財務コンサルタントと経営コンサルタントの違いは?領域、業務内容や求められる能力の違いは?

猪俣 友樹
中小企業診断士/
E資格
中小企業診断士/JDLA Deep Learning for Engineer(E資格)
ノンバンクでAI、データ分析を活用したマーケティング、リスク管理業務に従事。
データを駆使した課題解決や与信モデルの構築・運用を経験。
財務コンサルタントとは?具体的な業務内容は?
財務コンサルタントは、企業の財務面のアドバイスをする専門家です。主な業務には、財務戦略の立案、資金調達支援、M&A支援、事業再生支援などがあります。また、財務コンサルタントは、企業の成長段階に応じた支援も行います。具体的には以下のような支援があります。
成長段階に応じた財務コンサルタントの支援
- スタートアップ期
- 資金調達戦略の立案や初期投資の最適化が重要です。この段階では、企業が市場に参入し、成長の基盤を築くために必要な資金を効率的に調達することが求められます。
- 成長期
- キャッシュフロー管理や運転資金の効率的な調達が求められます。企業が成長するにつれて、資金の流れを適切に管理し、運転資金を効率的に調達することが重要になります。
- 成熟期
- コスト構造の見直しと効率化が必要です。この段階では、企業が既存のビジネスモデルを最適化し、コスト削減や効率化を通じて収益性を向上させることが求められます。
- 衰退期
- 事業再構築のための財務戦略立案や不採算事業の整理が重要です。企業が衰退に陥った場合、財務コンサルタントは再建策を提案し、不採算事業を整理することで企業の再生を支援します。
- 廃業時
- 債務整理計画の策定、清算手続きのサポート、税務対策の助言が必要です。この段階では、企業が円滑に清算されるための財務計画を立てることが求められます。
財務コンサルタントになるためには?必要なスキルは?
財務コンサルタントになるためには、財務・会計に関する深い専門知識が不可欠です。財務諸表分析、管理会計、財務モデリング、企業価値評価などの知識が求められます。また、経済・金融に関する知識も重要であり、金融商品に関する理解が必要です。さらに、企業財務に関連する法律や税務の基本的な理解も求められます。
財務コンサルタントに必要なスキルとしては、高度な分析力が求められます。データから重要な情報を抽出し、財務モデルを構築してシミュレーションを行う能力等が必要です。また、クライアントの抱える財務課題の本質を見抜き、実行可能な解決策を立案する問題解決能力も重要です。財務情報を分かりやすく説明し、経営者との信頼関係を構築するコミュニケーション能力も欠かせません。
資格としては、中小企業診断士、公認会計士や税理士、ファイナンシャルプランナー(FP)などが有効です。
参考:財務コンサルタントに必要な資格一覧 | 財務分析の資格や講座、財務コンサルティングの勉強法を解説!
経営コンサルタントとは?具体的な業務内容は?
経営コンサルタントは、企業全体の戦略立案と実行支援を行います。企業経営全般に関する課題解決や戦略立案をサポートする専門家です。主な業務内容には、経営戦略の立案、組織改革、業務プロセス改善、マーケティング戦略、デジタル戦略、人事戦略、事業ポートフォリオ最適化、新規事業開発などがあります。
企業の成長戦略としてM&Aや、新規事業開発など、企業の成長に関わる重要な課題に対して総合的な観点から、解決策を提案します。
経営コンサルタントになるためには?必要な知識やスキル、資格は?
経営コンサルタントには、幅広い知識とスキルが求められます。まず、経営戦略、財務・会計、マーケティング、人事・労務などの専門知識が不可欠です。また、業界特性と動向、ビジネスモデル、IT・デジタル技術の動向にも精通している必要があります。
スキル面では、論理的思考力や問題解決能力が重要です。問題発見・課題設定能力、創造的な解決策立案力、プレゼンテーション能力が求められます。企業に関係するステークホルダーとの信頼関係を構築するためのコミュニケーション能力も欠かせません。
資格に関しては、経営コンサルタントになるために特定の資格が必須というわけではありませんが、専門性と信頼性を高めるのに役立つものがあります。例えば、中小企業診断士やMBA(経営学修士)は、経営全般に関する知識を証明するものとして評価されます。また、公認会計士や税理士、社会保険労務士などの資格も、特定分野での専門性を示すものとして有利に働く可能性があります。
財務コンサルタントと経営コンサルタント、それぞれに向いている人は?
財務コンサルタントに向いている人は、企業の財務状況を総合的に分析できる人です。貸借対照表や損益計算書を詳細に検討し、数字の背後にある経営の強みや課題を読み解く洞察力が必要です。
数字の変化に敏感で、その意味を理解できる分析力を持ち、財務・会計に関する法律改正にも関心を持ち続けられる人が適しています。また、複雑な財務情報をわかりやすく説明し、経営者に具体的な改善策の提案ができるコミュニケーション能力も重要です。
経営コンサルタントに向いている人は、企業の成長の方向性を多角的に考えられる人です。業界動向や競合分析から、企業に適した戦略を提案できる柔軟な思考力を持ち、市場戦略、組織体制、新規事業の可能性を幅広く検討し、企業の将来像を描ける人材が求められます。
まとめ
財務コンサルタントは、企業の財務状況を総合的に分析します。貸借対照表や損益計算書を詳細に検討し、現在の財務状態を把握するとともに、将来の財務戦略についても提案を行います。収益性、安全性、効率性などを評価し、企業の財務面をサポートします。
経営コンサルタントは、企業の成長の方向性を考え、企業全体の戦略立案と実行支援を行います。市場戦略、組織体制、新規事業の可能性について幅広く検討し、企業が今後どのように事業を展開すべきかを提案します。業界のトレンドや競合他社の動向を踏まえ、企業の可能性を探ります。
いずれも、両者は異なるアプローチを持ちながらも、企業の成長と安定に貢献する専門家として重要な役割を果たしていると言えます。
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