【2025年2最新版】第19次ものづくり補助金の主な変更点と申請ポイントを徹底解説

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金親 正和
中小企業診断士

中小企業診断士 / 宅地建物取引士 / 不動産コンサルティングマスター
賃貸不動産経営管理士 / 管理業務主任者 / 防災士

大学卒業後、総合不動産会社にて不動産の企画・開発、賃貸物件のリーシング・管理(5,000室)、売却(半年間で46物件)と入口から出口までの業務に従事。
現在は、「補助金を通じて、中小企業経営者の皆様を支えたい」という思いから、各種補助金の申請支援に注力している。

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中小企業向けの設備投資支援策である「第19次ものづくり補助金」の公募が始まりました。
公募期間は2025年2月14日(金)から4月25日(金)17時までで、申請受付は4月11日(金)17時から開始される予定です。
前回、第18次ものづくり補助金は2024年1月31日(水)から公募が行われていたので、およそ1年ぶりの再開となります。

本記事では、ものづくりも補助金の申請支援実績がある中小企業診断士 金親が、第19次ものづくり補助金の概要をはじめ、前回の公募要領との違いや変更点を詳しく解説していきます。

目次

第19次ものづくり補助金と前回第18次の主な変更点

ここからは、第19次ものづくり補助金と前回第18次の違いについて、具体的な変更点や注意点を中心に解説していきます。
補助事業の目的や申請枠、基本要件など、申請に必要なポイントが大きく変わっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

補助事業の目的変更

第18次ものづくり補助金の目的と第19次ものづくり補助金を比較してみましょう。

「ものづくり補助金」は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む

ものづくり補助金 公募要領より

「ものづくり補助金」は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次ぐ制度変更に対応するため、生産性向上に資する革新的な新製品・新サービス開発や海外需要開拓を行う事業のために、必要な設備投資等を支援することにより、中小企業者等の生産性向上を促進し経済活性化を実現することを目的としています。

ものづくり補助金 公募要領より

第18次ものづくり補助金は、革新的製品・サービスの開発、または、生産プロセス等の省力化等を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援することを目的としていました。

第19次ものづくり補助金では、「革新的な新製品・新サービスを開発すること」、「海外需要開拓を行うこと」、「経済活性化を実現すること」が目的に加わりました。
ここで注目すべきは、第19次では「海外需要開拓」や「経済活性化」が明確に追加された点です。補助金申請をする際には、これらの目的に合致する事業計画であることをしっかり示す必要があります。

申請枠の統廃合と補助上限額の引き下げ

2024年のものづくり補助金は、「省力化(オーダーメイド)枠」や「製品・サービス高付加価値化枠」に「成長類型」と「成長分野進出類型」がありました。
2025年ものづくり補助金では、統廃合されて、「製品・サービス高付加価値枠」と「グローバル枠」の2つに統一されました。
また、新型コロナという文字は削除されています。

この申請枠の統廃合により、省力化(オーダーメイド)枠が消滅したことで、ものづくり補助金の補助上限額が8,000万円からグローバル枠の3,000万円に引き下げられたことになります。大幅な賃上げ特例を活用しても最大4,000万円の上限額となりました。

第18次 ものづくり補助金
枠・類型補助上限額補助率
省力化(オーダーメイド)枠750万円~8,000万円中小:1/2小規模・再生:2/3※1,500万円を超える部分は1/3
製品・サービス高付加価値化枠通常類型750万円~1,250万円中小:1/2 小規模・再生:2/3新型コロナ回復加速化特例は2/3
成長分野進出類型1,000万円~2,500万円2/3
グローバル枠3,000万円中小:1/2 小規模:2/3
第19次 ものづくり補助金
枠・類型補助上限額補助率
製品・サービス高付加価値化枠750万円~2,500万円中小企業:1/2
小規模・再生事業者:2/3
グローバル枠3,000万円中小企業:1/2
小規模事業者:2/3

なお、第19次ものづくり補助金の2つの枠において、大幅な賃上げに係る上限額引き上げの特例は、変更ありません。
引き上げ可能な上限額は以下のとおりです。

  • 従業員5人以下:最大100万円
  • 6~20人:最大250万円
  • 21人以上:最大1,000万円

最低賃金の引上げ取り組む場合の特例では、中小企業の補助率は1/2でしたが、第19次では中小企業においても、2/3まで補助率が引き上げられます。

基本要件の変更

第18次ものづくり補助金では、下表1~3の基本要件を満たす事業計画を策定することになっていました。

第19次ものづくり補助金では、「2. 給与支給総額」要件が年平均成長率+2%増加に変更となっています。
また、「4. 仕事・子育て両立」要件が新設されており、従業員が21人以上の場合は下表1~4の基本要件全てを満たす事業計画を策定することになります。

 基本要件第18次 ものづくり補助金第19次 ものづくり補助金
1.付加価値額年平均成長率+3%以上増加変更なし
2.給与支給総額年平均成長率+1.5%以上増加年平均成長率+2%以上増加
3.事業場内最低賃金地域別最低賃金+30円以上変更なし
4.仕事・子育て両立一般事業主行動計画の策定・公表

「4. 仕事・子育て支援」要件とは、補助金の申請前までに一般事業主行動計画を作成して、仕事と家庭の両立を支援するサイト「両立支援のひろば」に当該計画を公表することです。

一般事業主行動計画は、下記URLを参考にすると簡単に作成できます。

厚生労働省HP:一般事業主行動計画とは、作成方法について
モデル行動計画.pdf 

基本要件を紐解くと、企業の成長と従業員の賃上げに加えて、働きやすい職場づくりが補助金申請にも求められていることが読み取れます。

採用難による人手不足と離職防止の観点からも、仕事と家庭の両立ができる職場環境を作ることが企業存続のカギになるかもしれません。

収益納付義務の廃止

第19次ものづくり補助金では、収益納付義務が廃止されました。

これは、補助金を活用した事業で収益(利益)が出た場合、その一部を返納する必要があったルールを撤廃するものです。収益が出た場合でも、補助金交付額の返還が不要になります。

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第19次モノづくり補助金のスケジュール

今回は、2025年2月に公表された「第19次ものづくり補助金」において、前回との違いをお伝えしました。

補助金申請から補助金受領までの流れは下表のとおりです。申請し、交付が決定しても、補助金を受領できるのは、数年後ということですので、基本要件をみたすために事業計画を精緻に作成する必要があります。

申請受付期間令和7年4月11日(金)~令和7年4月25日(金)
書面・口頭審査令和7年5月~6月頃
交付決定日令和7年7月下旬
交付申請採択決定後、2ヶ月以内
補助事業実施事業計画期間(3~5年)
実績報告補助事業完了後30日後、または、補助事業終了日
補助金額の確定確定検査後
補助金請求・受領

第19次モノづくり補助金の変更点まとめ

今回は、2025年2月に公表された「ものづくり補助金(第19次)」について、前回(第18次)との違いや申請における重要ポイントを解説しました。申請枠の統廃合や補助上限額の引き下げだけでなく、給与支給総額要件や仕事・子育て両立要件などの追加・変更もあるため、早めの準備が欠かせません。

ものづくり補助金の申請は、事業計画をどのように立てるかが合否を大きく左右します。補助金を活用して企業をさらに成長させるには、変更点をしっかりと把握し、計画策定から申請書類の作成までスムーズに進めることが大切です。

「ビジネス処方箋」では、ものづくり補助金の申請支援実績が豊富な中小企業診断士・金親が無料相談を受け付けています。疑問点や不安な点がある場合は、お気軽にお問い合わせください。専門家のサポートを受けながら、最適な申請計画を一緒に考えていきましょう。

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執筆者

1978年 千葉県生まれ

中小企業診断士
宅地建物取引士 不動産コンサルティングマスター
賃貸不動産経営管理士 管理業務主任者 防災士

大学卒業後、総合不動産会社にて不動産の企画・開発、
賃貸物件のリーシング・管理(5,000室)、売却(半年間で46物件)
と入口から出口までの業務に従事。

現在は、補助金を通じて、中小企業経営者の皆様を支えたい
という思いから、各種補助金の申請支援に注力している。

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