資金繰りとは?会社の資金繰りが悪化する原因や改善点をプロの中小企業診断士が解説!

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花村 大祐
中小企業診断士

大卒後、工作機械メーカーに勤務し、主に金属加工業を営む中小企業への法人営業に従事。フィールドセールス・マーケティング・プロモーションと幅広いセールス活動を経験。

中小企業診断士登録後は、補助金申請支援をきっかけに、ベンチャー企業の融資獲得のための事業計画策定、営業力向上・WEBマーケティング支援、組織構築、新規店の立ち上げ等の全般的な経営支援に従事。ご縁を大切にする経営支援を目指す。

「資金繰り」は、すべての経営者が押さえておくべき重要な経営指標のひとつです。

売上や利益を重視する経営者は多いですが、資金繰りについても経営者自らが十分な理解と対策をする必要があります。一旦、資金繰りが悪化してしまうと経営状態も悪化し、取引先や従業員にも影響を及ぼし、最悪の場合、会社の倒産へと至ります。

資金繰りが悪化する背景には、経営面での問題点が存在しています。まずは、資金繰りが悪化する背景を理解します。続いて、資金繰りを適切に管理し、資金の流れを把握することで、将来発生する資金の不足に対して、事前に対策を打つことが可能になります。

不確実な市場環境下において、会社を存続させていくための重要なキーワードが資金繰りです。

本記事では、会社の資金繰りをテーマとして会社の資金繰りが悪化する原因や改善策について説明していきます。

目次

会社の資金繰りとは

資金繰りとは、会社の収入と支出を適切に管理し、資金が不足(ショート)しないように、収支の過不足を調整することです。

例えば、顧客への売上入金や仕入れ先への代金の支払い、従業員への給与支払いなど、企業活動では資金の出入りが頻繁に発生しています。その流れを適切に管理し、残高不足に陥らないよう管理することを意味します。

ここでいう「資金」とは、会社としてすぐに支払いできるものを示します。すぐに解約できない定期預金や株式、不動産、機械設備は「資産」に該当するということに注意しましょう。

会社にとっての資金繰りの重要性

会社にとって資金繰りが重要な理由は、資金繰りが悪化すると倒産リスクが急激に高まるためです。ここでいう資金繰りの悪化とは、支払いのための残高が不足している状態です。悪化している状態のままでいると取引先への支払いや従業員への給与支払いが滞ることになります。最終的には金融機関への返済もできなくなり、会社は倒産することとなります。

会社は赤字だから倒産するのではなく、資金繰りの悪化による現金ショートで倒産するのです。一時的な赤字状態であっても、資金繰りがよく、手持ちの資金が潤沢であれば倒産することはありません。ですが、収支上は利益(=黒字)が出ていても、支払いに必要な資金が不足している、いわゆる「黒字倒産」に陥ってしまう場合もあるため注意が必要です。

事業運営においては、事業の利益追求だけでなく、資金繰りの適切な管理を経営者が意識することが非常に重要です。

会社の資金繰りが悪化する要因

資金繰りの悪化要因としては、以下の3点があげられます。

要因①:赤字経営の状態が継続している。

収入より支出が上回っており、収支がマイナス状態となっていることを赤字経営といいます。売上が何らかの要因、もしくは恒常的に減少しているなかで、固定費の支払いが一定水準のまま下がらない場合、事業全体の利益が減少することとなります。この状態が継続してしまうと、固定費の支払いができない状態に陥り、どんどん手元の資金が流出する状態が継続すると資金繰りは悪化していきます。

要因②:銀行からの資金調達が困難である。

仮に赤字の状態であっても、銀行から融資を受けることができれば倒産するリスクを抑えることができます。ただ、融資が困難になると資金繰りが悪化し、倒産リスクが高まることとなります。

要因③:売上入金、代金回収の管理が不十分である。

売上が大きく伸びたケースを想定します。その際の入金の支払いのタイミングによっては、資金繰りを悪化させてしまうことがあります。売上が伸びた場合、仕入れや外注費の一時的な増加が見込まれます。売上入金のタイミングが予測より遅れてしまうことにより、増加した仕入れ費用を払いきれず、資金繰りが急速に悪化してしまうケースが想定されます。

会社の資金繰りが悪化した時に改善させるポイント

では、資金繰りを適切に管理し、改善していくポイントを説明します。

改善ポイント①:事業自体を改善させる

事業改善に取り組み、一刻も早く赤字状態を解消することが重要です。必要な資金を自社の利益で確保することで資金繰りを改善させることができます。

そのためには、業務フローを見直すことで労働生産性を高めたり、外部に委託している業務を内製化したりするなど、利益状況を改善するための方法を検討しましょう。

改善ポイント②:「資金繰り表」を作成し、資金繰りの管理を徹底する。

自社の置かれている状況を把握するために、資金繰りを見える化し、資金の流れを経営者が把握できるようにする必要があります。数か月先までの資金繰りを把握し、資金調達の計画を立てていくためにも、「資金繰り表」を作成し、適切に管理していくことが重要になります

「資金繰り表」を活用することで、どのタイミングで売上回収できるのか、代金の支払いがあるのかを事前に把握することができます。資金が不足することを事前に予測することで、資金調達を検討したりなど、早い段階での対策が立てられます。

改善ポイント③:不要な資産を早急に資金化する。

売上や資金獲得に貢献していない遊休資産を見直すことも大切です。資金化することで資金繰りが改善できるかもしれないからです。決算書の貸借対照表の資産の部をチェックすることから始めましょう。代金回収が滞っている売掛金や、値引きすれば販売できるのに放置されている不良在庫などが見つかることがあります。また、生産活動に利用されていない固定資産や、必要がない有価証券を処分することで、コスト削減にもつながります。

改善ポイント④:資金調達を検討する

資産を処分しても、まだ手元資金が不足する場合、買掛金や借入金の支払い目途が立たなくなるため、早急に外部から資金を調達する必要があります。資金調達には以下のような方法があります。

  • 金融機関から融資を受ける
  •  国や自治体の補助金・助成金を獲得する
  • クラウドファンディングを行う

自社の状況によって適切な資金調達方法は異なります。資金繰り表で自社の資金の流れを把握しつつ、自社の状況にあった資金調達方法を選択するようにしましょう。

改善ポイント⑤:銀行融資をリスケして資金繰りを改善させる

「リスケジュール(リスケ)」とは、銀行融資の返済条件や返済期間の変更を意味します。一時的に元金支払いを0にして、利息のみ支払いとするや、返済期間を延ばすことで、毎月の返済額を減らすといった、様々な方法があります。

リスケの実行によって、仮に1年間の元金返済猶予・利息のみ支払いとなれば、資金繰りが改善することとなります。

また、一旦、資金繰りが改善したことで、経営者が経営再建に専念できるようになります。 

銀行融資の返済条件や期間変更を申し込む金リスケ交渉は、信頼できる税理士、会計士、経営コンサルタントといった専門家の助けが必要になります。

資金繰りや資金調達にお悩みの中小企業の経営者の方は、ぜひ弊社までご相談ください。

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経済産業省が認めた認定支援機関とは?

認定支援機関とは、認定経営革新支援機関の略で、経営改善や財務支援などの様々な分野で専門的な支援を行う機関のことです。国の審査を経て、特定の基準を満たした上で「認定支援機関」として認められます。

認定支援機関の役割としては、経営改善計画策定の支援、資金調達の支援、補助金の支援など様々なものがあります。

リスケを検討する際には、認定支援機関に相談し、経営改善計画の策定などの支援を受けることを考えてみるのも一つの方法です。認定支援機関は、経営改善計画の作成などをサポートしてくれるため、経営の立て直しに役立ちます。専門家のアドバイスを受けることで、より実現可能性のある経営改善計画書の作成が可能になります。

リスケを拒否された時の相談は認定支援機関のビジネス処方箋(株式会社3Rマネジメント)へ

もし金融機関からリスケジュールを拒否された場合でも、諦める必要はありません。

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執筆者

中小企業診断士

大卒後、工作機械メーカーに勤務し、主に金属加工業を営む中小企業への法人営業に従事。フィールドセールス・マーケティング・プロモーションと幅広いセールス活動を経験。

中小企業診断士登録後は、補助金申請支援をきっかけに、ベンチャー企業の融資獲得のための事業計画策定、営業力向上・WEBマーケティング支援、組織構築、新規店の立ち上げ等の全般的な経営支援に従事。ご縁を大切にする経営支援を目指しております。

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