アフターコロナに役立つ特別融資
渡邊 賢司
中小企業診断士
株式会社3Rマネジメント 代表取締役
株式会社IoTメイカーズ 代表取締役
約15年にわたり、事業再生支援等に従事。100社以上の中堅・中小企業に対し、事業再生スキーム構築、経営改善計画作成支援、伴走支援、金融機関交渉等を行ってきた。東京都中小企業再生支援協議会での事業デューデリジェンス業務にも多数従事。金融機関向けや税理士向け研修講師等も多数実施。
2016年に小中学生向けプログラミング教室等を運営する(株)IoTメイカーズを設立し、中小企業経営者としての顔も持つ。同社では、6年間で5つの新規事業を立ち上げた。
はじめに
今回は、「意外と知らないアフターコロナに役立つ特別融資」というテーマでお伝えしていきます。
質問です。
「2021年9月に緊急事態宣言が解除されましたが、皆さんは景気がすぐに元に戻ると思いますか?」
私なりの考え方を言うと、生活様式も変わってきていますし、考え方もコロナが1年半続いたということでだいぶ変わってきていることから、景気がすぐに戻るとは考えづらいと思っています。
アフターコロナで起こりうること
では、今後起こりうることとして、どういうことが想定されるのかをお話します。
給付金、協力金、支援金の減少
まず、給付金や協力金、政府や都道府県から出ていた支援金も減少、もしくはゼロに近くなるということが言えます。
今までは「緊急事態宣言にします。その代わり支援をしますよ。」という形だったものが、緊急事態が解除され緊急事態宣言などが再度発令されない場合は、こういった支援金が減少、もしくはゼロになると考えられます。
売上の回復が遅くなり資金繰りが厳しくなる
売上もすぐに元に戻るとは考えにくいです。
生活様式が変わってきていますし、皆さんの考え方も変わってきているということで、以前うまくいっていたビジネスモデルがそのままうまくいくかは疑問が残ります。そうすると、中小企業は売上が元に戻るまで資金繰りが厳しくなることが予想されます。
会社はキャッシュ(資金繰り)さえ回っていれば倒産することはないため、1番大事なのはお金を回していくことです。
コロナ融資がどんどん終了する
資金繰りが苦しくなる一方で、コロナ融資はどんどん終了していきます。日本政策金融公庫が実施しているコロナ融資や、あるいは都道府県の制度融資、保証協会の保証付きの融資、こういったコロナ特別対応型と呼ばれるものは次第に終了していくことが考えられます。
従って、緊急事態宣言が明けた今だからこそ、ビジネスモデルを再構築したり事業を再度見直したりすることで、売上・利益を上げていくまでの期間に回すお金を調達する必要があると思います。
手元のキャッシュをなるべく潤沢にしておくことが、今後半年から1年の中で必要なことだと思います。
伴走支援型特別保証制度
今回、資金調達のためにご紹介するのが「伴走支援型特別保証制度」で、保証協会の保証がついているコロナに対応した融資商品です。少なくとも2022年3月まで半年間継続が予定されているため、その商品をご紹介します。
伴走支援型特別保証制度の概要
保証限度額4000万円、保証期間10年以内、返済期間10年以内であり、元金の返済を据え置いてくれる据置き期間が5年以内で設定できます。これは金融機関との話し合いになると思いますが、5年以内で据え置き期間を設けていただくことで、その間は返済をしなくて良いということですから、資金繰りがしやすくなります。
伴走支援型特別保証制度の必要書類
申請には、「経営行動計画書」というものを提出する必要があります。
経営行動計画書は、自社の現状や今後の経営改善の方法、どうやって売上を増やして利益を出していくかということを、簡単に書くシートです。それに従って、金融機関の継続的な伴走支援を受けつつ、会社を運営していくということになります。
経営行動計画書の全体像は、A3用紙1枚くらいの紙となっています。
経営行動計画書の書き方とポイント
経営行動計画書では、事業概要、外部環境、事業の強み弱み、というものを書きます。
これから事業をしていく中で、外部要因としてプラス要因は何があるか、マイナス要因は何があるか、ということが外部環境です。それから自社の事業の強みでは、販売力があるとか、技術力があるとか、お客さんのネットワークを持ってるとか、そのような強みや弱み、経営課題を書きます。
最後に、経営状況・財務状況として、利益がどうなっているか、資金繰りはどうか、利益率がどうなっているか、ということを書いていくことになり、それほど難しいものでありません。
もう1つ重要なポイントとして、具体的なアクションプランを書いていく必要があるということです。
計画1年目から5年目と、5年間にわたりどういう課題があって、どういうことに取り組んで、目標とする数字は何なのかという目標値を定め、その目標値のために何を具体的に行動していくかということを書いていく必要があります。
会社の売上を上げようと思えば、社長自らがトップセールスを増やしていくとか、そのトップセールスをした結果、売上目標として2000万増やすとか、そういったものを書いていくということになります。
もし、書き方がよく分からないということであれば、お近くの専門家にご相談されると良いでしょう。
まとめ
それでは「アフターコロナに役立つ特別融資」のまとめです。
1つ目は、アフターコロナにおいて売上がある程度回復するまでは、できる限り手元のキャッシュを増やしておくことが重要ということです。
2つ目は、アフターコロナ用に伴走支援型特別保証制度という制度融資があるため、お近くの金融機関や取引してる金融機関、保証協会などに問い合わせてみてください。
経営行動計画書を書くため、改めて業績回復のためのアクションプランを考え直すきっかけにもなります。是非そういったきっかけから、具体的な行動に移していって売上・利益の改善につなげていってください。
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