事業承継・引継ぎ補助金とは 申請方法と成功の秘訣を徹底解説!

執筆者
中小企業診断士 吉川和明

吉川 和明
中小企業診断士

大手製造機器メーカーにて、流通小売業向けPOSシステム、および決済システムの開発に従事。本業と中小企業診断士の二刀流で、商工会議所の経営相談員や補助金申請支援などの活動を実施中。

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目次

事業承継 引継ぎ補助金とは?

事業承継・引継ぎ補助金とは、中小企業・小規模事業者の事業承継や事業再生、事業統合を契機として新たな取り組みを行う際の経費の一部を補助する補助金です。事業承継や事業再生、事業統合を促進し、経済の活性化を図ることを目的としています。

中小企業経営者の高齢化が進んでいる中で後継者不足が課題となっており、後継者がいない中小企業では「黒字経営でも廃業を選択しなくてはならない」状況にあります。

本補助金では支援の対象により、「経営革新事業」、「専門家活用事業」、「廃業・再チャレンジ事業」という3つの事業に分かれています。

申請類型補助対象補助率補助上限
経営革新経営資源引継ぎ型創業や事業承継(親族内承継実施予定者を含む)、M&Aを過去数年以内に行った者、または補助事業期間中に行う予定の者1/2、2/3~600万円
1/2600万~800万円
専門家活用補助事業期間に経営資源を譲り渡す、または譲り受ける者1/2、2/3~600万円M&A未制約の場合は~300万円
廃業・再チャレンジ事業承継やM&Aの検討、実施等に伴って廃業等を行う者1/2、2/3~150万円
引用:事業承継・引継ぎ補助金説明資料(9次公募)
  • 対象者

事業承継を契機として、新しい取り組みを行う中小企業者等、事業再編・事業統合に伴う経営資源の引継ぎを行う中小企業者等が補助対象者となります。

  • 対象事業

経営者の交代、または事業再編・事業統合を契機とした承継者が行う経営革新等に係る取り組み、および事業再編・事業統合に伴う経営資源の引継ぎを行う取り組みが補助対象となります。

  • 対象経費

補助対象事業の遂行に必要な経費が前提です。補助事業期間内に契約・発注を行って支払った経費が補助対象となります。注意点としては、補助事業期間終了後の実績報告で提出する証拠書類等によって金額・支払い等が確認できること、税抜50万円以上の支払いを要するものについては、原則として2社以上から相見積もりを取得することが必須であることが挙げられます。

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事業承継・引継ぎ補助金の経営革新枠とは

経営革新枠の概要

中小企業者等の承継者が経営革新を行う際の設備投資や販路開拓等にかかる費用や、廃業費等が補助対象経費の対象となります。一定の期間に事業承継を実施すること、または事業承継を実施したことが要件となります。

専門家活用枠、および廃業・再チャレンジ枠との重複申請が可能です。なお、廃業・再チャレンジ枠と重複申請する場合は本事業への上乗せ扱いになるため、廃業・再チャレンジ枠への別途申請は不要です。

原則として、事業承継対象期間内に、M&Aおよび経営者交代による事業承継を行うことが経営革新枠の要件となります。 

類型補助率補助下限額補助上限額
創業支援類型(Ⅰ型)補助対象経費の2/3以内、または1/2以内100万円600万円または800万円以内上乗せ額(廃業費) +150万円以内
経営者交代類型(Ⅱ型)
M&A類型(Ⅲ型)
引用:事業承継・引継ぎ補助金説明資料(9次公募)

※以下のいずれかを満たす補助対象者は、補助率を1/2以内から2/3以内まで引き上げることが可能となります。

・中小企業基本法上の小規模企業者
・物価高の影響等により、営業利益率が低下している者
・直近決算期の営業利益、または経常利益が赤字の者
・再生事業者等

※以下に該当する賃上げを実施する補助対象者は、補助上限額を600万円以内から800万円以内まで引き上げることが可能となります。

・補助事業期間終了時に、事業内最低賃金が地域別最低賃金+50円以上の賃上げ
・すでに達成している事業者は、補助事業期間終了時に事業内最低賃金+50円以上の賃上げ

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申請類型の概要

  • 創業支援類型(Ⅰ型)

以下の①、②の全ての要件を満たすこと。

①事業承継対象期間内(2019年11月23日から2024年11月22日)の法人(中小企業者)設立、または個人事業主としての開業であること。
②創業にあたって廃業を予定している者等から、株式譲渡、事業譲渡等により有機的一体としての経営資源(設備、従業員、顧客等)の引き継ぎを受けること。

※ 注意事項
・物品・不動産等のみを保有する事業の承継(売買含む)は対象とならない。
・経営者交代類型(Ⅱ型)における承継者が法人の場合、事業譲渡や株式譲渡等による承継は原則として対象とならない。

  • 経営者交代類型(Ⅱ型)

以下の①、②の全ての要件を満たすこと。
①親族内承継や従業員承継等の事業承継(事業再生を伴うものを含む)であること。
②産業競争力強化法に基づく認定市区町村、または認定連携創業支援事業者により特定創業支援事業を受ける者等、経営等に関して一定の実績や知識等を有している者であること。

※ 注意事項
・物品・不動産等のみを保有する事業の承継(売買含む)は対象とならない。
・経営者交代類型(Ⅱ型)における承継者が法人の場合、事業譲渡や株式譲渡等による承継は原則として対象とならない。

(例外)本補助事業の対象となる事業承継の期間

「同一法人内の代表者交代」での事業承継に限り、一定の要件を満たす場合には「未来の承継」として、補助事業期間が終了後の事業承継も本補助事業の対象として交付申請が可能です。

未来の承継の要件①交付申請時点で、以下のいずれかの要件を満たす、将来経営者となることが十分見込まれる後継者候補が選定できていること。・対象会社の役員として3年以上の経験を有する者。・対象会社・個人事業に継続して3年以上雇用され業務に従事した経験を有する者。②後継者候補が交付申請時点で対象の会社に在籍していること。③補助事業期間が終了する事業年度から5年後の事業年度末の期間内に承継が完了する予定であり、その蓋然性が高い事業承継計画を作成・提出すること。④以下の要件を満たす補助事業計画を立案し、実行すること。・後継者候補が主導して取り組む事業であること。・承継予定の中小企業等における事業であること。・承継予定である中小企業の経営資源を有効活用した事業であること。
引用:事業承継・引継ぎ補助金説明資料(9次公募)
  • M&A類型(Ⅲ型)

以下の①、②の全ての要件を満たすこと
①事業再編・事業統合等のM&Aであること。
②産業競争力強化法に基づく認定市区町村、または認定連携創業支援事業者により特定創業支援事業を受ける者等、経営等に関して一定の実績や知識等を有している者であること。

※注意事項
・物品・不動産等のみを保有する事業の承継(売買含む)は対象とならない。

(例外)グループ申請
8次公募より、グループ化を伴う事業承継、およびその後の経営革新等に係る取り組みにおいて、長期保有目的での設備投資等による中長期的視点で中小企業の成長のための支援を行うため、グループ企業による申請を「グループ申請」として導入する。承継者である親会社1者に対して、最大4者の被承継者(子会社)との共同申請を補助対象とする。

3)補助対象経費の概要

 経費名概要
事業費店舗等借入費国内の店舗・事務所・駐車場の賃借料・共益費・仲介手数料。
設備費国内の店舗・事務所の工事、国内で使用する機械器具等調達費用。品目1件に対し20万円以上(税抜き)の設備のみが申請可能。
原材料費試供品・サンプル品の製作に係る経費(原材料費)
産業財産権等関連経費補助対象事業実施における特許権等取得に要する弁理士費用。
謝金補助対象事業実施のために謝金として依頼した専門家等に支払う経費。
旅費販路開拓等を目的とした国内外出張に係る交通費、宿泊費。
マーケティング調査費自社で行うマーケティング調査に係る費用。
広報費自社で行う広報に係る費用。
会場借料費販路開拓や広報活動に係る説明会等での一時的な会場借料費。
外注費業務の一部を第三者に外注(請負)するために支払われる経費。
委託費業務の一部を第三者に委託(委任)するために支払われる経費。
廃業費廃業支援費廃業に関する登記申請手続きに伴う司法書士等に支払う作成経費。
在庫廃棄費既存の事業商品在庫を専門業者に依頼して処分した際の経費。
解体費既存事業の廃止に伴う建物・設備等の解体費。
原状回復費借りていた設備等を返却する際に義務となっていた原状回復費用。
リースの解約費リースの解約に伴う解約金・違約金。
移転・移設費用(Ⅰ型、およびⅢ型のみ)効率化のため設備等を移転・移設するために支払われる経費。
引用:事業承継・引継ぎ補助金説明資料(9次公募)

4)本補助金の対象外となる事業承継の事例

以下に該当する事業承継、M&Aが実施された場合は原則補助対象外とみなされますので注意が必要です。

  • グループ内の事業再編
  • 物品・不動産等のみを保有する事業の承継
  • M&A(Ⅲ型)での申請にも関わらず、親族内承継である場合
  • フランチャイズ契約、または実質的にはフランチャイズ契約であるとみなされる場合
  • 従業員等へののれん分け、または実質的にのれん分けとみなされる場合
  • 事業譲渡における譲渡価格が0円(無償)である取引や、株式譲渡における株価1円での買収である取引のうち、取引価格の合理性が確認できない場合
  • 事業譲渡において、有機的一体な経営資源の引継ぎが行われていない場合(下例)
(有形資産のみの事業譲渡と判断される例)・飲食事業等における店舗や調理設備等のみの引継ぎ・整体やエステ等事業における施術台、施術用機器のみの引継ぎ・運送事業等における車両のみの引継ぎ・情報通信業等における、スマートフォン、PC、複合機等のみの引継ぎなど
(無形資産のみの事業譲渡と判断される例)・従業員のみの引継ぎ・製作事例やノウハウのみの引継ぎ・顧客リストのみの引継ぎ・店舗の賃貸借契約のみの引継ぎなど
引用:事業承継・引継ぎ補助金説明資料(9次公募)
  • 株式譲渡において、譲渡後に承継者が保有する被承継者(対象会社)の議決権が過半数に満たない場合
  • 休眠会社や、事業の実態がない状態の会社における代表者交代、M&A等
  •  設立間もない法人における代表者交代、または開業直後の事業主からの事業譲渡等において、その正当性が確認できない場合
  • 合同会社の社員間における代表社員交代において、事業を承継するための経営者交代とみなされない場合
  • 上記各事例の他、事業承継・M&Aが行われたことを客観的に確認できない場合

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事業承継・引継ぎ補助金の専門家活用枠とは

専門家活用枠の概要

地域需要や雇用維持、地域の新たな需要の創造、および雇用の創造を図り、我が国の経済を活性化させる事業再編・事業統合に伴う経営資源の引継ぎを行う取り組みの経費を補助します。補助事業期間内に、事業再編・事業統合(事業譲渡、株式譲渡等)を行うことが必要です。

補助事業期間内に契約、および支払った、事業再編・事業統合を行う際のM&A 専門家の費用等が補助対象経費の対象となります。なお、補助事業期間に経営資源引継ぎが実現しなかった場合は、補助上限額が変更されるため注意が必要です。

経営革新枠、および廃業・再チャレンジ枠との重複申請が可能です。なお、廃業・再チャレンジ枠と重複申請する場合は本事業への上乗せ扱いになるため、廃業・再チャレンジ枠への別途申請は不要です。

原則として、補助事業期間のM&A、およびM&Aを伴う廃業が対象となります。 

類型補助率補助下限額補助上限額
買い手支援類型(Ⅰ型)補助対象経費の2/3以内、または1/2以内50万円600万円以内上乗せ額(廃業費) +150万円以内
売り手支援類型(Ⅱ型)
引用:事業承継・引継ぎ補助金説明資料(9次公募)

※売り手支援類型において以下のいずれかを満たす補助対象者は、補助率を1/2以内から2/3以内まで引き上げることが可能となります。なお、廃業費を上乗せする場合の補助率についても、下記のいずれかを満たす場合は2/3以内、満たさない場合は1/2以内となります。

・物価高の影響等により、営業利益率が低下している者
・直近決算期の営業利益または経常利益が赤字の者
・再生事業者等

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申請類型の概要

  • 買い手支援類型(Ⅰ型)

事業再編・事業統合に伴い経営資源を譲り受ける予定の中小企業等であり、以下の全ての要件を満たすこと。

①事業再編・事業統合に伴い経営資源を譲り受けた後に、シナジーを活かした経営革新等を行うことが見込まれること。

②事業再編・事業統合に伴い経営資源を譲り受けた後に、地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業等を行うことが見込まれること。

  • 売り手支援類型(Ⅱ型)

事業再編・事業統合に伴い自社が有する経営資源を譲り渡す予定の中小企業等であり、以下の要件を満たすこと。

①地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業等を行っており、事業再編・事業統合に伴い、これらが第三者により継続されることが見込まれること。

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補助対象経費の概要

 経費名概要
事業費謝金補助対象事業実施のために謝金として依頼した専門家等に支払う経費。
旅費販路開拓等を目的とした国内外出張に係る交通費、宿泊費。
外注費業務の一部を第三者に外注(請負)するために支払われる経費。
委託費業務の一部を第三者に委託(委任)するために支払われる経費。委託費のうち、FA業務、または仲介業務に係る、相談料、着手金、中間報酬、および成功報酬等の中小M&Aの手続進行に関する総合的な支援に関する経費等に関しては、「M&A支援機関登録制度」に登録された登録FA・仲介業者が支援したものに限り補助対象経費となる。
システム利用料M&Aマッチングサイト等プラットフォーマーが提供するサイトを利用した際の登録料、利用料、成約手数料はシステム手数料に区分する。ただし、プラットフォーマーが付加的に提供するFA、または仲介業務に関するサービスについては、委託費に区分して整理する。なお、その際の委託費については、「M&A支援機関登録制度」に登録された登録FA・仲介業者が支援したものに限り補助対象経費となる。
保険料保険料は、M&A当事者間で交わされる最終合意契約に規定される表明保証条項に関して、事後的に当該表明保証条項違反が判明することに起因して発生する損害等を補償目的とする保険契約等に係る保険料に関するものが対象となる。買い手支援類型では、買い手手配の表明保証保険に係る保険料が対象。売り手支援類型では、売り手手配の表明保証保険に係る保険料が対象。ただし、同一成約事案に対して買い手、および売り手が重複加入とならないようにすることが必要。また、実績報告時に、表明保証保険に関する報告(表明保証保険利用の理由、買い手手配、または売り手手配となった理由、デューデリジェンス(相当する評価を含む)の実施に関する事項等)を求める。
廃業費廃業支援費廃業に関する登記申請手続きに伴う司法書士等に支払う作成経費。
在庫廃棄費既存の事業商品在庫を専門業者に依頼して処分した際の経費(商品在庫等を売却して対価を得る場合の処分費は、補助対象経費とならないため注意すること)。
解体費既存事業の廃止に伴う建物・設備等の解体費。
原状回復費借りていた設備等を返却する際に義務となっていた原状回復費用。
リースの解約費リースの解約に伴う解約金・違約金。
移転・移設費用効率化のため設備等を移転・移設するために支払われる経費。
引用:事業承継・引継ぎ補助金説明資料(9次公募)

注)廃業費は廃業・再チャレンジ申請と併用申請した場合のみ補助対象経費となるため注意が必要。

補助対象経費(委託費)の概要

経費名支払相手(例)概要
着手金FA・仲介FA・仲介とのアドバイザリー契約に基づき支払う着手金。情報提供に係る費用(情報提供料)。
マーケティング費用FA・仲介承継候補先、被承継候補先の選定、およびアプローチに係る費用。
リテーナー費用FA・仲介FA・仲介とのアドバイザリー契約に基づき支払う月額報酬。
基本合意時報酬FA・仲介FA・仲介とのアドバイザリー契約に基づき支払う基本合意時報酬。
成功報酬FA・仲介FA・仲介とのアドバイザリー契約に基づき支払う成功報酬。
価値算定費用FA・仲介・各専門家企業価値・事業価値・株式価値等の価値算定に係る費用。
デューデリジェンス費用(プレPMI費用を含む)各専門家デューデリジェンス実施に係る費用環境調査・信用調査等に係る費用。プレPMIに係る費用(※クロージング前に実施したものに限る)
契約書等の作成・レビュー弁護士最終契約書等の作成・レビューを弁護士に委任した場合に生じる費用。
クロージングに向けた手続き費用弁護士クロージング手続き等に関する弁護士への依頼費用。
クロージングに向けたアドバイス費用コンサルティング会社等カーブアウト財務諸表の作成等の専門家への依頼費用。
不動産鑑定評価書取得費用不動産鑑定士不動産の時価評価に係る費用。
不動産売買の登記費用司法書士最終契約書に基づき不動産売買する際の登記に係る事務費用。
定款変更等の登記費用司法書士最終契約書に基づき定款変更等をする際の登記に係る事務費用。
根抵当権等の登記変更費用司法書士最終契約書に基づき根抵当権を解除する際の登記に係る事務費用。
許認可等申請費用行政書士最終契約書に基づき取得するべき許認可等の取得に係る費用。
社会保険労務士への費用社会労務士最終契約に基づき労務関連手続きをする際に係る費用。
セカンドオピニオンの費用M&A支援機関選任専門家以外のM&A支援機関から意見を求めるセカンドオピニオン費用。
引用:事業承継・引継ぎ補助金説明資料(9次公募)

4)本補助金で交付申請不可となる事例

・事業再編・事業統合の後に承継者が保有する対象会社、または被承継者の議決権が過半数にならない場合
・事業再編・事業統合の前に承継者が保有する対象会社、または被承継者の議決権が過半数の場合
・被承継者、または被承継者の株主と承継者との関係が同族関係者である場合
・被承継者、または対象会社と承継者との関係が支配関係のある法人である場合
・経営資源引継ぎの形態として事業譲渡を選択しているにもかかわらず、実態として不動産の売買のみにとどまり、事業譲渡を伴わない場合

 なお、単なる不動産売買に該当する場合は、経営資源引継ぎの対象外となるため注意が必要です。

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事業承継・引継ぎ補助金の廃業・再チャレンジ枠とは

概要

中小企業者等が、事業承継やM&A に伴う廃業、経営者の交代、または M&A 等を契機として承継者が行う経営革新等に伴う廃業(併用申請)、中小企業者等(またはその株主)もしくは個人事業主が新たなチャレンジをするために行う、既存事業の廃業(再チャレンジ申請)を補助対象事業とします。

経営革新枠または専門家活用枠 とあわせて申請を行う併用申請と、廃業・再チャレンジ枠単独で申請を行う再チャレンジ申請に分かれます。

類型補助率補助下限額補助上限額
廃業・再チャレンジ補助対象経費の2/3以内、50万円150万円以内
引用:事業承継・引継ぎ補助金説明資料(9次公募)

申請類型の概要

  • 廃業・再チャレンジ

廃業の対象は以下のパターンがあり、再チャレンジ申請の場合は①のみ、経営革新枠、および専門家活用枠との併用申請の場合は①②が申請の対象となる。

①会社自体を廃業するために、補助事業期間内に廃業登記を行う、在庫を処分する、建物や設備を解体する、原状回復を行う事業

②事業の一部を廃業(事業撤退)するために、補助事業期間内に廃業登記を行う、在庫を処分する、建物や設備を解体する、原状回復を行う事業

対象となる廃業・再チャレンジについて

廃業・再チャレンジ枠は廃業・再チャレンジを行う中小企業者に対する支援であり、以下の行動を伴う廃業を対象とします。

①事業承継またはM&Aで事業を譲り受けた後の廃業

事業承継(事業再生を伴うものを含む)によって事業を譲り受けた中小企業者等が、新たな取り組みを実施するにあたって既存の事業あるいは譲り受けた事業の一部を廃業する場合

※経営革新枠と併用にて申請する場合は経営革新枠の事業として申請すること(廃業・再チャレンジ枠での申請は不要)

②M&Aで事業を譲り受けた際の廃業

M&Aによって事業を譲り受ける中小企業者等(他者の経営資源を引き継いで創業した者も対象)が、事業を譲り受けるにあたって既存の事業あるいは譲り受けた事業の一部を廃業する場合

※専門家活用枠と併用にて申請する場合は専門家活用枠の事業として申請すること(廃業・再チャレンジ枠での申請は不要)

③M&Aで事業を譲り渡した際の廃業

M&Aによって事業を譲り渡す中小企業者等が、M&A後も手元に残った事業を廃業する場合

※専門家活用枠と併用にて申請する場合は専門家活用枠の事業として申請すること(廃業・再チャレンジ枠での申請は不要)

④M&Aで事業を譲り渡せなかった廃業・再チャレンジ

M&Aによって事業を譲り渡せなかった中小企業者等の株主、または個人事業主が、地域の新たな需要の創造または雇用の創出にも資する新たなチャレンジをするために既存事業を廃業する場合

補助対象経費(廃業費)の概要

経費名概要
廃業支援費事業の廃業に関する登記申請手続きに伴う司法書士・行政書士に支払う申請資料作成経費。解散事業年度・精算事業年度・残余財産確定事業年度(いずれも法人の場合)における会計処理や税務申告に係る専門家費用、精算業務に関与する従業員の人件費。
在庫廃棄費(自己所有物)事業所や既存事業の廃止・集約を伴う場合に、既存の事業所や事業における商品在庫について、専門業者等を利用して処分するために支払われる経費。
解体費(自己所有物)事業所や既存事業の廃止・集約を伴う場合に、既存の事業所や事業において所有していた建物・設備機器等を解体する際に支払われる経費。
現状回復費(借用物)事業所や既存事業の廃止・集約を伴う場合に、既存の事業所や事業において借りていた土地や建物、設備機器等を返却する際に、修理して原状回復する為に支払われる経費。
リース解約費リース解約に伴う解約金・違約金。 
移転・移設費用効率化のための設備等を移転・移設するために支払われる経費。
引用:事業承継・引継ぎ補助金説明資料(9次公募)

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事業承継・引継ぎ補助金のまとめ

事業承継・引継ぎ補助金について解説しました。

中小企業経営者の高齢化が進む中、後継者不足が課題となっています。中小企業は日本企業全体の約70%の雇用を占めており、後継者不在により中小企業の廃業が増え続けると、雇用環境にも悪影響を及ぼします。自社の実情を踏まえて事業承継やM&Aに取り組む中小企業を支援するための施策が事業承継・引継ぎ補助金です。事業を未来につなげるためにも本補助金を有効に活用して、事業承継に取り組んでいくことをお勧めします。

なお、第9次公募までは、経営革新枠、専門家活用枠、廃業・再チャレンジ枠の3つの申請類型がありましたが、第10次公募では臨時的に増設された公募回のため、専門家活用枠のみとなっています。必ず、最新の公募要領を参照するようにしてください。

当社3Rマネジメントでは、補助金の申請支援に注力しており、豊富なサポート実績や高い採択率を誇っております。
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執筆者

2021年中小企業診断士登録。
大手製造機器メーカーにて、流通小売業向けPOSシステム、および決済システムの開発に従事。本業と中小企業診断士の二刀流で、商工会議所の経営相談員や補助金申請支援などの活動を実施中。

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