【製造業向け】ものづくり補助金採択事例|生産性向上と労働環境改善の成功事例ものづくり補助金採択事例 製造業

執筆者
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金親 正和
中小企業診断士

中小企業診断士 / 宅地建物取引士 / 不動産コンサルティングマスター
賃貸不動産経営管理士 / 管理業務主任者 / 防災士

大学卒業後、総合不動産会社にて不動産の企画・開発、賃貸物件のリーシング・管理(5,000室)、売却(半年間で46物件)と入口から出口までの業務に従事。
現在は、「補助金を通じて、中小企業経営者の皆様を支えたい」という思いから、各種補助金の申請支援に注力している。

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今回の記事は、製造業を営む企業がものづくり補助金で採択された事例を紹介します。

採択事例の会社
業 種:フローリング製造業
従業員:40名
課 題:生産性向上、労働環境改善、品質向上
投資額:4,500万円

【未来への挑戦 ~フローリング事業の革新~】

目次

序章:変革の決意

とある地方都市に拠点を構える中小企業、「3R木材加工株式会社」は、創業以来、地元の木材産業を支えてきた。しかし、近年の市場競争の激化と人手不足の問題に直面し、経営課題の解決が急務となっていた。

特にフローリング事業においては、主要取引先である「ものづくり建設株式会社」との受注単価の交渉が難航し、収益性の向上が求められていた。経営陣は、単なる価格交渉ではなく、品質向上と生産効率の改善によって競争力を高めることが不可欠であると判断し、大規模な設備投資に踏み切ることを決意した。

第一章:現場の課題

現在、板の貼り合わせ工程は2ライン体制で運用されている。

1ラインあたり2名の作業員が8時間体制で従事し、標準的なタクト時間は1枚当たり約20秒である。しかし、作業員の休暇や予期せぬ欠勤時には3名体制での運用を余儀なくされ、1ラインあたり25秒の手待ち時間が発生する。

結果として、1ロットあたり30分の無駄な時間が生じ、年間約3百万円の人件費ロスを発生させている。

また、品質面においても課題があった。

貼り合わせミスによる不良品は1日7枚程度発生し、年間約200万円の売上損失を生じていた。特に、新規従事者が作業を担当すると、熟練職人の5倍の時間を要する上、貼合ズレが頻発するという問題も浮上していた。

さらに、作業環境にも改善の余地があった。

重い板を片手で持ち、腰をかがめながら作業することは、作業者に大きな負担を強いていた。疲労や痛みによる長期離脱者も増えており、労働環境の改善が急務であった。

第二章:自動化設備導入の決断

「このままではいけない。」

経営陣は、これらの課題を解決し、持続可能な事業運営を実現するために、自動化設備の導入を決定した。

今回導入するのは、板の自動貼合機だ。

この機械は、精密な位置合わせと均一な圧着を実現し、作業者の介入を最小限に抑えることで、生産性を飛躍的に向上させる。

導入後は、1ラインあたりの作業員数を2名から1名に削減できる見込みであり、人件費ロスの削減が可能となる。

また、自動化により貼り合わせミスも大幅に低減し、品質安定化が期待される。

労働環境の改善にも大きな影響をもたらす。

作業者の身体的負担が軽減されることで、長期的に健康的な職場環境を維持し、人材確保にも寄与する。さらに、厚生労働省が推進する「働き方改革」にも適合し、企業としての社会的責任を果たすことにもつながる。

第三章:設備導入と変革の波

設備導入が決定し、現場では従業員たちが期待と不安を抱えていた。

長年の手作業から自動化へと移行することに対し、熟練職人の中には「機械に頼ることで、自分たちの技術が不要になるのではないか」と懸念する者もいた。

しかし、導入後の研修を通じて、作業者たちは自動化のメリットを実感するようになった。単純作業が減ることで、より高度な品質管理や機械のメンテナンスに集中できる環境が整った。

また、新人作業員の育成もスムーズになり、職人の技術が生かされる場面が増えていった。

導入から半年後、驚くべき成果が現れた。生産性は20%向上し、不良品発生率は80%低減した。さらに、従業員の疲労度も軽減され、離職率の低下が見られるようになった。

終章:未来への展望

「自動化によって、会社は新たなステージへと進んだ。」

経営陣は、今回の取り組みを成功事例とし、今後も積極的な設備投資を行う方針を固めた。新たな技術の導入と人材育成を両輪として、持続可能な成長を目指すことが求められる。

また、地元企業との連携を深め、外注ネットワークを拡充することで、地域経済の活性化にも貢献していく考えだ。「ものづくり建設業株式会社」との交渉においても、品質と生産性の向上を武器に、有利な取引条件を獲得することが可能となった。

「変化を恐れず、未来を切り拓く。」

そう語る社長の目には、さらなる挑戦への意志が宿っていた。

「3R木材加工株式会社」は、新たな一歩を踏み出し、業界の未来を切り開いていく。

ものづくり補助金活用の成果 〜社長の思い〜

私は、経営者としてものづくり補助金を活用できたことを心から感謝しています。当社のような中小企業にとって、大規模な設備投資は非常に大きな決断です。しかし、補助金の支援を受けることで、リスクを軽減しながら成長戦略を進めることができました。

この補助金を活用したことで、最も大きな成果は「未来への投資」が実現できたことです。生産性の向上だけでなく、従業員の負担軽減、職場環境の改善、そして企業全体の競争力強化につながりました。また、経営者としても「次の成長に向けて挑戦する勇気」を得ることができました。

自動化設備を導入し、実際に稼働し始めたとき、現場の声が大きく変わりました。「作業が楽になった」「効率が上がった」といった前向きな意見が多くなり、職人たちも機械を活用しながらより高度な作業に取り組むようになりました。

この経験を通じて、企業の成長には「挑戦と変革」が欠かせないことを再認識しました。そして、その挑戦を後押ししてくれる補助金制度の存在が、中小企業の未来を明るくする大きな力になると実感しました。

今後も、この設備を最大限に活用し、より良い製品を作り続けることで、地域社会や取引先企業に貢献していきたいと考えています。

第19次ものづくり補助金 ~募集中~

2025年3月1日現在、第19次ものづくり補助金が公募されています。申請期間は2025年4月11日(金)から開始され、4月25日(金)までとなっています。

第19次ものづくり補助金では、今までと異なるルールとなっていますので、注意が必要です。

特に「革新的な新製品・新サービスを開発すること」、「海外需要開拓を行うこと」、「経済活性化を実現すること」が目的に加わりました。

その他詳細は、以下リンクを確認してみてください。

【2025年2最新版】第19次ものづくり補助金の主な変更点と申請ポイントを徹底解説 | ビジネス処方箋

まとめ

今回は、私がサポートした会社の採択事例と社長のコメントを紹介しました。

社長のコメントにありましたが、「次の成長に向けて挑戦する勇気」を得たということがとてもうれしく思います。

【行動なくして成長なし】だと思いますので、ものづくり補助金の申請を通じて、事業計画書を策定し、その計画に基づいて行動することで企業の成長につながります。

ものづくり補助金やその他の補助金は採択される確率が低くなってきています。

社長コメントにもあったとおり、確かに、補助金の採択により、設備投資額の負担が軽減

されることはメリットのひとつですが、それ以上に現状を把握して、問題点と解決策を明らかにした事業計画書を策定し、行動することが肝要であると思います。

よって、補助金申請・採択ありきではなくても良いのかもしれません。

ものづくり補助金の申請は、事業計画をどのように立てるかが合否を大きく左右します。

補助金を活用して企業をさらに成長させるには、変更点をしっかりと把握し、計画策定から申請書類の作成までスムーズに進めることが大切です。

第19次ものづくり補助金では、申請枠の統廃合や補助上限額の引き下げだけでなく、給与支給総額要件や仕事・子育て両立要件などの追加・変更もあるため、早めの準備が欠かせません。 「ビジネス処方箋」では、ものづくり補助金の申請支援実績が豊富な中小企業診断士・金親が無料相談を受け付けています。疑問点や不安な点がある場合は、お気軽にお問い合わせください。最適な申請計画を一緒に考えていきましょう。

\認定支援機関!補助金のプロの中小企業診断士がサポート/

執筆者

1978年 千葉県生まれ

中小企業診断士
宅地建物取引士 不動産コンサルティングマスター
賃貸不動産経営管理士 管理業務主任者 防災士

大学卒業後、総合不動産会社にて不動産の企画・開発、
賃貸物件のリーシング・管理(5,000室)、売却(半年間で46物件)
と入口から出口までの業務に従事。

現在は、補助金を通じて、中小企業経営者の皆様を支えたい
という思いから、各種補助金の申請支援に注力している。

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