知っておくと得するChat-GPTに代表される生成系AIの特徴

【執筆者】
中小企業診断士 池谷 卓
技術士

約30年以上にわたり、素材メーカーに勤務し、国内外の生産設備・ライン
設計・保全や生産拠点運営、新事業開拓、経営企画、DX推進等を経験。2023年に中小企業診断士として登録。

毎日、毎日、Chat-GPTを含む、生成系AI(大規模言語モデルなどを含む)に関するニュースを聞かない日はありませんね。2022年に公開になって2か月余りで月間利用者数が1億人を超え、日本は世界でその利用者数が米国、インドについで3位と多くの方が利用しているそうです。

この内容を読んでいる多くの方々も、1度や2度はChat-GPTのプロンプトに質問を入力して、今までにない生成系AIのすごさに驚き、時代の変化を感じていらっしゃるのではないでしょうか?

今回は、Chat-GPTなどの大規模言語モデルに関して説明している書籍「大規模言語モデルは新たな知能か」著者 岡野原 大輔 |岩波書店(岩波科学ライブラリー)を読んでみて、AIの素人である私が感じたこと·考えたことをお話させていただきます。(技術的な正確さには欠けるところがあると思いますが、お許しください。)

尚、生成系AIで何ができるのか?どんな職業が置き換わるのかとか?どんなリスクがあるのか?などについては、すでに多くの書籍やWeb上でも情報があふれているので、そちらにお任せしたいと思います。

目次

生成系AIの「幻覚」とは?

本書では、生成系AI(大規模言語モデルを含む)とは、「主にテキスト指示で、テキスト、プログラム、絵、分子構造を生成するAI」と定義しています。具体的には、先述の通りにChat-GPTを思い浮かべればよいかと思います。

 また、本書によると、このシステムは人が当たり前としている、社会性やそこから生まれる価値観や正義感、身体的な能力から生まれる世界観を得ることができないことから、人になりえることはないとしています。私はこの部分を読んで、胸をなでおろしまし安心をすることができました。みなさんも安心できたのではないでしょうか?

すでにChat-GPTを利用した方なら、ドヤ顔でChat-GPTが嘘をつく経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?私も近所の刀削麺屋を知りたくて質問したら、Chat-GPTが全く別の町にある中華料理屋を評価と住所など詳細にそして、ていねいに紹介してくれました。

著者は、この現象を専門用語では「幻覚」と言う、存在もしない事実を創造してしまう現象であると言っています。

 皆さんは、学生時代に試験勉強をすることで知識得て、ルールや法則(例えば、英文法、簿記など)を覚えようと努力したと思います。そして、その努力の結果応用問題にも対応する力を身に着けることができたと思います。
 AIも学習して、学習したこと以外の応用問題のも対応できるようにするのですが、そのために新しい関係性や事実を導き出せる、創造する力も身についてしまうようです。私は、これを応用問題に対応できるようになればなるほど、創造力が増すとことに似ていると、アナロジー的な解釈をしました。

著者は、これに加えて、AIは記憶の仕組みが未発達のため、以前覚えていたことを忘れてしまうために、異なる記憶が混じることで、幻覚が起こるとしています。
 こちらについても、試験勉強をしている際、十分に記憶できてい時などに経験をすることと同じだと、理解することができます。

 しかし、この現象、人間でしたら創造性が豊かにする過程だと喜んでも良さそうですが、コンピューターの場合は間違いを許さないので、技術的に解決しなくてはならないようです。
ちなみにこの問題、AI学習の根幹に関係することらしく、解決には今しばらく時間がかかるようです。

生成系AIの「投資効率」とは?

筆者は、今年になって公開されたGPT-4の学習データ量、モデルササイズは、1兆トークン(日本語では1~2文字程度)、パラメーター数は数千億から数兆と推定されるとしています。これは、2020年に公開されたGPT-3の学習量で2倍以上、パラメーター数で10倍程度となっていると考えられます。
 あまりにもおおきな数字なので、私などは取り組んだら、必ず心が折れてしまいます。

2020年に、大規模言語モデルの研究において、学習するデータ、モデルサイズ(パラメーター数)、計算量を増やせば増やすほど、精度が良くなるという、従来の常識を覆すことが発見されました。
 これにより、モデルを大きくすると応用問題を解く能力が高まると判ってきましたが、それよりも重要なのは、この事実は投資対効果を事前に予測できるようになったことを示唆したことです。つまり、リスクを抑えた投資ができるという、ビジネス上で非常に大きなインパクトがあったのです。
 この事実があれば、心もおれないどころか、みんながうれしく取り組めそうです。

 現在のChat-GPTなど生成系AIの利用状況を見れば、インターネットが登場した時に比べてずっとアプリケーションより、ビジネス寄りの話が多く、マネタイズのリスクは低いと考えられます。そんな環境下での、リスクの低い確実な投資は投資家にとっては非常に魅力的に映っているからこそ、多くの投資家が開発を急いでいるのを理解することができますし、この勢いはアプリケーション側の広がりが担保できる状況であれば、この流れは強まる一方ではと思われます。

帰納的アプローチと演繹的アプローチ

 ビジネスなどの現場で課題解決のために物事を判断や推測する手法として、帰納法と演繹法があります。前者は、多くの事例からルールや法則などを見つけ出して判断·推測する方法(例えば、ここ10年間は4月に売り上げが多くなる、だから今年の4月の売り上げも多くなるだろうと推測する)で、後者は明らかになっている理論や法則から判断·推測する方法(今年は麺の売行きが良い、うどんは麺である、だから今年はうどんの売行は良いはずだと推測する)です。

  著書によると、従来のAIや機械学習は、ビックデータ(事象)と呼ばれる量や種類が多いデータを分析することで、ルールや法則を見つけ出して、目の前の事象を判断、推測する、いわゆる帰納法的なアプローチの代表のようなものとしています。私も同じ解釈に立って、図1にあるようなイメージをもって、人間は演繹的なアプローチ(①)を使って、それをAIの帰納的なアプローチ(➁)で補強、強化した仮説検証を行うことで、従来よりも有効的な課題解決を行うことができると考えていますし、AIをそのように利用するようにしています。

ビジネスなど現場における、演繹法や帰納法を用いた課題解決イメージ

     図1:ビジネスなど現場における、演繹法や帰納法を用いた課題解決イメージ

ところが、本書によると、大規模言語モデルは、人間がすでに築き上げた膨大な知識や経験を読みだして使うことができることから、演繹的なアプローチが可能になり、AI側でも演繹的と帰納的なアプローチで仮説を強化して、新しい仮説を見つけ出す可能性があるとしています。

この点を素人ながら考えると、大規模言語モデルは漸増的なイノベーションだけでなく、革新的なイノベーションを起こす強力な支援者、さらには創造者となる可能性がるかもしれないと、非常に期待が膨らみます。

まとめ

最初に申し上げたように、生成系AIに関するニュースを聞かない日はありませんし、すでに多くの方々がこの新しい知能に関心を持ち、触れ、驚き、利用したいと考え、しかし一方では恐れを感じ、それでも利用したいと思っています。


 生成系AIは、その投資効率を予測することができることから、優良な投資対象となりえていると考えられ、しばらくの間は開発競争が加速され、そのアプリケーションの開発も進むと思います。そして、その開発速度やアプリケーションの展開速度は、インターネットやスマートホンとは比べものにならないと思われます。

遅かれ早かれ、私も皆さんもこの新たな知能を、ビジネスやプライベートで活用することになると思います。その際に、少し本質を理解しながら、新たな知能の将来に期待してみてはいかがでしょうか?
例えば、先にお話しした生成系AIが嘘をつく「幻覚」を幼い子供が夢を語るのと同じと考えれば、それは創造性の始まりを意味するかもしれない等のような感じです。

これから、開発が進み「幻覚」も制御できるようになれば、それこそ制御された創造性を獲得する可能性がありますね。そうすると、どのような活用方法がとか、どんな社会になるのでしょうかね?そんなことを創造·期待してみても面白いですし、そのようにすることにより、この新たな知能の可能性を広げることができると思います。

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この記事を書いた人

中小企業診断士
技術士

約30年以上にわたり、素材メーカーに勤務し、国内外の生産設備・ライン
設計・保全や生産拠点運営、新事業開拓、経営企画、DX推進等を経験。2023年に、中小企業診断士として登録。

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