「資金繰りが厳しい」の言い換えは?資金繰りが厳しい中小企業が今やるべきこと。受けるべき支援は?
深町 一隆
中小企業診断士 /
健康経営アドバイザー
地銀、信販会社、メガバンク、保証会社、にて法人、個人営業、融資業務に従事。
営業では融資業務を中心に中小企業約100社を支援、保証会社においては地銀、信金、信組約80行を担当し、金融機関向け営業支援を実施。
実家の小売業が廃業しその無念さから「廃業を減らしたい」と中小企業診断士の資格を取得。商売の苦労を理解し、困難に立ち向かう企業のサポートに情熱を注ぐ。「伴走型相談支援」を軸に経営者のパートナーとして取組む。
\100社以上の事業再生実績あり!/
資金繰りとは?
資金繰りと聞いてなんか難しそうだなと感じる経営者の方は多いのではないでしょうか。
まずは、資金繰りについて説明します。
資金繰りとは会社の収入と支出を管理して、収支の過不足を調整することです。資金は現金、当座預金、普通預金、通知預金、定期預金など、会社としてすぐに支払いに利用できるものを指します。
資金繰りの目的は、すぐ先の資金の流れを把握することです。
例えば、「今月1,000万円の入金があったので、すでにあった資金2,000万円に加えて3,000万円の資金があるとします。しかし、来月5,000万円の支払いがあるため2,000万円不足している」ということを把握するのが資金繰りです。
そのような資金繰りが厳しい時には、どのように取引会社に伝えるべきか下記に述べます。
\100社以上の事業再生実績あり!/
「資金繰りが厳しい」の言い換えは?
資金繰りが厳しい状況を取引先に伝える際には、直接的な表現を避けつつ、丁寧かつ誠実に状況を伝えることが大切です。以下のような表現を参考にしてみてください。
- 「現在、当社の資金繰りに一部調整が必要な状況にございます。」
こちらは、資金繰りの問題を暗に示しつつ、解決に向けて対応していることを伝える表現です。 - 「現在、一時的に資金面での調整が必要な状況ですが、最善の対応を進めております。」
こちらも一時的な問題であり、解決に向けて取り組んでいることを強調しています。 - 「当社の資金運用において一時的に見直しが必要な状況となっておりますが、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。」
こちらは、取引先の理解を求めつつ、慎重に資金の見直しを行っていることを示しています。
このような表現を用いて、相手に負担をかけないようにしながら、自社の現状を適切に伝えることができます。また、問題解決に向けた努力や具体的な計画がある場合は、それを併せて伝えるとより信頼感が得られるでしょう。
\100社以上の事業再生実績あり!/
資金繰りの重要性
帳簿上は黒字になっていても、資金回収が遅れたり、大がかりな設備に投資したりして、資金が不足すると、資金繰りが悪化します。
売上や営業利益が下がったからといって、すぐに倒産の危機に直面するとは限りません。しかし、資金が一時的にでも不足すれば、取引先への支払いや従業員の給与の支払いができなくなり、さらには倒産の危機に直面します。特に赤字経営の場合は、さらに資金繰りに注意する必要があります。資金が不足しないように、資金繰り管理を徹底します。
つまり「資金繰りが厳しい」とは、会社としてすぐに使えるお金が不足している状態をいいます。
\100社以上の事業再生実績あり!/
資金繰りが厳しい中小企業の特徴
資金繰りが厳しい中小企業の特徴として大きく3つあります。
- 赤字体質が続いている
- 資金調達ができない
- 売り上げが大きく伸びた
上記について、説明いたします。
赤字体質が続いている
資金繰りが悪化する大きな原因は、赤字の状態が継続することです。
売上が大きく減少すると、売上に連動していない固定費の支払いが困難になります。
例えば、毎月の売上が1,000万円であるのに対し、人件費や家賃などの経費が3,000万円であれば、月々2,000万円の赤字が発生します。利益状況と資金繰りは必ずしも一致しませんが、経費を支払うために必要な売上が確保できない状況が継続すれば、資金繰り悪化の原因となります
\100社以上の事業再生実績あり!/
資金調達ができない
銀行から融資を受けることができれば、赤字であっても倒産するリスクは低下しますが、銀行からの融資を受け続けることが困難になってしまうと、資金繰りが悪化し、危険な状態に陥る可能性が高まります。
売上が大きく伸びた
売上が大きく伸びたときも、注意が必要です。
売上が大きく伸びれば資金繰りが容易になる印象があるかもしれませんが、入金と支払いのタイミングによっては、かえって資金繰りを悪化させることになります。
\100社以上の事業再生実績あり!/
資金繰りが厳しい中小企業が今やるべきこととは
事業を改善する
会社の事業を改善することが最も確実です。赤字の状況を脱することによって、必要な資金を自社の利益からまかなうことができ、資金繰りの改善につながります。そのためには、自社の決算書を分析し、余分な経費や削減できる支出がないかどうか精査することが重要です。
業務フローを見直すことで労働生産性を高めたり、外部に委託している業務を内製化したりするなど、利益状況を改善するための方法を検討しましょう。
売掛金回収までの期間(入金サイト)と、買掛金の支払期限(支払サイト)のバランスを見直すことも効果的です。
\100社以上の事業再生実績あり!/
資金繰り表を作成し手元の資金を把握する
自社の資金繰りを把握することが大切です。
資金の流れを経営者が把握できていないケースは、数多くあります。
そこで、数ヵ月先の資金状況について予測し、将来の資金計画を立てることで、いつ資金が不足するかを把握し、資金調達の計画を立てます。「資金繰り表」は重要な役割を果たします。
\100社以上の事業再生実績あり!/
遊休資産や不良在庫の見直し
売上や資金獲得に貢献していない遊休資産を見直すことも大切です。資金化することで一気に資金繰りが改善できるかもしれないからです。
このような資産を把握するには、貸借対照表の資産の部をチェックします。回収が滞っている売掛金や、安価にすれば売れるはずなのに放置されている不良在庫などを把握します。
また、利用されていない固定資産や、保有しておく必要がない有価証券等を処分することで、コスト削減に繋げます。
\100社以上の事業再生実績あり!/
日本政策金融公庫による資金繰り支援制度一覧
日本政策金融公庫による資金繰り支援制度は下記の3つあります。
- 低利・無担保融資(コロナ対策)
- 資本性劣後ローン(コロナ対策)
- セーフティネット貸付(物価高対策)
順に説明していきます。
低利・無担保融資
低利・無担保融資は、当初3年間は基準金利から0.5%引き下げた融資制度です。2024年3月末まで継続予定です。概要は以下の通りです。
対象者 | 新型コロナの影響で、売上が5%以上減少した者新型コロナの影響で、債務負担が重い事業者 |
融資額 | (中小企業事業)4億円(国民生活事業)6000万円 |
貸付期間 | 20年以内 |
据置期間 | 最大で5年 |
\100社以上の事業再生実績あり!/
資本性劣後ローン
資本性劣後ローンは、万が一、倒産した時にほかの負債より返済の順位が後回しになるため、金融機関からは自己資本とみなされるローンのことです。
概要は以下の通りです。
対象者 | 新型コロナの影響により、キャッシュフローが不足する企業や一時的に財務状況が悪化したため企業再建等に取り組む企業 |
融資上限 | (中小企業事業)15億円 (国民生活事業)7200万円 |
\100社以上の事業再生実績あり!/
セーフティネット貸付
セーフティネット貸付は、ウクライナ情勢・原油価格上昇の影響で、利益率が減少した事業者に対し、基準金利から0.4%引き下げた融資制度です。2024年3月末まで継続予定です。概要は以下の通りです。
融資上限 | (中小企業事業)7億2千万円 (国民生活事業)4800万円 |
貸付期間 | 設備資金15年以内運転資金8年以内 |
\100社以上の事業再生実績あり!/
経済産業省が認めた認定支援機関とは
認定支援機関とは、2012年に制定された中小企業経営力強化支援法に基づき、中小企業の経営力を強化する目的で設立された制度です。
経済産業省が管轄となっており、正式名称は「経営革新等支援機関」となっています。
主な業務内容としては、中小企業や小規模事業者の経営に関するアドバイスや事業計画の策定や資金調達、補助金申請を支援することです。
日本に存在する企業の多くが中小企業であり、経済活性化のためには中小企業の業績向上が重要とされているため、国も積極的に認定を進めています。
認定支援機関ができることは、補助金申請、経営改善計画の策定支援、資金調達、税制優遇制度の利用などがあります。
\100社以上の事業再生実績あり!/
補助金支援
認定支援機関は補助金の支援が可能です。具体的には、「事業再構築補助金」と「ものづくり補助金」と「事業承継・引継ぎ補助金」等の申請支援ができます。
事業再構築補助金とは、ウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済環境の変化に対応するために、中小企業等の新分野展開、業態転換、業種転換等の思い切った「事業再構築」の挑戦を支援する補助金です。
ものづくり補助金とは、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の略称です。
中小企業が商品・サービスの開発や生産体制の効率化を達成するため、設備投資などを支援する補助金となっています。
事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継を円滑に進めるため経営方針を刷新する、または新規事業に取り組むなどの活動に対して支援される補助金です。
後継者不足が年々深刻化している中小企業を支援する施策として注目を浴びています。
いずれの補助金も中小企業の課題解決に結びつく施策となっており、補助金申請のため認定支援機関を利用する中小企業が増えています。
\100社以上の事業再生実績あり!/
経営改善計画策定の支援
経営改善計画策定の支援も認定支援機関ができる業務の1つです。
「経営改善計画策定支援事業」と「早期経営改善計画策定支援事業」の2種類があり、それぞれ以下の違いがあります。
概要 | 補助金上限 | |
経営改善計画策定支援事業(通常枠) | 経営改善計画に関する費用のうち2/3の補助を受けられる。 | 310万円 |
早期経営改善計画策定支援事業(通常枠) | 早期経営改善計画策定に関する費用のうち2/3の補助を受けられる。 | 25万円 |
大きく違う点としては補助金の上限額です。
経営改善計画策定支援事業では310万円の上限に対し、早期経営改善計画策定支援事業では25万円の上限となっています。また、対象となる事業者に違いがあり、経営改善計画策定支援事業の対象となる事業者は、借入金の返済負担等、財務上の問題を抱えている中小企業・小規模事業者が対象となります。早期経営改善計画策定支援事業では、資金繰りの管理や自社の経営状況の把握などの基本的な経営改善に取り組む中小企業者等が対象になるという点が特徴で、財務状況に問題を抱えていなくても対象になります。
\100社以上の事業再生実績あり!/
資金調達
資金調達も認定支援機関が支援できる業務です。
中小企業の資金調達を支援でき、調達先は大きく「日本政策金融公庫」と「信用保証協会」の2種類となっています。
認定支援機関を介して資金調達をおこなうことで、上記の機関から優遇金利で資金調達が可能です。
日本政策金融公庫では「中小企業経営力強化資金」の融資制度を活用して資金調達でき、保証人・担保が不要な点が大きなメリットです。
信用保証協会では「経営力強化保証制度」の利用時に、保証料を減免しながら資金調達できます。(金融機関と認定支援機関の連携支援を受けることが条件)
\100社以上の事業再生実績あり!/
税制優遇制度の利用
認定支援機関では税制優遇制度を利用でき、以下の税制優遇を受けられます。
- 先端設備等導入計画
- 事業承継税制
先端設備等導入計画
先端設備等導入計画は2018年から実施された制度で、設備など一定の条件を満たした中小企業に対し、固定資産税の優遇を受けられる制度となっています。
生産性を向上させる設備投資に対して税制優遇される制度で、認定支援機関のサポートが必要です。
事業承継税制
事業承継税制は、後継者が事業承継に伴う株式の相続時などで支払う相続税や贈与税を猶予してもらえる制度のことで、制度の利用には認定支援機関のサポートが必要となります。
資金繰りが厳しい時は認定支援機関のビジネス処方箋(株式会社3Rマネジメント)へご相談ください
ビジネス処方箋では、100社以上の事業再生を成功に導いた実績があります。
資金繰りや財務戦略のプロフェッショナルが、あなたの会社に最適な解決策を提案し、事業の再生をサポートします。
無料相談を行なっておりますので、まずは気軽にご相談ください。
\100社以上の事業再生実績あり!/