人事評価の評価者が知っておくべきこと| Part2 目標設定編

【執筆者】
社会保険労務士 / 中小企業診断士 鳥飼 祐介
経営人事総合事務所クリエイションハイブ 代表


大学卒業後、事業会社の人事部業務全般に従事し、総合コンサルファームに転職後は人事労務を専門にコンサルティング業務を行う。
主に、株式上場(IPO)を目指す企業の労務管理体制構築や、人事制度構築の支援実績を積む。
2021年8月独立後の現在、専門性の高いノウハウを活かし、プライム上場企業から中小零細企業まで、様々なお客様を相手に顧問活動を行う。企業の人材確保が難しい中、現場に入り込んだハンズオン(半常駐)型の改善支援を積極的に展開している。

本シリーズは三部制で、上記の動画は「Part.2」です。

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目次

はじめに

「人事評価の評価者が知っておくべきこと」と題して、第2回は目標設定編について解説します。

目標とは

そもそも「目標」とは何かを説明します。今期という視点から見ると、「目標」とは、今期終了時に期待される成果であって、達成すべき到達点を示したものになります。

将来的に、あるいは本質的に目指す成果、これを「目的」といいますが、そこから見ると、今期到達すべき途中経過というのが人事評価プロセスにおける「目標」になります。

「目標」と「目的」を図に表しました。縦軸が達成水準、横軸が時間軸としています。左下に「現状」がありますが、そこから右肩上がりに日々の取り組みをすることによって、今期の成果を「目標」として設定します。その延長上には、将来的あるいは本質的に目指すべき成果である「目的」があります。

「目標」を設定することによって、現状から日々の取り組みの道筋を示して、そして成り行きでは達成できない今期の成果を目指すという考え方になります。

「目標」と「目的」を図に表しました。縦軸が達成水準、横軸が時間軸としています。左下に「現状」がありますが、そこから右肩上がりに日々の取り組みをすることによって、今期の成果を「目標」として設定します。その延長上には、将来的あるいは本質的に目指すべき成果である「目的」があります。

目標の3+1要素

目標の3要素は、「何を」、「どのレベルまで」、「いつまでに」ですが、目標達成のための具体的な取り組み「どのような方法で」も加えて、具体化するのが目標設定のポイントになります。

 目標の3+1要素を図に表しました。何を(=目標項目)、どのレベル(=達成状態)まで持っていきたいのか、そして、いつまでに(=達成時期)実施して、どのような方法(=取り組み施策)で目標に達したいのか、という考え方になります。

目標の3+1要素を図に表しました。何を(=目標項目)、どのレベル(=達成状態)まで持っていきたいのか、そして、いつまでに(=達成時期)実施して、どのような方法(=取り組み施策)で目標に達したいのか、という考え方になります。

目標の優先度(重要性と緊急性)

重要性、緊急性がともに高い目標を「理想的目標」といいます。緊急性は高くないものの将来的な重要性が高いと想定される目標を「布石的目標」といいます。

目標を設定する際の優先順位としては、「理想的目標」が一番ですが、「布石的目標」に関しても可能な限り設定しておくことが望ましいです。

重要性が低くて緊急性も低いもの、あるいは緊急性は高いが重要性は低いものについては、日常的な課題として対処するべきといえます。

重要性、緊急性がともに高い目標を「理想的目標」といいます。緊急性は高くないものの将来的な重要性が高いと想定される目標を「布石的目標」といいます。

目標設定の4つの視点(バランス・スコアカード)

目標設定にあたっては、バランス・スコアカードの4つの視点である、「財務・定量の視点」、「業務プロセスの視点」、「顧客対応」、「学習と成長」を参考にして、短期目標のみに偏らないように考慮することが重要になります。

目標設定にあたっては、バランス・スコアカードの4つの視点である、「財務・定量の視点」、「業務プロセスの視点」、「顧客対応」、「学習と成長」を参考にして、短期目標のみに偏らないように考慮することが重要になります。

目標設定のイメージ

目標の3要素+1要素を意識した目標設定のイメージは以下の表の通りです。

例えば、目標項目については、評価の指標「何を」+達成基準「どこまで」という考え方になります。財務・定量目標では、自分の担当製品の売上額に対する目標値を設定します。業務プロセス目標では、月あたりの業務所要時間の削減時間、あるいはコスト削減額に対する目標値を設定します。

目標達成のためのアクションプランについて、財務・定量目標に関しては、今期中に実施する取引先企業への定期訪問回数を設定します。業務プロセス目標に関しては、部門内プロジェクトチームでの業務手順とコスト構造の洗い出しと削減実行策の策定の期日を設定します。

目標の3要素+1要素を意識した目標設定のイメージです。

上位組織目標のブレークダウン

1)目標の連鎖

目標を立てる本来の趣旨としては、会社全体の目標を組織的に個人の分担にまでブレークダウンすることによって、より効率的な目標達成を図ることにあります。こうした目標の連鎖は、組織の人員構成のバランスが良い場合に非常に適しているやり方になります。

目標の連鎖のイメージとしては、一番上に会社の大きな目標があり、1段階下の部門目標、さらに1段階下の課目標に落とし込みます。それを最終的に個人の目標に落とし込んで、具体的な個人目標を設定するという考え方になります。

目標の連鎖のイメージとしては、一番上に会社の大きな目標があり、1段階下の部門目標、さらに1段階下の課目標に落とし込みます。それを最終的に個人の目標に落とし込んで、具体的な個人目標を設定するという考え方になります。

2)目標の役割分担

上位組織目標に対して、自分の役割として担う事項、または組織目標の達成に向けて貢献すべき事項という視点を重視する方法もあります。

目標の役割分担のイメージですが、例えば「コストを前年度比3割削減する」、「時間あたり生産性を前年度比10 %向上させる」といった上位組織目標に対して部門目標を設定し、部門全体の役割ととらえて部門メンバーで分担する考え方です。

 部長の役割、課長の役割、一般社員の役割という形で、それぞれがどんな役割を担うべきか、同じ土俵で考えることになります。

目標の役割分担のイメージ。例えば「コストを前年度比3割削減する」、「時間あたり生産性を前年度比10 %向上させる」といった上位組織目標に対して部門目標を設定し、部門全体の役割ととらえて部門メンバーで分担する考え方です。

目標の表現方法

目標はできるだけ具体的に表現するのが原則です。具体的に表現しないと、目標の達成度合いがどの程度なのか、測定や判断ができないためです。

目標の達成度が測れないと、本人の達成感が得られない、進捗管理ができず対策が打てない、目標設定時に具体的な施策や計画の有効性が判断できないという弊害が生じます。

また、目標には、「量の増減・維持」と、「質の向上・維持」という2種類の基準があります。

1)量の増減・維持

定量的に、目指す成果や取るべき方策を表現することがポイントになります。

例えば、「経費を前年よりも3割削減する」ことを目指す成果とした場合は、経費項目に関する現状の発生件数を何件にまで削減するか具体的に設定します。

また、取るべき方策についても、対策を週1回実施する、マニュアルの作成と配布を期日までに完了させる、といった具体的な方策を設定します。

いずれも本質的な目的に沿った指標か、測定可能な数値かといった点について注意する必要があります。

2)質の向上・維持

これは定性的に、かつ具体的に表現することがポイントになります。

まず、期末にどのような状態にするのかを具体的に表現することが重要です。現状との比較や複数の状態を示すと、よりわかりやすくなるかと思います。

 それから、成果物やアウトプットを明示することも重要です。定性目標であっても曖昧に表現せず、達成の可否が測定できるように、できるだけ具体的に表現することがポイントになります。

質の向上・維持は定性的に、かつ具体的に表現することがポイントになります。

目標設定面談

目標設定にあたっては、最初の基礎の段階で評価者と被評価者(部下)が面談するというのが一般的なやり方です。この面談の目的としては大きく分けて2つあります。

1つ目は、今期実施すべき目標を評価者と被評価者(部下)の間で共有することです。

2つ目は、目標達成に向けた評価者としての環境整備や、協力提供の体制を作ることです。

具体的な手順内容については、最初に被評価者(部下)本人により設定した目標を説明してもらいます。

次に、上位方針を被評価者(部下)本人が的確に理解できているか、被評価者(部下)への期待を反映した目標になっているかについて、評価者として判断する必要があります。

そして、取り組み方法に対する助言・支援を行い、目標達成のためのポイントや取り組む上での課題を明確にしておくことが重要です。

相談すべき事項やタイミング、評価者としてサポートすべきことを、この時点で被評価者(部下)にしっかりと伝えておくことで、評価者に相談しやすい環境を作ることができます。

目標の最終的な決定権限は評価者が持っており、目標に対する最終的な責任も評価者にありますので、ここで正しい目標が設定できなければ被評価者(部下)の育成にも影響します。

評価者として、被評価者(部下)の行動特性やスキルをしっかり把握した上で、個々の目標を設定してあげるということが重要となります。


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主に、株式上場(IPO)を目指す企業の労務管理体制構築や、人事制度構築の支援実績を積む。
2021年8月独立後の現在、専門性の高いノウハウを活かし、プライム上場企業から中小零細企業まで、様々なお客様を相手に顧問活動を行う。企業の人材確保が難しい中、現場に入り込んだハンズオン(半常駐)型の改善支援を積極的に展開している。

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