「価値をつくる」問題把握の考え方と解決に向けた思考プロセス | Part.1
長澤 秀幸
経営コンサルタント
Will Partners 代表
商工業者の支援を行う浜松商工会議所に20年間勤める中で、経営者が持つ「強み」に寄り添って、「納得」から伴走者として信頼していただき一緒になって展開するスタイルを確立。
「価値を顧客に伝えるビジネスプロセスの創出・再構築」こそ「売れる仕組みづくり」につながり、事業拡大や事業承継までつながっていくことを実感。
2019年独立。「強みと顧客を巻き込んだ」販売戦略、ブランドをづくり、小さな企業が持つ、独自の強み(宝モノ)を発掘し、持続可能な経営と売上づくりを実践。
本シリーズは三部制で、上記の動画は「Part.1」です。
▼ シリーズ動画一覧
はじめに
今回は、「価値を作る問題把握の考え方と解決に向けた思考プロセス」というテーマでお話します。
問題把握や問題解決について、「上手くいかない!?こんなはずでは!?」ということはありませんか?それはプロセスが間違った結果、発生している現象です。
大切なことは何か!を改めて考えてみませんか?
最初に、「大切なことは何か!」かを考えてみましょう。
コロナ禍という時代において、1番大切な原理・原則を考えているでしょうか。
例えば、手段というのは短期的に終わってしまい、How-toというのは自分のものではなく、それを編み出した人のものです。また、経営手法やマニュアルというのも手段のひとつです。また、スマホを見ていても、「こうすれば儲かる!こうすれば売れる!」といった情報がたくさん出てきます。
しかし、皆さんはそれらの手段を実行して、効果が上がった実感はあるでしょうか?
手段よりも、大切なのは「考え方」です。
「本質」「長期的に大切なこと」「簡単には変えれないこと」「変えてはいけないこと」などを皆様お一人お一人が生み出し、その中から価値を前提とした経営をして、「自分たちは何ができるのか?自分たちは何のために事業をやっているのか?」など、理念や信条を考えていただきたいと思います。
経営の中で大切なことは何なのか
まず、「経営の中で大切なことは何なのか」を考えていただきます。
現状から目的・目標へは目指すべき方向があり、その間にはギャップがあります。このギャップのことを、経営の中では問題や課題といいます。その問題・課題をいかに捉えて、どのように進むかが重要です。この捉え方次第で、日々の行動が変わることに気づいていただければと思います。
目的・目標と現在の位置との差が問題・課題であり、この問題・課題の解決方法を探っていく、そんな内容をお話します。
問題とは、あるべき基準と実際のギャップ
「問題」という言葉をよく耳にされると思いますが、問題を改めて考える機会は意外と少ないのではないでしょうか。問題とは、「あるべき基準と実際とのギャップ」というふうに捉えていただければと思います。
問題という言葉は、英語ではQuestion(クエスチョン)ではなくProblem(プロブレム)と訳されます。このプロブレムという言葉を少し紐解いていくと、解決すべき困難な問題という意味であり、放置しておけばネガティブな問題・課題がさらに出てくるという意味があります。つまり、「問題(プロブレム)は何らかの方法で解決する必要があるもの」という認識を持っていただくことが大切です。
また、問題にもいろんな問題があります。
深刻な問題で、自分ではギャップを埋めるのがすごく困難な重大な問題。ギャップが大きく、自分でもなんとかできそうな大きな問題。自分で問題や解決策に気づける小さな問題。また、日常の中ですぐ変化を生み出して埋めることができる簡単な問題・軽微な問題。
問題・課題(ギャップ)は、自分の目の前で起こっていることを正確に把握することがすべての始まりとなります。
問題意識は人や組織によって異なる
問題意識は、人や組織によって捉え方が異なります。
皆さんも「組織が上手く回っていないな…」と感じた経験があると思います。しかし、目の前の同じ現象を見ていても、別の人にとっては「上手くいっている」「問題ない」と見えている場合があるのです。従って、問題というのは、組織や人によって見方や捉え方が異なってくるのが1つ問題となります。
解決方法としては、組織や自分の中で1つの基準を決め、その基準を共有することで、よりスムーズな問題・課題の解決に進むことができます。問題を整理したり分析したりすることで、その意識を関係者みんなで共有して進めることが大切になってきます。
問題の重要性と緊急性
問題解決においては、その問題を「重要性」と「緊急性」で分けることが重要です。問題をすべて横に並べて、同じように扱ってしまうと、上手い解決方法も上手く回らないことがあるためです。
まず重要性というのは、組織の中でその問題がどれくらい重要なのかというのを見極めることです。重要性は組織ごとに違うため、「何が重要か?重要でないか?」という基準を作ります。その基準を、社員1人1人に共有することで、よりスムーズな問題解決が図られ、会社のあるべき方向に向かっていく課題解決に繋がります。
また、これが会社の仕組みになっていけば、より早くありたい経営、ありたい未来に繋がっていきます。
問題解決をしていくために、組織として与えられた権限と責任、どのように意思決定していくかがとっても重要となります。その意思決定の方向も踏まえて、自分たちの組織の中で権限と責任の決定方法を明確にする必要があります。
例えば、人事の問題において、部長には容易い問題だが主任には難しい問題があったとします。対応策としては、問題を整理・分析することによって、結果に応じて課長、部長、または人事部と問題認識の共有を図っていくことで物事を進めていくことが可能になります。
もつ1つの例として、商品改良の問題は商品開発部では対応できるが、営業部では対応しにくいという問題があったとします。こちらの場合も問題を分析し、商品開発部、また営業部と一緒にその問題認識の共有を図り進めていくことで、解決する問題もあります。
もう1つの緊急性は、問題解決に対する時間軸です。
「問題に対応する意思決定に、どれくらい時間が残されているか?」を判断することが、経営において重要になります。また、問題解決の選択肢の中でベターな決定がスムーズにできるか否かは、経営を上手く回すための重要なポイントです。
例えば、明日までに不良品の原因を突き止めて、生産ラインを復旧しなければならないという問題が起こったとしましょう。まずは、その問題を整理・分析することによって、その結果に応じて関係者・組織ごとで共有化を図ります。そして、生産ラインの問題点を調査し、納品先へ連絡、また代替調達の手配も含めて対応を行うことができれば、問題は解決に向かっていきます。
もう1つの例として、他社が新製品を発売するまでに、自社の販売チャネルを確立しなければならないという問題があったとします。まずは、時間軸の中で問題に対して整理・分析をして、関係者との問題の共有化を図ります。その中で、調査期間や取引先との交渉、販売チャンネル政策立案など、決められた時間軸の中でどうするかを考えることで、取るべき対応策が変わってきます。
また、重要度と緊急性を4軸に分けることで、より理解が深まります。
右上の「重要×緊急」領域の業務は、重要度・緊急度が共に高いものとなり、これはすぐに対応しなければならない必須項目となります。
1番重要なのは、左上の「重要×緊急ではない」領域の業務です。この領域の問題・課題は、自社の経営課題の改善に対して、効果がある重点項目とも言えます。この領域の問題・課題は組織内で共有化されていないことが多く、必須項目ばかりに目が行ってしまうことがあります。必須項目は対応の必要性は絶対にあるものの、そこばかり対応していると新しい経営の展開に結びついていきません。
右下の「需要ではない×緊急」領域の業務は、そもそも対応しなくても良いものかも知れません。仮に、対応しなくて良いという決断ができるのであれば、時間が生まれることになります。この領域の対応要否を確認することで、生産性向上に繋がることもあります。
左下の「重要ではない×緊急ではない」領域の業務は、時間の浪費であるため止めてしまいましょう。
重要度・緊急度の軸を使った判断を、社長だけでなくリーダーや責任者の方々がジャッジできるようになると、会社全体の底上げに繋がってきます。この2つのポイントを、是非ご理解ください。
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