マインドマップ活用法 Part1 思考力を高めビジネスを加速する活用法

登壇者
中小企業診断士、1級販売士、マインドマップの学校登録講師 安田 裕美のプロフィール写真

安田 裕美
中小企業診断士

1級販売士、マインドマップの学校登録講師

営業3年、事務5年→中小企業診断士の資格取得後、独立。創業や経営革新、各種補助金の申請支援の他、主に「食」の業界でのコンサルティング活動を展開中。
会議や研修、売り場や製造現場での指導など、業務改善・拡大等の支援に取り組む中で、いかに現場の力を高めるかが重要であると考えるようになる。
営業研修、管理職研修、5S研修など、様々なシーンでマインドマップを活用。


本シリーズは二部制で、上記の動画は「Part.1」です。

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目次

はじめに

今回は、マインドマップとは何か、どのように活用するかについてお話します。

大手企業の営業研修や管理職研修でも、マインドマップが注目されています。特に営業研修では、お客様の本当の課題や、お客様が気づいていない課題をより深くヒアリングするニーズがあります。これに応えるために、マインドマップを活用した研修カリキュラムを組ませていただきました。

管理職研修においても、部下との関係性を高め、目標を共有し、意識を高めるためにマインドマップを活用しています。また、業務改善研修やマニュアル作成研修など、様々なシーンでマインドマップを活用しています。

インドマップとは何か?

まず、マインドマップとは一体何かについて説明いたします。

マインドマップは、思考を促進し、脳の働きを良くするための思考ツールであり、ノート術の一つです。イギリスの著述家・教育家であるトニー・ブザン氏によって発明されました。ブザン氏は、頭をより良く働かせるためにはどうすればよいかを研究し、その結果、脳の働きを最大限に活用するノート術としてマインドマップを考案したと言われています。

マインドマップは、別名「脳のスイスアーミーナイフ」とも呼ばれています。スイスアーミーナイフがナイフやハサミ、ピンセットなどの機能を一つのツールに集約しているように、マインドマップも様々な活用方法を持つとされています。

では、脳の働きを良くするノート術とは具体的にどのようなものでしょうか。マインドマップは、連想を促進し、思考を広げることができるツールとして機能します。脳は考える際に連想を用いており、そのプロセスを効率的に活用するためにマインドマップが役立ちます。

例えば、「夏」と言われたとき、皆様の頭の中には、海の風景や青空、入道雲、花火、かき氷など、さまざまなイメージが浮かぶことでしょう。このように、1つの言葉を受け取ることで、脳は連想を働かせます。この連想をいかに促進するかが非常に重要であり、その促進を実現するのがマインドマップのノート術です。

また、記憶や思い出しやすさもマインドマップの特長です。結論として、色や絵、マークなどを活用し、脳が記憶しやすいような形で情報を整理します。これにより、記憶の定着が促進されるのです。

さらに、マインドマップは全体を俯瞰し、思考を整理することができます。通常、マインドマップは1枚の紙に収まる形で構成されます。このため、全体を見渡しやすく、関連性や空白部分に気づきやすくなります。その結果、新しい発見や問題点の核心に気づきやすく、情報を効率的に整理することが可能です。

このように、マインドマップは思考の発散と収束をサポートし、脳の働きを高めるための効果的なノート術であると言えるでしょう。

マインドマップの具体例

では、具体的にどのようなマインドマップがあるかをご紹介いたします。

読書メモのマインドマップ
読書メモのマインドマップ

上図は読書メモの一例です。少々カラフルなものもありますが、これは私が本を読みながら、特に重要だと思うポイントをメモする際の方法です。マインドマップは、中心から情報を展開していく形で、5W1H(Who, What, When, Where, Why, How)を含む内容で構成されています。具体的には、「なぜ」「何のために」といった問いから始まり、ゴールや結論へと矢印でつながっていく形式です。このようにして、情報の特徴や本の趣旨が明確になります。

ただし、すべてがカラフルであるわけではなく、私が普段使用するマインドマップの8割から9割は白黒で作成しています。

セミナー受講記録のマインドマップ
セミナー受講記録のマインドマップ

例えば、上図はセミナーの記録です。中央に「ITツール活用セミナー」と記入し、その周りに関連する情報を白黒で整理しています。セミナーのチラシに載っていたイラストを中心に配置し、そこから「ITツールセミナー」というタイトルを起点に、趣旨や活用事例といった枝を伸ばしています。このように、図を描いておくことで、印象に残りやすく、後から見返すときに記憶がよみがえりやすくなります。

研修の構想を考えるマインドマップ
研修の構想を考えるマインドマップ

また、マインドマップは研修の構造を考える際にも有用です。例えば、研修で話す内容を大まかに書き出し、右上に図を描いたり、右下に別のマインドマップを追加したりします。これにより、アイディアの関連性や重要なポイントを整理しやすくなります。研修の内容を具体的に構築するために、頭の中でごちゃごちゃしたアイディアを視覚的に整理するのです。

板書(目的共有)のマインドマップ
板書(目的共有)のマインドマップ

さらに、目的の共有にもマインドマップを活用します。研修の目的を事前に参加者に尋ね、その意見を反映させるためにメモを取りながら、右上に「改善」といった具体的な目的を記入します。このようにして、研修の目的が明確になり、参加者の意識も統一されます。

例えば、手書きのメモが多すぎるため、時間を短縮したいと考えている場合があります。また、メールが多く、無関係なものも多いと感じることもあります。こうした皆様の意見を集めて、マインドマップに反映させるわけです。

また、チーム作りがうまくいかず、コミュニケーションの改善が必要であるという意見が多い場合、事前にこれらの目的を聞き取り、その結果を反映させます。その上で、共通の目的としてチーム作りとコミュニケーションの改善に重点を置き、研修の内容を組み立てるという形になります。

事前に目的を共有することで、私も皆様のニーズを把握でき、目的に沿った内容でお話を進めることが可能です。このように、目的の共有がしやすくなり、研修の効果も高まります。意外にも、皆様は私が研修中に突然マインドマップを描き始めても、抵抗なく受け入れてくださるケースが多いです。研修参加者が「ここは関連性がある」と指摘するなど、意見を出しやすくなることもあります。

このように、マインドマップは非常に便利なツールであり、皆様の思考やコミュニケーションをスムーズにするために有効です。

マインドマップの活用例

最後に、マインドマップの具体的な活用例についてお話しします。

マインドマップは、発散と収束を意識して活用することで、多くの場面で効果を発揮します。

記憶のために

記憶の定着においては、読書メモや授業、資格の勉強に役立ちます。資格勉強の内容をマインドマップで整理することで、情報が定着しやすくなります。研修や講習会の記録にも有用です。レジュメにメモを取ることも大切ですが、1枚の紙にまとめることで、後から簡単に思い出すことができます。プレゼンテーションにおいても、マインドマップを活用することで、聴衆の記憶に残りやすくなります。

アイディア出し・発想のために

また、アイディア出しにおいても非常に有効です。新商品開発や現場改善、問題点の洗い出しの際に、アイディアが広がりやすくなります。たとえば、新商品のアイディアが1つ出た場合、それを基にさらに多くのアイディアが生まれることがあります。

頭の整理のために

頭の整理にも役立ちます。例えば、Todoリストをマインドマップで作成することで、優先順位を考えたり、所要時間を見積もったりするのに役立ちます。実際に、毎日マインドマップを活用することで残業が大幅に減ったという方もいらっしゃいます。

ヒアリング時には、話した内容をメモし、キャリアプランやマニュアル作成、事業計画などに役立てることができます。聞いた内容を整理し、どのように進めるかを考える際にも、マインドマップは非常に便利です。

意見をまとめるために

意見をまとめる際や会議での課題や問題点の洗い出し、目標設定、スケジュール検討などにも活用できます。また、ヒアリングメモを用いて、面談した方と共有しながら進めることも容易になります。

マインドマップは、ビジネスのさまざまな場面で活用できるツールです。まさに「脳のスイスアーミーナイフ」とも言えるこのツールを、ぜひ皆さんのツールの一つに加えていただければと思います。

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執筆者

中小企業診断士 安田 裕美
1級販売士、マインドマップの学校登録講師

営業3年、事務5年→中小企業診断士の資格取得後、独立。現在は、創業や経営革新、各種補助金の申請支援の他、主に「食」の業界でのコンサルティング活動を展開中。

会議や研修、売り場や製造現場での指導など、業務改善・拡大等の支援に取り組む中で、いかに現場の力を高めるかが重要であると考えるようになる。

現場の考える力を高めるための一手法として「頭の使い方」なども研究。
2013年にマインドマップの公式インストラクターとして活動を開始。

大手企業の営業研修、管理職研修の他、5S研修、マニュアル作成研修など、様々なシーンでマインドマップを活用している。

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