「ファクタリングの仕組みが理解できない」
「ファクタリングの何がいいの？デメリットは？」

ファクタリングはビジネスで使う資金調達の1つです。

しかし、初心者には少し仕組みが難しいと感じるかもしれません。

今回は元銀行員の私がファクタリングの仕組みを初心者でもわかるように解説します。

ファクタリングのメリットや安全性を理解して、自分に必要かどうか見極めましょう。

【図解あり】ファクタリングの必要性

ファクタリングには「売掛債権の買い取り」という意味があります。

同じ資金調達でも、融資とは仕組みが異なります。

項目	ファクタリング	融資
審査対象	売掛債権（売掛先）の信頼性	利用者の信用力（財務状況など）
入金スピード	最短即日	1週間〜数ヶ月
資金調達できる金額	売掛債権の額面金額が上限	金融機関により異なる
手数料	高め	低め
返済方法	ファクタリング会社への一括支払い	返済計画に基づいた返済
利用条件	利用者の経営状況が悪くても利用可能	利用者の経営状況が悪い場合などは 利用できない可能性あり
会計上の分類	借入ではないため負債に計上されない	借入のため負債に計上される
相手企業の承認	3社間ファクタリングでは 売掛先への通知・承認あり	売掛先への通知・承認なし

ファクタリングはすぐに資金が手に入るので、事業を大きくしたり設備を購入する時に便利です。

時には急に仕事が増えて、材料を大量に仕入れる状況もあるでしょう。

手元に現金があればいいですが、入金がないと材料を仕入れる資金も足りません。

このタイミングで資金を用意できないと、売上があるのに倒産する「黒字倒産」に陥り、せっかくのビジネスチャンスを逃してしまいます。

ファクタリングを利用すればすぐに資金が手に入るので、ビジネスチャンスを逃さなくて済みます。

ファクタリングの仕組み【図解あり】

ファクタリングは売掛債権（請求書）をファクタリング会社が買い取り、代金を利用者（あなた）の口座に振り込む仕組みです。

入金期日前に買い取ってもらえれば、資金繰りを改善させる効果があります。

ファクタリングは以下3者の企業・人物をイメージすると理解しやすいです。

• 1.利用者（あなた）・・・売掛債権を売却して資金を得たい人・企業
• 2.売掛先（取引先）・・・売掛金を支払う企業
• 3.ファクタリング会社・・・売掛債権を利用者から買い取る企業

登場人物が何人出てくるかによって、ファクタリングの形式も変わります。

次の章では、取引先に知られない2社間ファクタリングについて解説しますね。

2社間ファクタリング

2社間ファクタリングは利用者とファクタリング会社のみで成立します。

売掛先は契約関係に入らないため、ファクタリングの利用を知られることはありません。

2社間は審査スピードが早いのがメリットです。
一方で、利用者が返済資金を使い込むリスクがあるので、手数料は高く設定されています。

2社間ファクタリングの流れは以下の通り。

返済原資は売掛先からの入金です。
利用者は売掛先から入金されたら、ファクタリング会社に一括で返済します。

3社間ファクタリング

3社間ファクタリングは、以下のすべての登場人物が関わります。

• 利用者
• 売掛先
• ファクタリング会社

2社間と異なり売掛先（取引先）への通知や承諾も必要になってきます。

返済代金は売掛先からファクタリング会社へ直接支払われます。

ファクタリング会社にとってのリスクが少ないため、手数料は2社間より安いです。

安全性が高いので、3社間ファクタリングのみを取り扱う業者も多いです。

その反面、入金まで時間がかかる点に留意しておきましょう。

ファクタリングの事例

ここではファクタリングが実際のビジネスで使われた事例を紹介します。

ファクタリングの種類

ファクタリングは「資金調達を目的にしているかどうか」によって以下の2種類に分けられます。

• 買取型のファクタリング
• 保証型のファクタリング

買取型のファクタリング

買取型のファクタリングは、資金調達を目的としたファクタリングです。

ファクタリング会社が売掛債権を買い取り、代金を利用者に支払うサービスです。

2社間及び3社間ファクタリングも買取型に該当し、売掛金をすぐ現金化できるのが最大のメリットです。

買取型ファクタリングは以下のような時に有効です。

保証型のファクタリング

保証型ファクタリングは、資金調達を目的としないファクタリングで「保険」のようなイメージです。

取引先の倒産などの売掛債権を回収できないリスクに備えて、保証金を支払うサービスです。

ファクタリング会社が売掛先の信用情報を調べ、いくらまで保証できるのか審査します。

建設業のように1つあたりの事業の金額が大きく、売掛金での取引が多い場合によく使われます。

保証型ファクタリングは以下のような時に有効です。

ファクタリングを行うメリット

ファクタリングを行うメリットは以下の4つです。

売り上げをすぐに現金化できる

ファクタリングを利用すれば、売上をすぐに現金化できます。

ファクタリング会社が売掛債権を入金期日前に買い取ってくれるからです。

大きな案件や※入金サイトが長い案件を受注すると、先に材料を仕入れたり人を雇ったりするので、どうしても先に費用が発生します。
※入金サイト・・・締日から入金されるまでの日数のこと

費用が払えないと仕事もできないので、せっかくのビジネスチャンスを逃しかねません。

売上が伸びているのに倒産する「黒字倒産」もありえます。

ファクタリングを利用すれば売掛金をすぐに現金化できるので、先行費用に臆することなくどんどん仕事を受注できるようになります。

返済負担のない資金調達ができる

ファクタリングなら返済負担を感じることなく資金調達できます。

売掛先からの入金さえあれば返済できるからです。

ファクタリング以外の資金調達方法として銀行の融資がありますが、金利を支払いながら返済するので、毎月の返済負担が生じます。

ファクタリングは売掛債権を手数料を差し引いて買い取ってもらうサービスです。

借入ではないので、毎月の返済や利息の負担に悩むことはありません。

保証人・担保も必要ないので手続きや必要書類が少ないというメリットもあります。

2社間ファクタリングなら売掛先に知られない

2社間ファクタリングは売掛先に知られずに資金調達できます。

2社間は売掛先に通知義務がなく、返済代金は利用者（あなた）を通じてファクタリング会社に支払われるからです。

売掛先はファクタリングを利用しているとは知らず代金を支払っているので、契約書を見られたり誰かが言わない限りわかりません。

多くの会社は自分の売掛金がファクタリングに利用されるのを嫌がります。

ファクタリングの利用が知られると、「資金繰りに困っているのでは？」と勘違いされるかもしれません。

売掛先との関係性を悪化させたくない方は、2社間ファクタリングが最適です。

貸借対照表に影響がない

ファクタリングは借入ではないので、貸借対照表に影響がありません。

ファクタリングは債権の譲渡であり、借入とは全く別の性質を持ちます。

ファクタリングを利用しても借入は増えないため、別件で融資の審査を控えていても影響はありません。

逆に借入をたくさんしていても売掛先の信用状態さえ良ければ、審査に通る可能性は十分にあります。

ファクタリングを新たな資金調達手段として用意しておくのは得策です。

ファクタリングを行うデメリット

ファクタリングを行うデメリットは以下の3つです。

事例を交えながら解説しますので、ぜひ参考にしてください。

手数料が必要

ファクタリングを利用するためには手数料を支払う必要があります。

手数料は売掛先の信用によって上下し、信用が高ければ手数料は安くなり、悪ければ高くなります。

手数料は買取代金から差し引かれます。

手数料はファクタリングが2社間なのか3社間なのかで、相場が異なります。

• 2社間の手数料相場・・・8〜18％
• 3社間の手数料相場・・・2〜9％

3社間ファクタリングは売掛先が直接ファクタリング会社に返済代金を支払うので、安全性が高く手数料も安いです。

手数料が安いファクタリング業者について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

悪徳業者も存在する

ファクタリング会社の中には、一部の悪徳業者も存在します。

ファクタリングには規制がなく手数料を自由に決められるからです。

そのため法外な手数料を要求してくる会社が存在します。

実際にあった悪徳な事例を紹介します。

悪徳な業者は実在します。

ファクタリングで「おかしい」と思ったら、その業者との契約は控えましょう。

3社間ファクタリングは売掛先の承認が必須

3社間ファクタリングは売掛先への通知・承認がないと成立しません。

3社間の場合、返済代金は売掛先からファクタリング会社に支払われるからです。

売掛先の承認がないと、3社間ファクタリングは成り立たない仕組みになっています。

ファクタリングを売掛先にバレたくない方にとって3社間は利用しづらいです。

回収できないリスクが低く、安全性が高いので3社間を原則とするところも多いです。

ただ、手数料が2社間に比べて安いので、売掛先に知られるのが問題なければ3社間の方が費用を抑えられます。

安全なファクタリング会社を選ぶポイント

安全なファクタリング会社を選ぶ上で、重要なポイントを4つ解説します。

利用するなら安全な会社を選びたいですよね。

今回解説するポイントを押さえてファクタリング会社を選べば、騙されるリスクも減ります。

手数料は相場の範囲内か

ファクタリングの手数料の仕組みや目安を理解することは、騙されないためにも大切です。

ファクタリングは手数料に規制がなく、悪徳な業者は不当に高い手数料を求めてきます。

一定の基準や仕組みを知っておくことで、契約する前に「あれ、おかしいな」と気づけます。

手数料の主な内訳は以下の通りです。

• ファクタリング手数料
• 事務手数料
• 人件費
• 印紙代
• 債権譲渡登記費用

手数料の説明をされた時に、違和感を覚えたら先に進まないことが大切です。

次に手数料の目安も覚えておきましょう。

• 2社間の手数料相場・・・8〜18％
• 3社間の手数料相場・・・2〜9％

法外な手数料を提示されたら悪徳な業者の可能性が高いので、勇気を持って断ることが大切です。

手数料が安いファクタリング業者について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

入金スピード重視なら２社間がおすすめ

入金スピードは3社間よりも2社間ファクタリングの方が早いです。

2社間は売掛先の同意が不要で、ファクタリング会社と利用者だけで取引できるからです。

実際に取引の流れを見てみましょう。

2社間ファクタリングは早いと申し込みから入金まで数時間で完了します。

3社間は売掛先からの承諾が必要なので、入金まで3日〜1週間ほどかかります。

どちらにしようか迷っている方は、2社・3社両方とも実績があるファクタリング会社を選びましょう。

買取金額の最低・最高金額は業者によりバラバラ

ファクタリング会社を選ぶ時は、自分の買取希望額に合った業者を選びましょう。

少額OKなファクタリング会社	高額利用実績があるファクタリング会社
ビートレーディング：3万円〜	ビートレーディング：７億円
No.1：10万円〜	ベストファクター：１億円
アーリーペイメント：50万円〜	アクセルファクター：１億円

また、入金方法にも注意が必要です。

悪質な業者は分割で貸し付けてくることがありますが、安全なファクタリングでは一括入金が基本です。

もし分割と言われたら無登録での違法な貸付行為を行っている可能性があります。

実際に買取金額を一括で入金せず、分割で貸し付けた違法な事例が発生しています。

会社の信頼性

会社の信頼性もチェックしておくことで、ご自身を守ることに繋がります。

信頼性に欠けるファクタリング会社に関わってしまうと、情報を悪用されるかもしれません。

参考までにファクタリング会社の信頼性を確認する2つのポイントを解説します。

ホームページを確認する

ファクタリング会社の実態を確認する上で重要です。

実際に所在地が存在するのか、代表の氏名や連絡先が明記されているか、などを確認しましょう。

上場企業のグループ会社だとさらに安心して利用できます。

口コミを確認する

口コミは実際に利用した人の感想がわかる貴重な情報源です。

企業が説明するより、利用した人の感想を見た方が信用できますよね。

口コミを参考にファクタリング会社の信頼性を判断するのも良いでしょう。

当メディアでも、各ファクタリング業者の口コミや評判をまとめています。

どのファクタリング会社を選ぶか迷っている方は、ぜひ参考にしてください！

ファクタリングの意味に関するよくある質問

ファクタリングのよくある質問に対して解説します。

最後に疑問点を解消し、理解を深めていってくださいね。

ファクタリングはやばい？

• 「ファクタリングはやばい？」
• 「違法じゃないの？」

という認識は間違いです。

ファクタリング自体は「債権の譲渡」という合法的なサービスで、実際に民法第４６６条にも明記されています。

○民法第４６６条
（債権の譲渡性）
第四百六十六条 債権は、譲り渡すことができる。

国土交通省「譲渡制限特約について」

ただし、中には悪質なファクタリング会社もいるため、騙されないように利用者側も知識をつけることが大切です。

ファクタリングで取り立てが発生することはある？

ファクタリングは売掛先が倒産しても、弁済を求められることはありません。

ファクタリングには原則、「償還請求権」がないからです。

償還請求権とは、売掛先が倒産した時にファクタリング会社が、利用者に費用を請求する権利のこと。

しかし、悪質な業者によっては「返還請求権あり」の契約を結ばされることもあります。

ファクタリングでは契約内容を念入りに確認することが大切です。

ファクタリングは「償還請求権なし」の会社を選べば、取り立てをされず済みます。

ファクタリングの手数料はいくら？

ファクタリングの手数料は2社間と3社間で相場が異なります。

• 2社間の手数料相場・・・8〜18％
• 3社間の手数料相場・・・2〜9％

手数料が決まるポイントは「売掛先の信用力」です。

売掛先の信用が高ければ手数料は安くなります。

上場企業や官公庁などの公的機関なら信用力は高いので、手数料を抑えられますよ。

手数料が安いファクタリング業者について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

大手のファクタリングの会社はどこ？

参考までに大手のファクタリングを一覧で紹介します。

以下の5社は実績と信用も十分で、2社間も3社間もどちらも利用できます。

サービス名	手数料	入金スピード	金額の制限	特徴	公式サイト
ベストファクター	2％〜	最短24時間	30万円〜1億円	業界最高水準のセキュリティ	詳細を見る
ビートレーディング	2％〜	最短2時間	3万円〜上限なし	審査通過率98％	詳細を見る
アクセルファクター	2％〜	最短2時間	30万円〜1億円	早期割引	詳細を見る
株式会社No. 1	1％〜	最短即日	50万円〜5,000万円	他社からの乗換実績No. 1	詳細を見る
日本中小企業金融サポート機構	1.5%〜	最短3時間	無制限	財務局及び経済産業局の認定を受けた機関	詳細を見る

ファクタリングを返さないとどうなる？

ファクタリングの返済を怠るとファクタリング会社から支払いを催促されます。

これを無視し続けると法的措置を取られる可能性があります。

放置すると横領罪や詐欺罪で刑事責任を問われることもありますので早めに対処してください。

ファクタリングは売掛金を現金化するサービス！

ファクタリングは売掛金を現金化するサービスです。

すぐに現金化でき、決算書にも影響がないので利用しやすいですよね。

悪徳な業者もいるので、この記事を繰り返し読んで知識をつけてから利用するのがおすすめです。

ファクタリングを利用すれば資金繰りの悩みも減り、ビジネスチャンスを広げられます。

ぜひ利用してみてください！