事業再構築補助金交付申請のポイントと注意点を解説【初心者向け】

菅野 翔
中小企業診断士
中小企業診断士
大学卒業後、ライター、映像編集、会計コンサルなどを経てIoTスタートアップ企業に創業メンバーとして参加。アパレル、飲食等の名だたる大手メーカーから新規受注し、IoTにより顧客の集客チャネルを拡大。
創業メンバーとして参画した経験から、何もないところから会社を運営していく大変さを実感し、同じような悩みを持つ経営者を助ける想いで中小企業の経営者に帆走する。
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事業再構築補助金の交付申請とは?
交付申請の目的と重要性
交付申請の目的は、事業再構築補助金の交付を受けて、補助事業計画を実行するための承認を得ることです。交付が決まると、新しい事業の展開や事業モデルの転換、業態転換などを支援するための資金を確保することができ、リスクを軽減しながら新規事業に取り組むことができます。
補助金交付申請の締切やスケジュール管理
締切については公募要領や補助事業の手引きを必ず確認しましょう。
第12回の事業再構築補助金では、採択発表が2024年11月9日で、交付申請の締切は2025年11月23日でした。
(注:事業類型(B)は2025年1月21日、事業類型(E)は2027年3月23日が締切)
ちなみに、第13回では採択発表が2025年6月下旬から7月上旬となっています。
交付申請に必要な書類一覧
申請時に準備すべき書類
事業再構築補助金の交付申請において、すべての申請者で必須となる提出書類以下のとおりです。
№ | 必要書類 | 説明 |
1 | 経費明細表 | 事務局から届いた補助金交付候補者の採択結果のメールのURLから電子申請システムにログインし、「経費明細表ファイル」からダウンロードして提出します。応募申請時と変更箇所がある場合は、経費明細表を変更して提出する必要があります。 |
2 | 見積書 | 経費科目にかかわらず、計上している全ての補助対象経費の見積書の提出が必要となります。発注先1者あたりの見積額の合計が50万円(税抜)以上の場合は、3者以上の相見積書をとる必要があります。 |
3 | 建物費、機械装置・システム構築費、広告宣伝、販売促進費の追加書類 | 見積書1枚につき1枚の見積依頼書を提出します。発注1件あたりの見積額の合計が50万円(税抜)以上の場合は、同一条件の見積依頼書の提出が必要です。 |
4 | 取得財産に係る誓約書<参考様式21> | 補助対象経費により取得または増加した財産について、補助事業実施期間中は、他の事業用途で一切使用しないことを誓約する書類です。 |
提出書類に関する注意点は以下のとおりです。
・書類の様式が指定されている場合は、必ず指定の様式を使用すること
・公募時期によって内容が異なる場合もあるため、書類の不備や不足がないように最新の公募要領で確認すること
書類作成時に注意するポイント
交付申請時に提出する書類の作成においては、以下のポイントに注意してください。
1)正確性と一貫性
書類に記載する情報は正確であること、一貫性があることが重要です。特に企業名、住所、代表者名などの基本情報は全ての書類で一致していることを確認しましょう。
2)提出要件の確認
提出書類に不足や不備がないよう、必ず公募要項を確認して必要書類を揃えましょう。特に書類の取り寄せが必要な場合は計画的に進める必要があります。
3)形式と書式の遵守
指定された書式やフォーマットがある場合は、それに準拠することが大切です。
交付申請の審査でチェックされるポイント
補助金交付の対象経費と認められる基準
補助金の交付対象となる経費(補助対象経費)は、以下の3つの基準を全て満たしている必要があります。
- 事業計画との関連性
- 補助対象事業の内容に合致し、事業目的を達成するために必要かつ合理的な経費であること
- 応募申請時に計上している経費であること。(交付申請時に新たに計上することは原則不可)
- 発生期間
- 交付決定日から事業完了日までに発生した経費であること。(第13回公募では、事前着手はいかなる理由でも一切認められない)
- 証拠書類
- 経費の支払いを客観的に証明できる書類(請求書、領収書、契約書など)が存在すること。支払いは銀行振込の実績で確認を行うため、現金払・手形払(L/C決済を含む)等は対象外。
交付申請でよくあるトラブルとその対策
書類の不備による申請の差戻しが散見されますので、事前に第三者も交えてチェックすることが大切です。
差戻しされるケース | 事例 |
必要書類がそろっていない場合 | 発注1件当たりの見積額の合計が50万円(税抜)以上の建物費を計上し申請されているが、相見積書の提出がない |
見積書と相見積書が、同条件での取得ではない場合 | 見積書には○○改修とあるが、相見積書には△△改修と記載されてあり、あいまいな仕様での見積依頼をされている(見積書と相見積書の仕様は一貫性が必要) |
経費明細表が交付申請情報と一致していない場合 | 提出される見積書と経費明細一覧が一致していない、経費明細一覧の積算基礎に「名称、単価、数量」が記載されていない |
5. 交付申請をスムーズに進めるためのコツ
● 専門家や認定支援機関に相談するメリット
交付申請では複雑な手続きや専門的な知識が求められるため、専門家や認定支援機関に相談することをおすすめします。
専門家や認定支援機関は最新の制度情報や交付申請手順を熟知しており、的確なアドバイスを受けることができます。また、複雑な手続きを代行・サポートしてもらえるため、時間と労力を大幅に削減でき、書類不備による差し戻しリスクも軽減できます。
専門家・認定支援機関 | 特徴 |
中小企業診断士 | 経営全般に関する幅広い知識と経験を持ち、事業計画の策定や経営改善のアドバイスを得意としています。 |
税理士 | 税務・会計に精通しており、収支計画の作成や資金調達のアドバイスを得意としています。 |
認定支援機関 | 政府系金融機関や商工会議所など、事業者向けの支援事業を行っている機関です。 |
最新情報を常にチェックする重要性
事業再構築補助金をはじめとする補助金制度は、経済状況や社会情勢の変化に応じて内容や要件が見直されることがあります。 最新情報を常にチェックしておくことは、申請をスムーズに進めるだけでなく、採択率を高める上でも非常に重要です。
- 公募内容の変更
- 補助対象となる事業内容、補助率、補助上限額などが変更される場合があります。
- 申請期間・方法の変更
- 申請期間の変更や電子申請が必須となるなど、申請方法に変更が生じることがあります。
- 審査基準の変更
- 重視されるポイントや評価項目が変更される場合があります。
- 追加公募の実施
- 当初の公募期間終了後、予算の都合などで追加公募が行われる場合があります。
事業再構築補助金を活用する際の注意点
補助事業が完了した後、実施内容や成果をまとめた実績報告書を提出する必要があります。
補助事業で支出した経費の報告とともに、領収書や請求書などの証拠書類の提出や、事業実施中に発生した課題や解決策、今後の改善点についても報告することが求められます。
また、必要に応じて監査や事後検査が行われる場合もあるため、帳簿の整備や証拠書類の管理をしておきましょう。
まとめ
事業再構築補助金は制度自体が複雑で申請手続きも煩雑なため、公式サイトや説明会で最新情報を収集するとともに、専門家の支援を受けましょう。特に交付申請における書類の不備を防ぐためにも、専門家に書類のチェックを依頼するなど、万全の体制で臨むことをおすすめします。
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