2025年(令和7年)に注目すべき主要補助金5選:ものづくり・IT導入・持続化・事業承継・成長加速化を徹底解説!

金親 正和
中小企業診断士
中小企業診断士 / 宅地建物取引士 / 不動産コンサルティングマスター
賃貸不動産経営管理士 / 管理業務主任者 / 防災士
大学卒業後、総合不動産会社にて不動産の企画・開発、賃貸物件のリーシング・管理(5,000室)、売却(半年間で46物件)と入口から出口までの業務に従事。
現在は、「補助金を通じて、中小企業経営者の皆様を支えたい」という思いから、各種補助金の申請支援に注力している。
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2025年度 注目すべき補助金5選
2025年度は、中小企業支援に向けた補助金施策が過去最大規模で展開されており、総額3,400億円超の予算が確保されています。
政府が重点的に支援する分野が反映された制度が数多く公募される中、企業にとっては成長投資や経営改善を実現する好機と言えるでしょう。
本記事では、特に注目すべき5つの主要補助金を厳選し、それぞれの対象者・補助率・活用目的・申請要件について分かりやすく解説します。
- ものづくり補助金
- IT導入補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- 事業承継・M&A補助金
- 中小企業成長加速化補助金
名称 | 補助上限額 | 補助率 | 対象者 | 対象経費 |
ものづくり補助金 | 最大4,000万円 | 1/2~1/3 | 革新的な製品・サービス開発を行う中小企業・小規模事業者 | 機械装置、システム構築費、技術導入費、知的財産権等経費、外注費等 |
IT導入補助金 | 最大450万円 | 1/2~4/5 | IT導入・DXによる生産性向上に取り組む企業 | ソフトウェア購入費、ハードウェア購入費、クラウド利用料 |
小規模事業者持続化補助金 | 50万円※特例活用時は最大250万円 | 2/3 | 販路開拓等に取り組む小規模事業者 | 機械装置、広告費、ウェブサイト関連費、展示会出展費等 |
事業承継・M&A補助金 | 1,000万円 | 1/2~1/3 | 5年以内に事業承継する企業、M&Aを行う企業、M&A後の経営統合を行う企業 | 設備費、外注費、委託費、謝金等 |
中小企業成長加速化補助金 | 5億円 | 1/2 | 売上高100億円を目指す中小企業 | 建物費、機械装置費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費 |
2025年度における補助金・助成金の背景
現在の物価高、エネルギー高、人手不足などの要因もあり、中小企業や小規模事業にとっては厳しい経営環境です。これは今後も続くと想定されます。
そのような環境において、中小企業、小規模事業者の飛躍的成長、規模拡大、新事業進出、事業転換、生産性向上・省力化等のための設備投資を促すために、政府は補助金を用意しています。
また、企業で働く従業員の持続的な賃上げを実現していくため、政府は補助金という手段により支援するという背景があります。
補助金・助成金は、中小企業基盤整備機構が運営している「J-NET21」で検索することができますが、2025年4月現在では、845件の補助金・助成金が公募や案内がされています。
支援情報の検索|支援情報ヘッドライン|J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
政府や各自治体が注力したい部分で補助金を活用してほしいという期待が窺えます。
中小企業庁では、主に5つの視点で補助金の予算を組んでいますので、紹介します。
- 持続的賃上げ実現に向けた中小企業の成長・生産性向上・省力化投資支援
- 物価高、人手不足等の厳しい経営環境への対応
- 小規模事業者支援、災害からの早期復旧支援
- 事業承継、再編等を通じた変革の推進
- 中小企業・小規模事業者の活性化、地域課題解決に向けた取組支援の推進
これらの視点に基づき、様々な補助金が用意されておりますが、本記事ではその中でも5つを選択して紹介します。
2025年に注目される補助金5選の解説
ものづくり補助金
ものづくり補助金の申請枠は以下の2つです。補助上限額は下表のとおりですが、「大幅な賃上げに取り組む事業者」においては100~1,000万円を上乗せすることができます。
申請にあたっては、3~5年の事業計画を作成する必要があります。この事業計画には、①~③の基本要件を全て満たすものを作成しなければなりません。従業員数が21名以上の場合は①~④の全てを満たさなければなりません。
- 付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)の年平均成長率が+3.0%以上増加
- 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県の最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、または、給与支給総額の年平均成長率が+2.0%以上増加
- 事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準
- 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を発表
これらを盛り込んだ事業計画に則り、事業を実施して、毎年、事業状況の報告をします。
仮に、これらの基本要件が未達の場合は、補助金返還する義務があることは注意点です。
製品・サービス高付加価値化枠 | グローバル枠 | |
要件 | 革新的な新製品・新サービスの開発による高付加価値化 | 海外事業の実施による国内の生産性向上 |
補助上限額 | 750万円~2,500万円 | 3,000万円 |
補助率 | 中小企業1/2、小規模・再生事業者2/3 | 中小企業1/2、小規模事業者2/3 |
対象経費 | 機械装置・システム構築費技術導入費(必須経費)、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費等 |
2025年度における第19回ものづくり補助金公募においては、2025年4月11日~4月25日の期間で申請する必要があります。
次回の第20回ものづくり補助金の公募に備え、事前の準備を進めておくことが推奨されます。
ITツールの導入を検討されている事業者にとっては、申請を視野に入れる価値があります。
IT導入補助金
IT導入補助金の申請枠は、以下の4つです。IT導入補助金は、複数社連携IT導入枠を除いて、事前に登録されてあるITツールを導入する際に活用できる補助金であることに注意が必要です。
よって、補助金を活用したいと考える中小企業の皆様は、ITツールを導入する目的を明確にして、公開されているツールから目的に合致するものを選択することが重要です。
ITツール・IT導入支援事業者検索(コンソーシアム含む) | IT導入補助金2025
IT導入補助金は、業務の効率化やDXの推進とセキュリティ対策に加えて、インボイス導入の推進を図る目的で運用されています。
他の補助金と比較すると高い採択率のため、ITツール導入を考えている場合は、検討してみてはいかがでしょうか。
申請においては、4つの枠がありますが、それぞれ細かく要件がありますので、公募要領を熟読する必要があります。IT導入補助金 公募要領
そのうえで、上記のITツール検索で目的に合致するツールがあるかを探索してみてください。ITツールが決定したら、事業計画を作成して、電子申請する流れとなります。
通常枠 | 複数社(10者以上)連携IT導入枠 | インボイス枠 | セキュリティ対策推進枠 | ||
インボイス対応類型 | 電子取引類型 | ||||
活用イメージ | ITツールを導入して業務効率化やDXを推進 | 複数の中小企業・小規模事業者で連携してITツール等を導入 | ITツール等を導入してインボイス制度に対応 | 発注者主導で取引先のインボイス対応を促す | サイバーセキュリティ対策を進める |
対象経費 | ソフトウェア購入費、クラウド利用料、導入関連費 | クラウド利用料 | サイバーセキュリティお助け隊サービス利用料 | ||
ハードウェア購入費 | |||||
補助額 | 5万円~450万円 | ~3000万円 | ~350万円 | ~350万円 | 5万円~150万円 |
補助率 | 1/2※特例有 | 2/3※インボイス枠は同右 | 1/2~4/5 | 大企業1/2中小企業2/3 | 中小企業1/2小規模事業者2/3 |
※出所:中小企業庁HP IT導入補助金チラシ
IT導入補助金における2025年度第1次交付申請の締め切りは、2025年5月12日を予定しています。なお、複数社連携IT導入枠は2025年6月16日が締め切り予定となっています。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金の特徴は、補助金名にあるとおり、小規模事業者しか申請できない点です。
小規模事業者とは、従業員数が「商業・サービス業(宿泊業、娯楽業除く)」の場合は5人以下、「製造業またはそれ以外の業種」の場合は20人以下の事業者が対象です。
小規模事業者持続化補助金の目的は、生産性と持続的発展を図ることとし、経営計画を策定したうえで、販路開拓等の取組を支援することです。
ここでの注意点は、下記項目を記載した経営計画を策定する必要があることです。
- 企業概要(経営状況、顧客の状況、製品・サービスの状況など)
- 顧客ニーズと市場の動向(競合他社の状況、売上を左右する環境、過去から将来の見通し)
- 自社や自社の提供する商品、サービスの強み(顧客に評価されている点など)
- 経営方針、目標と今後のプラン(時期や具体的な行動など)
- 販路開拓等の取組内容(何をどのような方法で行うか、差別化、創意工夫点など)
- 業務効率化の取組方法
- 補助金を活用した際の効果(売上、取引増などの効果とその理由)
小規模事業者持続化補助金の主な概要は以下表のとおりです。
要件 | 1. 販路開拓等のための取組であること 2. 商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組むこと③期間内に取り組むこと |
補助上限額 | 50万円 ・インボイス特例:条件を満たす場合は、50万円を上乗せ ・賃金引上げ特例:条件を満たす場合は、150万円を上乗せ |
補助率 | 2/3 |
対象経費 | 機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会出展費、旅費、新商品開発費、賃料、委託・外注費 |
第17回小規模事業者持続化補助金は、2025年5月1日(木)から申請受付開始となっていますが、まだ、公募要領の正式版が発表されていません。(2025年4月21日現在)
申請受付の締め切りは、2025年6月13日(金)ですので、2025年5月中旬くらいまでなら第17回の申請に間に合うと思います。
なお、補助対象経費の資金調達に活用できる無担保・無保証の融資制度「小規模事業者経営改善資金(マル経融資)」を使って、小規模事業者持続化補助金の経費を賄うことも可能となっています。
融資限度額は2,000万円で、返済期間は10年以内となっています。
一定の条件がありますので、商工会・商工会議所に相談することをお勧めします。
事業承継・M&A補助金(最新news)
中小企業におけるM&Aの実施件数は、公表されている件数だけでも、2014年と比較して6.3倍に増加しています。
しかしながら、経営者が70代以上の事業者は事業承継が進んでいない状況であり、中小企業庁は事業承継・M&Aをより一層進めるための支援体制を強化するとしています。
事業承継・M&A補助金は、その支援策のひとつです。
<2025年度の最新情報>
事業承継・M&A補助金は、2025年4月18日に第11次公募における公募要領が発表されました。今回は専門家活用枠のみの公募となっており、事業承継推進枠とPMI推進枠の公募はありません。
買い手支援類型(Ⅰ型) | 売り手支援類型(Ⅱ型) | |
要件 | ①経営資源を譲り受けた後に、シナジーを活かした生産性向上等を行うこと②経営資源を譲り受けた後に、地域の雇用・経済をけん引する事業を行うこと③PMIに資する有益情報取得の観点からデューデリジェンスを実施すること | ①地域雇用・経済全体をけん引する事業等を行っており、事業再編・統合により第三者により継続されること |
補助上限額 | 600万円 ※上乗せ額:DD費用200万円、廃業費150万円 | |
補助率 | 2/3以内 | 1/2以下要件に該当する場合は2/3①営業利益率が低下している者②直近決算期の営業利益または経常利益が赤字の者 |
対象経費 | 謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料、廃業費(廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リース解約費、移転移設費用) <対象経費となる要件>①使用目的が補助対象事業に必要であると明確に特定できる経費②補助事業期間内に契約・発注を行い、支払った経費③補助事業期間終了後の実績報告で提出する証拠書類により金額・支払が確認できる経費 |
第11回事業承継・M&A補助金の申請受付期間は、2025年5月9日(金)から6月6日(金)となっています。
補助事業期間は、2025年7月から約12ヶ月間となっていますので、この間で専門家契約と最終契約、成功報酬支払が完了する場合に補助金の支援を受けることができます。
その他、様々なルールが定められていますので、早めに専門家に相談することをお勧めします。
中小企業成長加速化補助金
2025年4月18日に第1回中小企業成長加速化補助金の公募要領が公表されました。
この補助金は、売上高100億円超を目指す中小企業の大胆な投資を支援することが目的です。
そして、補助上限額が、5億円という大型補助金です。補助金の初回公募は、採択率が高めということが多いので、投資を考えている方は是非検討してみてください。
参考:中小企業成長加速化補助金チラシ
中小企業成長加速化補助金における主な内容は以下のとおりです。
項目 | 内容 |
上限額 | 5億円 |
補助率 | 1/2 |
事業期間 | 交付決定日から24か月以内 |
対象者 | 売上高100億円を目指す中小企業 ※売上高が10億円以上100億円未満であること |
要件 | ①「100億円宣言」を行っていること②投資額1億円以上③一定の賃上げ要件を満たす事業計画の策定 |
対象経費 | 建物費、機械装置費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費 |
要件に記載のある、「100億円宣言」とは??なんでしょうか。
「100億宣言」とは、経営者の皆様が野心的な目標を設定して、実現に向けた取り組みを行っていくことを「100億宣言ポータルサイト」に掲載することとなります。
宣言内容は、
- 企業概要
- 売上高100億円実現の目標と課題
- 売上高100億円実現に向けた具体的措置
- 実施体制
- 経営者のコミットメント
を盛り込んだものとなります。参考:100億宣言の記載例
この「100億宣言」を行うと、中小企業成長加速化補助金の活用を行うことができるのと、
宣言をした企業の経営者同士が繋がるネットワークに参加することが可能であること、また、「100億宣言」公式ロゴマークの活用をすることができます。
中小企業成長加速化補助金の主な審査内容は、
- 経営力
- 波及効果
- 実現可能性
と記載されており、経営者自らによるプレゼンテーションが審査に入っています。
公募スケジュールも公開されています。
- 2025年4月25日(金)公募説明会
- 2025年5月8日(木)公募受付開始
- 2025年6月9日(月)公募受付締切
- 2025年7月上旬 1次審査結果の公表
- 2025年7月下旬~8月下旬 プレゼン審査
- 2025年9月上旬以降 採択結果の公表
採択後、2ヶ月以内に交付申請という流れで進みます。
まとめ
本記事では、2025年に活用できる代表的な5つの中小企業向け補助金をご紹介しました。
事業の再構築やデジタル化、販路拡大、事業承継など、目的に応じて活用できる制度が充実しています。
補助金は返済不要の資金である一方で、申請には正確な情報と明確な事業計画が求められます。
制度を正しく理解し、自社に最適な補助金を選ぶことが成功への第一歩です。
補助金制度の活用を検討される際には、制度に精通した専門家の支援を受けることで、採択の可能性を高めることができます。ものづくり補助金やその他の補助金は特に採択される確率が低くなってきています。逆に新しい補助金は採択される可能性が高いと推察しています。
補助金を活用して企業をさらに成長させるには、補助金の要件などを熟読し、内容や変更点をしっかりと把握して、計画策定から申請書類の作成までスムーズに進めることが大切です。
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\認定支援機関!補助金のプロの中小企業診断士がサポート/