ファクタリングでトラブルに遭ったがどこに相談すれば良いかわからない
ファクタリングトラブルで弁護士を立てるべき?
ファクタリングに関するこのような悩みを解決します。
ファクタリングは、スピーディーに資金調達できる便利なサービスです。
しかし、トラブルが発生した場合にどこへ相談すべきかわからず、悩んでいる方は多いでしょう。
本記事では、ファクタリングのトラブルは弁護士に相談すべきかについて解説します。
この記事を読めば、ファクタリングのトラブルが起きた場合に弁護士へ相談すべきか自身で効率的に判断できるようになるので、ぜひ最後までご覧ください。

弁護士 田代隼一郎
有岡・田代法律事務所
2012年に弁護士登録。福岡市内で弁護士業務に励みながら、弁護士経験の中で培ってきた知識・経験を広く発信しており、企業・行政機関・士業向けの講演、TV・新聞・YouTube などで広く活躍している。
ファクタリングで発生するトラブルとは?
まずは、ファクタリングで発生するトラブルについて把握しておきましょう。
それぞれの内容について、以下で順番に解説します。
手数料が高すぎる
ファクタリングで発生するトラブルとして、手数料が高すぎることが挙げられます。
まずは、手数料が以下のように相場の範囲内であることを確認しましょう。
ファクタリングの種類 | 手数料の相場 | 特徴 |
---|---|---|
2社間ファクタリング | 8〜18% | 利用者とファクタリング会社の2社間契約 |
3社間ファクタリング | 2〜9% | 利用者・ファクタリング会社・売掛先の3社間契約 |
売掛先への連絡が不要な2社間ファクタリングでは売掛債権の信頼性を担保するのが難しいため、3社間ファクタリングと比較して手数料が高い傾向にあります。
2社間ファクタリングの場合に「売掛債権の信頼性を担保できない」というのは、例えば、売掛先が売掛債権の支払意思や支払能力(資力)があるか分からないことが挙げられます。
また、他の債権者から売掛金を差し押さえられてしまったり、このあと説明するように利用者が売掛金を使い込んでしまうなどのリスクもあります。
このようなファクタリング会社が負担するリスクが手数料に反映されるわけです。
また、金銭の貸し借りに関する利息の上限を定めた法律である利息制限法の利息を知っておくと、手数料が高すぎないかの目安となるでしょう。
元本の額 | 利息制限法の利息 |
---|---|
10万円未満 | 年利20% |
10万円以上100万円未満 | 年利18% |
100万円以上 | 年利15% |
売掛債権を売却するファクタリングでは利息制限法が適用されず、手数料に関する法的な規制はないことに注意してください。
30%を超える手数料を請求してくる悪徳業者も存在するため、手数料の相場などを事前に押さえておくのが重要です。
返済ができないことを巡るトラブル
利用者が返済できなくなることもファクタリングで発生するトラブルです。
返済ができなくなる可能性があるのは2社間ファクタリングのケースで、理由の一つとして「利用者による入金された売掛金の使い込み」が挙げられます。
2社間ファクタリングでは売掛先からファクタリング利用者へ売掛金が入金され、利用者がファクタリング会社へ支払いする運用です。
そのため、売掛先が入金した売掛金を利用者が使い込んでしまうと、ファクタリング会社への支払いができなくなります。
返済不可とならないよう、2社間ファクタリングを利用する際は注意しましょう。
取り立てを巡るトラブル
ファクタリング会社の取り立てもファクタリングで発生するトラブルです。
悪質なファクタリング会社と契約して支払いが滞ると、以下のような取り立てをされることがあり得ます。
- 店舗や営業所に押しかけてくる
- 深夜や早朝に何度も電話をかけてくる
- 利用者のプライベートを言いふらすなどの嫌がらせをしてくる
- 脅迫や暴力を行使する可能性もある
このような取り立てが行われる理由は、ファクタリングが債権譲渡契約で貸金業法は適用されないからです。
貸金業法が適用されないことから、ファクタリング会社は自由に取り立ての手段を決められる運用になっています。
返済ができないと過剰な取り立てに繋がる可能性があるため、注意しましょう。
取り立ての時間や訪問先などは、貸金業者であれば貸金業法によって規制されています。ところが、ファクタリングの場合には貸金業法が適用されないため、これらに対する規制は及びません。
ただし、脅迫・暴力・利用者の名誉の毀損、その他悪質な嫌がらせに対しては、刑法や迷惑防止条例等で対応できる場合もありますので、泣き寝入りせずに弁護士にご相談ください。
売掛先からの入金遅延を巡るトラブル
ファクタリングで発生するトラブルの一つは、売掛先からの入金の遅延です。
本トラブルも2社間ファクタリングを利用した際に起こる可能性があります。
なお、3社間ファクタリングでは売掛先からファクタリング会社へ売掛金を直接支払うことから、売掛先の入金遅延でファクタリング利用者が被害を被るリスクは軽減されます。
2社間ファクタリング利用時に売掛先が入金を遅延した際はファクタリング会社へ迅速に報告し、事情を丁寧に説明しましょう。
ファクタリングでのトラブルは弁護士に相談するべき?
ファクタリングでのトラブルは、どのタイミングで弁護士に相談するべきかについて解説します。
ファクタリングに関するトラブル4選は、以下の順に発生するのが特徴です。
- 手数料が高すぎる
- 売掛先からの入金が遅延している
- 返済ができない
- 取り立てにあっている
弁護士への相談は、トラブルが発生してから早ければ早いほど望ましいといえます。
なぜなら、違法な取立てであってもそれに応じてしまったら取り返すのは困難だからです。
また、地域の消費生活センターは相談が無料で独自の情報を持っていることもあるため、弁護士とあわせて相談するのもありでしょう。
司法書士は主として登記の専門家であって取り立て対応や訴訟に精通しているとは限らないことから、基本的には弁護士への相談がおすすめです。
ファクタリング会社の対応に不審感を持ち何らかのトラブルが生じたときには、金銭を支払う前に弁護士へ迅速に相談しましょう。
ファクタリングトラブルの弁護士費用
ファクタリングトラブルに関する弁護士費用の相場は以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
着手金 | 請求を争う額の5~8% |
報酬金 | 減額分の10~16% |
実費の相場感 | 数千円~1万円台 |
どの程度の弁護士費用がかかるか把握した上で、相談すべきか検討しましょう。
ファクタリングのトラブルで弁護士に相談するメリット
ファクタリングのトラブルで弁護士に相談するメリットは、次の2つです。
それぞれのメリットについて、以下で詳細に解説します。
取り立てがなくなる可能性
ファクタリングのトラブルについて弁護士に相談すると、取り立てがなくなる可能性があります。
取り立てがなくなる可能性がある理由は、次のとおりです。
- 弁護士がファクタリング会社に対して受任通知を送付するから
- 交渉窓口が弁護士に一本化されるから
- 弁護士の介入により法的措置への移行を示唆できるから
受任通知とは弁護士が依頼者から案件を正式に受任したことを相手方に知らせるための通知で、依頼者の代理人として交渉や手続きを進めることを示せます。
受任通知の送付により交渉窓口が弁護士に一本化され、相手方に法的措置への意向を示唆できるでしょう。
過払金が請求できる可能性
ファクタリングのトラブルについて弁護士に相談すると、過払金を請求できる可能性もあります。
ファクタリングは債権の譲渡契約で貸金ではありませんが、実質的に貸金(融資)であると判断された場合に過払金を請求できる可能性があります。
弁護士に相談することで過払金を請求し、資金が戻ってくる可能性があるのはメリットといえるでしょう。
ファクタリングのトラブルを弁護士に相談するには
本章では弁護士の探し方や選び方に加えて、どのような情報を共有して相談すべきかについて解説します。
弁護士の探し方としては、「弁護士 ファクタリング」などのキーワードで上位にくる事務所よりも、消費者委員会の委員会活動などの活動例も含めて検索するのがおすすめです。
単純なキーワードだけで上位にくる事務所は、その分野に強い事務所というよりも、広告費に力を入れている事務所が多い印象です。
他方で、各地域の弁護士会は、さまざまな委員会活動を行っています。それらの委員会には、その分野に関心を持っている弁護士が比較的多く集っています。
そのため、お住まいの地域の弁護士会のWEBサイト等で委員会活動を確認した上で、「◯◯県 ◯◯委員会 弁護士」などで検索してみる方法は、非常に効果的だと思います。
弁護士を選ぶ際は人と人との相性が重要なため、面談や電話で複数の弁護士と会話をした上で慎重に判断しましょう。
弁護士への相談時に共有すべき内容としては、例えば以下の内容が挙げられます。
- トラブル内容
- ファクタリング契約の種類や内容
弁護士の探し方や選び方を把握し、トラブル時に効率的な行動をとれるようにしましょう。
弁護士に相談する際の注意点
弁護士に相談する際の注意点は、次の3つです。
これらの注意点について押さえておくことで、ファクタリングのトラブル時に弁護士へ相談して失敗・後悔するリスクを減らせます。
それぞれの内容について、以下で順番に見ていきましょう。
初回相談の料金を確認
ファクタリングのトラブルで弁護士に相談する際、初回相談の料金を確認しましょう。
なぜなら、初回から無料で相談に乗ってくれる事務所もあれば、有料の場合もあり得るからです。
事前に公式サイトや電話などで初回相談の料金について確認しておくと、後でトラブルになる可能性は低いでしょう。
悪質な弁護士に注意
弁護士に相談する際、悪質な対応をする人と契約しないのも重要といえます。
すべての弁護士が善良で、必ずしも誠実な対応を行うとは限らないからです。
例えば、以下のような悪質な対応が想定されます。
経歴や会社の実態、ホームページなどをしっかり確認し、弁護士名を検索した際に懲戒事例やニュースなどで過去に問題を起こしていないかを調べるのがおすすめです。
高額な弁護士費用に注意
弁護士に相談する際、高額な弁護士費用にも注意を要します。
ファクタリングトラブルに関する弁護士費用の相場は、次のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
着手金 | 請求を争う額の5~8% |
報酬金 | 減額分の10~16% |
実費の相場感 | 数千円~1万円台 |
費用については弁護士によって異なるため、複数の弁護士に相談することをおすすめします。
不当な費用を支払うことがないよう、慎重に行動しましょう。
ファクタリングの弁護士に関するよくある質問
ファクタリングの弁護士に関するよくある質問は、次の3つです。
それぞれの質問について以下で順番に解説します。
ファクタリングから抜け出せなくなるケースはありますか?
ファクタリングから抜け出せなくなるケースは存在します。
ファクタリングから抜け出せず、負のスパイラルに陥ってしまうメカニズムは以下のとおりです。
- 目先の資金を確保するためにファクタリングを利用する
- ファクタリング手数料で将来の入金額が減る
- 翌月の資金繰りがさらに厳しくなる
- 不足分を補うために、再びファクタリングを利用する
- 手数料の支払い額が増えて負債が雪だるま式に増加する
ファクタリングは最短即日で資金調達できる便利な方法ですが、依存すると自力で抜け出すのが困難になる場合があるため注意して利用しましょう。
ファクタリングでのトラブルを弁護士に即日相談できますか?
ファクタリングのトラブルについて、弁護士に即日相談することは十分にできます。
多くの弁護士事務所では緊急性の高い問題に対応するため、当日中の相談予約を受け付けているからです。
特に、以下のような切迫した状況では、即日相談できるかが重要といえます。
- ファクタリング会社から脅迫的な取り立てを受けている
- 本日中、明日中に支払わないと職場や家族に連絡すると言われている
- 精神的に追い詰められて、正常な判断ができない状態にある
初回の相談は無料の弁護士事務所もあるため、悩みすぎず早めに相談しましょう。
ファクタリングで自己破産すれば取り立ては回避できる?
自己破産をすれば、ファクタリング会社からの取り立ては原則として回避できます。
ファクタリング会社からの取り立ては、次の2段階でなくなります。
段階 | 内容 |
---|---|
1. 弁護士への依頼直後 | ・自己破産の手続きを弁護士に依頼すると、弁護士はファクタリング会社に受任通知を送付する ・受任通知を受け取った後、貸金業者が正当な理由なく本人に直接取り立てを行うのは貸金業法で禁止されている ・貸金業法が適用されない事業者であっても、弁護士に依頼までした相手や関係者に直接連絡をしても回収できないことは経験上身にしみているため、無理な取り立てが事実上なくなることが多い |
2. 裁判所の免責許可決定後 | ・自己破産の手続きが進んで裁判所から免責許可決定が確定すると、一部の例外を除きすべての借金の支払い義務が法的に免除される ・ファクタリング会社は利用者に対して請求する権利を失うため、取り立ての根拠がなくなり問題が根本解決する |
自己破産においてはファクタリング会社も債権者の一つとして扱われるため、本手続きから逃れることはできません。
ただし、自己破産では借金の返済義務が免除される代わりに一定以上の財産は没収されるため、注意してください。
ファクタリングのトラブルで困ったら、自身で自己破産を検討する前に専門家へ相談するのがおすすめです。
【まとめ】ファクタリングでトラブルが発生したら弁護士へ迅速に相談しよう!
本記事では、ファクタリングのトラブルについて弁護士へ相談すべきかについて解説しました。
ファクタリングでは手数料が高すぎて返済ができず、取り立てにあうなどのトラブルが発生する可能性があります。
ファクタリングのトラブルが発生した際、弁護士への相談は早ければ早いほど望ましいです。
ただし、中には悪質な弁護士も存在することから、懲戒事例やニュースなどで過去に問題を起こしていないかを確認するのが重要といえます。
弁護士に相談することで取り立てがなくなり過払金請求できる可能性もあるため、困ったら弁護士へ迅速に相談しましょう。

ファクタリングonline 編集部
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