資判断に迷っている
  • 毎月お金が出ていっているが、どこで利益が出ているか不明
  • 社内の数字(損益・資金繰り)を説明できる社員がいない
  • 社外に相談できる相手がいないため判断に自信が持てない

中小企業の経営は、日々の現場対応や資金繰り、営業活動など「すぐに必要なこと」に追われ、どうしても「重要だけど急がないこと」(経営の見直しや方向性の再確認)が後回しになりがちです。

しかし、実際にはこの「重要だけど急がないこと」こそが、会社の持続的成長のカギを握っています。

さらに、現在の事業環境は急激に変化しています。例えば、

  • 資材価格や人件費の高騰により、原価率が想定より上がっている
  • 取引先の淘汰・集約が進み、価格交渉力が低下している
  • デジタル化への対応が求められているが、着手できていない

こうした変化に対応するためには、経営の現状を「見える化」し、強みとリスクを客観的に整理することが不可欠です。

経営診断は、そうした整理と打ち手の優先順位づけを、経営者と一緒に行うための有効な手段です。

以下は、診断前後での変化を簡易に図解したものです

中小企業診断士による経営診断の効果とは?診断前と後のビフォーアフターで徹底比較

診断を受けることは決してネガティブなことではなく、むしろ「前向きな経営改善の第一歩」であり、外部の視点を取り入れて未来への可能性を広げる行為です。経営の整理整頓をすることで、次の一手が具体的になります。


重視する経営診断の視点

私が診断の際に特に重視しているのは、次の3点です:

  1. 利益構造の可視化: 「儲けの正体」が見えている会社は強いです。商品ごと・顧客ごとの利益構造を整理するだけで、やめるべき事業、伸ばすべきサービスが明確になります。
    • 例:売上高は前年比で105%だが、A製品の粗利率が12%、B製品が38%であれば、Bの拡販や価格改定が検討対象になります。
  2. 現場と経営のギャップ把握: 現場が疲弊しているのに、経営層がその自覚を持っていないことがあります。社員との対話やアンケートを通じて、両者のギャップを見える化します。
    • 定性分析だけでなく、「残業時間平均25時間/月」「業務改善提案数 年間3件未満」といった数値で現場の活力を評価します。
  3. 戦略と行動の整合性: 立派な経営計画をつくっても、現場の行動と一致していなければ絵に描いた餅です。実行可能性のある戦略か?具体的な実施手順は?そこまで一緒に考えて、設計します。

診断を受けた企業の変化事例

  • 製造業の事例:利益率の低いOEM事業をやめ、自社ブランドの企画開発に集中した結果、売上は横ばいでも営業利益は2年で1.8倍に。
  • 建設業の事例:職人の稼働率を上げるため、週単位の工程会議を導入。粗利率が26%から31%へ改善。
  • 小売業の事例:4P分析を活用して、販売チャネルをEC中心にシフト。来店数は減ったが、客単価が1.3倍となり、粗利総額が前年比112%に。

経営分析を行うメリット

経営診断は、単なるチェックではなく、次のような実利につながります。

  • 意思決定の精度向上:感覚ではなく、データに基づいた判断ができるようになる
  • 社内コミュニケーションの改善:社員と経営層の距離を縮め、目線を揃えるきっかけに
  • 資金調達の信頼性向上:経営の見通しが明確になり、金融機関や投資家との対話がスムーズに
  • 補助金や支援制度の活用がしやすくなる:自社の課題が明確な企業ほど、申請内容に説得力が生まれる

まずは「相談」からはじめましょう

経営診断と聞くと、堅苦しく聞こえるかもしれません。でも実際には、「一度、外部の目で見てもらいたい」「何から手をつければよいか分からない」という経営者の悩みがスタートです。

私は中小企業の現場にこそ、本当に価値のある経営支援が必要だと考えています。ご相談いただければ、丁寧にヒアリングし、御社に合った診断のアプローチをご提案します。

まずは一度、お気軽にご連絡ください。経営の健康チェックから、未来への道筋を一緒に描いていきましょう。

お問い合わせはこちらから。

執筆者

1978年 千葉県生まれ

中小企業診断士
宅地建物取引士 不動産コンサルティングマスター
賃貸不動産経営管理士 管理業務主任者 防災士

大学卒業後、総合不動産会社にて不動産の企画・開発、
賃貸物件のリーシング・管理(5,000室)、売却(半年間で46物件)
と入口から出口までの業務に従事。

現在は、補助金を通じて、中小企業経営者の皆様を支えたい
という思いから、各種補助金の申請支援に注力している。

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